曲学阿世:真実を追求し、虚実の世間に迎合するようなことはしたくない。

真実を曲解し不正な情報によって世間の人々にこびへつらい、世間にとり入れられるような、ことはしたくない。

財務省による完全支配体制に移行する安倍内閣

2014年10月23日 09時31分38秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                  


                   「植草一秀の『知られざる真実』」

                             2014/10/21

             財務省による完全支配体制に移行する安倍内閣

               第990号

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女性活躍推進の第二次安倍改造内閣の女性閣僚が2名辞職した。

テレビ朝日「報道ステーション」では、安倍政権の御用記者を担当している共
同通信の後藤謙治氏が、閣僚辞任を絶賛した。

周到に計算され尽した閣僚辞任であると安倍政権を絶賛したのである。

本当に気色の悪い光景であった。

BSフジでは、小泉純一郎氏の秘書をしていた飯島勲氏が、辞任する必要もな
いようなこととしたり顔に語った。

こちらも負けないくらい気色が悪い。

残念な、この緩みきった空気。

茶坊主と側用人が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)するすさんだ政治が幅を利
かす日本に成り下がっている。

小渕優子元経産相の問題は、金額も突出しており、中途半端な問題ではない。

観劇会の参加者が一人残らず会費を支払ったことを示す資料が提示されなけれ
ば、有権者への利益の供与の疑いは残る。

政治団体が参加費を徴収して、その資金を誰かが着服したということになるな
ら、業務上横領という新たな刑事事件に発展する可能性もある。



メディアは、民主党代表職にあった小沢一郎氏を攻撃したときに、何をしたの
かを忘れてはいないはずだ。

いまだに真実を知らない人が多いから、改めて事実を記述する。

小沢一郎議員の資金管理団体は、「未来産業研究会」、「新政治問題研究会」
という名称の政治団体から受けた政治献金を事実通りに収支報告書に記載して
報告したことを「虚偽記載」だとして、大犯罪に仕立て上げられたのだ。

完全な真っ白の合法行為が大犯罪だとされて、小沢氏は民主党代表職を辞する
ことになったのである。

これが悪名高い、2009年の「西松事件」のすべてだ。

他方、2010年の「陸山会事件」とは、2004年10月に代金が決済さ
れ、2005年1月に移転登記が完了した世田谷区所在の不動産の取得を、2
005年の収支報告書に記載して提出したことが、「虚偽記載」だとして事件
化されたものである。

完全な合法行為が刑事事件に仕立て上げられてしまったものである。

この事件で、石川知裕衆議院議員は議員辞職することになった。

最高裁はこの謀略事件に対して、不当な有罪判決を示した。

真実を知らない国民に対して、日本のマスメディアは、極悪非道の大犯罪が実
行されたかのような大報道を展開した。

真実を正確に、冷静に伝えた報道は皆無に近かった。



「西松事件」、「陸山会事件」は史上空前の最悪、最大の政治謀略冤罪事案
だったのであり、今回の問題とはまったく次元が異なる。

小渕氏に対しても、松島氏に対しても、刑事告発がなされたのであり、真相解
明はこれから本番を迎えるのである。

閣僚辞任で幕引きなど、事実誤認も甚だしい。

ところが、日本のマスメディアは茶坊主や御用記者をフル動員して、事件を矮
小化しようとしている。

日本は本当に腐りきった国に成り下がってしまっているのである。



安倍政権は後任の経産相に宮澤洋一氏を、法相に上川陽子氏を起用する人事を
発表した。

早期に幕引きを図って、事態を立て直そうとしているように見えるが、そうは
問屋が卸さないだろう。

宮澤洋一氏の新たな問題が浮上しないとは言い切れない。

それ以外にも、江渡聡徳防衛相、塩崎泰久厚労相、西川公也農水相の「政治と
カネ」問題も取り沙汰されている。

第一次安倍内閣が「政治とカネ」辞任ドミノで弱体化したことから、安倍政権
はこの二の舞を避けることを意図していると考えられるのだが、一度変わって
しまった流れを変えることは難しい。

安倍政権の目の前には重大な問題がいくつも立ちはだかっている。

拉致問題、沖縄基地・知事選、消費税、原発再稼働、TPP、というヘビーな
問題が横たわっているのだ。



拉致問題で安倍政権は北朝鮮から何の見返りもなく、経済制裁を解除した。

この図式が問題解決を完全に遅らせるのである。

北朝鮮は、何もしなくても日本から譲歩を引き出せることを学んでしまった。

完全に北朝鮮ペースで事態は進行しているのだ。

沖縄基地問題では、安倍政権は仲井真弘多氏と翁長雄志氏の両方に話をつけて
いると見られる。翁長雄志氏が埋立申請承認の撤回・取消を確約しない理由が
ここにあると見られる。

この状況に対して、明確に埋立申請承認の撤回・取消を確約する候補者が出現
した。このために、選挙情勢は急転する可能性があると考えられる。

経済問題で最重要の消費税再増税問題だが、安倍政権は財務省の誘導でおかし
な動きを始める状況だ。安倍政権が消費税再増税を決定すれば、間違いなく安
倍政権は2015年に終焉するだろう。

財務省は安倍政権をつぶす前提で消費税再増税の決定を誘導しようとしている
が、これが日本を奈落の底に陥れる原因になるだろう。



財務省が主導するおかしな動きとは何か。

日経新聞は10月19日に次の事実を伝えた。

「政府は来年10月から消費税率を10%に引き上げる場合の影響について、有識
者に意見を聞く点検会合を11月4日に始める方針を固めた。

有識者は約40人で、初会合には安倍晋三首相も出席する。

11月18日までの間に5回程度開く予定で、11月17日に発表予定の7~9月期の
国内総生産(GDP)速報値を踏まえた意見も聴取する。」

これは、財務省が最も得意とする

「やらせヒアリング」

である

財務省が実施しているTPRという名の言論統制プロジェクトがある。

TPRの最大のポイントは、名簿の管理である。

政界・財界・学界の言論人の膨大なリストを蓄積している。

その全員に対して、財務省は説得工作を展開してきている。

財務省は対象者をひざまずかせるだけの武器をふんだんに有する。

よほどの学識と正義感、さらに強い意志を持つ者でなければ、財務省にひざま
ずいてしまう。

以前に税調会長を務めていた本間正明氏などがその典型的な例であると言える
だろう。

売上税に反対していた主張が、その後に、完全な財務省増税推進派に転換して
しまった。

民間のエコノミストの大半は、財務省の支配下にある金融機関の配下に置かれ
る機関の所属であるから、その大部分がいわゆる「御用」に成り下がる。

したがって、安倍政権がヒアリングを行う40名の「有識者」は、ヒアリング
の前に、すべて、何を語るのかが、完全に把握されているのである。



全員が消費税再増税賛成という結果を示すことはあまりにも不自然だから、一
定の比率で、反対の主張をする「有識者」を配合する。

機関として消費税再増税反対を主張する存在があるから、これらの反対意見
を、配合、調合するわけだ。

そして、消費税再増税賛成多数の結果を示すのである。

こんな「学芸会以下」の作業に血税が投下されるのだから、国民はたまったも
のではない。



さらにおかしいことは、このヒアリングを11月4日から始めて、11月18
日に最終回を実施するというスケジュールの設定だ。

安倍政権は7-9月期のGDP統計を見て判断するとしてきた。

7-9月期のGDP統計速報値が発表されるのは、11月17日だ。

ヒアリングを5回実施するのなら、11月18日から5日連続で実施すればよ
いだろう。

最終回だけ11月18日にして、GDP統計の結果を踏まえた意見を取り入れ
たとするのは、あまりにも姑息である。

4-6月期の成長率は、表向きの数値がー7.1%、実態は-17.1%とい
う衝撃的なものだった。

7-9月期の成長率は、少なくとも+7~8%が必要になる。

ところが、7-9月期の成長率は大幅プラスにはならない可能性が高まってい
る。

だから、11月17日の前にヒアリングの大半を終えてしまうということなの
だ。



安倍氏が日本経済の再生が重要だと考えるなら、早期に消費税再増税先送りを
決めて発表するべきだ。

今回、経産相の後任に宮澤洋一氏を押し込んだのは財務省である。

財務省は宮澤洋一氏に原発再稼働を推進させて安倍政権に貸しを作り、その取
引材料として、消費税再増税を呑ませようとしている。

宮澤洋一氏は宮澤喜一元首相の甥で、財務省出身者である。

安倍内閣の官房副長官に起用されている加藤勝信氏も財務省出身、自民党税調
会長の野田毅氏も財務省出身である。

安倍政権は完全に財務省に固められているのである。

閣僚では麻生太郎氏が財務省に取り込まれている。

自民党幹事長の谷垣貞一氏も財務省に取り込まれている。

日銀総裁には財務省出身の黒田東彦氏が送り込まれ、いまなお、財務省職員と
して職務に当たっている。



このなかで、消費税再増税の先送りを決定するには、強いリーダーシップが必
要であるが、安倍氏にその体力は残されていないのではないか

財務省とすれば、政権がしかばねになって、消費税再増税を実現してくれるこ
とが最大の喜びである

安倍政権の骨格はすでに財務省に握られてしまった。

宮澤洋一氏の経産相就任で、経産省自体が財務省の支配下に置かれることにな
る。



日本の諸悪の根源が、財務省と法務省なのである。

この二つの役所が日本を支配し、日本を私利私欲で動かしている。

法務省は、人間の尊厳を自由自在に支配する独裁権限を有する。

財務省は、法務省が所管する人間の尊厳以外に関する国家権力の大半を握って
おり、これを私利私欲のために活用する役所である。

今回の閣僚辞任劇も、財務省と法務省が仕組んだ芝居であった可能性がある。

安倍晋三氏にまだ気力と体力が残されているなら、トップダウンで消費税再増
税の先送りを決定し、発表するべきである。

それができないなら、安倍政権の消滅は、もはや時間の問題でしかないと言え
るだろう。



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