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真実を曲解し不正な情報によって世間の人々にこびへつらい、世間にとり入れられるような、ことはしたくない。

ハゲタカファースト政策是非を問う沖縄知事選

2018年09月30日 16時05分20秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                                

                      「植草一秀の『知られざる真実』」

                                     2018/09/30

         ハゲタカファースト政策是非を問う沖縄知事選

             第2151号

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台風24号が襲来した沖縄で県知事選が投票日を迎えた。

台風による影響を避けるために、多数の主権者が期日前投票を行った。

沖縄県選挙管理委員会は9月14日から29日までの16日間の知事選期日前
投票者数が40万6984人であることを発表した。

期日前投票数が過去最高だった2014年の前回知事選における19万732
5人の約2.1倍になった。

9月12日現在の選挙人名簿登録者数は115万8569人で、期日前投票数
は35.1%に相当する。

3分の1以上の主権者が期日前投票を行ったことになる。

台風は9月30日には沖縄地方を通過しており、9月30日午後には投票に重
大な問題が生じない地域が多数を占めると考えられる。

選挙で勝利するには、最後の最後まで力を尽くすことが重要で、本日の投票締
め切り時刻まで、力を抜かない対応が求められている。

沖縄の未来を左右する重要な選挙であり、同時に日本の今後の政治にも重大な
影響を与える可能性が高い選挙だ。

姑息な利益誘導に左右されずに、的確な判断を示して欲しいと思う。

台風を理由に、投票を繰り上げた市町村がある。

天気予報を十分に精査すれば、9月30日には台風が沖縄県地方を通過してい
ることは事前に予測できた。

投票日の繰り上げは「選挙妨害」の行為であり、繰り上げ投票を決定した判断
の正当性が問われることになる。



台風24号に次いで台風25号が発生した。

NOAA(アメリカ海洋大気庁)は早い段階から台風25号が日本列島に接近
するとの予測を示してきた。

ECMWF(欧州中期予想センター)は台風25号が台湾から中国方向に進む
との予測を示しており、現時点では台風の進路予想が二つに割れているが、台
風25号が台風24号に近い進路を辿り、日本列島に影響を与える可能性が残
されており、今後の進路情報に十分な警戒が求められる。

沖縄県の人々にとって、何よりも重要なことは、まずは日々の暮らしであるだ
ろう。

これは沖縄県に限ることでない。

人々にとって、何よりも大事なことは政治が自分たちの日々の暮らしに対して
どう対応するのかである。

そして、沖縄にはもうひとつ、基地という問題がある。

第二次大戦で沖縄は日本政府、日本軍によって捨て石にされた。

日本軍は本土決戦への時間かせぎのために沖縄を切り棄てた。

沖縄戦では20万人もの人命が犠牲になった。

戦後、日本は1952年に独立を回復するが、この独立に際して沖縄を含む南
西諸島は切り棄てられた。

沖縄の犠牲の上に日本は独立を回復したのである。



日本から切り棄てられた沖縄では、銃剣とブルドーザーによって土地が強制収
容され、島全体が基地化された。

日本への復帰後も沖縄の基地負担は軽減されていない。

いまなお、日本全体にある米軍施設の70%が沖縄県に集中している。

この沖縄に日本の費用負担で、新しい基地が建設されようとしている。

沖縄の最大の資源は「自然観光資源」であると言ってよいだろう。

その自然観光資源を破壊する、美しい沿岸地帯を破壊する基地建設工事が強行
されている。

東アジアの地政学が変化し、米軍の編成が抜本的な変化を示すなかで、沖縄に
新たな海兵隊基地を建造する必要性は消滅している。

日本政府が日本国民の利益を優先して判断、行動するならば、辺野古の米軍基
地建設を中止するはずである。

しかし、米国に何もものを言えない安倍内閣は、米国に日本の意向を表明する
こともせずに、沖縄の美しい海を破壊する米軍基地建設を強行している。

その政府方針に対して、どのように対応するのかも、沖縄県知事選の重要争点
である。

沖縄には基地があり、基地関連ビジネスで生活を成り立たせている人が多数存
在することは事実だ。

しかし、沖縄の未来のあり方を考える際に、基地問題を除外して考えることは
できない。

沖縄を世界有数の自然観光資源を活かす観光立県で発展させることを考えるな
ら、沖縄を「基地の島」でない存在として生まれ変わらせることが何よりも重
要である。

とりわけ、若い世代は次代の沖縄を担う存在として、未来に誤りのない沖縄の
選択を、この知事選で示す必要があると思う。



日経平均株価が本年1月の高値を一時上回った。

バブル崩壊後の高値を更新した。

この株価上昇について、「株価はバブル崩壊後高値を記録したが、庶民に実感
は乏しい」との新聞が報じている。

かつては、株価が経済全体を映し出す「鏡」の存在だった。

株価上昇は経済の好調を、株価下落は経済の不調を象徴する事象だった。

しかし、いまは違う。

株価は上場企業の利益変動を示す指数ではあっても、一国経済全体の状況を示
す指数ではなくなっている。

株価に表示されるのは、約4000社の大企業の状況だけだ。

日経平均株価にいたっては、たった225社の状況しか示さない。

東証第1部上場企業数は約2000社で、そのなかの代表的な企業225社の
株価動向を示すのが日経平均株価なのだ。

日本に存在する法人数は400万社に近い。

上場企業数はその0.1%。

日経平均株価が示す企業数は日本の法人数の0.005%でしかない。



かつては、企業収益が拡大するときには、労働者の賃金も増えた。

したがって、株価上昇は経済全体の改善と比例しており、労働者の所得増加と
連動した。

しかし、いまは違う。

労働者の賃金が減るから企業の利益が増えているのだ。

安倍内閣は、「企業収益が拡大すれば、やがては、それが労働者の所得増加に
つながる」と主張した。

これを「トリクルダウン」説という。

しかし、「トリクルダウン」はまったく起きていない。

企業収益は2007年から2009年のサブプライム金融危機不況によって半
減以下に激減した。

しかし、その後に急激な回復を示して、史上最高水準を更新している。

企業収益は史上空前の水準に拡大し、企業の内部留保資金の残高は446兆円
に達している。



しかし、労働者の実質賃金は減少し続けている。

労働者の実質賃金のピークは1996年で、約20年間、減少の一途を辿って
いる。

ピークからの減少率は14%に達している。

とりわけ急激な減少を示したのが、2012年の第2次安倍内閣発足以降で、
内閣発足後の5年間で約5%もの減少が生じた。

企業収益と労働者の所得とは反比例の関係になっている。

つまり、労働者に支払う賃金を減らすことによって、企業の利益が拡大してい
るのだ。

これが安倍内閣経済政策の基本に位置付けられている。

インフレ誘導を目標に掲げた最大の狙いは、インフレを実現して実質賃金を引
き下げることだった。

名目賃金を引き下げるのは難しい。

そこで、インフレを誘導して、インフレ下で名目賃金を据え置く。

そうすると実質賃金がインフレ分だけ下がる。

これを実現するために「インフレ誘導」が目指されたのだ。



成長戦略の中核は労働規制の撤廃だが、「働かせ方改悪法」が鮮明に示すよう
に、労働規制撤廃の目的は、企業の労働コスト削減である。

長時間残業を合法化し、定額残業させ放題制度を大幅に拡大する路線が敷かれ
た。

外国人労働力の導入加速も、賃金水準を引き下げることが狙いである。

「トリクルダウン」ではなく、労働者は国家と企業に「取り尽くされてダウ
ン」になっている。

これが安倍内閣経済政策の真相だ。

沖縄県知事選では安倍政治に近い佐喜眞淳候補と安倍政治に対峙する玉城デ
ニー候補の事実上の一騎打ちになっている。

したがって、沖縄の主権者が「県民の暮らし最優先」と考えるなら、安倍政治
に対峙する玉城デニー候補を選出することが妥当であると言える。

 

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