セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「カメラを止めるな!」

2018-07-09 01:33:13 | 邦画
 「カメラを止めるな!」(2017年、日本)
   監督・脚本・編集 上田慎一郎
   撮影 曽根剛
   音楽 永井カイル
   出演 濱津隆之
       真魚  しゅはまはるみ
       秋山ゆずき  長屋和彰

 熱血鬼監督がゾンビ映画を撮っていたらゾンビが襲って来てスタッフ達が餌食に。
 しかし、監督は俳優達のリアルな表情に感動、撮影を続けていく・・・。

 脚本は内田けんじに似て緻密、確かにアイデア勝負の所が有るからネタを知らない方が断然、良いでしょう。
 最初の37分は???かもだけど、その後、ぐっと面白くなります。
 でも、ネタ(仕掛け)を知ったら知ったで、知った上での面白さが有り、それでも充分、楽しめると思います。

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 以下、解る人には解ってしまうネタバレ

 このアイデアを使った作品で僕が知ってる一番古いものはF・フェリーニの映画、その後が、より親しみやすく面白く作ったF・トリュフォーや、つかこうへいの戯曲を映画化した深作欣二、トリュフォーの作品を観て「僕も、あんな作品を作ってみたい」と実践した三谷幸喜の幾つかの作品。
 現在ではDVDの特典映像に収められてる分野の一つですが、ネタとして見るオマケとネタを映画的に作った作品とでは、全然、違います。
 三谷幸喜はトリュフォーの、その作品の面白さの一つに絶対的なタイムリミットを設けた事、と対談集の中で仰ってました。
 この「タイムリミット」の効用は、切迫感による圧縮された可笑しさを生むと共に、リミットを過ぎた後の達成感と開放感を味合うことにあると思います。
 この「カメラを止めるな!」のラストも実に爽快でした。
 「カメラを~」のラストは、地上のカットから引いていって空中撮影(今だからドローンかな)になって終わるというものなのですが、このシーンに上田監督のトリュフォーへのオマージュを僕は感じました。(まるっきり、トリュフォーのあの映画と同じだもの)

 只、アイデアは同根だとしてもトリュフォーも三谷幸喜も物語の時間軸は同時進行の一つだけでしたが、この作品は二つに分けて最後に合致させています、それによって前振りの中に幾つものネタを仕込む事が出来て喜劇性が増し、爆笑喜劇に昇華されました。(この部分については、ネタを仕込む余裕の少ない同時進行の方が難しいのかもしれない)

 今年、これを越えて笑える作品に出会う事はまず無いでしょう。
 F・トリュフォーの作品と同じく映画愛に溢れた作品。

※新宿のK's cinemaは平日の満席記録を更新中だとか、実は、そんな事も知らず土曜日の開演15分前に池袋の窓口へ行ったら満席売り切れ(笑)、係の人に「どれくらい前に売り切れた」のか聞いたら「1時間前くらい」との事、池袋の方が狙い目かも(20:00の回だけだけど)。
 お陰で今日、午前中にチャリとばして夜の切符を確保する事に。
※映画の構成は途中で視点が180度変わるスペイン映画「◯◯○◯・◯○◯◯」と同じ手法。

 H30.7.8
 池袋シネマ・ロサ
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