セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「燃ゆる女の肖像」

2022-01-17 22:50:33 | 外国映画
 「燃ゆる女の肖像」(「Portrait de la jeune fille en feu」、2019年、仏)
   監督 セリーヌ・シアマ
   脚本 セリーヌ・シアマ
   撮影 クレール・マトン
   美術 トマ・グレゾー
   音楽 ジャン=バティスト・デ・ラウビエ
   出演 ノエル・メルラン
      アデル・エネル
      ルアナ・バイラミ
      ヴァレリア・ゴリノ

 18世紀のフランス、結婚予定だった姉が死に、修道院から連れ戻された妹の伯爵令嬢エロイーズ、高名な画家の娘マリアンヌは彼女のお見合い用の肖像画を描くように夫人から依頼された・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=56y2GWHMaoU

 今年の第一作「アンモナイトの目覚め」のコメント見てたらこの作品名が出てきて、そう言えば劇場へ観に行くつもりだったなと。(コロナで断念)
 「アンモナイト~」が機微と無理解と少しの駆け引きなら、こちらは「定め」の中の機微でしょうか。
 フランス映画って余り説明せんタイプだと思ってたけど、最近は随分と優しくなったみたいで、この作品の肝はギリシャ神話のオルフェとユリディスの葛藤であり、その情景はビヴァルディ「四季~夏」であると主人公たちの口を借りて説明してくれています。
 マリアンヌが振り返ったオルフェの心境を現実よりイメージの中に閉じ込めることを選んだのではと説明しますが、これは作家の阿刀田高氏も同じことを書いているので定説なのかもしれません。
 又、この二人が18世紀の現実では決して結ばれないことを対比によって執拗に描いていきます。冒頭近辺でマリアンヌがエロイーズを描いた「燃ゆる女の肖像」そのものを提示してるけれど、エロイーズにあげた本(オルフェ物語)の28ページに挿絵のようにマリアンヌ自身を描いたスケッチももう一つの「燃ゆる女の肖像」であって二人は同化した存在であるのに、過去に閉じ込めると割り切り振り返ったマリアンヌ、振り返れないエロイーズ(夫と子供のいる現世を生きていく)であり、或は現実のエロイーズとマリアンヌが見る幻覚のエロイーズ~冥界のユリディス、住む世界の違う二人として描かれます。まぁ、エロイーズもあの28ページに閉じ込められたマリアンヌのイメージを抱いて生きていくのだから、二人とも同じなのかな。
 そんな事を内包しながら進んでいく物語は映像も美しく惹き付けるものがありました、家政婦ソフィの存在と堕胎の意味は何なのだろう?この数週間の出来事が「存在してはならない事」と示しているのだろうか、ちょっと、判りませんでした。
 似た内容ながらラストを観客に委ねた「アンモナイトの目覚め」、明確に答えの出てる「燃ゆる女の肖像」、しかし、ラストの見応えは「四季~夏」をバックにエロイーズが見せる表情の移り変わり、長回しの撮影に応えたエロイーズ役のA・エネルの演技に軍配が上がると僕は思いました。

・エロイーズ役のA・エネル、18世紀に修道院から出てきて嫁に行くにしてはトウが経ち過ぎてる感が。(失礼!)
・女同士の性愛シーン、かなり露骨な「アンモナイト〜」に較べればこちらは控え目、只、こちらには露骨な堕胎シーンがある。
・マリアンヌ役のノエル・メルラン、初見なのに既視感があると思ったら宮里藍さんだ。

   嗚呼、君よ 振り返るべきか わが朱夏の 過ぎ去りしを 知るためにこそ   
                                      寂庭

 R4.1.15
 DVD




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「再会の夏」

2021-12-12 21:41:14 | 外国映画
 「再会の夏」(「Le collier rouge」、2018年、仏・ベルギー)
   監督 ジャン・ベッケル
   原作 ジャン=クリストフ・リュファン
   脚本 ジャン・ベッケル  ジャン=ルー・ダバティ
   撮影 イブ・アンジェロ
   音楽 ヨハン・ホーフワイス
   出演 フランソワ・クリュゼ
      ニコラ・デュボシェル
      ソフィ・ベルベーグ

 第一次世界大戦直後のフランス片田舎で軍法会議を待つジャックの元に軍判事の少佐が訪れる・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=M5m_Cy_1WYY 

 苦手な感傷的ノスタルジックな話かと身構えてしまったけど杞憂に終わりました、10本ちょっとしか観ていない情けない2021年だったけど、楽しませてもらったのが「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」なら、良質だなと一番思ったのは本作かもしれない。
 日本語として成立するのか怪しいのですが「乾いたセンチメンタリズム」が心地よかった、日本の湿度を上手に表現したセンチメンタルな作品が「今夜、ロマンス劇場で」なら、フランスという大陸気候の湿度が創ったセンチメンタルが「再会の夏」とでも言えばいいのでしょうか。
 最後の答え合わせに、ずっと主人公に寄り添っていた忠犬ハチ公みたいな「犬」を使ったのもフランスらしい粋を感じました。

※この終わり方のほうが「解」があっていいのだろうが、その前の少佐が車上での会話の後、車ごとフェード・アウトでも良い気がする、フランス映画も描きすぎるようになったのかな。
※少佐役の人がダスティン・ホフマンに見えて仕方なかった。(笑)
※都合良すぎるピーピング・トムの登場が、この物語をリアリティと寓話の中間にある話と示してるのだろう。
※ここ2年、第一次世界大戦を背景にした作品を沢山観たけど強く印象に残ってるのは出来の良し悪しに拘らず「天国でまた会おう」(「Au revoir là-haut」、2017年、仏)と「「誓い」(「Gallipoli」、1981年、豪)かな。

  90分 終わってみれば 痴話喧嘩
   犬も喰わぬと 酒をひと飲み
               
               寂庭

 R3.12.12
 DVD
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「炎上」

2021-10-22 21:23:40 | 邦画
 「炎上」(1958年、日本)
   監督 市川崑
   脚本 和田夏十
      長谷川慶治
   原作 三島由紀夫 「金閣寺」
   撮影 宮川一夫
   照明 岡本健一
   美術 西岡善信
   音楽 黛敏郎
   出演 市川雷蔵
      中村鴈治郎
      仲代達矢
      信欣三  北林谷栄
      
 有名な三島由紀夫の「金閣寺」を映画化した作品で市川崑監督の傑作と言っていいでしょう。
 兎に角、宮川一夫のカメラが素晴らしい、ガシッと締まった構図の美しさ、濃淡の出し方、一級の美術品を見る思いがした。
 雷蔵さんも凄い演技、受ける中村鴈治郎も見応えがあるし福司の信欣三も良かった、仲代達矢は少しやり過ぎのような気も。(汗)

  あこがれし 君、罪なくして 穢れゆく 
    炎と散らせ せつにんとう
                 寂庭

※ 「せつにんとう」=「殺人刀」、禅宗における用語であるがここでは和尚の講話に依る。
※ノートを見ると7月18日の「ドラキュラ」(コッポラ監督)以来、3ヶ月ぶりの映画。(汗)

 R3.10.22
 DVD
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東京オリンピック 2020 MVP

2021-08-08 13:01:32 | 雑記
 決して奇を衒った訳ではないし、大向こうウケを狙った訳でもありません。
 東京オリンピック2020に於ける僕の個人的MVPは、銀メダルを獲得した女子バスケットチームと陸上競技女子1500mで8位入賞した田中希美選手にさしあげたい。
 勿論、最高殊勲と言う意味なら金メダルラッシュに弾みをつけた女子競泳二冠の大橋悠依選手、男子体操二冠の橋本大輝選手、メダル獲りまくりの柔道選手団、臥薪嘗胆の末金メダルを死守したソフトボールチームなのかもしれない、いずれも、どれだけ感動したか判らないし素晴らしかった。
 でも、メダルから離れて常識、固定観念を覆したという視点から見れば、僕の場合、バスケチームと田中選手なのです。
 バスケットボールは詳しくないのですが、それでも欧米に歯が立たないと思われてた日本が世界の強豪国を破って決勝戦まで行ったというのが凄まじい出来事だというのは判ります、あの米国と決勝戦ですからね、信じられないにも程があります。
 そして、元陸上競技ファンだった僕にとって田中希美選手の快挙ほど吃驚し感動したものもなかった。
 日本陸上競技に於いて最も世界と差があったのは男女問わず800m、1500mの中距離種目、陸上競技の不毛地帯、完全なる荒野と信じられてきたのです。
 「目標はインターハイの1500で優勝する事です」
 「キツい種目だが頑張れよ」
 「インカレの1500で勝ちたいです」
 「頑張りなさい!」
 だろうけど、これが、
 「オリンピックの1500で決勝を走りたいです」と監督に言ったら、無視されるか、
 「取り敢えず、自分の足元を見ような」とあしらわれるのが精々、それ程、世界との差が有りすぎていました。
 スピードと持久力という相反する要素を求められ陸上競技で一番キツいとも言われる種目、又、走る格闘技とも言われるくらい肉弾戦が付きものの種目、ウカウカしてると吹っ飛ばされるし足を引っ掛けられたりもする、だから、田中希美選手のような小柄な選手には凄くハンデがあるのです。
 更に、外人選手とのスパート力の決定的差、だから、日本の中距離選手の殆どが卒業すると辞めるか企業の需要のある長距離へ転向してしまい人材が育たない、そんな悪循環が続いてきました、余り知られていませんが欧州で最も人気のある陸上競技は100mを除けば、この中距離レースなんですよ、つまり、選手層も無茶苦茶厚い。
 その種目に卜部選手と共に日本人女子として初参戦、これだけでも歴史的なのに田中選手は日本新記録で余裕の予選突破、更に日本人女子には夢のまた夢と思われていた4分切りで再びの日本新記録更新、準決勝突破、最後は2回目の4分切りでゴール前意識が飛んだと言う激走の末、決勝戦8位入賞を死守、本当に奇跡を見る思いでした。
  
 後方に付けて落ちてくる選手を抜いて順位を上げていく日本人選手の基本パターンと真逆、自分でレースを作っていこうとする積極性、スパート合戦にも喰らい付いていける才能と根性、10000mの廣中選手、3000m障害の三浦選手と同じニュータイプの選手、その中でも計り知れない才能を感じさせる田中選手、本当に素晴らしかった、泣きましたね。(ネット記事のコメントを読めば、少しでも陸上競技を知ってる人達は皆、僕と同じ感想で泣いたようです)

※田中希美選手が準決勝で出した1500m3分59秒19は世界歴代83位(歴代記録の半分くらいはお薬記録(特に中国の馬軍団がドーピング検査のない国内記録会で出した記録がズラッと連なってる)それを除けばもっと上)〜中国軍が薬で身体をどこまで強靭に出来るかの実験台にされた、当時のエース格の選手が告白済み、主に当時は検知されにくかった血液ドーピング+クスリだったと思われる。
男子100mで世界歴代83位のタイムは9秒90だと誰かが書いていました

  直ぐ消されるだろうけど、普段、冷静な解説者金哲彦氏があまりの事に取り乱してます(笑)
  東京オリンピック2020 女子1500m 準決勝  https://2020.yahoo.co.jp/video/highlight/6266499393001
  決勝 https://2020.yahoo.co.jp/video/highlight/6266808436001 

※中距離種目では、戦前のアムステルダム大会で新設された800mで伝説の人見絹枝さんが獲った銀メダル以来の快挙、しかし、この時参加した選手がゴール後バダバタ倒れてしまった為、女子に長い距離は無理だと1972年ミュンヘン大会まで女子の中距離(勿論、長距離も)は封印されてしまいました。
※瀬古利彦さんも元は1500の中距離選手、でも、瀬古さんがマラソンで成功したのはピッチ走法だったからと思ってます(日本の長距離選手の殆どがピッチ走法)、田中選手と同じストライド走法で成功したのは瀬古さんのライバル中山選手くらいだと思う、強靭なバネが必要でそれを42.195k保たせるのは余程の選手でなければ出来ない、それに、中山選手は長身だからストライドが活きた、それを153センチの田中選手にやらせたら消耗するだけで潰れてしまうと思います、是非、田中希美選手には日本中距離の新たな伝説になってもらいたい。(もう伝説だけど)
※アフリカ勢の独断場と思われていた3000m障害の三浦選手も吃驚したけど、この種目にはモスクワ五輪金メダル候補だった新宅雅也選手という先駆者がいたから、前人未到という訳でもないかなと。(汗)
※馬術競技もかなりハラハラしたし、面白かった。

  夏草や兵どもが夢の跡  
         芭蕉
 
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東京オリンピック 2020 点描 2

2021-08-02 22:10:36 | 雑記
 総合馬術個人戦
 惜しい!惜しい!惜しい!
 速報覗いたら名前無いの(笑)、おかしいと思って上へスクロールしたら何と1位、で2位になり程なく3位に。
 競技前の選手を調べると戸本選手を抜けるのは残り二人(まだ10人くらい残ってたけど戸本さんを抜けるのは二人だけだった)、最初の選手は障害引っ掛けて脱落、可能性最後のオーストラリア選手は無事ゴール、で4位に。
 バロン西以来の馬術競技のメダルは滑り落ちてしまったけど、夢を見させて貰いました、人馬(馬名はヴィンシー)共に本当にありがとうございました!
 
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東京オリンピック 2020 点描

2021-07-29 22:29:08 | 雑記
 重量挙げ女子59キロ級 安藤美希子選手、銅メダルおめでとうございます!
 その表彰式の準備作業を見てたら目がテンになった。
 会場に表彰台のセッティングをしてるのはオリンピックユニフォームを着た係員じゃなくて、何とクロネコヤマトの緑色の制服を着た社員だった・・・。

 そんなの有りか?(笑)
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東京オリンピック 2020

2021-07-26 21:17:22 | 雑記
  流星光底逸長蛇

 昼間っからTV見ててスンマセン。
 しかし、実に惜しかったアーチェリー男子団体戦準決勝 日本対韓国、シュートオフの最後の一射、あと数センチ中心に寄っていたら大金星だったのに。

※ 「鞭声粛粛 夜河を過る」頼山陽の有名な川中島の漢詩の末行ですが、江戸後期の頼山陽が川中島の合戦を見られる訳ないので「見てきたような嘘を言い」ってやつ。
 馬上の謙信と床几に座ってる信玄の一騎打ちを講談調に表現したもので、流星とは謙信が振り下ろす太刀の煌きを表現、光底とは振り下ろした刀の下、長蛇が信玄、お節介な講釈でした。(汗)

                                                      R3.7.26
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「ドラキュラ」

2021-07-18 20:59:05 | 映画日記/映画雑記
「ドラキュラ」(「Bram Stoker's Dracula」、1992年、米)
  監督 フラシス・フォード・コッポラ
  脚本 ジェイムズ・V・ハート
  原作 ブラム・ストーカー
  撮影 ミヒャエル・バルハウス
  音楽 ヴォイチェフ・キラール
  出演 ゲイリー・オールドマン
     ウィノナ・ライダー
     アンソニー・ホプキンス
     キアヌ・リーブス

   予告編 https://www.youtube.com/watch?v=PlDbxogHPao

 ドイツ表現主義の古典「ノスフェラトゥ」(F・W・ムルナウ監督、1922年)をF・F・コッポラが独自の視点で焼き直した作品、と言えば聞こえはいいけどコッポラをしてドイツの映画古典をアメリカ商業主義によってどっちつかずの作品にしてしまった感じ。
 「ノスフェラトゥ」に関して僕は原点を観てはいないのだけど、同じドイツの鬼才ヴェルナー・ヘルツォーク監督のリメイクと本作を観ると、怪奇趣味に彩られた耽美主義的作品なのかなと思う、その耽美主義・神秘主義を追求して作り上げたのがW・ヘルツォークの作品で本作は耽美主義を追いながらも商業主義と妥協してしまい、解り易く、そして、最悪にも神秘的要素を装いながらディズニーのように結末(結論)を明示してしまっている、これでは神秘・怪奇に対する想像の余白の切り捨てで、脚本を担当した「パットン大戦車軍団」の余韻、監督した「ゴット・ファーザー」のアル・パチーノのはラストシーンとは正反対の安易さに堕落してしまってる気がしてならない。 
 同じリメイクながらギリギリまで削ぎ落としたW ・ヘルツォークの作品に対し、本作は語り過ぎ、説明のしすぎと感じました。
 G・オールドマン、A・ホプキンス、K・リーブス等、豪華出演陣を揃えたにも関わらず、無駄遣いにしかならなかった作品という印象。

   君想い 異形となるを 厭わねど
    想いしひとは 吾にあらずや

                寂庭

 R3.7.18
 DVD

 
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寂庭歌草集 四季巡り

2021-06-22 21:02:37 | 寂庭歌草集
 睦月

  独り身の 蜜柑の皮も ただひとつ  
   炬燵に潜る 寝正月かな

 如月

  淡雪や 梅の蕾に 薄化粧
   冬の名残りか 如月の末(すえ)

 弥生

  見下ろせば 果てなくつづく 春霞
   沖ゆく船の 汽笛しきりと

 卯月 本歌取り

  君去し ひとりこの部屋 目覚めれば 
   ハンカチーフの 歌、我は憎まん

 皐月

  五月晴れ 若き葉繁り 匂い立つ 
   紋白蝶 何処(いずこ)ともなく

 水無月

   六月 鎌倉にて
  
  雫落つ 篠つく雨に 紫陽花の
   色鮮やかに 夏のくるまで

 文月

  鵜飼舟 勇ましきかな 篝火(かがりび)よ
   見上ぐる空に 十五夜の月


 葉月

  暗闇に 五山送り火 燃え上がり
   「いけず」呟(つぶや)く 罰当たりかな


 長月

  秋祭り 神輿納まり 日は落ちて
   仕舞い神楽に 夏は終わりぬ

 神無月

   谷川に 紅(くれない)ひとつ 流れきて 
    ふと見上げれば 秋深まりし

 霜月

  多分、1966年から1968年頃、偶然だけど2回見た。
  二度とも公園で友達と遊んで帰る時の新大塚交差点、春日通り。自衛隊記念日には当時、神宮外苑に近隣の部隊が集結したのだろう。
  そこから練馬駐屯地、朝霞駐屯地への帰り道だったと推測、61式中戦車、装甲車、牽引された砲、兵員輸送車(要するにトラック)、
  部隊ごとに隊列組んで国道を走っていった、沿道は見物人の行列、今では考えられん。(笑)

   街駆ける 戦車見る子は 我忘れ
    熱き眼差し 今、跡形もなし

 師走

  数年前訪れた、名勝 雨晴海岸を思い出して

   風凪ぎし 雨晴らしの浜 佇めば
    波はひたりと ただ静かなり

  

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「屋根の上のバイオリン弾き」と中島みゆき

2021-06-05 23:41:25 | 雑記
 「屋根の上のバイオリン弾き」とは、ユダヤ人のユダヤ人によるユダヤ人の為の映画と思っていたし、それは、今でも変わりません。
 あのバイオリン弾きが象徴してるのは「神」と僕は思っています、但し、全人類の「神」でなくユダヤ人の守護神としての存在。
 西洋人の考える古代の「神」とは個人を直接救済する存在ではありません、その根源たる救世主の「愛(アガベー)」とは、僕の考える所、仏教の「大乗」と似てると思っています、個人を救う(小乗)のではなく欲に囚われ浅ましい存在である全ての人間(仏教なら衆生)せ救おうという「愛」。
 キリスト教の救世主は作家 遠藤周作氏の「おバカさん」で語ったように見た目は力の無い弱くて善良の塊、白痴のような存在なのです(F・フェリーニの出家作「道」のジェルソミーナように)、神は直接個人を救いません、但し、信じる者には何があっても離れず見守っている存在、それが究極的に個人を救う拠り所となるのです、映画「道」で粗暴(人間)なザンバノが最後、光の無い夜に涙するのは、どんな理不尽を働いても傍に居てくれたジェルソミーナを自ら捨てて神の居ない真の孤独に気付いたからだと僕は解釈しています。

 中島みゆきさんの歌を未だ「暗い」、「女々しい」と思い違いしてる人がいますが、みゆきさんの歌を素直に聞いたなら、これ程、優しくて強くてエネルギーのある人は居ないとファンなら思っているでしょう。
 「生きていてもいいですか」という劇薬アルバムもありますが、その多くの歌は、挫けて倒れた人間の傍に居続けて、「今日は倒れた旅人たちも 生まれ変わって歩きだすよ」(「時代」)と立ち上がり、新たに歩き出すまで寄り添い続けるという、神のような強靭な優しさで弱い人間を救済し続けているのです、只、見捨てず傍に居続ける、そんな「神」の代行を、その才能ゆえ生身の人間がするという地獄をどのように受け止めてるのか凡百な僕には想像も出来ません。(その苦悩の中、自分を規定してみたのが「ララバイ・シンガー」じゃないかな)

 「何も出来ないけど、歩き出すまで傍に居ることだけは出来る」、その意味で、あのバイオリン弾きと中島みゆきさんは同じ存在なのだと僕は思っています、「うらみ・ます」で始まり「異国」(絶望の果て自殺して「あの世」とやらにに来たけど、ここにも私の居場所なんか無かった)で終わる、世間で最凶と言われてる「生きていてもいいですか」に僕は何回救われたか、どんなに感謝してもしきれません。
 「死ぬ時は前のめりに倒れて果てる」坂本龍馬の有名な言葉、これ程、みゆきさんに当てはまる言葉を僕は知らない。

   教わりし 歌の有り方 作り方
     見上げる千丈 他を知らずや

               寂庭
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ソフトボール オーストラリアチーム来日と「まぼろしの市街戦」

2021-06-01 13:14:04 | 雑記
 来日したオーストラリアチームは全員ワクチン接種済みなのにホテルと練習場だけで外出自粛、つまり、監禁、拘束状態。
 外を自由に闊歩してる市民の殆どがワクチン未接種。
 これって、現実に起きてる「まぼろしの市街戦」ではないでしょうか(笑)、どっちが病気なのか、逆さまな世界。
 ワクチン打ったから罹らないという訳でなく、重症化を防ぐというインフルと同じレベルというのは重々承知。
 つくづく、日本人って島国根性で攘夷思想が骨の髄まで染み込んでいて、一億総ヒステリーで、江戸末期と人間性に於いて
まるで変わらない人種なんだなと。
 このままだと令和の生麦事件が起きる可能性大、冗談抜きで本当に心配だよ。

 僕はこのまま感染傾向が低下していく状態ならオリンピックいいじゃないか派です(悪化状態に変化したら中止)、今、中止を
表明したら「やっぱり、やろう」は出来ないのだから、IOCの貴族野郎は脇に置いてもギリギリまで様子を見るべきだと思ってい
ます。(ベトナム株は解らないけど、インド株が猛威を振るってるのはインドと周辺、マレーシアだけで「感染力が〜とか死亡率
が〜」とか言う割にアメリカも欧州もインド株で大事にはなってないよね、インド自体、イベルメクチンのお陰かどうか知らんが
ピークは既に過ぎて減少曲線を描いてるし)

  巣ごもりや オリンピックは 灼熱で
   やるは地獄も 観るは涼しく

  (今夏の電力事情は紙一重らしいけど)

・4月30日を以って80年近く続いた店を畳み(倒産でなく廃業ですが)ました。無信心な僕でもご先祖様に申し訳ないと、少し凹んでいます。残務整理も有り映画を観る気に全然なりません。映画の記事は暫く休みになりそうです。
・65を超えたのでワクチン接種券来ました、ネットだけどノータイムで6月17日一回目で二回目は7月下旬で予約取れましたよ、商店会の
会長は、僕より10日も早く予約したのに一番近い所を選んだせいか僕の一週間後だとか。(免疫抑制剤使ってるから効果期待薄だし、実際、
打ってくれるか判らないけど、打ってくれるなら「ワクチンパスポート」と云う差別の時代が来ても映画館行けるから。ワクチンパスポートっ
て欧州は平気で言うけど、それってアンネの時代の「黄色いダビデの星」ワッペンだろ、逆の意味になるけど付けてない奴が出歩いたらどうな
るか知らんぞ、と)
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「レディ・マクベス」

2021-05-02 18:13:17 | 映画日記/映画雑記
 「レディ・マクベス」(「LADY MACBETH」、2016年、英)
   監督 ウィリアム・オルドロイド
   脚本 アリス・バーチ
   原作 ニコライ・レスコフ
   撮影 アリ・ウェグナー
   音楽 ダン・ジョーンズ
   出演 フローレンス・ピュー
      コズモ・ジャーヴィス
      ナオミ・アッキー

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=J2OkRCvQTFQ

 この作品はW・シェイクスピアの「マクベス」ではありません、インスピレーションを得た作品でしょう、途中「眠りを殺した」という有名な台詞をつまみ喰いはしてるけど。
 本作はレディ・チャタレイとレディ・マクベスを足したような作品で懐妊(愛人の子だけど〜愛人がマクベスに当たる)の件は黒澤の「蜘蛛巣城」でしょうか。
 不可解な所が幾つかあって没入出来ず、ちと醒めた。(笑)
 ・19世紀のイギリスは「プライドと偏見」を見ても解るとおり妻も子供も女性に相続権はないはず。
 ・ポリティカル・コレクトネスだろうけど、当時の貴族の奥様付きのメイドが黒人、主人の愛人も黒人系で子供がハーフというのは非常に考えづらい、無理矢理考えると趣味という最悪の連想しかない。
 ・使用人達の戯れの集団レイプから救ってくれたとは言え、奥様の罪を被って刑場送りを引き受ける義理がメイドにある合理性を感じられなかった(人生に疲れていたとしても)、黒人のメイドと上流階級の奥様とでは証言の重みがまるで違うけど、あの証言を求められた状況は極めて奥様に不利(死亡時間の不自然さ、アザが新しい等)真実を述べれば幾ら田舎でも裁判所で審議されるレベルだったと思う。
 ちょっと、着想に溺れて丁寧さを欠いた作品の気がします。

   遠からず あと追う我が身 その日まで
     眠り殺して 昼も夜もなし

                  寂庭

 R3.5.2
 DVD
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「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」

2021-04-25 22:13:47 | 映画感想
 「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」(2008年、日本)
   監督 塚本連平
   脚本 福田雄一
   原作 ブログ『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』by くろわっ
   撮影 瀬川龍
   音楽 Audio Highs
   出演 市原隼人
      佐々木蔵之介
      麻生久美子

 本作は佐々木蔵之介一人で持ち堪えたような作品。
 filmarksで「きっと、またあえる」の感想を読んでいたら、「「きっと、またあえる」が好きならこの作品も好きだと思う」とあったので観てみる事に、最初の30分が面白くないのはインド映画と共通してた。(笑)
 「きっと、またあえる」の登場人物たちには強いシンパシーを感じたけど、こちらは全然(汗)、でも、それなりに面白くはありました。

  予告篇 https://www.youtube.com/watch?v=oxRhrIUD2y0

    浅ましき 日々を織りなす 蒼き時
     熱き思いに 友となりしや

                寂庭

※しかし予算のない作品だね、学校と病院を同じ建物で代用するのは流石に無理がある(普通、病院の玄関に下駄箱はないだろ)、その辺のチープさは、やはり地方の町を舞台にした「シムソンズ」に似てる。
※マドンナの登場の仕方がモロに東映の「トラック野郎」(笑)星は煌めかないけど、舞台設定の1979年は「トラック野郎」のシリーズ終了年でもある。

 R3.4.25
 DVD
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「タレンタイム〜優しい歌」 その2 DVD発売記念

2021-04-13 08:31:05 | 外国映画
 気がついたら先月発売になってました、早速、ポチ。
 初回のように号泣とはいかなかったけど、優しい素敵な映画に変わりは無かった。
 粗い所、無駄に思えるカットがあっても、優れた群像劇であり、アジアに於ける素晴らしい
音楽映画だと思います。

  予告篇 https://www.youtube.com/watch?v=w4l_td7HE4s

   へだつるは 人それぞれに 訳あるも
     赤子の声に 変わりありしか

                 寂庭

 R3.4.11
 DVD
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寂庭歌草集

2021-04-04 21:03:27 | 寂庭歌草集
 長年に亘り世話になった人によせて

  悠久の 時にとけにし 町びとの
   魂安かれと 祈り捧げん


 氏神様へ奉納 御神木たる夫婦銀杏によせて

  縁(えにし)あり 夫婦(めおと)となりて 幾百年
   町の盛衰 ともに歩まん
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