セピア色の映画手帳

古い映画を中心に

「ラスト・クリスマス」(2019年)

2020-11-22 18:42:44 | 外国映画
 「ラスト・クリスマス」(「Last Christmas」、2019年、米)
   監督 ポール・フェイグ
   脚本 エマ・トンプソン  ブライオニー・キミングス
   原案 エマ・トンプソン  グレッグ・ワイズ
   撮影 ジョン・シュワルツマン 
   音楽 セオドア・シャピロ
   出演 エミリア・クラーク
      ヘンリー・ゴールディング
      ミシェル・ヨー
      エマ・トンプソン  リディア・レオナルド

 まだ一ヶ月以上先だと言うのに前回に続きクリスマス映画。(汗)

  予告篇 https://www.youtube.com/watch?v=BrxmTcYdw84 

 観るもの無くて近所のGEO物色してたらE・クラークの準新作が有ったのでチョイス、「世界一キライなあなたに」('16)のキュートでユニークな個性&眉芸がどう進化したか興味も有りました。
 最初、ヒロインの勤め先が中国系女主人のクリスマスショップ、相手役も通りすがりの中国系なのでハリウッドの中国市場ヨイショ作品かと思ってゲンナリ、視聴意欲ダダ下がりになったけど我慢して観てたら、これ「いいんじゃん!」(笑〜中国市場を意識してるのは間違いないけど、作品が良ければ全然OK)
 女主人の相手役が何処から湧いてきたのか謎で、その一点だけ引っ掛かったけど、それ以外はクリスマスらしい良い話でした。(もう一つ有った、スケート靴、どう始末したの(笑))
 まぁ、これも色んな作品のエキスをシャッフルしてまして、思い付くだけで「ノッティングヒルの恋人」(ベンチとかマーケット風景)、「フォロー・ミー」のロンドン巡り(使われなかったラストシーンなんてクリストフォルーがロンドン案内してるようなもの)、「ゴースト〜ニューヨークの幻」も要素、入ってるよね、ホームレス施設でのクリスマスってのも何処かで観た気がするするし、作品の根本的な設定も漫画か映画か判らないけど、どっかで見たような気がしてしまいました。(これは牽強付会だけどラブラブな二人のアイススケートだと「ある愛の詩」を思い出してしまう)
 物語は旧ユーゴからの移民で、歌手志望ながら何もかも上手くいかず、一夜の宿を求めて男と直ぐ寝るようなしょうもないヒロインが生きる事の素晴らしさに気づくまでという、実にクリスマスらしい、そして、ありきたりな話なんだけ心温まる話で主役二人の好演もあってホンワカと涙しました。相変わらずE・クラークはユニークな女性を演じさせたらピカイチかもしれない、そういう意味で当人は嫌だろうけどミア・ファローの系譜、只、今以上太ったらオバさん役しかこなくなりそう、気をつけた方がいいかも。

 物語も要素も全然違うけど、この作品、21世紀の「三十四丁目の奇蹟」って気がする、「何処が?」って聞かれると何処も似てないのだけど、クリスマス期間の奇跡の話だからかな。(笑〜「三十四丁目の奇蹟」より「クリスマス・キャロル」の男女逆転版が正解に近いかもしれない)
 鉦鼓亭が今年のクリスマス映画として推薦します、ご興味があれば、どうぞ。

※1984年発表のワム!の楽曲「Last Christmas」(去年のクリスマス)に誘発された作品だとか。

  Last Christmas, I gave you my heart   去年のクリスマス、君に僕の心を捧げた
  But the very next day you gave it away   でもすぐ次の日に君は捨て去ってしまった
  This year, to save me from tears   今年は、涙を流さないように
  I’ll give it to someone special   特別なだれかにあげるんだ

※ちょっと、演説は要らなかったかな(短いんだけどね)。
※相変わらずE・クラークの眉はよく動く。(笑)

 R2.11.22
 DVD

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 R2.11.23 (追記)

 ラストシーンを書きますので、そのつもりで

 自分だったらラストはこうしたかったと言う一案

 映画はホームレス達のシェルターハウスでのクリスマスショーから建物全景、そして、ヒロイン カタリナと家族達のクリスマスパーティーへと移り、続いて公園のベンチに座ってるカタリナとなるのですが、ボーナストラックにある幻のラストシーンを観て思ったのは、
 家族団欒のシーンは、その前のクリスマスショーのシーンで家族の和解が成立してるのだがら殊更に必要ないと思う、このシーンの意味は母親が長女のレズを認めるという以外ないし、それも前シーンの長女の相手を含めた家族和解で充分理解出来ると思う、ここの代わりに幻のラストシーンである「Look up」と印したの黄色いキャップ(黄色は中国では皇帝専用の色で今でも高貴な色として中国人が好む色)を被ってツアー客のロンドン案内をしてるカタリナの最後のアップから続けて本編ラストのベンチに繋げた方が僕としては良かったと思う。
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「三十四丁目の奇蹟」

2020-11-16 12:03:23 | 外国映画
 「三十四丁目の奇蹟」(「Miracle on 34th Street」、1947年、米)
   監督 ジョン・シートン
   脚本 ジョン・シートン
   原案 ヴァレンタイン・デイヴィス
   撮影 チャールズ・G・クラーク  ロイド・エイハーン
   音楽 アルフレッド・ニューマン
   出演 モーリン・オハラ
      ジョン・ペイン
      エドマンド・グウェイン
      ナタリー・ウッド
   
 大手デパートのクリスマスパレード、通報により臨時雇いのサンタ役が酔っ払ってる事が判明してクビ、神聖な宗教行事に不謹慎であると通報してきた白髭の老人をそのまま代役に立てる、大成功に終わり会社は雇用継続を持ちかけるが、彼は自分が本物のサンタ・クロースだと言い張って・・・。

 リアリスト、夢を見ず現実だけを信じる(極端な設定だ)、それにより、楽しい空想や夢を否定するのは科学的、合理的に見えて、実は、感性を鈍らせ心を貧しくしているだけではないのか。
 家族用クスマス・ファンタジーと思って油断していたら、まさかの法廷劇へと(笑)、確かに家族用クスマス・ファンタジーなんだけど「サンタは本当に実在するのか」という切り口が斬新で面白く決着の付け方も小粋で気持ち良かったです。あの精神科医だけは救われてない気もするけど彼には「クリスマス・キャロル」が待ってると思ってスルー(汗)。
 観たばかりで確定的な事は言えないけど、クリスマスものでは一番好きになれそう、そんな気がします。

※子役時代のN・ウッド、初めて見たけど目元が余り変わってなくてそれで判った。
※熱心なキリスト教徒、原理派は科学を信じず未だに天動説を信じ進化論を否定してるとか、それも困ったもんだけどファンタジーは心を潤す人類必需品。
※この作品も黒人はメイドでクリスマスの客(台詞のある客役で「裏窓」の看護師おばさんが出てた)もキャストも皆、白人。「風と共に去りぬ」と同じくアメリカではポリティカル・コレクトネスに引っ掛かるのだろうか。歴史は国の成り立ちとして厳然とある訳で、今現在から見て相応しくないから変えると言うのは今の人間の驕りでしかない、アメリカも韓国みたいに歴史を自由に書き換えるのか。

 R2.11.15
 DVD
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「テルアビブ・オン・ファイア」

2020-10-25 17:32:29 | 外国映画
 「テルアビブ・オン・ファイア」(「Tel Aviv on Fire」、2018年、ルクセンブルク・仏・イスラエル・ベルギー)
   監督 サメフ・ゾアビ
   脚本 ダン・クレイマン  サメフ・ゾアビ
   撮影 ロラン・ブリュネ
   音楽 アンドレ・ジェジュワ
   出演 カイス・ナシェフ
      ヤニブ・ビトン
      ルブナ・アザバル
      マイサ・アブドゥ・エルハディ

 第三次中東戦争直前を舞台にしたパレスチナの人気TVドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」に雑用係兼ヘブライ語監修として縁故採用されたサラーム、しかし、イスラエル/パレスチナの国境検問所でドラマの脚本関係者と言った事から脚本家と誤解され、更に、検問所のボスが本人より才能があって脚本に介入してくる、右往左往してるうちサラームの眠っていた才能も磨かれていって・・・。

  予告篇 https://www.youtube.com/watch?v=t_M9VHKAl8Y

 製作国を見れば判りますが、日本に当て嵌めれば日本資本で作られた李香蘭主演で中国を舞台にした満洲映画社作品、それを当時の中国人がどう思って観ていたのか、それと同じで、この作品をパレスチナ国民が観てどう思うのか僕には解らない。
 でも、映画好きには堪らない面白さがある、作品制作の裏側を物語にした「映画に愛をこめて アメリカの夜」、「蒲田行進曲」、「カメラを止めるな!」と同じ系譜なれどパレスチナとイスラエルという不倶戴天の敵同士、かなりな深刻すぎる問題を抱えているだけに直接的当事者でない日本人には面白がっていいのか躊躇いはある、しかし作品は誰が何と言おうと面白い、僕はそこを大事にしてる人間です。
 また、「バジュランギおじさんと、小さな迷子」がインド人によってインド人、パキスタン人が演じ分けられてるのと似て(主演も助演もムスリムだけど)、多分、かなりのイスラエル人がパレスチナ人を演じてるのでしょう、でも、それが2020年の現実なのだからしょうがないとしか言いようがないのです。

 全体的にコメディなので軽いタッチで描かれていますが、かなりの皮肉も含まれています、イスラエル人の検問所のボスがアラブの郷土料理フムス大好きで、パレスチナ人であるサラームはパレスチナの武装蜂起時の食糧難で毎日缶詰のフムスばかり食べさせられてトラウマになってる、又、ドラマは好評でもう一人の脚本家が言う「アメリカのTVドラマのようにシーズン2、3、4・・・ずっと続けられたら」と、ラストシーンのシナリオの副題キャッチフレーズを合わせれば、これはイスラエルとパレスチナの終わらない紛争の現実をウンザリ気味に皮肉ってるのでしょう。

 作中の台詞で否定はされてるけど、ある意味、パレスチナの女スパイとイスラエルの軍司令官の恋物語(TVの連ドラ)だから現代の「ロミオとジュリエット」、それを上手にフィクションとして処理した面白い作品、これが僕の感想です。

※ダブルヒロインだけどマリアム役のマイサ・アブドゥ・エルハディが若い頃のビビアン・スー(台湾)に見えてしょうがない。(笑)
※中東戦争は第4次まであるのですが武田・上杉の川中島と同じく「第3次」がイスラエルとアラブ連合の事実上の決戦でした、「第4次」に関しては、これは低俗な陰謀論の類なんだけど、ある意味勝ち過ぎたイスラエルの負担(占領したシナイ半島全体の広大な防御線はレバノン、シリア、ヨルダンとの国境を抱えるイスラエルの人口ではキツい〜摂津一国の兵力で巨大な大阪城を防衛するようなもの)、エジプトにとってもシナイ半島失権の汚名はアラブの盟主として、また政権の維持に関わる緊喫の問題だった、だから「第4次」はシナイ半島をエジプトに返す為のイスラエルとエジプトの出来レース(短期間だったし)という見方もあります。
 第三次中東戦争 強力なアメリカ合衆国の支援があるとは言え遠方であり、陸続きのレバノン、シリア、ヨルダン、エジプト、そしてサウジアラビア等のアラブ連合が「アラブの大義」の元、イスラエルを圧迫、三方を話し合い不可の敵に囲まれ残りの一方が海、文字通り「背水の陣」の中、ダヤン将軍の先制攻撃とその後の各個撃破によって勝利を収めるも国家総力戦の為、国力の疲弊も大きかった。
 「アラブの大義」(アラブの地はアラブのもの) 簡単に言えばラグビーの「One for all、all for one」の国家版、即ち、アラブのどの国か一国でも攻撃されたらアラブ国家全部で反撃するというもの。

 R2.10.25
 DVD
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「浅田家!」

2020-10-19 10:34:48 | 映画日記/映画雑記
 「浅田家!」(2020年、日本)
   監督 中野量太
   脚本 中野量太  菅野友恵
   原案 浅田政志 「浅田家」、「アルバムのチカラ」
   撮影 山崎裕典
   美術 黒川通利
   音楽 渡邊崇
   出演 二宮和也
      妻夫木聡
      黒木華
      風吹ジュン  平田満
      菅田将暉

 写真家浅田政志と彼のユニークな家族の点描。

 浅田家の次男 政志は専業主夫の父親から欲しかったカメラを貰い、やがて写真学校へ進むもサボってパチンコばかり、2年半後、故郷の津へ一時帰郷した政志は両腕に刺青を入れカラフルになっていた、何もせずダラダラ過ごす政志に幼馴染の若菜も呆れ東京へ出て行く・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=h76jqNkXLUQ

 最初の方で風吹ジュンの大袈裟な演技を見た時、イタリア・ミュージカル「愛と銃弾」冒頭の大袈裟な演技を思い出すべきだった。(笑) 
 監督は名作「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太でfilmarksの評点は4.0、期待していいのか悪いのか微妙な所、結果はfilmarksの採点どおりでした(DVD出る頃は3.8~3.7かな)、退屈する事のない面白さだけど、そこまででそれ以上のものは感じ取れませんでした。
 人間の描き方に深みがなくて、黒木華演じる若菜はただ都合のいい存在で実在感が薄い、深みのない分、前半から中盤に掛けてのライトコメディっぽい辺りは良いのだけど、3.11後のシリアス部分に入ると若干ながら上滑りを感じてしまう。何かどっち付かずの中途半端感が鑑賞後残りました。
 ちょっと、実在の人物と3.11という現実に縛られて羽ばたけなかった窮屈感がある、一言で言えば「もっと、いけるだろ」と感じた作品。

※テーマは是枝監督と同じ「家族とは」でしょう、「湯を沸かすほどの熱い愛」は「そして、父になる」より良かったと感じたんだけど。

 R2.10.17
 TOHOシネマズ日比谷
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「あなたの名前を呼べたなら」

2020-09-28 14:11:57 | 映画感想
 「あなたの名前を呼べたなら」(「Sir」、2018年、印・仏)
   監督 ロヘナ・ゲラ
   脚本 ロヘナ・ゲラ
   撮影 ドミニク・コラン
   音楽 ピエール・アヴィア
   出演 ティロタマ・ショーム
      ヴィヴェーク・ゴーンバル
      ギータンジャリ・クルカルニー

 インドとフランスがくっ付くとラストがぶった切りになる。(笑)
 「めぐり逢わせのお弁当」('13)も相当なもんだったけど(でも、ある程度、先の予測はつく)、こちらはもっと凄い、まぁ、あそこで終わるのは充分アリなんだけどね。

 先がないのを知りながら婚家に隠され持参金なしの一見好条件で結婚、僅か4ヶ月で10代の未亡人となり、今度は口減らしのため都会に働きに出る。大手建設会社の御曹司のメイドとして働きながら生家の妹の為仕送りの日々、そんなラトナの夢はデザイナーになる事だった・・・。

   予告篇 https://www.youtube.com/watch?v=RVtt_x5BRHM

 「玉の輿」か「自立」か。
 アジア的には「玉の輿」解釈かもしれないけど、フランス資本が入ってるし、僕は旦那様の愛するが故の置き土産で「自立」だと思う、何となく「世界一キライなあなたに」('16)で御曹司が臨時ヘルパーのルー(E・クラーク)にチャンスを遺していったのと同じ感じがします、彼女もデザイナー志望じゃなかったっけ。(笑)
 カーストのないアメリカで二人が結ばれる「玉の輿」コースは作品のトーンと微妙に違う気がするし、カーストが骨の髄まで染み込んでるラトナの性格で二人がやっていけるのか疑問、友人が言うように親族の問題もある、大体、(カーストの)上の者が下の者に気遣いは出来ても実際を知る事は出来ないと思う、男と女の間の理解が想像でしかないように。

 公式には廃止されたという「カースト制」、しかし、今も厳然と存在しインド人の生活を縛っています、生まれた階層で仕事の上限も年収もほぼ決まってしまう、テーブルの上を拭く人と床を拭く人さえカーストが違う国、映画「きっと、うまくいく」で落第→自殺が何度か出てくるのもITエンジニアと医者が数少ないカースト除外職種だからで、低カースト者が縋る蜘蛛の糸なんです、その為に親戚中からお金を借りて成功へ突き進むけど落第すれば借金と低カーストの中で一生を過ごす人生が待ってる、日本の落第とはまるで意味が違うのです。

 そんなカーストの越えられない厚い壁を心理的に描いた作品だと思います。

※旦那様役の人(ヴィヴェーク・ゴーンバル)、インドのアンソニー・パーキンス(ジェームズ・スペイダーにも似てる)。
※日本でインド人を雇用、掲示板に新入社員としてフルネームを張り出すと人事課にクレーム(泣き)が入る、同じインド人が見ると名前(フルネーム)で所属するカーストが解るらしい。
※インド資本が入っててインドが舞台、演じるのもインド人なのに99分。(笑)

 R2.9.27
 DVD
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「プレーム兄貴、王になる」

2020-09-22 10:28:06 | 外国映画
 「プレーム兄貴、王になる」(「Prem Ratan Dhan Payo」、2015年、印)
   監督 スーラジ・バルジャーティヤ
   脚本 スーラジ・バルジャーティヤ  アアッシュ・カラン・アタル
   撮影 アアッシュ・カラン・アタル
   音楽 サンジョイ・チョードリー  ヒメーシュ・レーシャミヤー
   出演 サルマン・カーン
      ソーナム・カプール
      アヌパム・カー
      ニール・ニティン・ムケーシュ  
      ディーパク・ドブリヤル

 プリータムプル王国王太子ヴィジャイは王位継承式を数日後に控えていた、許婚であるマイティリ王女も参列する予定、その王女の大ファンである下町の役者プレーム兄貴。
 厳格で傲慢な所のある王太子ヴィジャイと気のいいプレームは瓜二つで、王太子は何者かに狙われ事故で重体、即位式は迫る・・・。(笑)

   予告編 https://www.youtube.com/watch?v=BwGBi-ebRzI

 ・マサラ映画が好きな人 ・インド美人を堪能したい方 大推薦!(笑)
 個人的に「ローマの休日」のアン王女の次に魅力的な王女さまに出会えた。ソーナム・カプール演じるマイティリ王女、本当にキュートな王女さまでした。
 「パッドマン〜5億人の女性を救った男」でその知的な魅力と美貌に出会い、「SANJU/サンジュ」での無駄な使われ方に怒り心頭となったけど、今回で膨大なオツリが来た、それくらい彼女の大人でキュートな魅力が全開になってる、これこそ眼福。
 そして、僕にとって「恋する輪廻〜オーム・シャンティ・オーム」に次ぐ大好きなマサラ映画になりました。(マサラだから歌と踊りのテンコ盛り、そこは覚悟してね)

 本作は「ゼンダ城の虜」をヒントに作られたとか、王家の絡むライトコメディだと、おおよそ、「ローマの休日」のような貴種流離譚か、「王子と乞食」に代表される取り替えばや物語になるのだけど、これは、二つを上手にミックスさせてる、大元は王太子ヴィジャイと下町役者プレーム(ヒンディ語で「愛」らしい)の「とりかえばや」で、そこへ王女マイティリが知らずに一般人プレームと過ごすことで本当の愛を知っていくという流離譚が塩梅よく組み込まれています。
 マサラ映画としては「恋する〜」より歌の魅力度、作品の完成度で及ばない、しかし、民族衣装での煌びやかなダンスの美しさは素晴らしいの一言。
 悪のラスボスがオマケかと言うほど薄っぺらいのは難点ですが、そこを除けばとても素敵なインドのお伽話、僕はこういうの大好きです(汗)

・王様軍(男性軍)vs王妃軍(女性軍)のサッカーシーン、全然、サッカーしてないじゃないかと言うけど、あれはダンスでサッカーを面白可笑しく表現したもの、「「ウェスト・サイド物語」のOPで、ジェット団とシャーク団の喧嘩をバレエのようなダンスで表現したのと同じ。
・前日に「ホテル・ムンバイ」観てたので一番目立つ脇役の料理長さんが、こちらでは一番の重臣 宰相を演じてて可笑しかった、他に「バジユランギおじさんと、小さな迷子」で恋人ラスカー(カリーナ・カプール)の父親がこちらでは劇団の団長、もう一人顔知ってるチョイ役の人が最初の方に出てた。
・「恋する〜」にゲスト出演し、その後何かあってキング・オブ・ボリウッドと呼ばれるシャー・ルク・カーンと犬猿の仲になったサルマン・カーン、意趣返しと思われるシーンがありました、冒頭の辺り、劇場で茶々を入れプレームに引き摺り回され許しを乞う客二人の一人がシャー・ルクに服装込みで似ています、また、マイティリ王女の大看板を見上げてるシーンは「恋する〜」のドリーミー・ガールのパロディと言えるし、犯人がシャンデリアでというのも同じ、、定番とは言え凸凹コンビで他にも思い出せないけどもう一つ有った(汗)。そもそも、身分違いのヒロインの大ファンで彼女の為に粉骨砕身って、モロに「恋する輪廻」
・おばば様(皇太后?)が孫娘を「贈りもの」と表現する事に引っ掛かる女性もいるでしょう、まぁ、男尊女卑の強いインドとはいえ現代の表現としてマズいけど、日本でもまだ残ってる「嫁に出す」、「嫁にやる」と似たようなもんだと、ご容赦頂けたらと。

 R2.9.21
 DVD
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「グリーンブック」

2020-09-14 13:21:04 | 映画感想
 「グリーンブック」(「Green Book」、2018年、米)
   監督 ピーター・ファレリー
   脚本 ニック・ヴァレロンガ  ブライアン・ヘインズ・カリー
      ピーター・ファレリー
   撮影 ショーン・ポーター
   音楽 クリス・ハワーズ
   出演 ヴィゴ・モーテンセン
      マハーシャラ・アリ
      リンダ・カーデリーニ

 1962年、J・F・ケネディ政権下、公民権運動がピークに向かっていく頃、ジム・クロウ法による黒人差別が当然の権利として行われてるアメリカ南部へ著名な黒人ピアノ奏者ドン・シャーリーがツアーに旅立つ、その運転手兼ボディガードとしてイタリア系白人のトニー・リップを彼は雇った・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=eJ-4zk7WRu8

 この作品に「黒人差別に対する白人救世主」という既視感があるのは確かだけど、あの時代、特にアメリカ南部で戦争以外に「白人と黒人の連帯」など殆ど有り得ないので、タイプで文句は付けられないと僕は思う。(白人にしたってアメリカのヒエラルキーでは下層のイタリア系だし)
 それよりも韓国の「タクシー運転手〜約束は海を越えて」と同じく政治的アピールを凄く感じる、「タクシー運転手〜」が現政権への「おもねり」、「ご機嫌取り」なら、こちらはトランプに対する民主党の牙城ハリウッドの反感でしょう、アカデミー賞に選ばれたのも多分に政治的なものが含まれてる(昔から政治的スタンスというのがアカデミー賞の選考基準には有ったけど、最近は「酷い」というレベルまで来てしまってる)、権威ある賞を政治の道具にして欲しくないとミーハーな僕は甘く考えてしまいます。

 クレームばかり書きましたが映画は面白かったです(映画って、観た人が面白いと感じれば勝ちだよね)、「手錠のままの脱獄」('58 スタンリー・クレイマー監督)から有るような白人と黒人の友情発芽物語だけど、定番だからこその安定と楽しさがしっかりとある。
 ドンがアラバマでの騒動の後、「オレンジ・バード」で解放されたように楽しんでピアノを弾くシーン、トニーの重戦車のような頼もしさと愛妻への手紙で苦闘する優しさ、刺身のツマみたいな扱いだったけどトニーの奥さんの親しみやすい可愛さとラストの台詞の良さ。
 差別問題を扱いながらエンタティメントとの調和が取れていて、とても見やすい作品でした。

※出演者たちを平等に人種へ割り振る、反レイシズムという正義が彼らの大切な「表現の自由」という正義を束縛していく。イデオロギーが作品を制約したソビエトの映画は一部の例外を除きロクなものがなかった、市場がバカでかいから衰退はしないかもしれないが教条主義、啓蒙主義がまぶされた面白くもない作品が増えるのだろう、そして、それを仲間内で褒め称え陶酔してる嫌な世界が見える。(「ポギーとベス」、どうすんのかね)

 R2.9.13
 DVD
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「突撃」、「渚にて」

2020-08-31 22:14:07 | 映画感想
 「突撃」(「Paths of Glory」、1957年、米)
   監督 スタンリー・キューブリック
   脚本 スタンリー・キューブリック  カルダー・ウィリンガム  ジム・トンプソン
   原作 ハンフリー・コッブ
   撮影 ゲオルク・クラウゼ
   音楽 ジェラルド・フリード
   出演 カーク・ダグラス
      ジョージ・マクレディ
      アドルフ・マンジュウ
      ラルフ・ミーカー

 第一次世界大戦中の仏軍最前線、不落の要塞「蟻塚」に対する攻撃が決定した、自らの名誉の為、無謀な作戦と知りながらミロー大将は受諾する、作戦当日、敵要塞の銃火は凄まじくダックス大佐の懸命な指揮でも諸部隊は前進もままならず釘付けとなる、戦況に逆上した大将は・・・。

   予告編 https://www.youtube.com/watch?v=drys1OnF35E

 ジャン・ルノワールの「大いなる幻影」が、幻影とも言える貴族の滅びゆく気高さを写すものなら、この作品は、庶民と牛馬の区別が付かない貴族の傲慢、愚劣さを描いた作品。
 「くじ引きで殺されるのか」
 「軍隊ではよくある事さ」
 そういうものなんだ・・・。
 ダックス大佐役のK・ダグラスが好演。

※ラスト間近のドイツ娘、黒澤監督の「隠し砦の三悪人」で人買いの上田吉二郎が言う台詞「戦があると女の出物が沢山あってな」を思い出した。
※今夏の第一次世界大戦モノ、これにて打ち止め、(個人的に)良かった順、「誓い」、「突撃」、「1917 命をかけた伝令」

 R2.8.15
 DVD

 「渚にて」(「On the Beach」、1959年、米)
   監督 スタンリー・クレイマー
   脚本 ジョン・パクストン
   原作 ネビル・シュート
   撮影 ロゼッぺ・ロトゥンノ
   音楽 アーネスト・コールド
   出演 グレゴリー・ペッグ
      エヴァ・ガードナー
      フレッド・アステア
      アンソニー・パーキンス
      ドナ・アンダーソン

 まだTVで映画を見ていた頃以来(荻昌弘さんの月曜ロードショーかと思ってたけど水野晴郎さんの水曜ロードショーでした)の再見、約半世紀ぶり。(笑)

 1964年1月、米潜水艦スコーピオン号がオーストラリア メルボルン沖に浮上した。核戦争の放射能により北半球は全滅、やがて、南半球も同じになると皆解っていたが、不安を押し殺しながらもまだメルボルンは日常が続いていた・・・。

  OPシーン ゴールデングローブ賞で作曲賞を獲ったテーマ曲
   https://www.youtube.com/watch?v=EMzEWpKKOZs&list=PLnZRjAiwJ5RNcW8u2EBY548xB0UHJbU6L&index=2&t=0s

 広島以後、日本以外でも核戦争による終末モノ、デイ・アフターものが沢山作られたと想像するけど、世界映画史に残った最初の作品は多分この作品だと思う。
 家族をアメリカで失った潜水艦艦長のペッグとメルボルンで出会うガードナー、オーストラリアの海軍士官パーキンスと妻アンダーソン、友人の科学者アステア、豪海軍司令とその秘書達の未来の無い絶望の日々を淡々と描いていきます。

 何故、戦争が起きたかの論議が紋切り型だったり、人々が余りに従順とか今から見ると甘い所が多分にあるけど、個人個人の最期の迎え方と静かな覚悟を描いていくので、ウエットな分、胸に迫るものがあります。
 愛と平和の象徴として描かれてる自分達の赤ちゃん(しかし、泣き声だけで姿は殆ど見せない)を自ら殺さなければならなくなった夫婦の苦哀、もし現実に起きれば充分あり得る話で辛すぎるのですが、'60年頃のハリウッドでヘイズコードも健在だったろうから、そこは結果は同じにしろ直接描写は無く上手く逃げてます。
 珍しくA・パーキンスがエキセントリックでない普通の大人を演じてる。(笑)
 折角メインテーマ曲が素晴らしいのに、他の音楽や音の使い方にセンスがなく、あざとくて騒々しすぎる、画面は淡々と描いてるのに「ハイ、ここ強調」とばかりシンバル強打のような事を臆面もなく何回もしてる、そこが残念。自分的には名作半歩手前の秀作という感じです、初回と感想は殆ど変わらなかったと思います。

※「On the Beach」ってA・ガードナーが潜水艦を見送る有名なシーンのイメージかと思ってたけど、台詞として出て来たのはA・パーキンスとD・アンダーソンが出会った場所の事だった。(訳は「浜辺」)
※その有名なスチール写真ですが、「渚にて」と聞くと、何故か「地上より永遠に」のB・ランカスターとD・カーの波打ち際のキスシーンのスチールが真っ先に浮かぶのです。(汗)
※二回目だから無線のカラクリは憶えてましたね、F・アステアが出てるのは忘れてたけど顔見た瞬間、彼の最期のシーンを思い出した。

 R2.8.30
 DVD


 
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「恋恋風塵」

2020-08-24 17:50:49 | 映画日記/映画雑記
 「恋恋風塵」(「戀戀風塵」、1987年、台湾)
   監督 侯孝賢(ホウ・シャオシェン)
   脚本 呉念眞(ウー・ニエンジェン)  朱天文(ジュー・ティエンウェン)
   撮影 李屏賓(リー・ピンビン)
   音楽 陳明章(チェン・ミンジャン)
   出演 王晶文(ワン・ジンウェン)
      辛樹芬(シン・シューフェン)
      辛樹芬(シン・シューフェン)
      林陽(リン・ヤン)  梅芳(メイ・ファン)

 家計を考え中学を出ると台北へ就職したアワン、1年後、幼馴染みで許婚のようなアフンも後を追って台北へ働きにやってくる。辛い仕事も寂しさも同郷の仲間たちと助け合い生活していく二人、やがてアワンに兵役の通知が来る・・・。

 歌のない「シェルブールの雨傘」、タイトルで物語を表してしまってます、また、台詞を少なくして間で見せる映画でもありました。
 台湾人なら解るのかもしれないが、兎に角、時間に対して極めて不親切な映画、何年頃を舞台にしてるのか最後まで解らなかった。
 製作年に近い年代なのかと思っていて、その時分、観光で台湾に行った事があり、「それ程、日本と変わらないと思ったけど、地方の山ン中だとやっぱり20年は遅れてたのかなぁ」なんて傲慢に考えてしまいました。雰囲気も吉永小百合の日活青春映画みたいだし。(アフンって、当時の吉永小百合に似てる所がある)
 また、F・O、F・Iで何の説明もなく1年の時間が過ぎていたのでF・Oを時間経過に使うのかと思ったら、そうでない所もあって統一されてない、本当に「今、いつなんだ」がずっと付き纏ってモヤモヤしっぱなしでした、wik見ると'60年代らしく大体、吉永小百合時代で合ってました。(笑)

 篠田正浩監督のようなアンチ・クライマックスは余り好きでないし、ラストのアワンのシャツも、何故、それを着れるのか、その意味も心情も僕には判らない。(「愛は残る」の意味らしいが、僕は絶対着ないな、血迷ってタンスの奥に思い出として残したとしても彼女が出来たら捨てる)
 青春映画、恋愛を使った大人への通過儀礼を描いた作品として悪くはないし、台湾の風景も良くて、見るべきものの有る作品だけど、主人公の心情変化が判り難く隔靴掻痒を強く感じた作品でした。

 祖父の李天祿がいい味出してます、そこに居るだけで味わいが有って景色に馴染んで本当にここに何十年も住み暮らしている感じがして、日本で言えば花沢徳衛さんとか加藤嘉さんかな。

※村の掟なのか、出てくる名前が阿づくし、アワン、アフン、ア何とかばかりで頭こんがらがる(笑)、日本だと佐藤、伊藤、江藤、加藤、工藤でしょうか。
※台湾は「牯嶺街少年殺人事件』に次いで2本目、何か両方とも暗いなぁ、傑作と言われてる「牯嶺街少年殺人事件』もイマイチ合わなくて、長時間座りっぱなしでケツの痛みが何日も取れなかった記憶の方が強い。(汗)

 R2.8.23
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「銀嶺の果て」

2020-08-16 22:36:58 | 映画感想
 「銀嶺の果て」(1947年、日本)
   監督 谷口千吉
   脚本 黒澤明 
   撮影:瀬川順一
   照明 平田光治
   音楽 伊福部昭
   出演 三船敏郎 (トップクレジットだけど後日改変した?どう見ても主役 志村さんでしょ、出番、ギャラやキャリアから言っても)
      志村喬
      小杉義男 (「七人の侍」では燃やされる農家のリーダー格)
      河野秋武 (續・姿三四郎の敵役)
      若山セツ子 (戦後、大ヒットした「青い山脈」のヒロイン)
      高堂国典 (「七人の侍」の村のじさま、「ゴジラ」では島のじさま、「野良犬」ではアパートの耳の遠い管理人)

 銀行強盗三人組が北アルプスの温泉へ逃げ込んだ、追う警察、強盗犯達は警察を察知、尚も奥地へ、雪崩で一人を失うも小さなスキー小屋へ辿り着く、そこは清浄な山々と住人、客の居る場所だった・・・。

   映像はこれしか無くて https://www.facebook.com/1901339263216388/videos/1953399401343707/
    三分の二くらい延々と山スキー、出てるのは順番に若山、河野、志村、高堂で三船はここには出ていません。
    五竜かなと思ったけど八方尾根らしい、スキー行った時の何となく見覚えのあるような地形はある。(僕達が行く40年前でリフトも何もない時代だけど)

 戦前、P.C.L(東宝の前身)の専属監督だった山本嘉次郎組の助監督達は最早、伝説と言っていいくらい、ファースト助監が谷口千吉、セカンドが「ゴジラ」の本多猪四郎、そしてサードが黒澤明。
 その谷口千吉の監督デビュー作である本作、山男でもあった谷口が「銀行強盗が北アルプスに逃げ込んだら」という構想を黒澤に話して彼が兄弟子の為に脚本を書いた、確か最初のタイトル(仮題)は「山小屋の三悪人」(「隠し砦の〜」でも書いたけど黒澤さん三悪人って言葉が好きなんだよね)だったと読んだ気がする。日本を代表する俳優 三船敏郎のデビュー作でもあります。

 兎に角、昭和22年の作品とは思えないくらい画質が綺麗(リマスターしたのでしょう)、音声に関しては東宝だから(笑)、まぁ、僕は殆ど聞き取れましたけど。(昔観た「酔いどれ天使」より数倍音は良いと思う)
 物語は黒澤ヒューマニズムが滲み出てるけど、その性質は「酔いどれ天使」と同工異曲と言っていいでしょう、山小屋の純真な娘、若山セツ子と「酔いどれ〜」の久我美子がダブって見えます。
 それ言っちゃうと、本作の三船は「酔いどれ〜」の根っからの悪でヤクザの親分だった山本礼三郎の立ち位置と似たもんだし、志村喬の強盗犯リーダーは悪になりきれない松永(三船)で、その志村の演じた酔いどれ医者の位置にいるのが山男の河野秋武(こっちは毒のない善人だけど)かな。

 演出は少しモッサリしてる所はある、でも、デビュー作として充分過ぎるほどの出来だったと思います、本邦初かもしれない本格的山岳映画でかなり危険な撮影もしてるように見える、新人監督がこれだけ撮影部や照明部に仕事させたというのはP.C.Lの名物男と言われるほどだった谷口さんに、スタッフからの信頼があったからなのでしょう。
 「上手いな」と思ったのは発端の銀行強盗をOPのタイトルバックの短い時間で済ましてしまう所、それも壁に写る影で(もっとクッキリ出来れば「第三の男」なみだった、惜しい)、ここは黒澤明の脚本術「まず核心にズケズケと切り込む」を本人が実践してる訳で谷口さんの手柄ではないのだけど、でも、そのお陰で最初のシーンは松本か大町あたりの警察署で「三人組の強盗犯が山に逃げ込んだ」とスピーディーに話が進められるんですよね。

 尚、本作は「ゴジラ」で有名な作曲家 伊福部昭の映画初仕事であり、ここに使われた曲は少し変えられて「空の大怪獣 ラドン」に流用?されてます。

※編集は黒澤明もやっていて、ある日、ラッシュで崖にしがみ付く男の尻ばかり延々と映ってるフィルムがあり黒澤がハサミを入れると、「この下は300mの絶壁なんだぞ、凄い所でな、撮影するのにどれだけ苦労したと思ってんだ!」と血相変えたクレーム、黒澤が一言、「お客が男のケツ見て喜ぶのか」とチョキ。(上記の映像の最後の方に出てくる崖シーンの出来事のような気がする)

 R2.8.14
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「1917 命をかけた伝令」

2020-08-15 21:20:43 | 映画日記/映画雑記
 「1917 命をかけた伝令」(「1917」、2019年、英・米)
   監督 サム・メンデス
   脚本 サム・メンデス   クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
   撮影 ロジャー・ディーキンス
   音楽 トーマス・ニューマン
   出演 ジョージ・マッケイ
      ディーン・チャールズ=チャップマン
      コリン・ファース  ベネディクト・カンバーバッチ

 スクロールゲームのような作品。

 第一次大戦の西部戦線、ドイツの功妙な戦略的撤退に惑わされたイギリス軍、しかし、攻撃直前に罠と気付く、明朝のデボンシャー連隊の総攻撃が開始されると大兵力の反攻突破で連隊のみならず戦線維持すら危うくなってしまう。電話線を尽く切断された今、危機を連隊に知らせる為、二名の兵隊に伝令を託すしかなかった・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=GyGosOlFlZE

 ワンカット風に作った作品、それによってリアルな臨場感を得ようとしたのだろうか、が、ワンカットという制約が有れば主人公たちが目的地に到達するのが約束されてしまう(偶然、居合わせる味方に託すというテはあるが)、二人ともやられちゃったら映画、そこで終わっちゃうもの。
 となると、道中のイベントで終わりまで持ってく事になる、これが、最初はいいとして、段々、ネタ切れなのか、偶然、出会う味方部隊、何故か助けてくれるドイツ女性、この為に持たせたような赤ん坊のミルク、遮るものない壊れた橋の欄干をソロリソロリと進み、まるで射的の的状態なのに当たらない敵の弾、ご都合主義のオンパレード、死んじゃ困るとはいえ昔々のハリウッド戦争映画を見てる気になってきた、違うのは映像の綺麗さと多少のリアリズムくらい。
 評判良いけど、本当にこれでいいの?(汗)
 ラストシーンもね、OPシーンとの対比なんだろうけど極めて安直、戦争の無情さを描きたいのは判るが感傷に過ぎる、戦争は終わらないのだからOPと同じ数にした方が「やるせなさ」が感じられるのではないでしょうか。カンバーバッチ演じる大佐が言うように「明日になれば、また、同じような事が繰り返される」のだから。

 飽きずに面白くはあるけど、ゲームと同じで終わってしまえば用済みのような消耗品、そんな感じの作品でした。

※今日観た「突撃」でも思ったが、女を出さなきゃいけない掟なんぞないだろうに。

 R2.8.9
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「誓い」

2020-08-11 15:11:32 | 映画感想
 「誓い」(「Gallipoli」、1981年、豪)
   監督 ピーター・ウィアー
   脚本 デビット・ウィリアムソン
   撮影 ラッセル・ボイド
   音楽 ブライアン・メイ 
   出演 メル・ギブソン (フランク)
      マーク・リー (アーチー)
      ビル・カー
      ロバート・グラブ

 「1917 命をかけた伝令」を観たので、似た部分があるという本作を。

 1915年、地方で一番速い足を持つ18歳のアーチー、彼は地方大会で優勝した後、念願だったオーストラリア軍に志願して欧州戦争に参戦しようとするが3つ年齢が足らずハネられる、そこへレースで二番だったフランクが別の街なら大丈夫だと・・・。

  予告篇 https://www.youtube.com/watch?v=CT1JHKpSHXA 
 
 近代要塞や機関銃陣地への突撃は悲惨極まる事になる、日露戦争時の旅順攻略戦で日本は骨身に滲みるほど理解した、しかし、欧米は陥落させた乃木将軍を讃えはしたが、海軍と違い陸軍は極東の僻地で起きた蛮族のレアケースと認識したに過ぎなかった。
 その優越意識の莫大な代償を欧米は欧州大戦(第一次世界大戦)で払う事になる、彼らは日本の何倍もの将兵を無知、無能な突撃戦で機関銃の餌食にさせた。

 この作品を観ると、旅順攻略戦は世界にとって遠い縁ない国のお話、紙芝居のようなものに過ぎなかったんだなと。
 欧州兵も主人公達オーストラリア人も戦争のイメージは牧歌的な中世っぽいものを少し出た程度、精々、ナポレオン時代のものだった、大砲の撃ち合いの後、前進して鉄砲の一斉射撃、そして騎兵と歩兵の突撃。近代戦がどれ程、残酷で個人の尊厳とまるで関係ないものだと知らなかった。
 現代から見ると主人公の一人、アーチーの戦争に行きたがる気持ちが安易に見えて仕方ないのだけど、当時の小説にあるような「危険な冒険に挑む」くらいの感覚だったのでしょう、「長閑だね」とは今だから言える事。
 でも、アーチーの戦争への憧れのような動機が余りに漠然としてるので1時間以上、映画の推進力が足りず散漫な印象を受ける、この話がアーチーとフランクの友情物語だとしても。
 ラスト15分がいいだけに何か工夫が必要だったんじゃないでしょうか。
 僕はファーストシーンが失敗だった気がします、プロローグでも何でもアーチーの戦争への憧れを最初に印象付けておいた方が以後の行動に納得出来る様になったと思う、確かに走る練習の「気合い入れ」がラストに回収される訳だけど、それはセカンドシーンでも充分だったでしよう。
 悲劇としか言いようのない絶望感とその中でのアーチーとフランクの友情、そして「走れメロス」のような熱い仁義、ラスト20分くらいは本当に見せてくれます、見終われば漠然とした1時間も意味あるものと解るのだけど、やっぱり、もっと、やりようは有った気がしてなりません。
 あと一つ、この作品はオーストラリアによるオーストラリアの為の映画でしょう、移民国家であるオーストラリアやニュージーランドの国民が初めて一つになったアイデンティティを確認する為の物語。それが前半、中盤とアジア人にはイマイチな原因かもしれません、最後の生死を賭けた友情の部分は万国共通だから我々にも響く、そういう事なのかなと思いました。

※この突撃戦は大日本帝国の特攻隊と同じだ、遺書、遺品を塹壕に突き刺していくシーンは、学徒出陣兵の「きけわだつみのこえ」や普通の特攻隊員の遺書を読むような気がしました。
※これ、現実だったら悲惨極まる、若気の至りとはいえ偽名、年齢詐称で志願してるから、戦死しても恩給渡す先が解らないし、戦死者名簿にも本名でなく偽名でしか残らない、最早、遺品と戦友の証言だけだけどこの部隊で生き残るのは難しい、戦争はまだ何年も続く。
※原題はオーストラリア軍が初めて国として参戦した第一次世界大戦で上陸したトルコ帝国の地名、オーストラリアにとっては多くの戦死者を出した聖地であり、公費による巡礼が長く続けられた場所、尚、この作戦の大失敗でチャーチルは最初の失脚をしました。

  間に合わず 突撃の笛 鳴り響く
   我れを恨めと 我れを恨めと

 R2.8.10
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「フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛を込めて」

2020-08-05 13:50:44 | 映画日記/映画雑記
 「フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛を込めて」(「Fisherman's Friends」、2019年,英)
   監督 クリス・フォギン
   脚本 ニック・モアクロフト  メグ・レナード  ピアーズ・アシュワース
   撮影 サイモン・ティンドール
   音楽 ルパート・クリスティ
   出演 ダニエル・メイ
      ジェームズ・ヒュアフォイ
      タペンス・ミドルトン
      テイブ・ジョーンズ

 古い時代に生まれた土地土地の歌にはその国固有のリズムがあるという。
 ヨーロッパは概ね騎馬民族だから馬の走ったり歩いたりするリズムが基本、日本は農耕民族なので田植えや刈り入れの作業に適したリズムで皆の動作を合わせる為か「ハァ」、「ホレ」、「ソリャ」みたく合いの手が入る、沖縄やハワイのような島は寄せては返すゆったりした波のリズムが顕著。
 10代の終わり頃、朝5時に深夜放送が終わり、付けっ放しにしたラジオから民謡が流れてきた、宮城の「大漁唄い込み」(♪エンヤートット、エンヤートット♪)、それはよく聞く整った綺麗な唄でなく、綺麗な着物着て歌ってるようなものでもなかった、荒々しく強いリズムの当に漁師が力一杯網を取り込む為の労働歌だった、「確かに重い網を引き揚げるには、この力強さとリズムだよな」と、その時、心底思った、北海道の「ソーラン節」も目的は同じだから元を辿れば、きっと、似たようなものだったのだろう、あれで僕の「民謡」という概念が確実に変わった。

 この作品はイギリス南西部、ドーバー海峡に面するコーンウォール地方が舞台で、ゲルマン大征服にも屈しなかったという独立心の強いイギリスにあってイギリスでないような地域の出来事、実話をヒントにしてるそうですが、映画としては、よくあるタイプの話でした。

 ロンドンの音楽会社の数人が息抜きでコーンウォールの港町にやって来る、そこの漁師たちが港で恒例のコーラスを披露すると、それを聞いた重役が「素晴らしい、お前、契約してこい!」とプロデューサー1人を残して帰ってしまう、それは都会だから許されるタチの悪い冗談だった・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=Itcpgazw7iA

 漁師たちの歌う素朴な民謡がロンドンでヒットしてしまう、材料が違うだけでお決まりのパターンではありますが、それなりに面白く、その安定感は定石の強みでしょう。
 他人の結婚式でアレしちゃうというのは、都会のジョークと田舎のジョークの対比なのかもしれないけど、我々から見るとどちらも悪趣味、でも、ロンドンのパブで客たちと意気投合して大コーラスとなるのは、イギリスの民謡の素朴さと力強さが感じられてとても良かった。
 あと一つ、事実というのは大概、面白くも可笑しくもないものだからドラマを作って盛り上げようというのは判るけど、パブの売り買いの件は少し人為的に感じられたかな。

 悪くはないと思うけど中庸を脱するまでには至っていないと感じました。

※ヒロインの人、「わたしは、ダニエル・ブレイク」の人かと思ったら違った、「おみおくりの作法」もあんな感じだったような、イカン、最近、イギリス顔が同じに見えてしょうがない。(汗〜予告編のOP、挨拶してる人がダニエル・ブレイクの人ではあった)
※原題はこの漁師バンドの名前、その元ネタは潮風から喉を守る為に漁師たちが好んで舐める強烈なミント味トローチの事だとか。

  北風に 潮の香りも 濃くなりて
   明日は時化かと グラス重ねる

R2.7.12
DVD
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「ジョジョ・ラビット」

2020-07-24 16:29:03 | 映画感想
 「ジョジョ・ラビツト」(「Jojo Rabbit」、2019年、米)
   監督 タイカ・ワイティティ
   原作 クリスティン・ルーネンズ
   脚本 タイカ・ワイティティ
   撮影 ミハイ・マライメア・Jr.
   音楽 マイケル・ジアッキノ
   出演 ローマン・グリフィン・デイヴィス
      トーマシン・マッケンジー
      スカーレット・ヨハンソン
      サム・ロックウェル  タイカ・ワイティティ
      
 10歳のジョジョ・ベッツラーはヒトラーを空想の友達とする程のガチガチの軍国少年、晴れてヒトラーユーゲント(ナチス青年団)に入団するもその優しい性格の為ジョジョ・ラビットの渾名を付けられてしまう。
 敗色の濃いドイツ、ヒトラー信者のジョジョが知る事になる母親の真の姿、更に、その母は屋根裏にユダヤ人の少女を匿っていた・・・。

  予告篇 https://www.youtube.com/watch?v=CNEdwEpVoEw

 観たい映画が隣町で上映されてんだけど、何せ隣町は新宿に次ぐ感染のメッカ、仕方ないのでレンタルDVD。

 中々、ビターなお伽話、終盤、手榴弾背中に背負わされたドイツ少年兵が指導官の元、嬉々として米兵に自爆攻撃させられるシーンとかある。でも、根本は「人は理解し合えるし、どんな相手でも知れば恋も出来る」という優しさなのかと思います。
 「ユダヤ人は大人になると角が生えて尻尾も出来る」、そう教え込まれた軍国少年が否応なくユダヤ人少女と運命共同体となってしまう、その結果、彼女エルサと極北の位置に居る筈の自分が何ら変わらない人間であると知っていく成長譚。
 僕の世代で言うと空想の虚像が主人公にアドバイスするというのはW・アレン主演の「ボギー!俺も男だ」だし、屋根裏のユダヤ人少女というのはJ・スティーブンス監督の「アンネの日記」、「アンネ〜」の泥棒捜査で夜間、ドイツ兵が隠れ家を家捜しするサスペンスがゲシュタポの家宅捜査に、連合軍のアムステルダム爆撃をバックにアンネとペーターがキスするシーンはベルリン?空襲をバックにしたジョジョとエルサの心の邂逅に、エルサの登場シーンは「貞子」だろ(笑)、と、まぁ、いろいろ有るけど、僕にとっては作品の完成度の前には問題とする程でもないかなと思いました。

 この作品をお伽話とするのは、1960年代までのハリウッド作品でもないのにドイツのドイツ人が全て英語で喋ってる事、毎度の事ながら生活していくという経済的なことが無視されてる点(終盤、どうやって食ってる?ゴミ箱漁りじゃ食べていけないよ)、ゲシュタポが被疑者の家宅捜索するのに家族の履歴、親族、交友関係を調べずにやる訳がない、ドイツ人の几帳面さは世界が知ってる事、姉インゲの死をドイツでどうやって隠してたかの説明がないから。
 クレンツェンドルフ大尉も随分と漫画チックに描かれいて、エルサの「大人の女とは?」という疑問にジョジョの母ロージーが答える「ダイヤを貰ったり、銃を撃ったり、モロッコへ行ったり、男と遊んだり、苦しめたり」の相手だったのか、ロージーの家の使用人だったのか、大尉の経過や顛末を見ると僕は前者の方かなと。(笑〜彼女の事を愛していたか、少なくとも惚れていた) ※8/7 最後のシーンでジョジョに「ロージー」と名前呼びしてたから使用人ではないな(字幕は「ママ」だったけど)、それで女性不信となり男に・・・、「ブルックリン」の地元のセレブ男も、あんな目にあったら男に走りそう。

 男は子供でも余り興味ないけど、ジョジョ役のローマン・グリフィン・デイヴィスは上手かったです、この子の演技力がないとこの作品全てが画餅に帰してしまうので、その点からも立派でした。
 女優陣ではギャラが場違いな感じのS・ヨハンソンは選んだだけあって良かった、だけど、何と言ってもエルサ役のトーマシン・マッケンジーの印象が強い、アンネの分身にしては健康的だけどファンタジーの世界にリアルなガリガリはそれはそれで問題あるかもですしね。クロエちゃんがイマイチ伸び悩んでる今、その後継になれるかもしれない、大人役への転換は本当に難しい事ですが期待してしまいます、それくらい良かった。
 「スリー・ビルボード」で名を挙げたサム・ロックウェルは美味しい役を思いっきり楽しんでましたね、これも、面白かったです。

 「踊れること、それが魂の解放であり自由の象徴なのだ」、何だかラストの3分で誤魔化された気もするけど(それくらいラストがいい)、それなりのお勧め作品。(汗)

※何処へ向かう作品なのか全然、判らんかった。(笑〜ちょっと、そこを我慢して観て下さい)
※予告編のVサインのマーク、僕達の世代なら「ジョニーは戦場へ行った」
※日本も「ポツダム宣言」の無条件受諾がなければ、これより酷い事が平然と行われたのでしょう。
※今年の1番は今の所、「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」なんだけど、例年の僕のベスト10で言えば3位あたりが「座りの良い」位置、「天国でまた会おう」も「ジョジョ・ラビット」も良い作品だけど、観た数の少なかった去年のベスト10で言っても「僕たちは希望という名の列車に乗った」と同じ位置、「〜わたしの若草物語」が、その少し上かな、そろそろ、スタンド中段かその上のホームラン作品に出会いたいです。

 君と吾れ 違いがあると 誰決めた
  男と女 ほかにありしや

 R2.7.23
 DVD
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世間は四連休

2020-07-22 19:30:04 | 雑記
窓を打つ とおり雨過ぎ 外出れば
 夕闇せまる 初蝉の声

ちょっと観てみたい映画をやっとこさ見つけたんだけど、基礎疾患持ちで間質性肺炎のオッサンは出歩くなと、
しゃあないね。
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