「ジェレミー」(1973年・米)
監督 アーサー・バロン
出演 ロビー・ベンソン
グリニス・オコーナー
レオナルド・チミノ
最近は余り流行らないようだけど、昔はよく有った「初恋物語」です。
少数意見は承知なのですが、結構、名作だと思っています。
「初恋映画」は何が良いか?と聞かれたら、僕の答えは、この作品と「ロ
ミオとジュリエット」(1968年版、ロミオは初恋じゃないけど)。
始まりも展開も結末も「ありきたり」ですが、とてもとてもピュアな作品。
ジェレミー役のR・ベンソン、スーザン役のG・オコーナーが共に自然体で
演技臭くなく、本当に何処の学校にも居そうな感じで感情移入しやすい。
特に、G・オコーナーは表情を作るのが凄く上手いんです、とても新人とは
思えません。
一番最後のスーザンの顔の表情なんて見事としか言いようがありません
でした。
R・ベンソンも、本当は結構ハンサム・ボーイなんだろうけど、髪型をダサ
くして瓶底眼鏡を掛け、モサッとして内気で、とてもモテそうにない男の子に
なりきっています。
このモテそうもない文系男子が、可愛い女の子と恋人同士になれた(女の
子の方も、飛び切りの美人じゃなくて、身近に居そうな可愛い子という設定
がいいんです)という事で、自分に自信を持てない世の文系男子が、どれだ
け励まされたか。
もっとも、ジェレミーは風采はイマイチでも、チェロの腕は学校一番って取
柄があるのを、皆、忘れてるんだけど。(笑)
NYの芸術学校に通うジェレミーは15才、将来、一流のチェリストになろう
と頑張っている内気な男の子。
或る日、偶然、デトロイトから同じ学校に転校して来た、一つ年上のスー
ザンを見掛けて一目惚れしてしまう。
シャイで奥手のジェレミーは、親友にケツを蹴っ飛ばされながら何とか切っ
掛けを掴もうとするのだけど、どうしても一歩が踏み出せない。
そんな時、校内で演奏会が行われ・・・。
映画の前半はスローテンポ、中盤から徐々にスピード・アップしてきて、終
盤は怒涛の展開。
この映画で一番良いのは、ジェレミーの、どうしようもない程の初恋のぎこ
ちなさ、必死さを実に自然に描けている所。
初恋ドキュメンタリーと言ってもいいくらい。
モテ男じゃない普通の方なら、きっと胸に覚えのある事をジェレミーが一つ
一つ、一生懸命、真面目にやっていくんです。
初めての電話で何を話せばいいのか?
もう、それは必死に悩む、殆んど命懸け。
可笑しいんだけど、激しく同意してしまうんですよね、僕は。
まあ、大概はジェレミーみたいに上手くいかないんだろうけど。
そして、この映画、音楽が凄く耳に馴染んで記憶に残る。
主題歌はR・ベンソンが歌う「The Hourglass Song(Blue Balloon~哀しみ
のジェレミー)」、ちょっと日本のニューミュージック的発声の仕方なんだけど、
下手ウマというか、歌まで一生懸命さが伝わってきて引き付けます。
間奏のストリングスも綺麗でピュアな二人の「初恋」にピッタリ。
もう一曲、G・オコーナーが歌う「Jeremy」
このメロディも途中何回か流れてくるんですが、やはり、終盤、スーザンが
ジェレミーを想って歌う所が哀切極まりなくて忘れられません。
ここ、対位法を使ってる為か余計に印象的で、又、G・オコーナーの声がR・
ベンソンに輪を掛けて素人っぽく、それがスーザンの静かな心の叫びにリア
リティを与えています。
この2曲は今聞いても、恥ずかしいけれど目が少し潤みます。
最後に、もう一つだけ。
ジェレミーに言いたい。
自分の少しオカシイかもしれない趣味に「ドン引き」せず、寄り添ってくれる
彼女が居るってのは、最高に幸せな事なんだぞ。
せっかく出来た彼女を競馬場で失くさなくて良かったな。
何て運のいい奴だ!(笑)
「ジェレミー」OPと「The Hourglass Song」
http://www.youtube.com/watch?v=mKkiJ5knF7k&feature=related
※前回書いた「冒険者たち」が40代後半から60代の映画なら、この映画は
もっと範囲が狭くて、現在48歳~56歳くらいの人達の映画。
公開され各地を回り、名画座を巡ってTVで放映された頃、中学から高校生
+1,2才だった人達に強く印象に残ってる映画で、それ以外の世代には殆
んど知られていない作品、のような気がします。
監督 アーサー・バロン
出演 ロビー・ベンソン
グリニス・オコーナー
レオナルド・チミノ
最近は余り流行らないようだけど、昔はよく有った「初恋物語」です。
少数意見は承知なのですが、結構、名作だと思っています。
「初恋映画」は何が良いか?と聞かれたら、僕の答えは、この作品と「ロ
ミオとジュリエット」(1968年版、ロミオは初恋じゃないけど)。
始まりも展開も結末も「ありきたり」ですが、とてもとてもピュアな作品。
ジェレミー役のR・ベンソン、スーザン役のG・オコーナーが共に自然体で
演技臭くなく、本当に何処の学校にも居そうな感じで感情移入しやすい。
特に、G・オコーナーは表情を作るのが凄く上手いんです、とても新人とは
思えません。
一番最後のスーザンの顔の表情なんて見事としか言いようがありません
でした。
R・ベンソンも、本当は結構ハンサム・ボーイなんだろうけど、髪型をダサ
くして瓶底眼鏡を掛け、モサッとして内気で、とてもモテそうにない男の子に
なりきっています。
このモテそうもない文系男子が、可愛い女の子と恋人同士になれた(女の
子の方も、飛び切りの美人じゃなくて、身近に居そうな可愛い子という設定
がいいんです)という事で、自分に自信を持てない世の文系男子が、どれだ
け励まされたか。
もっとも、ジェレミーは風采はイマイチでも、チェロの腕は学校一番って取
柄があるのを、皆、忘れてるんだけど。(笑)
NYの芸術学校に通うジェレミーは15才、将来、一流のチェリストになろう
と頑張っている内気な男の子。
或る日、偶然、デトロイトから同じ学校に転校して来た、一つ年上のスー
ザンを見掛けて一目惚れしてしまう。
シャイで奥手のジェレミーは、親友にケツを蹴っ飛ばされながら何とか切っ
掛けを掴もうとするのだけど、どうしても一歩が踏み出せない。
そんな時、校内で演奏会が行われ・・・。
映画の前半はスローテンポ、中盤から徐々にスピード・アップしてきて、終
盤は怒涛の展開。
この映画で一番良いのは、ジェレミーの、どうしようもない程の初恋のぎこ
ちなさ、必死さを実に自然に描けている所。
初恋ドキュメンタリーと言ってもいいくらい。
モテ男じゃない普通の方なら、きっと胸に覚えのある事をジェレミーが一つ
一つ、一生懸命、真面目にやっていくんです。
初めての電話で何を話せばいいのか?
もう、それは必死に悩む、殆んど命懸け。
可笑しいんだけど、激しく同意してしまうんですよね、僕は。
まあ、大概はジェレミーみたいに上手くいかないんだろうけど。
そして、この映画、音楽が凄く耳に馴染んで記憶に残る。
主題歌はR・ベンソンが歌う「The Hourglass Song(Blue Balloon~哀しみ
のジェレミー)」、ちょっと日本のニューミュージック的発声の仕方なんだけど、
下手ウマというか、歌まで一生懸命さが伝わってきて引き付けます。
間奏のストリングスも綺麗でピュアな二人の「初恋」にピッタリ。
もう一曲、G・オコーナーが歌う「Jeremy」
このメロディも途中何回か流れてくるんですが、やはり、終盤、スーザンが
ジェレミーを想って歌う所が哀切極まりなくて忘れられません。
ここ、対位法を使ってる為か余計に印象的で、又、G・オコーナーの声がR・
ベンソンに輪を掛けて素人っぽく、それがスーザンの静かな心の叫びにリア
リティを与えています。
この2曲は今聞いても、恥ずかしいけれど目が少し潤みます。
最後に、もう一つだけ。
ジェレミーに言いたい。
自分の少しオカシイかもしれない趣味に「ドン引き」せず、寄り添ってくれる
彼女が居るってのは、最高に幸せな事なんだぞ。
せっかく出来た彼女を競馬場で失くさなくて良かったな。
何て運のいい奴だ!(笑)
「ジェレミー」OPと「The Hourglass Song」
http://www.youtube.com/watch?v=mKkiJ5knF7k&feature=related
※前回書いた「冒険者たち」が40代後半から60代の映画なら、この映画は
もっと範囲が狭くて、現在48歳~56歳くらいの人達の映画。
公開され各地を回り、名画座を巡ってTVで放映された頃、中学から高校生
+1,2才だった人達に強く印象に残ってる映画で、それ以外の世代には殆
んど知られていない作品、のような気がします。