「淵に立つ」(2016年、日・仏)
監督 深田晃司
脚本 深田晃司
撮影 根岸憲一
音楽 小野川浩幸
出演 浅野忠信
筒井真理子
古舘寛治
太賀
真広佳奈 篠川桃音
好きな作品じゃなかったので記事にしないつもりでしたが、主演女優の筒井
真理子さんが素晴らしかったので書いてみます。
この作品、事件と8年後を描いてるのですが筒井さん、その為に撮影中に
13kg増量したとか、「ブルーバレンタイン」で主演の二人もやってたけど、
見上げた役者根性。
実際、8年前は比較的スリムだったのが現在になると幾らかぽっちゃりして
屈んだ時、Gパンからはみ出た贅肉の弛みがはっきり映るですよね、演技が
上手く清潔なエロスも感じる、本当に良かったです。
金属加工所を家族経営で続けてる鈴岡利雄・章江夫婦、10歳になる娘・蛍
もいて、外見上、普通の家族だが、夫婦の会話は少なく仮面家族気味でもあ
った。
そんな或る日、殺人で服役していた八坂が訪ねてくる。
利雄は昔馴染みで仕事が見つかるまでだからと、章江に諮らず住み込み
で働いてもらう事を決めてしまう。
直ぐに蛍が懐き、不服だった章江も敬虔なキリスト教徒として「赦し」の実
践と思うようになる。
やがて実直な八坂に章江の心が乱れ出す・・・。
仮面家族だった鈴岡家に八坂が侵入した事で亀裂が入り、事件の為、一
旦は結束するも、その影によって今度は完全に崩壊する。
その過程をまざまざと描いてる作品。
赤いドレス、赤いTシャツ、「赤」が不吉の前兆として描かれてるのが特徴。
中盤、ピクニックで自撮りした4人の写真とビフォア・アフターのようなラス
トの4人の無残な姿。
ホントに観てる間も観終わった後も、味の悪い作品だけど、決して悪い作
品ではない。
只、僕の嗜好に合わないだけで、キネ旬の評論家達にはウケが良いと思
います。
一つ気になったのがラスト、川で溺れる章江、蛍、助けに入る利雄と山下
(新入社員)。
何とか章江を助け上げる利雄、山下は蛍を川岸まで運んだ所で倒れ込む。
ここで利雄が行う蘇生順が章江→山下→蛍なんですよね。
自分が担ぎ上げたから一番手近な章江からというのは理にかなってるよ
うだけど、そうでない。
普通、親なら子供からでしょう、水中で蛍の昇天を暗示するカットがあるけ
ど、例えそうでも親なら娘の蘇生を真っ先にすると思うんですよね。
利雄にとって事件で変わり果てた娘は重荷でしかなく、愛情の対象ではな
かったという事なのかもしれません。
そして章江も八坂と利雄に人生を狂わされ、結局、利雄が言い放った罰を
受けた形になり、利雄と同じ罪を背負って生きていく事になる。
もはや夫婦でいる事は不可能だけど、二人は死ぬまで崖っぷちを歩いて
いかないとならない。
あ~ぁ、ほんとウンザリするくらいドンヨリした話だわ。
miriさんにカンヌの「ある視点」ではねと言われましたが、どうも僕は’70年
代からカンヌの作品とは相性が悪いんですよ。(笑)
※現時点で今年の僕の主演女優賞はこの作品の筒井真理子さんと「ブルッ
クリン」のシアーシャ・ローナン が並立、3番手に「世界一キライなあなたに」
のエミリア・クラークと「リップヴァンウィンクルの花嫁」の黒木華さんが並ん
でる状態かな。
H28.10.8
有楽町スバル座
監督 深田晃司
脚本 深田晃司
撮影 根岸憲一
音楽 小野川浩幸
出演 浅野忠信
筒井真理子
古舘寛治
太賀
真広佳奈 篠川桃音
好きな作品じゃなかったので記事にしないつもりでしたが、主演女優の筒井
真理子さんが素晴らしかったので書いてみます。
この作品、事件と8年後を描いてるのですが筒井さん、その為に撮影中に
13kg増量したとか、「ブルーバレンタイン」で主演の二人もやってたけど、
見上げた役者根性。
実際、8年前は比較的スリムだったのが現在になると幾らかぽっちゃりして
屈んだ時、Gパンからはみ出た贅肉の弛みがはっきり映るですよね、演技が
上手く清潔なエロスも感じる、本当に良かったです。
金属加工所を家族経営で続けてる鈴岡利雄・章江夫婦、10歳になる娘・蛍
もいて、外見上、普通の家族だが、夫婦の会話は少なく仮面家族気味でもあ
った。
そんな或る日、殺人で服役していた八坂が訪ねてくる。
利雄は昔馴染みで仕事が見つかるまでだからと、章江に諮らず住み込み
で働いてもらう事を決めてしまう。
直ぐに蛍が懐き、不服だった章江も敬虔なキリスト教徒として「赦し」の実
践と思うようになる。
やがて実直な八坂に章江の心が乱れ出す・・・。
仮面家族だった鈴岡家に八坂が侵入した事で亀裂が入り、事件の為、一
旦は結束するも、その影によって今度は完全に崩壊する。
その過程をまざまざと描いてる作品。
赤いドレス、赤いTシャツ、「赤」が不吉の前兆として描かれてるのが特徴。
中盤、ピクニックで自撮りした4人の写真とビフォア・アフターのようなラス
トの4人の無残な姿。
ホントに観てる間も観終わった後も、味の悪い作品だけど、決して悪い作
品ではない。
只、僕の嗜好に合わないだけで、キネ旬の評論家達にはウケが良いと思
います。
一つ気になったのがラスト、川で溺れる章江、蛍、助けに入る利雄と山下
(新入社員)。
何とか章江を助け上げる利雄、山下は蛍を川岸まで運んだ所で倒れ込む。
ここで利雄が行う蘇生順が章江→山下→蛍なんですよね。
自分が担ぎ上げたから一番手近な章江からというのは理にかなってるよ
うだけど、そうでない。
普通、親なら子供からでしょう、水中で蛍の昇天を暗示するカットがあるけ
ど、例えそうでも親なら娘の蘇生を真っ先にすると思うんですよね。
利雄にとって事件で変わり果てた娘は重荷でしかなく、愛情の対象ではな
かったという事なのかもしれません。
そして章江も八坂と利雄に人生を狂わされ、結局、利雄が言い放った罰を
受けた形になり、利雄と同じ罪を背負って生きていく事になる。
もはや夫婦でいる事は不可能だけど、二人は死ぬまで崖っぷちを歩いて
いかないとならない。
あ~ぁ、ほんとウンザリするくらいドンヨリした話だわ。
miriさんにカンヌの「ある視点」ではねと言われましたが、どうも僕は’70年
代からカンヌの作品とは相性が悪いんですよ。(笑)
※現時点で今年の僕の主演女優賞はこの作品の筒井真理子さんと「ブルッ
クリン」のシアーシャ・ローナン が並立、3番手に「世界一キライなあなたに」
のエミリア・クラークと「リップヴァンウィンクルの花嫁」の黒木華さんが並ん
でる状態かな。
H28.10.8
有楽町スバル座