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セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

映画日記 2018年その4

2018-05-23 00:20:28 | 映画日記/映画雑記
 「タクシー運転手 約束は海を越えて」(「택시운전사」、2017年、韓国)
   監督 チャン・フン
   脚本 ウム・ユナ
   撮影 コ・ラクソン
   音楽 チョ・ヨンウク
   出演 ソン・ガンホ
       トーマス・クレッチマン
       リュ・ジョンヨル  ユ・ヘジン

 ドイツ特派員が光州事件の最中、検問、検閲を潜り抜け事件を取材、その命懸けの取材に付き合わされたタクシー運転手との交流、友情を描きつつ、光州事件の実態を暴いていく。

 実話ベースの話で中々の良作だと思います、タクシー運転手の心情の変遷がよく描かれてる。
 只、時の政権と近すぎる韓国社会を考えると、この作品、2年前ならもっと評価出来たけど、今の風向きの場合、政権の提灯持ちに見えてしまうんですよね。
 光州事件は現政権の原点となる出来事だから余計に。

 予告編 https://www.youtube.com/watch?v=Xdw3S-LxRt4

  H30.5.13
  シネマート新宿

 「灼熱」(「ZVIZDAN」、2015年、クロアチア・スロベニア・セルビア)
   監督 ダリボル・マタニッチ
   脚本 ダリボル・マタニッチ
   撮影 マルコ・ブルダル
   音楽 アレン・シンカウズ   ネナド・シンカウズ
   出演 ティハナ・ラゾヴィッチ
       ゴーラン・マルコヴィッチ
       ニヴェス・イヴァンコヴィッチ

 バルカンの火薬庫の一つクロアチアとセルビアの紛争を背景に1991年、2001年、2011年の若者をオムニバス形式で描いていきます、3話とも主要な役は同じ役者ですが完全な別人を演じています。
 人々の「離別」、「接触」、複雑な思いを込めた「和解」、それらの出来事を10年のスパンを使って描いてますが、叙事詩と言うより散文という感じで迫ってくるモノが余り無かったです。
 すぐ傍の紛争を舞台にした「みかんの丘」が直ぐ浮かんだけど、人間の愚かさと善性、人間という存在に焦点を絞った「みかんの丘」、引き裂かれた民族の悲劇を極めて映画的に作った「灼熱」で、戦争悲劇を題材に「作品」を作ってみました、って感じ。
 僕は「みかんの丘」の方が印象に残ったし好きですね。

 予告編 https://www.youtube.com/watch?v=QcB_LPS97-Y

 H30.5.20
 DVD
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「心と体と」 その3

2018-05-08 18:31:11 | 雑記
 本当は左サイドバーの「只今、推薦中!」に記載すれば済む事なんだけど、ハードなグロシーン有りで万人向けとは言いがたいので。
 何とも尾を引く作品、噛めば噛むほど味が出てくるスルメ映画・・かも。(笑)

 こんな人にお薦めです。
・静かで美しく繊細な作品を好む人←自分の事を言ってる訳じゃない
・不器用な恋物語が好きな人(男は60近くのパッとしないオッさん、女性は20代の金髪美女)
・東欧美人が見たい方(但し、取扱い説明書が必要なヒロイン〜1986年生まれ、歳相応に見える時あり)

 避けたほうが無難な方
・血、グロに吐気や貧血を起こす方(二人の職場が工場なので)
 作りモノじゃない本物の牛を殺し、ギロチンに掛け、吊るして血を抜き解体していくシーンが流れ作業のように克明に描かれてます(正面から撮るので目が合うし)、他にも血ドバドバのシーンが有る。
 ちょっと、僕もギロチンシーンは正視出来ず半目で観てた気がします(死後痙攣もあった)。

 公式 http://www.senlis.co.jp/kokoroto-karadato/

※アレクサンドラ・ボルベーイ、今年一番印象に残る女優になりそう。
※久々に○○○な○○物語を観た気がする、去年のNo.1「タレンタイム〜優しい歌」にも同じ要素は有ったけど、あくまで要素の一つでテーマは別だし。

 これから全国を巡回(と言っても限られてますが)、ご興味のある方は試す価値があると思います。
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映画日記 2018年その3

2018-05-06 23:18:29 | 映画日記/映画雑記
 「影の軍隊」(「L'armée des ombres」、1969年、仏)
   監督 ジャン・ピエール・メルビル
   原作 ジョゼフ・ケッセル
   脚色 ジャン・ピエール・メルビル
   撮影 ピエール・ロム
   音楽 エリック・ド・マルサン
   出演 リノ・バンチェラ
       シモーヌ・シニョレ
       ジャン・ピエール・カッセル

 第2次大戦中のフランス・レジスタン組織を描く実録モノという感じの作品。
 「サムライ」や「仁義」のジャン・ピエール・メルビルの作品だから、フィルム・ノワール調です。
 戦闘場面は一切無く、ドイツ軍の厳しい監視下の中、苦難の活動をリアルに描いていますが、その内容は粛清、脱落、裏切り、粛清の繰り返しで某赤軍派の末路のよう、楽しい作品ではないし、かと言って哀愁がある訳でもなかった。
 紅一点のシモーヌ・シニョレとボス役のポール・ムーリッスが好演

 H30.5.3
 DVD

 「メッセージ」(「Arrival」、2016年、米)
   監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ
   原作 テッド・チャン 「あなたの人生の物語」
   脚本 エリック・ハイセラー
   撮影 ブラッドフォード・ヤング
   音楽 ヨハン・ヨハンソン
   出演 エイミー・アダムス
       ジェレミー・レナー
       フォレスト・ウィテカー

 或る日、未知の生命体が地球にやって来る、彼らの目的を探る為、言語学者ルイーズが召喚されて・・・。

 評判いいけど、どうも僕は「コンタクト」とか「インターステラー」のような学術的な要素が前面に出る作品が苦手なようです。(「アンドロメダ・・・」は好きだけど)
 内容はともかく、ルイーズの選択は夫に対して不誠実すぎで、それも印象を悪くした要因。
 (これ、仮に男女が逆の立場だったら、女性はどう思うのだろう~子供を産む性として)

 H30.5.5
 DVD

 「イエスマン “YES”は人生のパスワード」(「Yes Man」、2008年、米)
   監督 ペイトン・リード
   原作 ダニー・ウォレス
   脚本 ニコラス・ストーラー   ジャレッド・ポール   アンドリュー・モーゲル
   撮影 ロバート・ヨーマン  
   音楽 ライル・ワークマン   マーク・オリバー・エバレット
   出演 ジム・キャリー
       ゾーイ・デシャネル
       リス・ダービー   テレンス・スタンプ

 離婚以来、何に対してもネガティブ思考だったカール、或る日、知り合いから薦められたセミナーに成り行きから参加、全てに“YES”と答えればポジティブになり成功すると教えられる・・・。

 最初、洗脳セミナーが出てきて厭な予感がしたけど、まぁ、上手く引っくり返した感じ。
 笑えるし飽きないけど、残るものもなかったり。(汗)
 只、ヒロイン アリソンを演じたゾーイ・デシャネルが魅力的で、「(500)日のサマー」よりずっとチャーミングに見えました。
 銀行融資の査定があんなザルな訳あんめぇ。(笑) 

 H30.5.6
 DVD
コメント (2)
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「心と体と」 その2

2018-05-03 00:27:21 | 外国映画
 「心と体と」 その1

 観た当初は、牛の・ギロチン・解体シーンが生々しすぎて「悪くないけど、何だかちょっと・・・」と思ってたのですが、日を追うごとに印象がどんどん強くなってきています。

 いろいろな見方の出来る作品で、夢の世界が精神世界や神の世界(調べたら、西洋では鹿は神性を帯びた動物だとか、日本でも奈良・春日大社の鹿は神の使いだし)を表して、血だらけの食肉処理工場が現実世界を象徴してるとか、精神世界の白と現実世界の赤~血ですね~の対比とか、いろいろ。(個人的ですが白と赤を繋いでるのが青の気がしてます)
 現実世界が血を流す世界というのは食肉処理、ヒロイン マーリアの○○○○、直接描写は無くとも想像できるマーリアの初体験と、監督、何に拘ってるんだか(汗)
 でもね、時間が経っていくと、意味するところだとかテーマとか難しい事がどんどん振い落とされていって、自分にとって印象深い事柄だけが残っていってます。

 それは、ヒロイン マーリアの美しさといじらしさ、健気さ。(ま、綺麗だから健気さ10割増しに感じると言うのはある)
 アスペルガー、コミュニケーション障害、接触恐怖症、心の病で子供の時からカウンセリングを受けていて、病からの誹謗、中傷、嘲笑から心を守るため鉄壁の鎧を絶対外さないし隙を見せない。拒絶反応以外は能面のような表情。
 でも、それだからこそ彼女の心自体は恐れながらも人との繋がりを渇望してる、声を掛けてくれた人の為、自室で二つの小瓶を使い会話の練習をするとか、彼女なりに努力してるとこが何とも切なくていじらしくて、可愛いじゃないですか!(10代じゃなく、20代半ばの大人の女性が一生懸命、社会に適応しようとしてるのが尚更に)
 それが夢の世界で何度も会ってたのが初老で片腕が不自由な上司の男と知り、恋心が芽生える。
 今度は恋愛を知る為に恋愛ドラマのDVDやポルノまで借りて勉強、勉強するもんじゃないんだけど、彼女なら仕方がないと許せます。
 そして、カウンセリングの先生の「恋した時は音楽を聞きたくなったりする」という言葉を、文字通り受け止めてしまったシーンは、この作品の一番の萌えポイントかも。(あの、僕の店で似たことしないでね、あの店のように優しくないから(汗)~店員さんはグッド・ジョブ)

 (現在の結論)
 血だらけの生々しい舞台設定で、いじらしいとかピュアとは正反対の場所だけど、そこで写し出されてるのは、心の障害の為、遅れてしまった20代半ばの女性が繰り広げる、とってもピュアな初恋物語。
 「シベールの日曜日」のバリエーションとも言え、それなら、「レオン」の親類とも言える、違いは
アン・ハッピーかハッピーかの違いだけど、ここには現実的未来も幾らか感じさせてもいる。
 ファンタジーで終わらせた「シェイプ・オブ・ウォーター」、リアルへ舵をきった「心と体と」とも。
 今の所、毎日、映像が蘇ってきてる作品です。

※マーリア役のアレクサンドラ・ボルべーイ という女優さん、興味深々。
 情報がないので解らないのですが、劇団員で30歳くらいでこの役を演じたようですが(映画初出演?、相手役も演技は初めてらしい)、無垢な少女性を自然に出せるのが凄い。
 I・ユベール、J・ビノシュを押さえ、2017年ヨーロッパ映画最優秀女優賞を獲得したのも納得。
 
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