「神様のくれた赤ん坊」(1979年・日本)
監督 前田陽一
脚本 前田陽一 南部英夫 荒井晴彦
出演 渡瀬恒彦
桃井かおり
鈴木伊織
この作品は30年以上前の1980年3月に観たのですが、面白かった印象
と桃井かおりが良かったこと、そしてラストシーンが焼きついています。
今回、BSで久し振りに観たのですが、感想は余り以前と変わらないものに
なりました。
同棲中の小夜子(桃井)と晋作(渡瀬)の元へ知らない女と子供が訪ねて来
る。
女の話では、子供の母親は駆け落ちして行方知れず、置手紙には父親の
名前として晋作の名前が。
しかし、その手紙には晋作の他に4人の名前が書いてあった・・・。
この作品の良い所は、この「父を探して三千里」のドタバタと小夜子のルー
ツ探しを上手に融合させている所だと思います。
「三千里」の方が単なる「喜劇・カツアゲ旅行」になって味が悪くなっていくの
を、小夜子のシリアス&ノスタルジックなサイド・ストーリーが救ってるんじゃな
いでしょうか。
その小夜子を演じてる桃井かおりが冒頭に書いたように、とてもいいです。
この年「もう頬づえはつかない」とこの作品で、主演女優賞を総ナメにしたの
も納得の演技。
特に長崎のホテルで晋作に向かって、
「オニイサン、ワタシ~」の台詞を言う時の表情と声、辛くて苦しくて惨めで哀
しくて、つま先一つで崖っぷちに立ってる女を実に見事に演じてたと思います。
渡瀬恒彦は、昔観た時より印象が薄かったですね、多分、渡瀬さんの演技
が、この作品と「震える舌」辺りで止まってしまったような感じだからかも。
(1.31訂正 本作の公開は‘79.12.28 ‘79年に桃井かおりが賞を総
ナメにしたのは「もう頬づえはつかない」によるもの、但し、賞によっては本作の
演技も加味されています、‘80年のキネマ旬報主演男優賞は渡瀬恒彦が本
作及び「震える舌」の演技によって獲得しています)
ロードムービーは、行く先々で出てくる役者の力量が重要。
そういう面で見ると曾我廼家明蝶、河原崎長一郎の尾道、吉行和子、嵐寛
寿郎が出てくる若松の所は役者の力で、より面白くなっていたと思います。
他に新郎の父親を演じた天草四郎、お好み焼き屋のオバちゃん武知杜代
子(武知豊子)が印象に残りました。武知さんはいつもあんな感じだけど、色
街で長年店をやってきた(つまり、元玄人~素人は、ああいう所へ店は出さな
い)感じをとても上手く出してたんじゃないでしょうか。
映画は、今観ると結構ご都合主義な所もあるのですが、それを補うだけの
魅力は有ると思います。
ラストの台詞は、伏線を見事に生かした邦画には珍しいくらいシャレたもの。
僕は佳作だと思っています。
※この作品は「集金旅行」(中村登監督・1957年)のリメイクと言われていま
す。
また、「狐の呉れた赤ん坊」(丸根賛太郎監督・1945年)がヒントになって
るとも言われます。
どちらも未見なので何とも言えないのですが、山中貞夫監督の「丹下左膳
余話 百万両の壷」のテイストは感じました。
丸根監督は山中テイストを持つ監督と言われていますから、どっかで繋が
ってるかもしれませんね。
監督 前田陽一
脚本 前田陽一 南部英夫 荒井晴彦
出演 渡瀬恒彦
桃井かおり
鈴木伊織
この作品は30年以上前の1980年3月に観たのですが、面白かった印象
と桃井かおりが良かったこと、そしてラストシーンが焼きついています。
今回、BSで久し振りに観たのですが、感想は余り以前と変わらないものに
なりました。
同棲中の小夜子(桃井)と晋作(渡瀬)の元へ知らない女と子供が訪ねて来
る。
女の話では、子供の母親は駆け落ちして行方知れず、置手紙には父親の
名前として晋作の名前が。
しかし、その手紙には晋作の他に4人の名前が書いてあった・・・。
この作品の良い所は、この「父を探して三千里」のドタバタと小夜子のルー
ツ探しを上手に融合させている所だと思います。
「三千里」の方が単なる「喜劇・カツアゲ旅行」になって味が悪くなっていくの
を、小夜子のシリアス&ノスタルジックなサイド・ストーリーが救ってるんじゃな
いでしょうか。
その小夜子を演じてる桃井かおりが冒頭に書いたように、とてもいいです。
この年「もう頬づえはつかない」とこの作品で、主演女優賞を総ナメにしたの
も納得の演技。
特に長崎のホテルで晋作に向かって、
「オニイサン、ワタシ~」の台詞を言う時の表情と声、辛くて苦しくて惨めで哀
しくて、つま先一つで崖っぷちに立ってる女を実に見事に演じてたと思います。
渡瀬恒彦は、昔観た時より印象が薄かったですね、多分、渡瀬さんの演技
が、この作品と「震える舌」辺りで止まってしまったような感じだからかも。
(1.31訂正 本作の公開は‘79.12.28 ‘79年に桃井かおりが賞を総
ナメにしたのは「もう頬づえはつかない」によるもの、但し、賞によっては本作の
演技も加味されています、‘80年のキネマ旬報主演男優賞は渡瀬恒彦が本
作及び「震える舌」の演技によって獲得しています)
ロードムービーは、行く先々で出てくる役者の力量が重要。
そういう面で見ると曾我廼家明蝶、河原崎長一郎の尾道、吉行和子、嵐寛
寿郎が出てくる若松の所は役者の力で、より面白くなっていたと思います。
他に新郎の父親を演じた天草四郎、お好み焼き屋のオバちゃん武知杜代
子(武知豊子)が印象に残りました。武知さんはいつもあんな感じだけど、色
街で長年店をやってきた(つまり、元玄人~素人は、ああいう所へ店は出さな
い)感じをとても上手く出してたんじゃないでしょうか。
映画は、今観ると結構ご都合主義な所もあるのですが、それを補うだけの
魅力は有ると思います。
ラストの台詞は、伏線を見事に生かした邦画には珍しいくらいシャレたもの。
僕は佳作だと思っています。
※この作品は「集金旅行」(中村登監督・1957年)のリメイクと言われていま
す。
また、「狐の呉れた赤ん坊」(丸根賛太郎監督・1945年)がヒントになって
るとも言われます。
どちらも未見なので何とも言えないのですが、山中貞夫監督の「丹下左膳
余話 百万両の壷」のテイストは感じました。
丸根監督は山中テイストを持つ監督と言われていますから、どっかで繋が
ってるかもしれませんね。