セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

映画日記 2018年その2

2018-01-29 00:36:35 | 映画日記/映画雑記
 「スリ〈掏摸〉」(「Pickpocket」、1960年、仏)
   監督 ロベール・ブレッソン
   脚本 ロベール・ブレッソン
   撮影 レオンス・H・ビュレル
   音楽 J・B・リュリ
   出演 マルタン・ラサール
       マリカ・グリーン

 スリルから抜けられなくなった一人の掏摸(青年)が、偶然知り合った若い女性によって救済されるまで。
 映像とモノローグによって進行していく映画で、作品自体、大して面白いと感じませんでした。
 只一点、青年を母性的に救済する女性ジャンヌを演じたマリカ・グリーンの存在感、それだけが見ものだった。
 彼女、エヴァ・グリーンの叔母なんですね。
 姪ッ子はシャープな美貌だけど、マリカの方はちょっと翳のある美貌で、僕にはエヴァより魅力的に感じました。(シルバーブロンドのあの髪型に弱いというのもある〜ちょっとモニカ・ヴィッティに似てる気がした)
 ロベール・ブレッソンという監督は「やさしい女」のドミニク・サンダといい、こういうインパクトのある女優さんが好きなのかな。
 二人とも、そこに居るだけで異質で強烈な存在感がある。

 H30.1.14
 DVD

 「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」(「CONTRATIEMPO」、2016年、スペイン)
   監督 オリオル・パウロ
   脚本 オリオル・パウロ
   撮影 ジャビ・ヒメネス
   音楽 フェルナンド・ベラスケス
   出演 マリオ・カサス
       アナ・ワグナー
       バルバラ・レニエ

 予告編 https://www.youtube.com/watch?v=xRnCU2gzL6g

 「ロスト・ボディ」の監督の作品で評判もそこそこなので挑戦。
 一つの事に対して幾つものストーリーが浮かび上がると云うのは、「羅生門」(黒澤明監督)の一種の変形なのかもしれない。
 内田けんじ監督に似て登場人物の役柄が余り変わらず、その同工異曲を見せ方で変えてるというか・・・。
 この作品の場合、企業家夫婦と夫の愛人、そこに事故が絡むって、ここまでは「ロスト・ボディ」と全然、変わらない。
 ならば「ロスト・ボディ」の犯人の位置に居る、この人がトリック元なんて、まさかね・・・。
 只、この作品は誰が犯人?という事より事実の変遷過程を楽しむものなのかもしれません。
 「ロスト・ボディ」の欠点は記事にも書いたように、トリックがガラス細工のように繊細すぎる事。
 例えばトイレのシーン、あそこはかなりの無理があった(窓際に証拠物を置くタイミング、男がドアを開けて様子を見ないとは限らない、水を止めたのは何時か、元栓だけでなくタンクの水も抜かなきゃいけない)。
 この作品のトリック?には、そのような脆さはないけど、ある事について詳しすぎるのが不自然。
 僕には珍しく30分でトリック元が誰か解ったから(その人の正体までは解らないけど)、その視線で観てたけど、どうして専門的な事柄に対して詳しいのかの答えは最後までありませんでした。
 面白いとは思うけど、「ロスト・ボディ」か「インビジブル・ゲスト」のどちらか一つ観れば充分な気がします。
 悪いけど内田けんじの方に芸がある。

 H30.1.28
 DVD
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「シンデレラ」(2015年版)

2018-01-21 23:50:00 | 外国映画
 「シンデレラ」(「CINDERELLA」、2015年、米)
   監督 ケネス・ブラナー
   脚本 クリス・ワイツ
   撮影 ハリス・ザンバーラウコス
   美術 ダンテ・フェレッティ
   衣装デザイン サンディ・パウエル
   音楽 パトリック・ドイル
   出演 リリー・ジェームス
       ケイト・ブランシェット
       リチャード・マッデン
       ヘレナ・ボナム・カーター

 予告編 https://www.youtube.com/watch?v=SObne-1KQys

 保育園の頃、硬紙の絵本を持ってた記憶があるけど、1976年(日本公開
‘77)のミュージカル版「シンデレラ」でトラウマ級のダメージを受け、そのお
陰で殆ど興味のなかった作品。
 先日の「美女と野獣」でいろいろ検索してたら、この作品もかなり評判よくて
ファンタジー企画にも合うので今月に取っておきました。

 ‘76の「シンデレラ」は王子がリチャード・チェンバレン、僕はこの人の顔に
生理的アレルギーを感じてしまうくらい嫌いで(好きな人、ゴメンナサイ)、そ
れだけでもハンデがあるのに肝心のシンデレラ役の女優(ジェマ・クレイヴ
ン)もイマイチ魅力に乏しくて・・・、更に王子の政略結婚に重心が行き過ぎ
て童話なのに夢が全然、見られなかった、そんな思い出があります。
 又、苛められ続けて最後に大逆転というパターンは、これも大嫌いな花登
筺、橋田 壽賀子の十八番で、この作品でも継母一家に苛められ続けるシー
ンは時間の経過が長く感じて辛かった。

 という事で、或る種、覚悟して観たのですが、これが中々、良かったです。
 シンデレラって絶世の美女ってイメージがあって、最初、この娘でいいのか
と思ったりしたのですが、そうじゃなかった、美女度よりチャーミングさの方が
必要条件だった。(笑)
 王子も超絶美男子というより誠実さが前面に出た感じ。(美男子だけど)
 話は誰もが知ってるので割愛しますが、配役はかなり決まっていた気がし
ます。
 ざっとキャストを観ると、多くの人が僕と同じようにヘレナ・ボナム=カータ
ーが継母だろうと思うけど、彼女はお茶目な魔女役(フェアリー・ゴッドマザー)
で、継母は「キャロル」と性格が正反対(強気は変わらん)だけどケイト・ブラン
シェットが引き続き好演してました。
 文字通り「シンデレラ」を射止めた殆ど無名のリリー・ジェームズ、僕のボン
クラ視力だと「いつか晴れた日に」の時のケイト・ウィンスレットにそっくりな感
じで殆ど区別がつかないのですが、かなり頑張ってたと思います、特に一番
の見せ場、舞踏会のシーンは良かったです。

 話は上手く膨らませていたと思います、王子とエラ(シンデレラ)が初めて出
会う所の工夫、そこから初めて宮殿が登場、王家の現況へと繋がっていくシ
ーンは21世紀の童話(大人も観られる)として、よく考えられてると思いまし
た。叔父?の大公が何故王子の家臣扱いなのかはよく解らんけど。
 只一つ、不満があるとすれば二人が国民の待つバルコニーに出る手前の
〆の台詞、
 シンデレラ「心の準備は?」
 王子「君がいる限り大丈夫」
 フェミストからの批判を慮って書いた台詞だろうけど、これは行き過ぎと思
いました。
 そういう事に慣れてる王子に心の準備なんてちょっとしたプラスαで充分な
訳で、明らかに台詞が逆でおかしくなってる。
 意地悪く見れば、シンデレラが自分のような平民を妃にして大丈夫なのか
と聞いてるみたい。
 もっと素直に台詞を書いてよかったんじゃないでしょうか。

 「勇気と優しさ」、ディズニーのアイデンティティを主題にした作品。
 多くの人が見て納得でき、夢も見られる映画だと思います。

※継母のラストシーン、階段途中で止まり王子を見下す立ち位置って変な気
 が。
 近年の「水戸黄門」と同じで立ったまま別れの挨拶をするのと同じ感じ。

 H30.1.21
 DVD
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映画日記 2018年その1

2018-01-08 23:27:12 | 映画日記/映画雑記
 「鞄を持った女」(「La Ragazza con La Valigia」、1961年、伊)
   監督 ヴァレリオ・ズルリーニ
   脚本 ヴァレリオ・ズルリーニ  ベンヴェヌーティ   ベナッティ
   撮影 ティノ・サントーニ
   音楽 マリオ・ナシンベーネ
   出演 クラウディア・カルディナーレ
       ジャック・ぺラン
 
 裕福な家の長男に弄ばれたしがない歌手アイーダ、弟のロレンッオが贖罪感から親切にするが、やがて、恋心に変わって・・・。

 コケティッシュなクラウディア・カルディナーレ(C・C)をひたすら愛でる作品。
 「個人教授」のような年上の女への思春期を迎えた小青年の恋心、監督の前作「激しい季節」と同工異曲、只、肉体関係までは行きません。
 作曲が「激しい季節」と同じ人で、山場のシーンの音楽に同じメロディが4小節くらい混じってました、この旋律、別の作曲家がパクッて?「ブーべの恋人」という有名曲に・・・。
 この頃のC・Cはグラマラスなのに薄倖な女が似合ってて魅力的、本当は「刑事」(ピエトロ・ジェルミ監督、1959年、伊)を観たかったのだけど代官山まで行かないとないので、タイトルは知っていた本作を選んでみました。
 イタリアもこの頃までは輝いてた、20年すると「青い体験」まで堕ちるんだけど。
 H30.1.7
 DVD

 「太平洋の翼」(1963年、日)
   監督 松林宗恵
   特技監督 円谷英二
   脚本 須崎勝弥
   撮影 鈴木斌
   音楽 団伊玖磨
   出演 三船敏郎
       加山雄三  夏木陽介
       佐藤允 渥美清
       西村晃  星由里子

 レイテ海戦で海軍の主力を失った日本は本土防衛の為、新型戦闘機「紫電改」を主力とした精鋭部隊を創設、南方に残された優秀なパイロット達を招集した。
 予告編 https://www.youtube.com/watch?v=kN0yQ0tGHCs

 海軍最後の精鋭航空部隊、松山三四三航空隊の活躍を描いた作品で、基地に駐機してる実物大の紫電改、最後の攻撃に向かう「大和」などが見ものなんだけど、話が紋切り型で面白くなかった。
 南方に散ってるパイロット達が松山に向かう過程は面白いのだけど、メインの三四三航空隊に話が移ると平板で盛り下がっちゃう、負け戦でもそこを面白くするのが脚本家だと思うのですが。
 何よりこの作品の三船さんに魅力が乏しく、余りカッコ良くないんですよね、そして、足を引っ張る加山雄三の棒演技、これでは佐藤允、渥美清、西村晃がいくら頑張ってもアンサンブルがバラバラ。
 三船さん主演映画は三船敏郎を光らせれば、多少の粗は帳消しに出来るんだけど、この作品ではくすんじゃってる、それが全ての敗因。
 H30.1.7
 DVD

 「ミニミニ大作戦」(「The Italian Job」、1969年、英)
   監督 ピーター・コリンソン
   脚本 トロイ・ケネディ・マーティン
   撮影 ダグラス・スローカム
   音楽 クインシー・ジョーンズ
   出演 マイケル・ケイン
       ノエル・カワード
       マーガレット・ブライ
 
 イギリスの刑務所を出所したチャーリー、マフィアに殺された兄貴分が残した仕事を引き継ぐ。
 それはイタリア、トリノでフィアット社に入る400万ドルの金塊を強奪するものだった・・・。
 予告編 https://www.youtube.com/watch?v=Z0uN32GV1_c

 赤、白、青、ユニオンジャック・カラーのミニクーパーがトリノを舞台にイタ車と追いかけっこ。
 イギリスが作った「黄金の七人」(マルコ・ヴィカリオ監督、1965年、伊)って感じ。
 ちょっとカルト的に有名な作品だから、面白いのは面白いんだけど、ラストのオチに失敗したような。
 「恐怖の報酬」(アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督、1953年、仏)のラストを中途半端にした感じでモヤったまま、気持ちを何処へ持っていけばいいのやら。
 おまけに最初借りたのが2003年のリメイク作で借り直し、リメイクしてたの知らなかった。(歳喰ったドナルド・サザーランドにシャーリーズ・セロンが出て来て「何じゃ、こりゃ!」)
 H30.1.8 
 DVD
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「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」

2018-01-04 23:24:48 | 外国映画
 「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」(「Lo chiamavano Jeeg Robot」、2015年、伊)
   監督 ガブリエーレ・マイネッティ
   脚本 ニコラ・グアッリャノーネ
   撮影 ミケーレ・ダッタナジオ
   音楽 ガブリエーレ・マイネッティ   ミケーレ・ブラガ
   出演 クラウディオ・サンタマリア (エンツォ)
       イレニア・パストレッリ (アレッシア)
       ルカ・マリネッリ (ジンガロ)
       アントニア・トルッポ (ヌンツィア)

 いや、一人だけで誰も呼んでないんですけど。(笑)

 ローマで窃盗を繰り返し食い繋いでいる中年男エンツォ。
 食事はヨーグルト、趣味はポルノDVD。
 或る日、警察に追い詰められ河に逃げ込むが、放射性廃棄物のドラム缶
を踏み抜いてしまう。
 翌日、目覚めてみるとスーパーパワーと治癒力が備わっていた。
 麻薬取引の段取り中にエンツォの兄貴分が殺され、麻薬隠匿の疑いを掛
けられる娘アレッシア。
 その危難を救うエンツォ、アレッシアは父親から性的虐待を受け続け、自
分の殻に閉じこもり大好きな「鋼鉄ジーク」の世界に生きていた。
 彼女はエンツォにジーグの姿を求める。

 予告編 https://www.youtube.com/watch?v=YZEn4k_cmVk

 しょうもないカッパライの中年チンピラが成り行きでジーグに成長するよう
求められる物語。 
 中々、面白い作品で新年一作目として上出来の結果になりました。
 只、この物語は説明するのが結構難しく、上記の粗筋は半分くらいの要素
しか書けてない、それ以上はご覧になってとしか言えません。
 まぁ、このエンツォって中年男、ポルノばっかり観てるは、スーパーパワー
が身に付いてやる事といえば、深夜、ATM機械を丸ごと盗むとか、現金輸
送車襲撃で、何処が鋼鉄ジークなんだと。(笑)

 話が説明しずらいので、登場人物の説明で茶を濁します。
 エンツォ>当然、独身のひとりぼっち、家族も友達もいない。
 アレッシア>自閉症気味でアニメ世界に生息、ネジも飛び気味、生い立ち
にも関わらずアニメ世界に逃げ込む事で心は意外と綺麗なまま、18~20
歳くらい?
 ジンガロ>ローマの小さな暴力団のボス、キレやすくイカレてて、認証欲
求が歪んで超肥大化。
 ナポリの組織の鼻をあかしyoutubeで有名になろうと必死(←何故、そこな
んだ(笑))、この物語の敵役。(エンツォはこの組織の末端)
 ヌンツィア>ナポリ組織の女親分、ジンガロをコケにしまくる。

 話はタイトルにもなってる永井豪・安田達矢とダイナミック企画の「鋼鉄ジ
ーグ」のプロットを取り入れながらフェデリコ・フェリーニの傑作「道」(1954
年・伊)を融合させたような感じ。
 エンツォとアレッシアの関係って、無教養の力自慢ザンパノと少し足りな
いジェルソミーナにそっくりなんですよ、ほんの1、2滴「レオン」(1994年、
仏・米)のレオンとマチルダの関係性にも似てる。(イカレたジンガロって「レ
オン」のスタンスフィールドそのまま)
 ラストシーンも何か「道」に似ています。
 夜の浜辺で一人立ちつくすザンパノ、やがて彼は泣き崩れる。そこに神を
捨てた人間の哀しみがあるのですが、こちらは娯楽作ですからそんな宗教
的意味合いはありません、只一人、朝焼けのコロッセオの上に立ってるだけ、
でも、何となく似てると感じてしまいました。(続編、作る気満々だけどね)

 日本のアニメをオマージュしながら別作品に仕立て上げる、日本人には
ちょっと嬉しい作品でした。

※「鋼鉄ジーグ」、ちょうどアニメを卒業した頃で名前は知ってたけど、内容
 は全然。wikで調べました。
 ジーグも「サイボーグ009」も普通の人間じゃなくなった悲哀があるのです
 が、この作品にはまるで無し。(笑)
 不良が正義の味方になるって「サイボーグ009」、放射能で変化するって
 東宝特撮、それに「冬の華」(1978年、日)の要素も感じました、監督、日
 本に興味があるのかな。

 H30.1.4
 DVD
 
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新年のご挨拶&2017年決算

2018-01-01 00:00:00 | ベスト10
 あけまして おめでとうございます

  旧年中は大変お世話になり、ありがとうございました
  引き続き本年も宜しくお願い致します

    平成30年 元旦

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 (2017年)
   劇場24本 DVD39本
   外国映画55本(6本) 邦画8本
   初見57本 再見6本
   新作13本(1本) 旧作50本(5本)

 2017年 マイ・ベスト15
 (☆印 2017年公開作 ‘16.12.16~‘17.12.15)


 1.「タレンタイム~優しい歌」(2009年、マレーシア)☆
     作品に描かれる世界は監督の理想である、が、理想を持たない人生は空しい。
 2.「山の郵便配達」(1999年、中国)
     素晴しい父子映画であり、美しい家族詩
 3.「泥の河」(1981年、日本)
     昭和のあの頃、あの場所を鮮明に。大人への通過儀礼を切なく描いてる。
 4.「西部戦線異状なし」(1930年、米)
     反戦映画の傑作の一つだと思う。
 5.「レオン」(1994年、仏・米)
     レオン、マチルダの孤独、皮肉にも悪逆刑事が二人を結びつけるアンサンブル。
 6.「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」(1992年、米)
     アル・パチーノ!
 7.「みかんの丘」(2013年、エストニア・ジョージア)
     静かに訴えてくる反戦映画の佳作。
 8.「いつか晴れた日に」(1995年、米)
     美しくも重厚なメロドラマ。
 9.「新感染 ファイナル・エクスプレス」(2016年、韓)☆
     ハイ・テンポながら人間ドラマにも手抜きなし。
10.「美女と野獣」(2017年、米)☆
     エマ・ワトソンが贈る、美しいディズニー・ワールド。

11.「幸せなひとりぼっち」(2015年、スウェーデン)☆
     イライラ・頑固老人が、世の中を変えるのは怒りより優しさだと気付くまで。
12.「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(2016年、米)☆
     癒えない傷も 忘れられない痛みも。その心ごと生きていく~惹句そのものの作品。
13.「プライドと偏見」(2005年、英)
     キーラ・ナイトレイが良かった。
14.「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」(1991年、台湾)
     肝を噛んでしまったような苦(にが)み、忘れたくてもこびり付いてる。
15.「ラ・ラ・ランド」(2016年、米)☆
     全ての要素が高水準で入りながら、突き抜けられなかった。

 監督    ヤスミン・アフマド 「タレンタイム~優しい歌」
         観た後で自然と優しい気持ちに充たされる、素晴しい作品を創ってくれ
         た事に感謝。
 主演男優 滕汝駿 「山の郵便配達」
         多くを語らず、表情、眼差し、佇まいや動きで辿ってきた人生を感じさせる
         素晴しい演技。
 主演女優 エマ・トンプソン 「いつか晴れた日に」
         長女気質を自然に的確に、何より主人公エリノアになり切っていた。
 助演男優 ゲイリー・オールドマン 「レオン」
         この人の演技がなかったら、作品の面白さは半減していたと思う。
 助演女優 アゼアン・イルダワティ 「タレンタイム~優しい歌」
         死神から引導を渡された時の表情。
         絶望から諦め、そして、人生を振り返り僅かな笑みを浮かべる、その1分
         に満たない演技に。
         (マレーシアでは有名な芸人さん、当時、本当に重度の癌患者だった。
         ~監督が治療費の足しにと出演依頼)
      加賀まりこ 「泥の河」
         撮り方だろうけど、この世の人でないような妖しい美しさ。
         それを感じさせる演技。

 音楽   「タレンタイム~優しい歌」
         作品を彩る数々の歌が、どれも素晴しかった。
         ピート・テオ自身がマレー語で歌ってる画像がUPされてますが、作品中の
         英語版より良いと思う。

  (主演男優)
 田村高廣 「泥の河」
  滕汝駿と同じく、その人と人生を感じさせて素晴しかった。
 ジャン・レノ 「レオン」
  一人ぼっちの根なし草の哀感、機械が人に戻る戸惑い、いろいろなモノを感じさせる
  演技。ナタリー・ポートマンとの相乗効果も感じました。
 アル・パチーノ 「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」
  この作品は自分の為にある、とでも言いそうな独壇場の演技と個性。
 シャー・ルク・カーン 「マイネーム・イズ・ハーン
  アスペルガー症候群の青年になり切りながら、自分の個性も上手にアピール。

  (主演女優」
 藤田弓子 「泥の河」
  昭和中期の下町の母さんってあんな感じだよね、と納得させる演技。
 ナタリー・ポートマン 「レオン」
  素晴しいマチルダだった、ジャン・レノとの組み合わせも抜群。
 エマ・ワトソン 「美女と野獣」(2017年)
  役と彼女のキャラクターがピッタリだった。今年一番可愛い女優さん、演技もベルその
  もの。
 キーラ・ナイトレイ 「プライドと偏見」
  物語の時代からは浮いて見えるけど、力技で役を捻じ伏せた。

  (助演男優)
 アラン・リックマン 「いつか晴れた日に」
  多人数の入り組んだ物語が浮足立たなかったのは、彼とエマ・トンプソンのお陰。
 桜井稔 「泥の河」
  逞しいけど薄倖、貧しさからの危うさ、目の演技が良かった。
 マーチン・ステファンズ 「回転
  終盤、可愛い子から本性を見せる一瞬の演技に。
 キム・ウィソン 「新感染 ファイナル・エクスプレス」
  心底、厭な奴と思えた、今年見た一番厭な奴。(笑)
 マ・ドンソク 「新感染 ファイナル・エクスプレス」
  典型的な心優しきマッチョマン、ウィソンと正反対の漢を好演。

  (助演女優)
 ヴェラ・クルーゾー 「悪魔のような女
  見ていてイラつくくらい弱い女、でも、本当に弱い女だったの?
 バハー・パール 「幸せなひとりぼっち」
  ヴェラと逆のハッキリ、ズケズケ女。引っ掻き廻し役だけど上手く演じてたと思う。
 ケイト・ウィンスレット 「いつか晴れた日に」
  控えめな長女と活発な次女、その次女の性格をしっかり掴んでました。

  (音楽) 
 「Another Day of Sun」 「ラ・ラ・ランド」
   一番印象に残るナンバーが一番最初に来てしまった不幸。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 2017年公開作(‘16.12.16~‘17.12.15) ベスト7

 1.「タレンタイム~優しい歌」
 2.「新感染 ファイナル・エクスプレス」
 3.「美女と野獣」
 4.「幸せなひとりぼっち」
 5.「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
 6.「ラ・ラ・ランド」
 7.「ドリーム

 2017年 上半期ベスト10 こちら と こちら
       下半期ベスト10 こちら
 観賞リスト 1月~3月 こちら
         4月~6月 こちら
         7月~9月 こちら
        10月~12月 こちら
         
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