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セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「ムーラン・ルージュ」

2024-08-21 16:13:24 | 映画感想
 「ムーラン・ルージュ」(「Moulin Rouge!」、2001年、豪・米)
   監督 バズ・ラーマン
   脚本 バズ・ラーマン クレイグ・ピアース
   撮影 ドナルド・マカルパイン
   音楽 クレイグ・アームストロング  マリウス・デ・ヴリーズ  スティーヴ・ヒッチコック
   美術 キャサリン・マーティン
   衣装 キャサリン・マーティン  アンガス・ストラティー
   出演 ニコル・キッドマン
      ユアン・マクレガー
      ジム・ブロードベント
      リチャード・ロクスバーグ
      ジョン・レグイザモ

 今回のパリ・オリンピック最大の功績は、おフランスの実像(フランス中華思想)が日本全国に知れ渡った事かな、競技の個人的MVPは柔道48kg級の角田夏実さんと総合馬術の初老ジャパンの面々、総合馬術のクロスカントリーを全コース放映してくれないのが残念だった(ヴェルサイユ宮殿って広いのね〜何を今更(汗))。
 閑話休題。

 花の都パリ、ベル・エポックの時代、イギリスからやって来た作家志望の若者とムーラン・ルージュで輝くダイヤモンドの異名をとるスター兼高級娼婦サティーンはちょっとした勘違いから恋に落ちるのだが・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=2PpgPxjzbkA

 紆余曲折を経て歴史を刻んで来たミュージカル映画の一つの屈折点となる作品なのかも。
 作中の登場人物として遊び心で出てくるロートレック、その絵のように独特の色彩で描かれた作品。
 物語自体は「椿姫」の骨格に「オペラ座の怪人」の服を着せたように見える、ヒロインのニコル・キッドマンの美貌と愛嬌は眼福だが一曲一曲が長すぎて(特に前半)飽きてしまうのが欠点。
 「サウンド・オブ・ミュージック」や「慕情」(Love Is a Many-Splendored Thing)のサワリとか、時にディズニーぽかったり、映画好きをくすぐる所もミュージカルも嫌いじゃないので楽しく観れたけど.ちょっと予定調和すぎて物足りなさを感じないでもなかったかな、好きだけど。

 ミュージカル映画の見所としては「El Tango de Roxanne」のタンゴシーンだと思う。
 役者陣はニコル・キッドマンと小屋主ジトラーを演じたジム・ブロードベント(これは儲け役)が印象に残るった。

  君去し 夢の残り香 身に染みて
   今日という日の 過ぐる遅さよ

 R6.8.21 
 DVD
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「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」

2024-05-13 21:02:34 | 映画感想
 「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」(2018年、日本)
   監督 湯浅弘章
   脚本 足立紳
   原作 押見修造 「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」
   撮影 今村圭佑
   音楽 まつきあゆむ
   出演 南沙良
      蒔田彩珠
      萩原利久
      
 高校へ入学した大島志乃、重度の吃音でホームルームでの自己紹介が出来ず皆に笑われてしまう、ふとした事でクラスメイトの岡崎加代と友達になるがミュージシャンを夢見る彼女は音痴というコンプレックスを抱えていた、志乃のボーカル、加代のギターで秋の文化祭を目指そうと特訓中に空気が読めず友達なしの菊池が割り込んできた事で二人の立ち位置が壊れていく・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=mRFXamqu0fw

 心踊る作品ではないけど世間の評判よりは良質な青春映画だと思う。
 配給がビダーズ・エンドという会社だからか爽やかな大団円ではないのだけど味のあるハッピーエンド、劇的な変化のない日常が三人それぞれに訪れるが確実に一歩、或いは半歩前進した日常生活を迎えるので其々の成長が見て取れるし非常に現実的な終わり方をしていて、そこに好感が持てる。
 只、物語に欠点はないのだけどディティールがいい加減過ぎる、重度の吃音の子が入学するのに親が事前に学校と相談しないなんてあり得ないし、放っぽりぱなしというのも不自然、中学から高校への申し送りに吃音を書かないのも変だ、狭い地方都市の高校に中学時代の同期生が入学していないのも話の都合としか思えない、そこがどうしても引っ掛かって作品の足を引っ張ってるのが勿体ないと思う。
 演技についてはメイン三人の演技は上手くて申し分ない中、岡崎加代を演じた蒔田彩珠が何とも言えない味わいのある演技で💮、主演の大島志乃役の南沙良の鼻水厭わない熱演も良いのだけど特徴ある役は演じやすいから、これだけでは何とも言えないかな、お邪魔虫の菊池役萩原利久もウザくて良かったです。

  乗らなけりゃ 何処へも行けぬと 知りながら
    遠ざかるバス 今日も見送る

 R6.5.13
 DVD
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「エレベーターを降りて左」

2024-03-12 09:02:05 | 映画感想
 「エレベーターを降りて左」(「A gauche en sortant de l'ascenseur」、1988年、仏)
   監督 エドゥアール・モリナロ
   脚色 ジェラール・ロジェ
   原作 ジェラール・ロジェ
   撮影 ロベール・フレス
   音楽 マレー・ヘッド
   出演 ピエール・リシャール
      リシャール・ボーランジェ
      エマニュエル・ベアール
      ファニー・コタンソン

 画家のヤン(ピエール・リシャール)は、魅力的な人妻フロランス(ファニー・コタンソン)に片思い。一方、ヤンのアパートの隣人ボリス(リシャール・ボーランジェ)は、同棲相手のエヴァ(エマニュエル・ベアール)と喧嘩ばかりの毎日。ある朝、ドアの自動ロックがかかり、下着姿のエヴァが廊下に締め出されたことから誤解が誤解を生みテンヤワンヤの大騒ぎ・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=Sv4Mdp4rBCE

 山口百恵の「横須賀ストーリー」が1976年、日本でさえ女性は男の従属物ではないと女性の自立が声高に叫ばれ、受け入れられていたのにおフランスで1988年にこんな’60年代風コメディ作ってたとは吃驚。コメディとしても所々、素人劇のような変な間が度々あるし83分の映画なのに60分過ぎた辺りで脚本家が収拾つかなくなって(笑)その後は話終わらせるのに必死、あと5分で突然「解ったわ、ナターシャね」と言われてもナターシャってどなたでしょうか(目の前に居た黒人女性かと思った)と目が点に・・・、B・ワイルダーやI・A・L・ダイアモンドだったらもっと上手く料理出来ただろうにと思わせる作品。
 元々、フランスの喜劇はフランス人にしかウケないと言われててクド過ぎる所がある、本作もご多分に洩れずピストルの件、隣人の嫉妬男のコロコロ変わるしつこさなどにそれが見受けられる。
 但し、欠点はそこそこ有れどシチュエーション・コメディとして可笑しいし面白い、ハリウッド得意のシチュエーション・コメディなのでフランス特有のクドさがある程度中和されてるし何よりエマニュエル・ベアールがチャーミングこの上なく若き日のG・ホーンのよう、ダブル・ヒロインであるファニー・コタンソンも蠱惑的で二人を観てるだけで目の保養になる、コメディとしてのテンポも前述の変な間が引っかかるけどそこさえ目を瞑れば軽快に進む、全体的には優良可で言えば良の部類、自分としては掘り出し物を見つけた気分です。
 これが今年一本目で良かった。

  君待てば 小悪魔来たり 訳ワカメ
   恋の花咲く 巴里の夕暮れ

※エンドクレジットの初めに主要出演者が紹介されるのだが、その最後に「そして、ドア」と紹介するのが粋ですね、全ては直ぐ風で閉まってしまうオートロックドアが原因なので確かに迷脇役でした。


 R 6.3.11 
 DVD
コメント (3)
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「南の島に雪が降る」(1961年版)

2023-10-09 17:45:40 | 映画感想
 「南の島に雪が降る」(1961年、日本(東宝))
   監督 久松静児
   脚本 笠原良三
   原作 加東大介 「ジャングル劇場の始末記 - 南海の芝居に雪が降る」
   撮影 黒田徳三
   音楽 広瀬健次郎
   出演 加東大介
      伴淳三郎  有島一郎
      佐原健二  西村晃
      志村喬  フランキー堺 
      桂小金治  三木のり平
      (ゲスト出演)
      森繁久彌  三橋達也
      小林桂樹  渥美清
      
 戦争末期、ニューギニア西部のジャングルに置き去りにされた守備隊、味方からも敵からも見放され放置され補給も無く全滅を待つばかり、定期便と呼ばれる敵空襲の中、兵の慰労と士気を上げる為、加藤軍曹を中心に演芸分隊を立ち上げる事となった・・・。

  youtube 一部 https://www.youtube.com/watch?v=QnZHe0BeinU

 20歳前後に3回くらいTVで見てる、もう一度見たかったけど今はレンタルもなく見られなかった作品。youtube探したらDailymotionに有ったので久々の鑑賞、戦争末期のニューギニアで食う物もない飢餓状態なのに皆、栄養充分なのはご愛嬌だけどやっぱり、いい作品だった。
 これ、東宝の喜劇系役者総出の上に松竹から伴淳三郎、渥美清(東宝の戦争モノにも出てた)まで借りてきて、男ばかりだけど豪華絢爛この上もなく、演技、舞台芸の見せ合いみたいな所がある、その中でもやはり東宝の看板を三船敏郎と共に背負ってた森繁久彌の「五木の子守唄」は絶品で死地に赴く部隊長として、束の間、内地の情景を部下たちへ歌にして贈るシーンは涙を誘うものがありました。
 有島一郎の飄々とした受けの演技、伴淳得意のクサい芝居、名ドラマー フランキー堺のピアノ芸、渥美清の浅草風「森の石松」、二代目水戸黄門サマ西村晃の女形芸、本当に観てるだけで楽しい数々、この名うての役者達の芸合戦が散りばめられてるから忘れられなかったんだろうなと見てて思いました。
 ちょっと個人的ノスタルジーも入っているけど今でもそれなりに観られる作品。

※「七人の侍」の七郎次役加東大介氏の実体験を書いた「ジャングル劇場の始末記 - 南海の芝居に雪が降る」を映像化した作品で、当然、主役は加東軍曹、でもこの頃の芸名は前進座時代の市川莚司だから、その名前も出てきます。山中貞雄監督「河内山宗俊」、「人情紙風船」でもチョイ役のヤクザながら居るだけで印象が残る役者さんでした。(僕は加東大介さんがTVで活躍してた頃を知ってるから、まぁ、一目で判ると言うのはある)
※司令官役の志村喬さんだけが痩せてて本当らしく見えた。(階級上、一番いい物食べてておかしくないのに)
※「警察日記」、「駅前〜」の駅前シリーズの久松静児が監督だから森繁と息が合ったのかもしれない。

  遥けきも ニューギニアにて どん詰まり
    一銭五厘の 我がいのち哉

 R5.10.8
 Dailymotion
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「チャーリング・クロス街84番地」

2023-07-17 17:11:59 | 映画感想
 「チャーリング・クロス街84番地」(「84 CHARING CROSS ROAD」、1986年、米)
   監督 デビット・ジョーンズ
   原作 ヘレーン・ハンフ 「チャリング・クロス街84番地」
   脚本 ヒュー・ホイットモア
   撮影 ブライアン・ウェスト
   音楽 ジョージ・フェントン
   出演 アン・バンクロフト
      アンソニー・ホプキンス
      ジュディ・デンチ

 第二次大戦が終わって間もない頃、売れない小説家だったヘレーヌはNYでは高く手に入らない英文学の古書をロンドン、チャーリング・クロス街84番地にある古書専門店へ発注する、思わぬ安価で送られてきた事が20年以上の付き合いの始まりだった・・・。

  予告編 https://trailers.moviecampaign.com/detail/6989

 18世紀にフランスのラクロが「危険な関係」という書簡体小説を発表してるが、それにちなめば本作は「(往復)書簡体映画」と言ってさしつかえないと思う。
 20数年の時間が顧客と店主という関係を、小さな小さな積み重ねによって一回も会わずして無二の親友にしてしまう様を描いていく、事件らしい事は何も起こらない淡々とあくまで淡々と話が進んでいく、それを退屈と思うか人生と感じるかでこの作品の印象は大分違うのでしょう。僕は途中、退屈に感じる事も無くはなかった、でも、終わりに近づくにつれそれだけでない時代を動かしていく時間、終戦直後に始まりビートルズ、ミニスカート、公民権運動、いちご白書の時代まで何もかもが否応なく変わっていく姿、或いは長い時間を掛けて育てていくもの、自分の歳のせいかしみじみと思うところが有りました。
 昔から男と女の間に友情は成立するのかという命題がありますが、この二人の関係はその理想に近いものがあるような気もします、勿論、二人がNYとロンドンに居て会えないという大前提はあるし、フランクの妻ノーラがヘレーヌに対してジェラシーを感じてた事からも純粋に男女の匂いは消せないとしても「いい関係」とはこういうもんではなかろうかとも思いました。

 技法としては中盤迄、物語に合わせての手紙のナレーションから、終盤はカメラに向かって直接語り掛けるという変化で親密度を表す方法が面白い。
 アン・バンクロフト、アンソニー・ホプキンス、ジュディ・デンチ、名うての演技陣の中でも茫洋としながらも徹頭徹尾「受け」の演技で支えたA・ホプキンスが見事、ツッコミ役のA・バンクロフトは労多くして功を取られた感じかな(笑)、J・デンチは別に彼女じゃなくても務まるけど最後の辺りの演技は流石でした。

  会わずとも 百年の知己 得る世でも
   女房とは日毎 喧嘩ばかり也
 
 静かな静かな一編。

 R5.7.17
 DVD
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「必殺の一弾」

2023-06-26 21:18:33 | 映画感想
 「必殺の一弾」(「The Fastest Gun Alive」、1956年、米)
   監督 ラッセル・ラウス
   原作 フランク・D・ギルロイ 「最後の刻印」
   脚本 ラッセル・ラウス  フランク・D・ギルロイ
   撮影 ジョージ・J・フォルシー
   音楽 アンドレ・プレヴィン
   出演 グレン・フォード
      ジーン・クレイン
      ブローデリック・クロウフォード
      ラス・タンブリン

 中々に観る気を起こさせないタイトル、原題も「地上で一番の早撃ち」五十歩百歩であるが、知られざる西部劇の佳作でした。(原作名が一番意味が有って的を得てる)

 1889年、西部の町シルヴァー・ラピッドで早撃ちの名手ファロンがならず者ハロルドに決闘を申し込まれ撃ち殺される、ハロルドは西部一の早撃ちとして名を上げるのが目的だった、その頃、近くの町クロスクリークで一人の男ジョージが悶々とやるせない思いで生きていた・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=XZowj5-IYxI  
 
 「早撃ちを自慢に40まで生きた奴はいない。いつか自分よりも早い奴に殺される」何処かで何度も聞いた事のある台詞だが、この映画はそれでも名を馳せたい男と、そうなるのが嫌で名を捨てている男の物語。
 しかし、西部開拓時代に銃を持たず酒も飲まず小商いしてる男に町の人々は口には出さねど一段下の視線を向ける時がある、そして、そのような視線は感情は押し殺した心に過敏に響く、被害妄想としてもそう受け取ってしまう自分がいて、どうしようもない苛立ちを制御出来なくなる。
 開拓時代に「銃を持たない男」がどういう視線に晒されるか、ちょっと西部劇に対するアンチテーゼっぽい所が有って面白いけど、結局、解決は力でという西部劇に帰り着いてしまうのは、まぁ、仕方ないかな(ニューシネマ以降ならいざ知らず’50年代の西部劇ですから)、ジョージが銃を捨てきれないと悟った奥さんが愛しながらも離別を決意したり、住民の一部が掌を返す所は「真昼の決闘」(フレッド・ジンネマン監督、1952年)を彷彿とさせます。
 この悶々、苛々の部分は額に浮かぶ汗と相まって観ていてちょっと鬱陶しいのだけど、この鬱陶しさ有ってのラストだから文句は言えない、この心和む終わり方があるから酷いタイトルを跳ね返し西部劇の佳作に仕上がっているのでしよう、一見の価値ありと思います。

  名を埋めて 漸くに知る 平穏へ
    讃美歌の声 静かに響く

※早撃ちのハロルドがスッとした青年じゃなく、熊みたいでスマートとかけ離れたオッサンなのがリアリティあっていい。(笑)
※奥さん、妊娠してるのにコルセット締め付けたドレスはないだろう。(笑2)
※「ウエスト・サイド物語」のラス・タンブリン、何でこんなのに出てると思ったら、ここでもダンス、体操要員だった、結構、尺もらってたけどね。(笑3)
※ビールジョッキを撃ち抜く所、その瞬間、別撮りを差し込んでるのがモロ判り(抜く手もフライング)、黒澤監督「蜘蛛巣城」の首に矢のシーンは完璧だったし「そんな難しいコトじゃないよ」と言ってる、アメさんはいい加減だなぁ。(笑4)
※ハロルドは時々、石塚英彦に見えるしジョージは岡村隆史に見える。(笑5)

 R5.6.26
 DVD
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「映画大好きポンポさん」

2023-06-04 11:12:56 | 映画感想
 「映画大好きポンポさん」(2021年、日本)
   監督 平尾隆之
   脚本 平尾隆之
   原作 杉谷庄吾【人間プラモ】
   キャラクターデザイン 足立慎吾
   撮影 星名工  魚山真志
   音楽 松隈ケンタ
   声  清水尋也
      小原好美
      大谷凜香
      加隈亜衣  大塚明夫

 ニャリウッドで活躍するプロデューサー ポンポさん、新作の15秒CMを冴えないアシスタント ジーンに任せてみる、見込みどおりの
出来に満足した彼女は自分の大作の監督に彼を抜擢する・・・。
 
  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=nDpsTDHN_ac 

 この作品に登場する天才プロデューサー ポンポさんの言う「映画は90分以内に収めるのがお客へのサービスであり、2時間越えは観客をスクリーンに縛り付ける横暴、且つ時間泥棒だ」(意訳)に僕は真っ向反対する、名脚本家 橋本忍が90分前後のプログラムピクチャー全盛時に中身が伴うであれば「60分内の映画があっていいし3時間を超える作品も有っていい筈だ、90分ありきは映画の自由を縛る悪弊だ」と言っているが、僕は断然、橋本忍氏を支持する、ポンポさんの考えを突き詰めれば今、流行りの「タイパ」とやらに辿り着くが、それは既に映画でなく「あらすじ」だ。もう一つ言えばこの映画の終盤は編集作業に悪戦苦闘する監督に焦点を合わせているが、確かに作品に息を吹き込むのも、腐らせるのも、殺すのも全て編集次第、撮影はその材料集めであり、編集作業とはキャスト、スタッフ、苦労、費用に惑わされずに撮ったモノを「切る」事だと言うシーンは黒澤明本を読めば常に出てくるエピソードでそれ故に既視感だらけだった、そして悪人は一人も居なく何もかも都合良く進むので深みに欠けるし、あんなにオドオドしてる人間に付いていこうと思うスタッフ、自意識の塊である俳優が居るのだろうか、コミュ障の見る「夢想」のような作品でした。

 悪口はここまで(笑)、それ以外は中々良い作品、テンポもいいし映画作り楽しさが伝わってくるのはトリュフオーの「映画に愛をこめて アメリカの夜」を感じさせる、何よりも軽く見られて楽しい。
 悪口4:1褒め口の感想になったけど、そこまで悪くはない作品で面白くは有る、只、何故か悪口がスラスラ出て来てしまうのです(汗)、絵が好きじゃないタイプというのもあるのかな。

  朝霧の 朦朧のなか 歩はすすむ
   ひと風吹いて 新緑あらわる

 R5.6.2
 DVD
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「肉体の冠」

2023-05-29 13:16:21 | 映画感想
 「肉体の冠」(「Casque d'Or」、1951年、仏)
   監督 ジャック・ベッケル
   原案 ジャック・ベッケル  ジャック・コンパネーズ
   脚色 ジャック・ベッケル
   撮影 ロベール・ルフェーヴル
   音楽 ジョルジュ・ヴァン・パリス
   出演 シモーヌ・シニョレ
      セルジュ・レジアニ
      クロード・ドーファン
      レイモン・ビュシェール
      
 19世紀末のパリ、娼婦でヤクザ ロランの情婦でもあるマリーは偶然出会った大工で前科者のマンダに一目惚れしてしまう、マンダもマリーに惹かれるが喧嘩っ早いロランが見逃す筈もなく・・・。

 恋愛モノとなると思考が何でも「ロミオとジュリエット」になってしまう、今回、ちょっとそれに気が付いて、これはもはや病気だなと。
 そんな僕の妄想なので話は9割引で読んで下さい、でも、観ながらロミジュリを思い出したのは事実なのでそう書くしかない。(汗)
 只、「ロミオとジュリエット」一つじゃない、正確には太宰の「走れメロス」だがフランスの監督に影響を与えてる筈がないので(太宰が参考にした物語があるにせよ、どれだけ西洋でポピュラーなのか不明)、同じシェイクスピアから「ヴェニスの商人」を加えたような作品でした。
 つまり、前科者と娼婦のロミジュリ物語で短気で喧嘩っ早いロランがティボルト、親友のレイモンがマキューシオであり「ヴェニスの商人」のバサーニオにあたる、親分のルカは真の悪人の居ないロミジュリには該当者はおらず、これは「ヴェニスの商人」で腹黒く悪巧みするシャイロック、そんな風に考えてしまいました。

 この作品も滑らかなリズム感が心地よい作品、前科者マンダの自首の過程を描かず空のベットで表現するとか、瀕死のレイモンが親分ルカの裏切りを仲間に伝えるシーンを飛ばして仲間達のルカへの視線だけで表現するとか、余計な説明描写を極力減らしてるのがリズム感を生んでるのかもしれません。しがない前科者の大工と娼婦が郊外で遊び呆けてる幸せシーン、どこにそんな金がと思ってしまったのは野暮ではあるけど気にはなりました。(笑)
 電気が余り普及していない時代のパリ(モンマルトル辺り?)の雰囲気も、W・アレンのようなノスタルジーが無く生活感が有って中々、良かった、願わくばロミジュリファンとしては、朝、誰もいない窓辺にショールが一枚掛けられてるというラストが望みだった。(大汗)
 いつも怖いオバサンのイメージがあるS・シニョレ、「悪魔のような女」があるけど漸く綺麗な女優さんだと本当に思った、でも、やっぱり重量感のある女優さんは苦手かな。

  君去りて パリの朝露 儚くも
   虚ろな胸に 宿るものなし

※原題は「黄金の冠」、マリーの髪型の事でしょう。
※セルジュ・レジアニと言えば僕たちの世代では「冒険者たち」の招かれざる四番目の男だけど、若い時を初めて見た、垂れ目は変わりようがないが確かにレジアニだった、大工の役だけど世界一有名な配管工にも似てた。
※ショールがパリの空に舞うのはブレッソンの「やさしい女」。

 R5.5.27
 DVD
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「千年女優」

2023-05-19 21:37:12 | 映画感想
 「千年女優」(2001年、日本)
   監督 今敏
   脚本 今敏  村井さだゆき
   原案 今敏
   キャラクターデザイン 本田雄
   作画監督 本田雄 濱洲英喜 小西賢一 古屋勝悟
   撮影 白井久男
   音楽 平沢進
   声  荘司美代子 小山茉美 折笠富美子
      飯塚昭三 佐藤政道
      小野坂昌也  津田匠子
      山寺宏一

 長い伝統を誇る銀映撮影所が取り壊される、かつてここで働いた立花は助手の井田を連れて30年前、突然、表舞台を去った伝説の女優 藤原千代子のインタビューに赴く、昔、拾った小さな鍵を千代子に返す目的も有った。千代子は立花と井田を前に自分の人生を語り出す・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=kWujkJbIc9c
      
 時間の壁をスムーズに軽やかに超えていく演出がとても良い、それによってファンタジックさも増している、只、主人公が余りに一直線なので少し人間として深味に欠ける気がしました。
 作品の主人公でありヒロインである千代子の純な一途さを80分一直線に描き、観客にもそういう物語だと思わせといて、最後の最後に「だってあたし、あの人を追いかけているあたしが好きなんだもの」と恋慕の情が長い時間の間に、いつしか自己愛に酔ってる「健気な自分ごっこ」だったと白状させる、「恋情と健気ごっこ」混ざり合った感情、あの鍵は心の奥の奥にある最後の扉の鍵だったのではないでしょうか。
 時間軸を使った幻想と現実の溶け合わせ、ヒロインの本気と擬態の混沌、どこに真実を見るのかは観客次第と言う事なのでしょう。
 面白いのだけど自分にとって刺さるものは少なかったのが正直なところかな。
 
   君を追い ひたすら駆ける 初夏の野の
     想い届けと 蒲公英が舞う

※「日本映画へのオマージュ」、確かにそれと判るシーンが幾つもある、でも、終盤の北海道行きのシーンはソ連の「誓いの休暇」(1959年)の最後のエピソードだと思う、列車の急停止、筏、トラック(本作でも千代子を最初に拾うのはトラック(「トラック野郎」のオマージュでもある))と乗り継ぎながらの綱渡り、想い人の去った真っ直ぐな足跡はアリョーシャが母を残し村を出て行った平原の一本道、僕はそう捉えました。
※エンディング、テーマ曲のドラムスが凄くいい、昔のNHKドラマ「阿修羅のごとく」に使われてた中東の旋回舞踊(セマー)の音楽を思い出した。

 R5.5.19
 DVD
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「パリ13区」

2023-05-10 12:48:58 | 映画感想
 「パリ13区」(「Les Olympiades(Paris, 13th District)」、2021年、仏)
   監督 ジャック・オーディアール
   原作 エイドリアン・トミネ
   脚本 ジャック・オーディアール  セリーヌ・シアマ  レア・ミシウス
   撮影 ポール・ギローム
   音楽 ローン
   出演 ルーシー・チャン
      マキタ・サンバ
      ノエミ・メルラン
      ジェニー・ベス

 叔母のアパルトマンでシェアルームの相手を探してたエミリー、そこへ女性とばかり思ってた高校教師の男カミーユが訪ねてくる、同じ頃、南仏から人生をやり直そうと憧れのパリへノラがやって来た・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=bXtLH9MaTec

 21世紀の「パリジェンヌ」(1961年・仏)とも言えるような作品、但し、視点は転々とするがオムニバスではないし、皆、生粋のパリジェンヌ、パリジャンでもない、台湾系、アフリカ系、南仏から来た地方人と言うのが如何にもポリコレ優先の今風である。
 もう一つ、作品を敢えてモノクロにした意味を考えると、これはヌーヴェルバーグへのある種のオマージュなのかもしれない、タッチもトリュフォーやゴダールを感じるし、エミリー(台湾系)、カミーユ(アフリカ系・男)、ノラ(地方人)、三人の感情の移り変わりをドラマにするというのは三角形が基本と言われたトリュフォーを連想する。

 エミリーは家族関係、生活の不安定さからか殆どセックス依存症、ノラは義理の叔父との10年近い関係を精算して憧れのパリで大学に復学、だがブロンドのウイッグ、ミニスカートで出席した学生パーティでチャットポルノの有名人アンバー・スウィート(ルイーズ)と間違われ大学に居られなくなる、地元でもパリでもセックスの対象としか見られない自分に自己嫌悪してる、そして二人と関係を持つ高校教師カミーユは何故か女に不自由していない。
 そんな訳でやたらとセックス描写が多いのですが、皆、迷いながらパリの市井で自分なりに懸命に生きてる所は伝わって来ました、また、脚本を担当した一人セリーヌ・シアマ(「燃ゆる女の肖像」の監督)の作風で「見る、見られる(チャットポルノの世界)」関係からの発展も入っていて、そこも面白く感じられました。
 只、収まる所に収まってスッキリと言う結末はフランス映画として、又、ヌーヴェルバーグ風作品としても予定調和過ぎないか(あの二人が長く続くとも思えないが)、もっとフランス映画らしく含みを持たせた方が良かった気はします。
 乱倫?でも大丈夫な方なら観ても悪くないかな。

  シャンゼリゼ モンマルトルも 知らぬまま
    墨田の川に 病葉ひとつ

 R5.5.9
 DVD
 
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「最高殊勲夫人」

2023-04-26 21:52:45 | 映画感想
 「最高殊勲夫人」(1959年、日本(大映))
   監督 増村保造
   脚本 白坂依志夫 
   原作 源氏鶏太 「最高殊勲夫人」
   撮影 村井博
   音楽 塚原晢夫
   出演 若尾文子
      川口浩
      丹阿弥谷津子
      船越英二
      宮口精二
      
 中堅商社三原商事の社長夫人に収まった丹阿弥谷津子は早速、亭主 船越英二(長男)を尻に敷き三原家の次男と自分の妹を結婚させる事に成功、そして、次に狙うのは大手商社に勤めてる三男 川口浩と末妹 若尾文子の結婚、それを察知した二人は姉の目論みに反旗を翻す・・・。

  映像(音楽は別物) https://www.youtube.com/watch?v=Q2lKYDyFu7g

 僕は二回りくらい離れてるから全然、時代じゃないけど6つ上の従兄弟が若尾文子の大ファンだったし、絶対TVに出ないと息巻いてた吉田拓郎さえ若尾文子と会えるならとドラマにゲスト出演した事もある、そんな、魔性のスターの魅力を探るべく鑑賞(嘘)。
 若尾文子さんのイメージは清濁何でもござれの演技力と際どい作風でも臆せず出演して作品を支配してしまう女優でしょうか、本作では彼女の陽性で溌剌とした健康美を堪能出来ます。
 この作品の一番の長所は日本映画では珍しくコメディとして、すこぶるテンポがいいこと、淀みなく滝川のようにスイスイと進んでいく、その分、深みはないけど軽喜劇として充分以上な合格点だし、そこに若尾さんの魅力が加わり非常に見易いものとなっています。
 只、今の時代に観るには余りに前時代的で昭和男の僕でさえ「それでいいのか」という感覚で合わせるのが大変、とにかく、物語の根幹が「女は結婚して早く子供産んで家を支配するのが幸せ」で、その為にはいい会社のいい男を如何に捕まえるか、それが全ての価値観という映画だから今の女性には到底受け入れられないんじゃないかな。(と思ったら、評判は良い)
 それと舞台が東京 丸ビルにオフィスがある中堅商社で主要人物は社長一族とその社長と結婚した平民一族、そしてライバルとして大手商社の社長令嬢、殆どが女子憧れの丸の内に勤める一流社員とOL(劇中はBG(ビジネス・ガール))、庶民が観るには少し胸糞な連中ばかり。(笑)
 そんなマイナス点に目を瞑れれば、そこそこ面白い作品だと思います。
 一番可笑しかったのは口八丁手八丁の丹阿弥さんが三男の婚約をぶち壊す為、乗り込んだ令嬢の本宅で応対に出た母親 東山千栄子に話すいと間を与えられず、おっとりと喋り続けられ撃退されてしまう所、上には上が居るのが面白かったです。それと、平凡なサラリーマンの親父を演じるのが抜群に上手い宮口精二さん(「七人の侍」の久蔵)、やはり、得意な役どころだけあって流石でした。

  縁故なら 一足飛びに 社長秘書
   やってられるか ビジネス・ガール

※増村保造監督は「大地の子守歌」(1976年)でトラウマ級の苦手意識を植え付けられてたから、中々、観るのに勇気が要りました。(汗)
※最近の省略ばかりの汚い日本語に囲まれてると、この時代の日本語が何と上品でお淑やかに聞こえることか、耳の浄化になりました。
※ビール2本までは正気、3本飲むと触りたがる、4本飲むとキスしたがる、5本飲むとホテル行きたがる男、6本飲ませるとどうなるのでしょう。(笑)
※知る人は少ないけどインパクトあるジャケット写真を含めカルト的人気を持つ作品のようです。

 R5.4.26
 DVD
 
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「三悪人」 (サイレント映画)

2022-12-18 09:19:29 | 映画感想
 「三悪人」(「3 Bad Men」、1926年、米)
   監督 ジョン・フォード
   脚本 ジョン・ストーン
      マルコム・スチュアート・ボイラン
      ラルフ・スペンス
   原作 ハーマン・ホイッテイカー
   撮影 ジョージ・シュナイダーマン
   出演 ジョージ・オブライエン
      オリーヴ・ボーデン
      ルー・テリジェン  J・ファレル・マクドナルド
      トム・サンチ  フランク・カンポー 

 1913年に発表されたピーター・B・カインの小説「三人の名付親」、サイレント時代から幾度も映画化されJ・フォード自身も1948年にJ・ウェイン主演で映画化している、1926年制作の本作は、その「三人の名付親」のバリエーションと言っていいと思う。(三人の名前が付いた赤ん坊は最後に出て来るだけ〜三人が赤ん坊を守る話じゃなく、未来のママを命懸けて守る話)

 1877年、西部開拓が始まった頃、グラント大統領はダコダ準州にあるスー族の広大な土地を取り上げ国民、移民者にその土地を早い者勝ちの掴み取りにさせる政令を発布した、そのLand Rush(ランドラッシュ)の行われる日を目指して各地からダコタへ凄まじい人々が土地と金鉱を求めてやって来ていた、幌馬車の車輪が外れ修復に手間取ってる間に車列から取り残され単独行となったカールトン少佐と娘リーへ馬泥棒達が襲い掛かる、同じく目を付けていたお尋ね者の三悪人ブル、スペード、マイクがその襲撃に割って入るが既に少佐は死に男装の娘リーだけが残されていた、三悪人は助けてくれたと勘違いしたリーに頼られ、満更でもない三人は目的地までの護衛とLand Rushの手伝いまでも引き受ける・・・。

 黒澤明の「隠し砦の三悪人」の元ネタと言ってもいいでしょう、以前、「隠し砦の〜」の記事に書いたように、あの作品は「黒澤明の「三悪人」」なんですね、だから、三悪人は誰かという問いの答えを本作「三悪人」に当てはめれば真壁六郎太、太平、又七だけど、やっぱりそれは半分正解、半分外れで黒澤明が作った(J・フォードの)「三悪人」と言うのが正解なのだと思います。
 ブルが三船敏郎、コメディリリーフのスペード、マイクが太平、又七、気の強いリーが雪姫、更にダコタの土地には金鉱がある(この金鉱の設定、最後はウヤムヤになってるのはご愛嬌)、田所兵衛は居ないけど。
 こう考えるとアメリカのJ・フォードから日本の黒澤明がヒントを貰い、今度はそれをヒントとして再びアメリカのG・ルーカスが「スターウォーズ」としてお里帰りを果たす、中々、壮大な転生物語になっています(笑)。
 この三悪人には聖書の「東方からの三賢人」の意味も有るそうですが、それはさて置き流石にJ・フォード、お話も面白く、切なく最後は涙がポロリだしG・スナイダーマンのカメラが映し出すLand Rushの迫力ある映像は「ベン・ハー」(W・ワイラー監督)の戦車戦より凄まじく、同じフォード監督の「駅馬車」襲撃よりもスケールが大きい(ロンドンで黒澤さんがフォード監督に会った時、「馬のスピード感をどうやって出すのか」聞いたらウィンクしながら「解らんようにコマを落とすんだよ」と答えたとか)、まぁ、このサイレントの時代はあからさまにコマ落としがバレバレだけど、やはり、馬の疾走感は目を見張るものが有ります。
 物語は中盤以降、三人組がリーの婿探しをしたり、リーとダン(実は、この人が主役(笑))という男とのロマンス、三悪人と悪徳保安官一味との確執から対決へと、「隠し砦の三悪人」とは違う方向へ進みますが、それも見応えあるものでした。
 先住民スー族にしてみれば、たまったものじゃないけど、1926年のアメリカ映画として見れば中々の秀作だと僕は思います。(ちょっと、youtubeにupされてるモノとはDVDは音楽が違う気がする、DVD版の音楽は平板で面白くもなんともない)

 「三悪人」(日本語字幕なし) https://www.youtube.com/watch?v=LytEexTOriA
  1:06分辺りから始まるLand Rushだけでも見て損は無いと思います。(途中、馬車が壊れて悲嘆に暮れる老夫婦が笑顔になるのは
  エンコした所の土が肥沃だったから)

   長かりし 浮世の闇よ 打ち捨てん
     旅の終わりの 晴れわたる空

※「七人の侍」の山塞焼き討ちって、本作の教会焼き討ちがヒントなのかも。
 火を付けるのは悪徳保安官一味で違うけど中にブルの妹が居たりシチュエーションが似てる気がする、そういえば六郎太と妹も死に別れではある。
※あと、1:15:30辺りの平原に保安官一味が姿を現す所なんかも、野武士達が村を襲おうと稜線に姿を現すシーン、巻頭の野武士達登場シーンに似てると言えば似てる気もするし、イカサマ師のスペードが最期、カードを一枚投げ捨てるのも久蔵を思い起こしてしまう。
※しつこく似てると言えば(汗)、山中貞雄監督の「河内山宗俊」の終わりの方にも似てる。

 R4.12.17
 DVD(日本語字幕付き)
 

 
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「RRR」

2022-12-03 14:04:56 | 映画感想
 「RRR」(「RRR」、2022年、印)
   監督 S・S・ラージャマウリ
   脚本 S・S・ラージャマウリ
      サーイ・マーダヴ・ブッラ
   原案 K・V・ヴィジャエーンドラ・プラサード
   撮影 K・K・センティル・クマール
   編集 A・スリーカル・プラサード
   音楽 M・M・キーラヴァーニ
   出演 N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア
      ラーム・チャラン
      アジャイ・デーヴガン  アーリヤー・バット
      レイ・スティーヴンソン  アリソン・ドゥーディ
      オリヴィア・モリス

 1920年、大英帝国の弾圧下にあるインド、2枚のコインで総督夫妻に妹を連れ去られたビーム、胸底に大志を隠し警察組織で出世を狙うラーマ、地元太守の忠告から総督府をビームの襲撃から守るよう幹部昇進と引き換えに命令されるラーマ、そんな二人が或る出来事を切っ掛けお互いの素性を知らぬまま兄弟のように親しくなる・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=c8wjdKMst18

 名作「バーフバリ」監督S・S・ラージャマウリの新作。
 何か自作の二番煎じを感じてしまいました、この監督の持ち味は「外連(けれん)」なのでしょう、でも外連はスタンダードがあってこそ生きる、「毎回、外連はクドイ」と僕は思います、本作も外連好きの方達には大好評のようですが飽きられるのも早いんじゃないかな、僕はもう飽きた。(汗)
 極端な荒唐無稽を超絶なスケールと濃密な物語で創り出す、これは「バーフバリ」という神話だから面白いのであって1920年頃のインドという実在する時間に前作のような神の化身を落とし込まれたら素直に反応出来ない。マカロニ・ウェスタンのように弾の尽きない小銃や弓矢、その癖、既に実在する機関銃は出てこない、重ねて書きますが「バーフバリ」は擬似神話だから有り得ない事もエンタティメントとして成立出来るのです、観ていて確かに面白くはある、でも3時間、何処かで醒めてる自分も居ました。
 「バーフバリ」を未見の人には面白いかもしれませんが、僕は「バーフバリ 王の凱旋」完全版の方が遥かに面白かったです。
 S・S・ラージャマウリ監督、既にパターン化して自縄自縛に陥ってしまっている、貴方の才能はまだ有ると信じたい。

  天竺の 益荒雄ぶりや すさまじき
    運慶呼びて しばしとどめん

※「RRR」、火(fire)の化神のr、水(water)の化神のr、ここまでは間違いないけど3つ目のrは物語(story)だったか、ちょっと自信なし。(汗)
※二人は実在するインドの英雄、ただ史実では二人に面識はないという、その二人がもし出会っていたらという着想で作られた作品だそうです。

 R4.12.2
  ユナイテッドシネマ豊島園 IMAX2D
コメント (2)
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「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」

2021-03-04 10:43:46 | 映画感想
 「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」(「Knives Out」、2019年、米)
   監督 ライアン・ジョンソン
   脚本 ライアン・ジョンソン
   撮影 スティーヴ・イェドリン
   音楽 ネイサン・ジョンソン
   出演 ダニエル・クレイグ
      クリストファー・プラマー
      アナ・デ・アルマス
      クリス・エヴァンス
      リンダ・ドライズデール

 世界的に有名な老作家が血まみれの死体となって発見された、葬儀も終わった或る日、警察が探偵と一緒にやって来て再捜査を始める・・・。

   予告編 https://www.youtube.com/watch?v=oCyTeY50wys

 21世紀に観る古典のような探偵物語、観終わった時は「まぁ、面白いけど上出来のTVサスペンスに毛が生えたくらい」と思った、でも、時間が経つと、中々、味があって噛み応えがある作品かなと。重くなり過ぎず軽くなり過ぎずで観返すに耐えられる作品だと思います。
 出だしが1972年の「探偵/スルース」(監督 ジョセフ・L・マンキウィッツ)と雰囲気似てたんで、心理系ミステリーかと思ったら普通のミステリーでした。(汗)

  古き酒 新しきグラスで 飲み干せば 
   ベル・エポックの 香り浮き立つ

※マズイ!本作、「フイシャーマンズ・ソング〜」、「私はダニエル・ブレイク」、ヒロインが皆、同じに顔に見える。(目が衰えた?)
※年齢不詳のお婆ちゃん、「オーケストラ!」(2009年、仏)でコケにされたパトロンのお婆ちゃんのような気が。
※「ナイブズ・アウト」とは刃の出てるナイフ、要は鞘に入っていない抜き身のナイフの事とか、「本当に良い刀は鞘に入っているものですよ」by城代家老夫人。

 R3.2.28
 DVD
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「シュヴァリエの理想宮 ある郵便配達員の夢」

2021-02-12 10:54:21 | 映画感想
 「シュヴァリエの理想宮 ある郵便配達員の夢」(「L'INCROYABLE HISTOIRE DU FACTEUR CHEVAL」、2018年、仏)
   監督 ニルス・ダヴェルニエ
   脚本 ファニー・デマール  ニルス・ダヴェルニエ  ロラン・ベルトーニ
   撮影 バンサン・ガロ
   音楽 バチスト・コルー  ピエール・コルー
   出演 ジャック・ガンブラン
      レティシア・カスタ
      ゼリー・リクソン

    予告篇 https://www.youtube.com/watch?v=CevjadzaWBk

 春秋の 哀しみ喜び 走馬灯
  凍てつく夜にも つづく足跡

 良かったけれど、僕は中国の「山の郵便配達」が好き。

 R3.2.11
 DVD
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