セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「ロスト・ボディ」

2016-02-27 23:51:38 | 外国映画
 最近のWIKってこうなの?それともスペイン映画に恨みでもあるのか。
 「ヒドゥン・フェイス」にしろ、この作品にしろ、推理サスペンス映画なのに「ネタ
バレ」どころか一部始終、エンディング・シーンまで書いてる。
 これっていいのか!(怒)

 「ロスト・ボディ」(「El cuerpo」、2012年、スペイン)
   監督 オリオル・パウロ
   脚本 オリオル・パウロ  ララ・センディム
   撮影 オスカル・ファウラ
   音楽 セルヒオ・モウレ・デ・オテイサ
   出演 ベレン・ルエダ
       ウーゴ・シルバ
       ホセ・コロナード
       アウラ・ガリード

 或る晩、監察医務院の当直警備員が異常に気付くも恐怖のあまり逃げ出
す、動転した彼は道路に飛び出した所を車と衝突。
 そして検視前の遺体が一体不明になってる事が発見される。
 その遺体は資産家一族の女で、大手製薬会社他幾つもの会社を所有する
ヤリ手の実業家マイカ・ビジャベルデ。
 彼女は資産家特有の傲慢さで年下の夫の心を弄んでいた。
 我慢を重ねてた夫だったが愛人が出来た事から特殊な毒でマイカを殺害す
る、しかし、直ぐに警察に疑われ拘束されてしまう。
 マイカも女の勘で夫の態度に疑念を持っていた、やがて拘束中の夫の周り
にマイカの影がチラつきだす・・・。

 「死刑台のエレベーター」の男女逆バージョンっぽい出だしで始まる物語。
 「ヒドゥン・フェイス」同様、良く出来たミステリー・サスペンスだと思います。
 只、ハリウッドと違い両作ともスカッとした終わり方はしません。
 出来は両作とも同等、どちらも心理劇として見ても秀作、あとは個人の好み
で優劣が決まるような。(笑)
 トリックは「おバカ」が原因の「ヒドゥン・フェイス」より「ロスト・ボディ」の方が
重層的、只、ちょっとアクロバティックでガラス細工のような脆弱さも有る気が
します。
 僕は「ヒドゥン・フェイス」の方が好きですね。
 美女度が圧倒的に上というのも有りますが(笑)、トリックが単純な分、心理
劇として見応えが有ります。
 それに「ロスト・ボディ」では、不利な証拠を汚ないトイレに流そうとするも故
障で流れず、それを拾って飲み込むという、非常に生理的嫌悪感を催すシー
ンが有り、こっちまで吐き気が・・・何だか今晩、夢に出そうで嫌なんですよ。
 (この作品、よく出来てるのに、あのシーンばかりが頭に残ってる)
 心理劇好きなら「ヒドゥン・フェイス」、推理好きなら「ロスト・ボディ」がお薦め
かな。
 ちなみにこの作品、日本では劇場公開されず現在の所、DVD・ブルーレイ
のみとの事です。
 そんな待遇が不当に思える秀作。

※現実に「ロミオとジュリエット」みたいな薬って有るの。(笑)
 心肺停止で脳に血液回らなくなったらアウトでしょ?

 2016.2.27
 DVD

「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」(2007年)Songs Collection

2016-02-20 23:16:43 | 映画音楽館
 マサラ映画(歌って踊るインド映画~他にも幾つか要素有り)には中毒性があると聞いたけど、
何だか症状が進行してる・・・。(笑)
 日曜に「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」を観て以来、この作品に有った幾つものナ
ンバーが頭を駆け巡ってます。
 普通、音楽や歌が頭の中をグールグルになったとしても1日、どんなに酷くても2日有れば収
まるものなのに、もう6日続いてる。
 youtubeで何曲か聞いて一日を〆ないと眠れない。(笑)
 今晩、本当はレンタルした作品を観ようと思ったのですが、「オーム・シャンティ・オーム」の世
界から出たくなく断念、ちょっとヤバイ状態かも。

・この作品はここから本番
 憧れの女優シャンティの新作披露、脇専門の大部屋俳優オームが見物に来てる
  (ニコ動)
  http://www.nicovideo.jp/watch/sm1786837?ref=search_tag_video&ss_pos=17&ss_id=a50967cc-dec4-4de3-85ae-d1bb2313bd0e

・失敬したチケットで映画を観て、熱中の余り自分がシャンティと踊ってる妄想を見て幸せ状態
 多分、インドでは合唱&ダンシング・タイム
 「Dhoom Taana」
 https://www.youtube.com/watch?v=TjUXr560Gu0

・ひょうんな事から知り合いとなり友人の協力で一晩だけのデート
 ※この頃までインドではキスシーンはNG、ましてシャンティには秘密が有りキスは絶対出来ない
  よく見ればオームがオルゴールを見る所から影絵みたいなキスまではオームの妄想シーン
  (シャンティはラスト近くまで手も握らせてない)
 「Main Agar Kahoon」
 https://www.youtube.com/watch?v=o-Gmhk90JOE

・ボリウッドのスター達が共演
 設定は、30年後輪廻したオームが今度は大スターとなり主演男優賞を受賞、その記念パーティ
 トリの女優さんは大御所らしいけど、ギリシャ神話のゴーゴンみたい(笑)
 終盤戦へ向けての息抜き ザ・ダンシング・タイム!(日本のマサラ上映会で皆が燃え上がる、らしい)
 「Deewangi Deewangi」
 https://www.youtube.com/watch?v=VzLG6OqOcn8
 (2.23 追記)
 3人目のゲスト(1:08)黒いドレス、ヴィディヤー・バーラン「女神は二度微笑む」のヒロイン
 6人目(1:34)、白いドレス、ひと際高ビーな雰囲気、2000年ミス・ワールド、「バルフィー!人生
 に唄えば」で自閉症の娘ジルミルを演じたプリヤンカー・チョープラー。この美貌で、しかも演技派
  参考 「バルフィ!人生に唄えば」予告編
  https://www.youtube.com/watch?v=2mnnk_4neJI

 (11.16 追記)
・僕が男だから「ま、いいか」とUPしてなかったのですが、ちょっと飛車落ち将棋の気が・・。(笑)
 シャー・ルク・カーンのファンの皆さま、ゴメンナサイ。
 42歳と思えないマッチョ、自慢のシックスパック、ひたすらキング・オブ・ボリウッドを眺めるナンバー。
 「水もしたたるイイ男」は国を問わないのですね。
 「Dard E Disco」
  https://www.youtube.com/watch?v=cKs83ZQxYKA
 
 

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 ここから先は「観る予定の無い方」用

・クライマックス前半部
 「オペラ座の怪人」に檄似(音楽自体、所々似てると思う)とか、バックダンサーが手旗信号とか、
 ラスト、「バブル期のお台場のネエちゃん達だろう、それ」とか、気にしない!気にしない!!
 このナンバーに一番嵌ってるかな。(笑)
 新作宣伝の為、マスコミ向けにミュージカルシーンを再現
 そして30年前の事件も再現してみせる
 「Dastaan-E Om Shanti Om」(オーム・シャンティ・オームの物語)
 https://www.youtube.com/watch?v=ymuNkKuToao

・誰かが作った8分で解る「オーム・シャンティ・オーム」
 (これ観たら、どんな映画でどんな結末か解るのでくれぐれも要注意)
 https://www.youtube.com/watch?v=_u7zwlflfcg 

・サービス精神を忘れないインド映画、話が終わってもこれを観なきゃ終われない
 おまけシーン 「Dard E Disco」
 https://www.youtube.com/watch?v=2JtXustLiuk
 (マサラ上映の時はfilm editorとproducer登場シーンでクラッカーが盛大に鳴り響くらしい(笑))

※ちょっと公私混同というか、いちいちyoutube探すの面倒だから一覧を作ったところアリ。 
 ごめんなさい!(汗)

「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」

2016-02-15 21:31:15 | 外国映画
 今回の「ファンタジー企画」は、この作品。

 「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」(「OM SHANTI OM」、2007年、印)
   監督 ファラー・カーン
   脚本 ムスタク・シェイク
   撮影 マニカンダン
   音楽 ディジャル・ダドリニー  シェカール・ラビナニ
   出演 シャー・ルク・カーン
       ディーピカー・パードゥコーン
       アルジュン・ラームパール
       シュレーヤス・タラプデー  

 両親とも端役専門で、その息子オームもやっぱり端役専門。
 そんなオームが大スターのシャンティプリア(シャンティ)に大片思い。
 ひょんな事から二人は友人になるが、オームが言った言葉が仇となり二人に悲
劇が訪れる・・・。

 おいおい「輪廻」って、いろいろなのに生まれ変わった後、人間にまた戻るんだろ、
これは輪廻じゃなく只の「生まれ変わり」ってやつ。
 それに、実によくパクッてる、スターに恋する大部屋俳優って古くは「雨に唄えば」、
最近だと「アーティスト」とか沢山有るけど、雰囲気的には’82の松竹映画「蒲田行
進曲」の小夏とヤスに似てて、これが最初の1時間、クライマックスの舞台装置は
完全に「オペラ座の怪人」、ここの歌で状況説明しながら追い詰めていくのは中々
良かったけど、「オペラ座の怪人」、「マスカレード」、「ザ・ポイント・オブ・ノー・リター
ン」のメロディや雰囲気が頭に浮かんでくる。
 他にもスター女優と一晩だけのデートって「ノッティングヒルの恋人」で、やってる
事は「雨に唄えば」(記憶曖昧)。
 話自体は「オペラ座の怪人」の舞台装置で「四谷怪談」という感じかな。
 冷静に見るとオーム君の恋は残念な結果に終わった気がしますが。(笑)

 「マダム・イン・ニューヨーク」、「めぐり逢わせのお弁当」、「女神は二度微笑む」の
ようなインド・ヌーヴェル・ヴァーグ作品ではなく、伝統的なマサラ映画で歌と踊りの
てんこ盛り170分、そしてマサラ映画の定番「復讐劇」。
 ご都合主義と荒唐無稽、整合性無視のおバカミュージカル、おバカファンタジーの
形を取りながらも、終盤の「哀感」は「女神は二度微笑む」ほどではないけど、素直
に感じられてそこがかなり良かった。
 最初の1時間(ツマらなくはないけど、かなりタルくて、これが後2時間続けば拷問
だと思った)さえ乗り切れば、後は段々面白くなってきて観終われば「良かった」に変
わるのでは。
 ちょっと忍耐も要るけど、面白い作品だと僕は思います。

 役者陣。
 主役でオーム役のシャー・ルク・カーンが欽ちゃんファミリーの小西博之とにしきの
あきらを足して2で割ったような感じで、日本人感覚でいえば太めでスタイルがイマ
イチ、確かインドの大スターなんだけど日本じゃドウダロウ?(脱いだら筋肉マンでは
ある)
 前半、ノレなかったのは彼の顔立ちと’70年代風ギャグのお陰。(前半部は30年
前設定だから、それに合わせたのかなァ)
 ヒロイン シャンティプリア役は新人のディーピカー・パードゥコーン。
 インド映画のヒロインだから美人はデフォだけど、小顔で目が凄く大きい、まるで少
女マンガのヒロインみたい、けれど生身の人間だと、ちょっと人間離れしててまるで
猫のよう。
 有り得ないけど、夜中、ベットで隣に彼女が寝てて寝返り打って目開けたら、彼女
も目開けてこっち見てた、絶対、悲鳴上げてベットから落ちますね、猫娘なんだもん。
(笑)
 その分、印象的といえば印象的かも。

 最後に、この作品、話が終わった後、エンドロールが始まるまでキャスト・スタッフ
の長~い紹介が有るのですが、このオマケ部分が面白く、オチは爆笑ものだから
見逃さないように。
 みんな本物だろうけど最後の二人はホンモノなんだろうか?(笑)
 プロデューサー、40歳過ぎとお見受けしたけど映画女優に負けない美しさ、シュ
リディヴィが49歳であの美貌だから、もう驚きはしないけど、本当にプロデューサー
かいな?と。
 で、次の監督は典型的オバサン、男社会のインドでプロデューサーも監督も女性
ってホントなの?って疑問が、でも監督の名前は確かに女性っぽい。(確認したら
当人でした、プロデューサーはシャー・ルク・カーンの奥様)
 しかしインドって、スタッフまで踊ったり演技しないといけないのだろうか(爆~半
分は踊ってないし撮影監督は撮影用レールに乗って登場してたけど)

 予告編
 https://www.youtube.com/watch?v=VEbPSoNN7F4

 今回のインド美人 ディーピカー・パードゥコーン 
 https://www.youtube.com/watch?v=o-Gmhk90JOE
 これって「雨に唄えば」に似たのが(笑)

※インドの国宝級男優アミターブ・バッチャン 、途中5秒くらい顔出ししてた気が。
 (台詞も一言)
 ここのシーンもそうだけど、受賞パーティのシーンはインド映画のスター大集合
 なのかな、インドの俳優さん知らないから解らないけど。
 一人二人登場する度に主役が一緒に踊るものだから、このシーンの長い事長
 い事、10分以上踊ってたような気がした。(笑)
 https://www.youtube.com/watch?v=VzLG6OqOcn8
※「オーム・シャンティ・オーム」確かに二人のオームとシャンティの話だから、そ
 う取れるけど、古代サンスクリット語の「平和」という古い呪文だとか。(間違って
 たらゴメン)

 H28.2.14
 DVD

※「多分、観ないだろうな」な人に(オマケのキャスト・スタッフ紹介)
  https://www.youtube.com/watch?v=2JtXustLiuk

( 2.17 追記)
※UP後、いろいろ検索してみました。曰く、
 ・「絶世の美女という存在を初確認!」
 ・「何一つ足すものも引くものもない完璧な美女」
 ・「彼女に釘付け、至福の3時間」
 「猫娘」とかホザいてるのは、不肖鉦鼓亭一人だけでした。(汗)
 因みに彼女、本国では「動く彫刻」と言われてるとか。
 

「ヒドゥン・フェイス」

2016-02-12 00:09:18 | 外国映画
  

 「ヒドゥン・フェイス」(「LA CARA OCULTA」、2011年、コロンビア・スペイン)
   監督 アンドレ・バイズ
   脚本 アンドレ・バイズ
   撮影 ホセ・マリア・シビット
   音楽 フェデリコ・フシド
   出演 マルチナ・ガルシア
       キム・グティエレス
       クララ・ラゴ

 先日、「エル・スール」という作品をTUTAYAで探してた時、そのエロっぽい
パッケージに思わず惹かれた作品。(店の推薦作のような扱いだった)
 その時は貸し出し中だったのですが、今日、別の作品を借りに行ったら有っ
たので、ついでに。
 先程、スタッフ・キャストを調べようとして入ったサイトでは、
 「予告編と公式イントロダクションはネタバレすぎて閲覧禁止レベル」
 観る前、ちょこっとfilmarksを覗いた時も、
 「一切、事前情報を入れないように」と。
 なので、僕はパッケージの写真しか見ないで文章は一切見ませんでした。
 もし、この作品を見るなら、僕を含め皆の意見に従うのが正解だと思います。
(パッケージも上半身裸の女性が腕で胸を隠してる、その部分ばかりぼ~~
と見てたお陰で他の情報がスッポリカッポリ、それが良かったのだけどよく見
たらヤバかった、パッケージ、紹介文、予告編何れもアホの所業なので本当
に要注意)
注)アホは「伝染るんデス」なのか、wikに至っては話の始めから終わりまで仔
細に書きまくると言う重症化。

 若手有望指揮者アドリアン、或る日、帰宅すると恋人のべレンが、「あなたと
は続けられない・・・、愛してるけどサヨナラするわ」とメッセージを残し居なくな
っていた。
 警察に捜索依頼をだすものの行方は掴めない。
 傷心のアドリアンはレストランでヤケ酒、正体不明になった彼を店の女の子
ファビアナが介抱して・・・。

 登場人物の限られた小品ながら、よく出来たミステリーサスペンス、そして心
理劇としても一級だと僕は思います。
 ホント、これ以上、何も書けなくて辛いのですが鉦鼓亭今年2本目の推薦作
です。
 (清々しい気持ちになりたい方は不向き)

※英語弱くて助かった・・今現在もタイトルの意味が不明。(汗)
※僕は20代後半から30年近いブランクが有るので、こういう終わり方の作品
 って有るのかもしれないし、今迄観た中でも何となく有ったような気もします。
 あの終わり方、子供の時、熱中して見てた「ウルトラQ」の2作品に感じが似て
 ると言えば似てるかも。
※僕はダイナマイト・ボディが苦手で、どちらかというと貧乳(ハリウッド基準)の
 ほうが落ち着く。(笑)
 この作品、どちらも僕好みというか・・・。(汗)
 二人とも角度を間違えなければ凄く可愛いタイプ、でも髪型が合ってないよう
 な気もするし
、わざわざ可愛く見えない角度で撮ったりしてる、多分、意図的に
 やってるんじゃないかと。
 ファビアナ役のマルチナ・ガルシア は、コロンビアのソフィー・マルソーって感じ
かな。

 2016.2.11
 DVD