セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「カメラを止めるな!」〜その2 ネタバレにつき要注意!!

2018-08-01 01:01:19 | 邦画
 最初の37分、手持ちカメラの為、三半規管の弱い方はちょっと辛いらしい、でも、そこを頑張って観て下さい。(特に前方の席は要注意みたい)

 全国拡大公開、おめでとうございます!
 けれど、この作品、小〜中規模のハコが適正かも、満杯で観客の一体感を味合うにはそれ位が丁度いい、勿論、大きなハコが満員で皆で爆笑なら、それが一番いいのは当然だけど。
 作品が上出来なのと別に、「バーフバリ」と同じで満員の観客達との一体感を楽しむ、そんな一種のイベント感覚が自然発生してるんです、ライブコンサートに例える人が多いけど、僕は寄席かな、ちゃんと芸が有ってノセるのが上手い漫才師とか。

 ここから、ネタバレにつき要注意! 観た人限定




 さて・・・。
 F・トリュフォーがスケッチ風に作った「アメリカの夜」を、喜劇に思いっきり振ったのがこの作品、その意味では三谷幸喜の「ラヂオの時間」が一番似てる。
 ((この作品を作る上で)上田監督は影響を受けた作品として三谷幸喜他いくつか作品を挙げてますが、そこに「アメリカの夜」も、やっぱり、入ってた)
 コメディじゃなく僕の中では、これは喜劇。
 脚本に書いてある計算された笑いとハプニングによる笑い(ドッキリとは似て非なるものだけど、近種とは思う)を、非常に上手く映画の世界に纏めてる。
 でも、それだけだったら、ただの喜劇で此処までウケなかったでしょう。
 ドタバタを畳み掛けて笑いを獲りつつ滑らかに着地を決めた、その着地点が良かった。
 映画を観た誰もが言う、監督、スタッフ、キャストの「映画愛」へ持って行ったのは確かに上手いけど、それだけなら「アメリカの夜」と同じ、上田監督は、其処にさり気なく「家族の絆・再生」を加えていて、それが後味を更に良いものにしたんじゃないでしょうか。(トリュフォーは人間の愛に絶対的不信感があるから、こうはしない(笑))
 そして、答え合わせの為、もう1回観たくなる作品であり、観ると、何故か宣伝、応援をしたくなる不思議な映画。(笑)

 「「ハン・ソロ」だったら2秒しか撮れない」by上田監督
 金掛けた映画には、勿論、その基準の良さがあるし、それに見合う傑作も当然、生まれる、余りに制作費事情が透けて見えるショボくて貧乏ったらしいのは「映画の夢」が見れなくて、ちょっと、僕は願い下げ。
 でも、内田けんじ監督の「運命じゃない人」と同じで、この作品にはアイデアが溢れ、テンポ良くプラス快活なもんだからチープさが致命傷になってない。
 廃墟、公園、誰かのマンションのダイニングキッチン、どっかのビルの屋上、モニタールームや機材は映画学校の企画だから激安かサービスで使える、金掛かってないのは一目瞭然なんだけど、ちゃんと「映画の夢」が見れるし爆笑出来て映画愛まで感じられる。
 制作費300万の作品が何億何十億掛けた作品より話題になって大入り続き、判官贔屓を差し引いても痛快な出来事なのは違いありません。

※この作品を有名俳優使ってリメイクしたら絶対、嘘臭くなる、無名だからこそ活きる映画で、その点も非常に上手くやりましたね。
 リハーサルを相当繰り返してやらないと此処まで出来ないでしょう、それだけの時間と根気が必要な作品で、「拘束時間は3時間、よろしくで〜す」なんてアイドルやスターさんは使えません。
 37分の本番自体は6テイクらしいけど、そこに辿り着くまで、どれだけ稽古した事やら。

 

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