セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

映画手帳 2016年10月~12月

2016-12-28 23:08:36 | 映画手帳
  (10月)
☆「ハドソン川の奇跡」(TOHOシネマズ日本橋)、☆「淵に立つ」(有楽町スバル座)、
「パリジェンヌ」、☆「世界一キライなあなたに」(イオンシネマ板橋)
※「七人の侍」(TOHOシネマズ日本橋)
  (11月)
「第七の封印」、☆「PK」(恵比寿ガーデンシネマ)、
「モンパルナスの灯」(TOHOシネマズ日本橋)、「柔らかな肌」、
☆「この世界の片隅に」(池袋HUMAXシネマ)、「戦場のピアニスト」(TOHOシネマズ日本橋)、
☆「キャロル」、☆「イット・フォローズ」
  (12月)
「遠い空の向こうに」、「ミロクローゼ」、
「スモーク」、「雨月物語」(角川シネマ新宿)

☆新作 ※再見

 少し早いかもしれませんが、年内最終更新になります。
 今年1年、大変、お世話になりました、ありがとうございます。
 皆さま、良いお年をお迎え下さい。

 年の瀬の せわしなき日も あと少し
  来る日来る歳(とせ) 幸多かれと

   鉦鼓亭

「スモーク」

2016-12-25 00:57:03 | 映画感想
 「スモーク」(「Smoke」、1995年、米・日・独)
   監督 ウェイン・ワン
   脚本・原作 ポール・オースター
   撮影 アダム・ホレンダー
   音楽 レイチェル・ポートマン
   出演 ウィリアム・ハート
       ハーヴェイ・カイテル
       ハロルド・ペリノー・ジュニア
       フォレスト・ウィテカー  ストッカード・チャニング

 NYブルックリンの街角にある煙草屋。
 そこの店主オーギーと彼に繋がる人達の人生模様をオムニバス風に描いて
いく。

 人が語る事は冒頭に示されるエリザベスⅠ世の煙の量計のように嘘か真か、
実に眉唾の類である。
 煙草の煙のように実態が見えるようで直ぐ無に帰してしまう。
 しかし、その掴み所のない真実らしきものを真実と思い、人間の善性を疑い
ながらも信じなければ生きていけない、弱くて強い、それこそが人間の正体で
はないのか。
 黒澤の「羅生門」の杣売りのように。

 観て感じたのは「羅生門」のバリエーション、もしくは発展型ではないかと。
 「真実は一つのようで、個人々々の問題でしかない」
 それはエピローグのオーギーと老婆の映像と、その始めにタイプライターで
印字される「「オーギーのクリスマス・ストーリー」とポールの名前」が語ってい
る気がします。
 真実と見るか物語と見るか?(その意味では後年の「ライフ・オブ・パイ」に
も似てる)
 オムニバス風に語られる話それぞれに結末は描かれていない、観客の想
像に任されていますが僕はそこに「羅生門」のラストと同じ人間の善性に対す
る「希望」が託されていると感じました。
 この物語で扇の要である杣売りの位置に居るのがオーギー、話を進行させ
る動力である多襄丸の位置がポール、そして疑念を提示する真砂と武士が
ラシードとルビー。
 そこにクリスマスに象徴される「赦し」の要素を入れた。
 人間の善性に希望を託すという意味ではF・キャプラの「素晴らしき哉、人生
!」、「ボケット一杯の幸福」にも通じてる。
 捻くれた考えで多分ピントずれしてるだろうけど、僕はそんな事を連想しまし
た。

 今の時期にピッタリな作品かもしれません。
 良い作品だと思います。

※葉巻は香りも味もめっちゃ強くて、喫煙者の感想としては魅力は凄くあるん
 ですよね。
 でも、あれを毎日吸ってたら還暦なんて無理だったろうな。(1本なんて1回
 では吸えないから鋏で途中で切り何回かに分けるのだけど、それでも肺に
 ダメージを感じる~それに葉巻ってガタイの大きい外人じゃないとサマにな
 らない)
 匂いもキツイから鈍感になってる僕さえ部屋から何日も匂いが取れないの
 が解ります。
※今年は「ブルックリン」、「ニューヨーク眺めのいい部屋売ります」、本作とブ
 ルックリンを舞台にした作品が何故か多かった。

 H28.12.23
 DVD

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  我、鏡を見て詠める

 安するめ 噛めば噛むほど 味はなし

「ミロクローゼ」

2016-12-19 00:27:02 | 映画日記/映画雑記
 「ミロクローゼ」(2011年、日本)
   監督 石橋義正
   出演 山田孝之
       マイコ

 園子温監督の「ひそひそ星」に似た、随分とシュールなお話でした。

 取り敢えず「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」の楽曲「Dard E Disco」
を観て、今年中に「ロッキー・ホラー・ショー」を観なくちゃ・・・。
 
 故・山本夏彦氏の言った「日本人は皆、エセ毛唐である」をしみじみ感じました。

 ケフコタカハシさん、こんな感想になってしまい、ごめんなさい!!

 H28.12.18
 DVD
 

「遠い空の向こうに」

2016-12-13 00:01:03 | 映画感想
 「遠い空の向こうに」(「October Sky」、1999年、米)
   監督 ジョー・ジョンストン
   原作 ホーマー・エイチ・ヒッカム・ジュニア「 Rocket Boys」
   脚本 ルイス・コリック
   撮影 フレッド・マーフィー
   音楽 マーク・アイシャム
   出演 ジェイク・ギレンホール
       クリス・クーパー
       ローラ・ダーン

 行きつけのTSUTAYAで評点が高く知らない作品だったので借りてみま
した。

 1957年10月、ソ連が打ち上げた人類初の宇宙衛星スプートニク。
 ウェスト・ヴァージニアの炭鉱町でそれを見上げる高校生ホーマー。
 彼は友人2人とガリ勉1人を誘い独自のロケット製作を始める・・・。

 何となく既視感の有る作品。
「我が谷は緑なりき」、「おもいでの夏」、「スタンド・バイ・ミー」にサクセスス
トーリー、父子再生を混ぜ込んだ感じ。
 感想を一言で言えば「1950年代の「我が谷は緑なりき」」かな。
 良い作品だと思うし、ちゃんと泣けましたよ。(笑〜僕の涙は安いけど)
 でも、僕にとっては其処までの作品、特に感銘を受ける・・・と言う事は
無かった。(汗)

 エンドクレジットでオールディーズが掛かった瞬間、「あ、これはノスタル
ジー(感傷)なんだ」と少し醒めてしまった。
 アメリカに、世界中に「夢」が有った時代。
 数年前気付いたのですが、今の僕はセンチメンタルな割に、余りノスタ
ルジーに心が動かない性質なんですね。(「ニュー・シネマ・パラダイス」
とか・・・、「ブルックリン」、「キャロル」も同じ1950年代だけど、その時代
の人間を描いて、その時代で完結してるから僕の感覚ではノスタルジー
じゃない)

 プロムでクィーンになりそうな娘にヒジ鉄喰らわす所が良かった。(ホン
ト、性格悪いわ自分)

※原題「October Sky」が原作「Rocket Boys」のアナグラムって、よく考え
 たもんだ!
※中学の頃、アルミのペンシルキャップに卓球の球を細かく刻んで詰込みケツを
 ペンチで圧着、それをロウソクで加熱するとプシューとロケットみたいに飛ん
 でく。(3~5mたけど(爆))
 友人達と発射台まで作って遊んだのを思い出しました。(笑)

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 打ち上がる そのロケットに 込めしもの
  僕らの願い 思えばかなうと

 2016.12.11
 DVD