セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

映画日記 2018年その7

2018-08-20 22:37:05 | 映画日記/映画雑記
 「ゾンビ」(「Dawn of the Dead」/「Zombie」、1978年、米・伊)
   監督 ジョージ・A・ロメロ
   脚本 ジョージ・A・ロメロ
   撮影 トム・サヴィーニ
   音楽 コブリン
   出演 デイヴィッド・エンゲ
       ケン・フォーレ
       スコット・H・ラインガー
       ゲイラン・ロス

    H30.8.13
    DVD

 「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(「Night of the Living Dead」、1968年、米)
   監督 ジョージ・A・ロメロ
   原案 ジョージ・A・ロメロ
   脚本 ジョン・A・ルッソ
   撮影 ジョージ・A・ロメロ
   音楽 ウィリアム・ルース  フレッド・シュタイナー
   出演 デュアン・ジョーンズ
       ジュディス・オーディア
       カール・ハードマン  キース・ウェイン

    H30.8.19
    DVD  

 ホラー系は怖がりなので殆ど門外漢、なので、詳しい方には、今更だったり、的外れになると思います。
 この二作品を観て感じたのは、ゾンビを使ったアメリカン・ニューシネマかな、と。「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」には特にその傾向を感じました。
 あの時代、アメリカの新人監督なら影響を受けてない人を探す方が大変だけど、何か懐かしいモノを観ている気がしてしまいました。
 ゾンビ好きな方には申し訳ないけど、ゾンビってえらくドライで即物的で(内蔵引っ張り出して食べるとか)、親類のドラキュラに較べてロマンも哀感も無くて、だからなのか、ゾンビの存在に面白味を感じる事が出来なかったです。  
 物語の方は、まあまあ面白いかなという感想。
 「ゾンビ」も「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の予算拡大版な感じで、やはり、「ゾンビ」は丸々、wikで話を知っていたのと、「ナイト〜」も少し前にBSで放映してたロメロ監督の人物紹介番組で結末を聞いてしまったのが自分的には致命傷でした。(この歳まで情報、遮断してたのに(涙))
 リアルタイムだったら、きっと、印象に残ったと思います。(「また、ニューシネマか」で終わったかも・・・)
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「湯を沸かすほどの熱い愛」

2018-08-16 22:48:22 | 邦画
 「湯を沸かすほどの熱い愛」(2016年、日本)
   監督 中野量太
   脚本 中野量太
   撮影 池内義浩
   音楽 渡邊崇
   主題歌 きのこ帝国
   出演 宮沢りえ
       杉咲花
       オダギリジョー
       伊東蒼
       松坂桃李   篠原ゆき子

 幸野双葉は一人娘 安澄と共に二人暮らし、夫 一浩は1年前に蒸発、営業していた銭湯を閉め、今はパン屋でバイトして生計を立てている。
 安澄は学校で苛めを受けていたが、双葉はもっと強く生きるよう諭す、そんな双葉の身体に異変が・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=PRx-P0iC4UE

 「ジェーン・ドゥの解剖」が怖がらさせる事に特化した作品なら、本作は泣かせる事に特化した作品。
 明治から戦後10年位までは小説等で結構有ったし、病気による死別で泣かせるのは吉永小百合(島かおり)の「愛と死をみつめて」、百恵・友和「赤い疑惑」以来の定番。(「赤い疑惑」の元は「ある愛の詩」でしょうけど)
 愛する人の死とそれを前提にして様々な仕掛けを用い「泣かせ」に掛かる、余り僕の好きでないジャンル。身近な人が亡くなって涙するのは当たり前。

 只、この作品、死を前にした母親が個々の自立を促し、それによって自分を含めた新しい家族を創り上げていく、その過程に重点を置き、家族とは血なのか絆なのか、本当の家族とは何かを問うています。
 そのテーマは良いし、悔しいけど多種多様な仕掛けが素直に上手いと思う。死期間近というタイムリミットでドラマを圧縮し、普通ならあざと過ぎると感じさせる仕掛けを余り意識させない、その演出は長編初挑戦を感じさせない力量が有りました。
 これを死別使わず別の材料で作ってくれたら・・・。

 この、かなり強引な涙話にリアリティを持たせ実際に多くのハンカチを湿らせたのは、演出もさることながら、宮沢りえ(母)、杉咲花(長女)、伊東蒼(次女)の女優三人、力演に傾く所をダメ人間ぶりで中和させたオダギリジョー(父)の役者たち。
 特に各映画賞を掴み取りした、宮沢りえと杉咲花の演技は圧巻と言っていいくらい素晴らしかったです(伊東蒼ちゃんも良かったよ)、剛柔取り混ぜ自然体とバイタリティ、母親の強さを感じさせた宮沢りえ、心の成長を絶妙に演じた杉咲花。
 この作品、主要出演者には全て見せ場が用意されていて役者さんにも演じ甲斐が有ったんじゃないでしょうか、りりぃさんなんてほんの10秒位しか出番ないのに「本当に憎たらしく」感じてしまう演技で、このシーンは演出も素晴らしかったと思います。

 死別でも何でも、兎に角、泣きたい方にはお薦めします。(泣くとストレス軽減になると言うし)

※賛否両論あるラストシーン、僕は心の無い形式より気持ちのこもった形があれば、それは自由だと思うけど、ちょっと三毛別羆事件(グロいので検索注意)の熊汁を思い出してしまった。(汗)
※オダジョー、営業日は兎も角、定休日くらい女房の傍に居ろや!ムカっとしたぜ。
※手話の件で涙腺崩壊。

 H30,8.15
 DVD

 
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「白い肌の異常な夜」

2018-08-15 00:41:05 | 映画感想
 「白い肌の異常な夜」(「The Bequiled」、1971年、米)
   監督 ドン・シーゲル
   原作 トーマス・カリナン
   脚本 ジョン・B・シェリー   グライムス・グリス
   撮影 ブルース・サーティース
   音楽 ラロ・シフリン
   出演 クリント・イーストウッド
       ジェラルディン・ペイジ
       エリザベス・ハートマン
       ジョー・アン・ハリス  パメリン・ファーディン   

 南北戦争、南部の戦場で負傷したマクバーニー伍長(北軍)は危うい所で少女エミーに助けられる。
 彼女の暮らす寄宿制女学院で秘密裏に治療を受ける伍長だが、そこは抑圧された女だけの館・・・。

 男臭い映画を撮るというイメージのドン・シーゲルが女性に重点を置いた異色作。
 物語としても面白いし、女達の心理を上手に描いてると思います。
 でも、僕が男だからか、男視点の女性心理の範囲を越えていないと言うか、女心の奥の院には届いていない気がしました、隔靴掻痒という感じ。
 男から見て彼女たちの行動が全て想像を越えていかないんです。
 その辺をしてソフィア・コッポラにリメイク(「The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ」)させる気を起こしたのかも。(未見だけど女性心理の機微をより鮮明に描いた作品らしい)

 女だけの屋敷に滞在するなら行儀良くしてないとね。(笑)
 でも、伍長、最初のシーンで声を出させない為とはいえ10歳のエミーの唇をキスで塞ぐって、かなり、女に手慣れてる。(手を負傷してるとは言え)
 敵陣の中、介護されてる弱味で良く見せようなのか、言う事も相手が望むような事ばかり喋るけど女たらしの本性がチラチラしてます。
 自分のイケメン振りを利用した積りが女の館で三つ又掛ければどうなるか・・・、ちょっと、女性を甘く見ちゃいましたね。
 エドウィーナだって、あのまま二人で出て行ったら北軍のキャンプでポイされるか、足の事でネチネチ言われ彼女のヒモで甘い汁を吸われるか、どちらかでしょう。
 結局、一番油断していたエミーに復讐された訳で、エミーに始まりエミーで終わる物語。
 それにしても、最後の晩餐のエミーの台詞は子供らしい怨念が籠っていて素晴しかったです。

※院長とエドウィーナ、どちらにしようかをキャロルに見付かった時、大人しく自室へ戻ってればなんですが、あの娘だと何もなくても翌朝「夜中に無理矢理、暴行された」と言うんだろうな。(怖)
※もしかしたら、「肝試し」に使えるかもと思ったけど、そっち方向じゃなかった。(笑)

 H30.8.12
 DVD
 
 
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映画日記 2018年その6

2018-08-13 13:36:10 | 映画日記/映画雑記
 「ジェーン・ドゥの解剖」(「The Autopsy of Jane Doe」、2016年、米)
   監督 アンドレ・ウーヴレダル
   脚本 イアン・ゴールドバーグ    リチャード・ナイン
   撮影 ロマン・オーシン
   音楽 
   出演 エミール・ハーシュ
       ブライアン・コックス
       オルウェン・ケリー
       オフィリア・ラヴィボンド

 一家惨殺の現場、捜査官達はその家の地下に半埋め状態の死体を見付ける、外傷も見当たらず警察は司法解剖の免許を持つモルグの家へジェーン・ドゥ(名無しの花子?)として持ち込み、死因を調べるよう依頼した・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=Hah9pRYCruk 

 怖がらせる事に特化したのはいいけど、理由付けまで手が回らなかったみたい。
 解剖というグロが観たいなら、それでいいけど、肝心の「怖さ」は一所懸命頑張った割に場末の遊園地のお化け屋敷クラスで、理由はとって付けたのか、偶々、本で見掛けたのかっちゅうくらいお粗末でナーンも怖くない。
 まぁ、これが拡がってパニックとなり続編をシリーズ化する積りなのかもしれないけど、これ単体で見れば序章なんで、僕には何が面白いんだかサッパリの時間泥棒でした。(汗)

※牡丹灯籠のカランコロンの方が怖いよ~。
※アメリカの低予算映画。

 H30.8.11
 DVD

 「ショーン・オブ・ザ・デッド」(「Shaun of the Dead」、2006年、英)
   監督 エドガー・ライト
   脚本 エドガー・ライト  サイモン・ペッグ
   撮影 デヴィッド・M・ダンラップ
   音楽 ダン・マッドフォード  ピート・ウッドヘッド
   出演 サイモン・ペッグ
       ニック・フロスト
       ケイト・アシュフィールド
       ペネロープ・ウィルトン  ビル・ナイ

 ロンドンの冴えない家電販売員ショーン、365日無限ループのような生活、同居してるだらしない親友エドのお陰もあって恋人に振られてしまう。
 次の日、何時の間にやら町中がゾンビだらけになっていて・・・。
  
  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=b-kIiMnWQcI

 サイモン・ペッグ&ニック・フロストだから、それなりに面白い、特に後半はいろいろ魅せてくれました。
 でもこれ、有名なロメロ監督の「ゾンビ」(「 Dawn of the Dead」)のパロディなんだとか、元ネタ知らないから、その部分の可笑しさが解らず、知っていたら、もっと、楽しめたのかなと思うと少し残念な気分になりました。
 特にここが面白いってのは無かったけど、ゾンビ攻撃に使うレコードでモメるオタクネタにはクスッと、気持ち解る。(でも、只のネタ)
 
 やっぱり、ロメロの作品観ておかないと基本知識に問題出そうなんで、近い内、「 Dawn of the Dead」は観てみます、って、この作品との関係で、あらすじWikで読んじゃったけど、仕方がない・・・。(涙)

※「カメラを止めるな!」未見の方々が「ショーン・オブ・ザ・デッド」のような作品なんだろ、と推測してたので観てみたら、全然、違うじゃない!(笑)、ゾンビ+コメディという噂でこの作品に行き当ったというのは解った。
 只、「カメラを止めるな!」のポスター、パンフレットの背景に描かれてる多数の手は確かに、この作品を連想させます、それも、「 Dawn of the Dead」なのかもしれないけど。

 H30.8.12
 DVD
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「ザ・マジックアワー」

2018-08-05 23:01:38 | 映画日記/映画雑記
 「ザ・マジックアワー」(2008年、日本)
   監督 三谷幸喜
   脚本 三谷幸喜
   撮影 山本英夫
   音楽 荻野清子
   出演 妻夫木聡 佐藤浩市
       深津絵里 綾瀬はるか
       西田敏行 香川照之
       小日向文世 戸田恵子

 クラブ「赤い靴」の支配人 備後登はこの港町を支配している組長の女 マリに手を出してしまい窮地に。
 助命条件として伝説の殺し屋デラ富樫を連れて来るという約束をしてしまう・・・。

 中盤まで、何度、観るのリタイアしようと中断したことか。とにかく、苦痛だった。
 終盤は良いのだけど、だからと言って、もう一度、あの前半を観たいとは思えない。
 評判の上田慎一郎監督「カメラを止めるな!」と似た感じだというのと三谷幸喜さんの名前で観たけど、「カメラ~」を観た後だからか、前半のコメディ部分のテンポが悪過ぎて悪過ぎて、コメディ得意の人とは信じられないくらい。
 監督は前半のコメディ部分と後半のドラマ部分でテンポチェンジしてる積りかもしれないが、僕から見るとテンポがハナから終まいまで一本調子。
 そのテンポ、後半の人情ドラマの部分はピッタリだと思う、でも、同じテンポで前半のコメディやられちゃ間延びが酷くて欠伸も出ません。
 三谷さんが超売れっ子で、好きなだけ有名俳優使えるとしても、俳優の無駄使いにしか見えなくて、そこも、気分的にマイナスでした。(当人は「八十日間世界一周」の気分かもしれないけど)
 ファンの方には申し訳ないけど、酷い感想になってしまい残念です。

※パロディを楽しむというのは、本編の屋台骨がしっかりしててこそなんですね、沢山のパロディも無駄使い。「カサブランカ」より「ボギー!俺も男だ」を意識したかなって所も有ったけど活きてなかったし。

 H30.8.5
 DVD
 
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「カメラを止めるな!」〜その2 ネタバレにつき要注意!!

2018-08-01 01:01:19 | 邦画
 最初の37分、手持ちカメラの為、三半規管の弱い方はちょっと辛いらしい、でも、そこを頑張って観て下さい。(特に前方の席は要注意みたい)

 全国拡大公開、おめでとうございます!
 けれど、この作品、小〜中規模のハコが適正かも、満杯で観客の一体感を味合うにはそれ位が丁度いい、勿論、大きなハコが満員で皆で爆笑なら、それが一番いいのは当然だけど。
 作品が上出来なのと別に、「バーフバリ」と同じで満員の観客達との一体感を楽しむ、そんな一種のイベント感覚が自然発生してるんです、ライブコンサートに例える人が多いけど、僕は寄席かな、ちゃんと芸が有ってノセるのが上手い漫才師とか。

 ここから、ネタバレにつき要注意! 観た人限定




 さて・・・。
 F・トリュフォーがスケッチ風に作った「アメリカの夜」を、喜劇に思いっきり振ったのがこの作品、その意味では三谷幸喜の「ラヂオの時間」が一番似てる。
 ((この作品を作る上で)上田監督は影響を受けた作品として三谷幸喜他いくつか作品を挙げてますが、そこに「アメリカの夜」も、やっぱり、入ってた)
 コメディじゃなく僕の中では、これは喜劇。
 脚本に書いてある計算された笑いとハプニングによる笑い(ドッキリとは似て非なるものだけど、近種とは思う)を、非常に上手く映画の世界に纏めてる。
 でも、それだけだったら、ただの喜劇で此処までウケなかったでしょう。
 ドタバタを畳み掛けて笑いを獲りつつ滑らかに着地を決めた、その着地点が良かった。
 映画を観た誰もが言う、監督、スタッフ、キャストの「映画愛」へ持って行ったのは確かに上手いけど、それだけなら「アメリカの夜」と同じ、上田監督は、其処にさり気なく「家族の絆・再生」を加えていて、それが後味を更に良いものにしたんじゃないでしょうか。(トリュフォーは人間の愛に絶対的不信感があるから、こうはしない(笑))
 そして、答え合わせの為、もう1回観たくなる作品であり、観ると、何故か宣伝、応援をしたくなる不思議な映画。(笑)

 「「ハン・ソロ」だったら2秒しか撮れない」by上田監督
 金掛けた映画には、勿論、その基準の良さがあるし、それに見合う傑作も当然、生まれる、余りに制作費事情が透けて見えるショボくて貧乏ったらしいのは「映画の夢」が見れなくて、ちょっと、僕は願い下げ。
 でも、内田けんじ監督の「運命じゃない人」と同じで、この作品にはアイデアが溢れ、テンポ良くプラス快活なもんだからチープさが致命傷になってない。
 廃墟、公園、誰かのマンションのダイニングキッチン、どっかのビルの屋上、モニタールームや機材は映画学校の企画だから激安かサービスで使える、金掛かってないのは一目瞭然なんだけど、ちゃんと「映画の夢」が見れるし爆笑出来て映画愛まで感じられる。
 制作費300万の作品が何億何十億掛けた作品より話題になって大入り続き、判官贔屓を差し引いても痛快な出来事なのは違いありません。

※この作品を有名俳優使ってリメイクしたら絶対、嘘臭くなる、無名だからこそ活きる映画で、その点も非常に上手くやりましたね。
 リハーサルを相当繰り返してやらないと此処まで出来ないでしょう、それだけの時間と根気が必要な作品で、「拘束時間は3時間、よろしくで〜す」なんてアイドルやスターさんは使えません。
 37分の本番自体は6テイクらしいけど、そこに辿り着くまで、どれだけ稽古した事やら。

 
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