セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「きっと、うまくいく」

2014-11-24 22:53:56 | 外国映画
 「バルフィ!人生に唄えば」を観ていろいろ検索してると、必ずこの作品の
名前が出て来ました。
 傑作「きっと、うまくいく」と較べて云々。
 凄く気になってたのですが171分という時間に躊躇、しかし、「放って置く
訳にもいくまい」で連休の余裕を使って挑戦。(土曜が「6才のボクが、大人
になるまで」で150分、今日が170分、眩暈がする(笑))

 「きっと、うまくいく」(「3 Idiots」・2009年・印)
   監督 ラージクマール・ヒラーニ
   原作 Chetan Bhagat「Five Point Someone」
   脚本 ラージクマール・ヒラーニ  ヴィドゥ・ヴィノード・チョープラー
       ジット・ジョーシ
   撮影 C.K.ムラリーダラン
   音楽 シャンタヌー・モイトラー
   出演 アーミル・カーン
       R・マダヴァン
       シャルマン・ジョーシー
       カリーナー・カプール

  大学を卒業して10年近く、そんな或る日、旧知のチャトゥル(通称サイレ
ンサー~劇臭の透かし屁をする)から行方知れずになっていたランチョーの
所在が解ったと知らせが入る。
 ランチョーの親友ファルファーンとラージューは友誼を結んだ学生時代を振
り返る・・・。

 笑いあり人情あり涙あり、ついでにインド映画らしく音楽ありの感動娯楽超
大作。(笑)
 でも冗談抜きで世評通りの凄く良い作品でした。
 簡単に言えば「俺たちの旅」の濃縮3時間版みたいな話だけど、三流大学
のノンポリが主人公の「俺たちの旅」と違い、舞台はインドでトップクラスの工
科大学で主役のランチョーは大秀才のスーパーマン(他二人は落ち零れで
すけど)。
 今はコメディ、ヒューマンドラマ、恋愛ものとそれぞれの分野に特化されてし
まった気もするのですが、1960年代頃までには、まだ有ったコメディでヒュー
マンドラマで恋愛もありの「何でも詰め込んじゃえ」的な映画。
 それぞれ独立できる分野を混ぜて繋げていくには、やはり「七人の侍」の勘
兵衛みたいなスーパーマンが必要なんだと思います。
 そんな、ある意味古いタイプなのかもしれませんが、それぞれのパートに手
抜きが無く充実しているので171分の長さが、ちっとも苦になりません。
(但し、もう少し省略法を使った方がいいと思う)
 最初、懐疑的だったファルファーンとラージューがランチョーを心から信頼す
る過程も納得出来る作りになっています。
 「バルフィ!人生に唄えば」と「きっと、うまくいく」
 インド映画、恐るべしの感を強くしました。

※ハーバード法学院を舞台にした「ペーパーチェイス」のハチャメチャ・インド
 版とも言えます。
 この三人、相当、ヒドイ事をやらかしますが、僕たちの学生時代も、これほど
 大胆ではないけど、かなりハチャメチャの事をやってて、何となく懐かしい気
 がしました。
 途中「強姦」の言葉で笑いを取るので女性の方たちには不快かもしれません
 が、日本語で例えれば「げんきん」の一文字を変えて「いんきん」にしたような
 言葉遊びなので・・・(本当に「強姦」する訳じゃないし、誰かを脅かす訳でもな
 い~まぁ、サイレンサーは気の毒だった、「キャリー」なら皆殺しだワ)。
※インド映画に美女は付きものだけど、今回のヒロインは松居一代のインド版
 みたいでイマイチ萌えにくかった・・・。(笑)
 最初の方にチラッと出てきたラージューの奥さんの方が遥かに別嬪のような。(汗)
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「6才のボクが、大人になるまで」

2014-11-23 20:43:07 | 映画感想
 「6才のボクが、大人になるまで」(「Boyhood」・2014年・米)
   監督 リチャード・リンクレイター
   脚本 リチャード・リンクレイター
   撮影 リー・ダニエル  シェーン・ケリー
   編集 サンドラ・アダイア
   出演 エラー・コルトレーン
       パトリシア・アークエット
       ローレライ・リンクレイター
       イーサン・ホーク

 タイトル通りの作品。
 シングル・マザーの子供(姉弟の弟の方)がカレッジに入学、入寮した日までの12年間をドキュメンタリー・タッチで描いています。
 同じドキュメンタリー・タッチだった「ブルーバレンタイン」の続編のような感じでもあるし、倉本聡の「北の国から」の純と蛍のアメリカ版にも思えます。
 只、何十時間使って描いた「北の国から」と2時間半の「6才の~」では、当然、深みが違います。
 それでも12年間を費やし、的確に演出、編集した本作の完成度は高く、批評等で高評価なのは納得できるものが有りました。
 
 この作品は6才~18才までのメイソンJr.の視点で語られていきますが、紆余曲折は有っても大きな「衝突」が無いんですよね、親子、姉弟、義父との関係、どれも小さな衝突は有っても価値観の相違による大きな「衝突」が無い。
 普通の人生がそうであるように、映画内でも上手にかわし、擦り抜け、やり過ごしていくんです。
 その辺に150分の映画として淡々とし過ぎてる感じがして、イマイチ評判ほど僕は乗り切れませんでした。

 「人の営み」はどんなに文明が進化しても、本質的な所では殆ど変りは無い。
 「歴史は繰り返す」とまでは言えないけど、似た事の繰り返しが続いていく。

 僕は「ブルーバレンタイン」の方が遥かに好きです。

※「観てれば解るだろ」なんだろうけど、一切の説明なく時間軸が変わっていくのは、ちと不親切。(これ、そういう映画じゃないでしょ)
 15才を過ぎると、髪型とかで感知しないといけないし。
 例えば、夜のシーンの次、朝のシーンは1年後、2年後なのに、スムーズに繋いでるから非常に疲れる。
 それが6才~18才まで、ずっと続くんですよ。(笑)
※アメリカに絶望したデレク・シアンフランス監督、まだ希望は残ってると信じたいリチャード・リンクレイター監督、そんな感じを受けました。
 
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「冬の華」

2014-11-17 22:48:22 | 邦画
 「冬の華」(1978年・日本)
   監督 降旗康男
   脚本 倉本聰
   撮影 仲沢半次郎
   音楽 クロード・チアリ
   使用曲 チャイコフスキー ピアノコンチェルト第1番
   出演 高倉健
       北大路欣也
       田中邦衛
       池上季実子  倍賞美津子
       藤田進    池部良
       夏八木勲   三浦洋一
       峰岸徹     小池朝雄
       大滝秀治   寺田農
       岡田眞澄   小林稔侍

 「そうするより、しょうがねぇと思ったんだ、
  何とか・・見逃しちゃくんねぇか、
  お前とは、長ぇ付き合いじゃねえか・・・・
  ガキがいるんでぇ、
  何とかなんねぇか」

 池部良と小池朝雄の同じ台詞が印象に残る映画。
 そんな泣き落しより義理が勝る、健さん主演の任侠映画。
 倉本聰 がヤクザ映画を書くと、こうなります。
 「足長おじさん~任侠編」(笑)

 親分を関西の組織に売ろうとした幹部、それを知った健さんが幹部を殺害。
 その幹部には3歳の娘がいて・・・。

 とにかく変わったヤクザ映画で、全編センチメンタリズムに溢れています。
 クロード・チアリ作曲の抒情的なギター曲、チャイコフスキーのピアノ協奏
曲第1番、シャガールの絵。
 どれもヤクザ映画とは異質なのですが、この映画では、それ程変でもない。
 それに健さん、この作品ではヤクザなのに「白いご飯」食べないんですよ。
 OPではトーストにジャム附けて美味そうに食べてるし、その後も中華、ステ
ーキとパンでナイフ&フォーク(健さん、食事用のナイフを持っても凶器にしか
見えん(笑))、クラッシック喫茶でチャイコフスキーを聞きながらコーヒー。
 ヤクザ映画ファンからはパフェかソフトクリームみたいな任侠映画とイマイ
チの評判も有ったけど、映画雑誌の年間ベスト10にも入った作品で僕は好
きでした、と言うか、僕が見られる唯一と言ってもいい任侠映画。
 (最近は江波杏子の「女賭博師」も見たりしますけど)

 観たのは公開の年だから、もう36年経ったんですね。(汗)
 30年以上経って、細かい事は殆ど忘れていましたが、幾つか強い印象を
残してたものが有りました。
 ・冒頭に書き出した台詞
 ・話より役者の印象が強い
  具体的に言うと、
  1に小池朝雄、2に親分役の藤田進、3に当時まだ売れてなかった小林
稔侍(初見の時、まだ余り知らなかったせいか印象的だった、今観るとまだ
まだ青い感じ~台詞は一言も無い)。
 主役は勿論健さんで、健さん中心に話が進んでいくのですが、何故か、こ
の作品では主役より脇の人達の印象が強くて、長い時間が経つと脇役しか
浮かんでこなくなっていました。
 以前、この作品のレビューを幾つか読んだ事があるのですが、僕とよく似
た印象を持ってる方が多かったです、特に冒頭に書き出した台詞は殆どの
方が言及してました。
 池部良も同じ台詞を言ってるのですが、池部さんの立派な雰囲気より小池
さんの小市民的な哀れさの方がより合っていて印象に残る、年月が経つと
池部さんが言ってた事さえ忘れていました。
 前から再見しようと思ってた作品、今回の企画が「藤田進」と聞いて即決
でした。

 この作品の藤田進は横浜を本拠にする関東方のヤクザの大親分。
 既に老境に達し、斬った張ったに飽き飽きして絵画の趣味に没頭、子分
達を困らせている。
 特にシャガールがお気に入り。
 横浜港の岸壁にキャンパスを置き油絵を描きながら、傍らの健さんに、
 「斬った張ったは、もう御免だよ。絵でも見てるのが一番いいや・・・。
  秀(健さん)、シャガールってのはいいぜ、特に油絵はよ、
  俺りゃ、あれだけは惚れてたんだ本気で(喧嘩のカタに取られた)、
  見たろう家に有ったのはシャガールよ。
  銭、カネじゃねえよ俺は、シャガールはいいんだァ」
 これ、ヤクザ映画?(笑)
 でも、この健さんに後生を託すシーン、藤田進、後期・晩年一番の名シー
ンだと僕は思っています。

 藤田進さん。
 この人を一言で言えば「剛毅」だと思います。
 繊細な感情表現を出来る人じゃないけど、太く真っ直ぐな感じ、顔と声、
雰囲気がいいんですよね。
 僕は好きです。
 前期は「ハワイ・マレー沖海戦」のような戦意高揚映画で、「ニッコリ笑
ってパッと散る」を得意とした軍国俳優。
「ハワイ~」は、本物の軍艦や戦闘機・爆撃機が見られる興奮、円谷さん
の特撮等見る所は有るのですが、戦後生まれの僕には生理的な拒絶感が
有って好きではない。
 「姿三四郎」を代表作とする黒澤前期の大黒柱。(「姿三四郎」は訳有って、
まだ見ていません)
 中期の代表作は、やはり黒澤の「隠し砦の三悪人」の田所兵衛。
 最初、先代・中村吉衛門が演る予定だったのですが、僕は藤田進さんで正
解だったと思っています。
 この作品最大のカタルシスは兵衛の「ニコッ」で、こういう邪気を全く感じさ
せない笑顔は藤田進さんならではの独断場でしょう。
 東宝の軍人役も「お手のもの」、三船さん不在バージョンでは、司令官・藤
田進、現場指揮官・田崎潤、先陣・佐藤允が東宝軍最強編成だったと思い
ます。
 そして後期を代表するのが、本作。
 僕は、そう認識しています。

※この映画のお陰でチャイコフスキーの曲を聞くと(ピアノ協奏曲1番に限ら
 ず全て)、名前を見ると、瞬時にこの作品を思い出し、ついでにヤクザも連
 想してしまう。どうしてくれる!(笑)
※男が出来て家を出て行った母親の末路、残された通帳一つで表現したの
 は上手いと思いました。
  
(追記)
記事をUPした翌日に高倉健さんの突然の訃報。
心よりご冥福をお祈り致します。
記事には書きませんでしたが、この作品は倉本聡さんが健さんの為にアテ書きで創ったもの。
だから健さんの魅力が一杯詰まっています。
追悼作で迷ってらしたら、この作品も候補の一つになると思います。
 
コメント (7)
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「忍ぶ川」ロケ地巡り (城北地区のみ)

2014-11-16 02:12:12 | 映画日記/映画雑記
 「忍ぶ川」、原作では上野界隈(多分、不忍池~根津)にある料亭とのこと。
 映画でも、この付近の設定なのかもしれません。
 飛鳥山を上野のお山に見立て、替わりにしたのかも。
 映画では架空の何処かにある料亭と解釈するのが自然な気がします。
 只、撮影地は上野・谷中から北西方向5kに固まっています(下町を除く)。
 哲郎は早稲田大学生、根津辺りから都電20番線で行けば早稲田まで1kちょっとの所までは、
1本の都電で行けます(終点、江戸川橋から10分くらい歩くけど、学生なら何でもない)。
 でも、飛鳥山でも全然構わないと言うか、こっちの方が断然便利、早稲田まで32番線で一直線。
 映画でも一瞬出てくるけど、見直してみると繋ぎカットだから場所を示してるとは言えません。
 東京在住の目から見ると、飛鳥山近辺に「忍ぶ川」が有る設定の方が納得なんです。
 但し(笑)、飛鳥山だと「深川巡り」が遠すぎる(記事では都電を乗り継いだ場合を書いた)、
上野なら半分の距離だし多分1回の乗り換えで深川、木場へ行けると思います。

 本日、快晴。来週の連休が今日ほど晴れるか解らないので、半休の午後(障害持ちなので土曜は半休にしてる)、
 ちょいと出掛けてみました。

 取り敢えず、守備範囲の南端から。

 東京編のクライマックスが始まる、
 「7時に陸橋で」
 「7時を6時にしてくれないか、待つ時間が堪らないんだ」
 その待ち合わせの陸橋。(芋坂跨線橋)
 
 今ではフェンスが付けられ面影は有りませんが、フェンスを取り除けば映画のままです。
 
 待ってる志乃の元へ哲郎が早足でやって来ます。

 「私が馬鹿だったんです、元村さんは私の婚約者という事で~」
 の台詞と共に二人が歩くのは、多分、この橋の手前に広がる谷中霊園(ちょっと墓地で写真を撮るのは控えました)。
 いくら暗い環境で育った二人だからといって、恋人同士の会話が墓地を歩きながらというのは考え難い。
 では何故、墓地なのか?
 哲郎の過去、束縛を墓の下に埋める覚悟が出来た、って事なのかも。
 この後、志乃の父の危篤で呼び出された哲郎は、坂道(本郷の歴史遺産みたいな下宿屋の横~去年、取り壊された)を登り、更に土手を登って行きます(このシーンは東京じゃなく栃木のシーンのついでに撮ったと思われる)。
 地獄から地上へ駆け上がる、これも、そんな暗喩に見えます。

  志乃が浅草寺四万六千日(7月10日)で買ってもらったホウズキの吊り鉢を持って「見返り美人」した場所。(この時の志乃が全編通じて一番可愛い(汗)) 
 
 場所は先程の跨線橋から北西に500m、日暮里駅から七面坂通称「夕焼けだんだん」を
谷中銀座商店街へ降りた辺り。
 (谷中商店街は東京で成功してる数少ない商店街)
 
 映画撮影時には真ん中の手摺りは無かったんですね。
 でも、○○○ホテルの看板は今も有りました。
 (「夕焼けだんだん」は近年付けられた名称、撮影時に何と呼ばれてたかは不明。
 猫の多い所なので「夕焼けにゃんにゃん」とも呼ばれてるらしい)

 谷中銀座から更に北西へ3k。
 哲郎が自分の宿命を志乃へ語り、二人の距離がぐっと縮まった「六義園」での逢瀬。
 
 志乃は、この門を潜り、
 
 この橋を渡り哲郎の元へ急ぐ。

 二人が語り合ったベンチ付近。

 「六義園(りくぎえん)」
 五代将軍綱吉の側用人として絶大な権力を誇った柳沢吉保が下屋敷に作った回遊式庭園。
 後に岩崎弥太郎が別邸とし整備した非常に趣ある場所。
 
 染井門(普段は、ここから400m歩いて横の門から入る)
 
 尚、この染井門の本郷通りを挟んだ斜向かいに、「忍ぶ川」のモデルと言われる寿司割烹「思い川」が有る。
 残念ながら、つい最近店じまいしたようです。
※バブル前までは六義園の中から見て木々の上にビルを見せない、という不文律が有ったらしいのですが、バブル以降、
 そんな事はお構いなしで、本郷通り沿いに高いマンションが立ち並び「六義園」を自分の庭のように見下ろすようになりました。
※志乃が入って来た門は庭奥の東屋へ通じる裏道、多分庭園を眺める客人の目に触れないように作った道のような気がします。

 もしかしたら、深川への道中として深く考えずに撮った都電32番線、荒川車庫行き。
 六義園から、また北西に2k。
 現在は都電荒川線として都内唯一の都電(終点は専用軌道の有った三ノ輪まで延伸)。
 
 滝野川一丁目付近から飛鳥山方向。

 飛鳥山公園
 シーンとしては最初の跨線橋から谷中霊園、回想を挟んだ次のシーン(距離的に6kは離れてる(笑))。
 「すると元村さん・・・」
 「元村さんはどうしたんだ」
 「・・私を欲しがりだしたんです」
 「・・で、やったのか?」
 「やるもんですか!」
 (※現在の「ヤッたのか」ではなく「あげた(与えた)」の意味、たった50年で言葉の印象が・・)
 
 これは失敗、帰ってDVD見たら道路のRが逆(笑)、右へ50mくらい行った辺りと思う(ここはS字カーブになってる)。
 現在は短いモノレールが出来て、あの階段は無くなっています。

 二人の始めてのキスシーンは、この辺りかと。(キスシーンの一つ前のカットは、この道を100mくらい行った所かも、とにかく違う)
 

 飛鳥山
 江戸郊外の名所として有名、飛鳥山の桜は江戸町民に鳴り響いており季節ともなれば庶民が花見に出掛けました。(僕も子供の頃、家族総出で一回行った記憶が有る)
 
 飛鳥山より音無橋方向(十条方向)、川向う右奥には関東のお稲荷様の元締め「王子稲荷」が有ります。
 その先500mくらい行くと「名主の滝公園」があり、この辺りは参拝、行楽で江戸期には現在より遥かに栄え、料理屋も多かったと思われます。
 昭和末頃までにも有名な料理屋が残ってました。

 何故か飛鳥山の横にも似た跨線橋がある。(笑)
 
 (昔はアーチは無かった気が・・・)
 ・監督のイメージ程、橋が長くなかった。
 ・橋のたもとに民家が欲しかった(山側は公園で崖地、橋を渡って来た人は左右直角に曲がるしかない)
 ・こっちの方が人通りが多くて嫌だった。
 これ以上、思い浮かばない。(笑)

 長~い記事にお付き合い下さり、ありがとうございます。
 最後にお詫びと言うか、秋の薔薇です。
 

※お題の映画は今日観るつもりでいます。
 
 
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「美女と野獣」

2014-11-13 23:35:32 | 映画感想
 「美女と野獣」(「La Belle et la Bête」2014年 仏・独)
   監督 クリフトフ・ガンズ
   脚本 クリストフ・ガンズ  サンドラ・ヴォン=アン
   撮影 クリストフ・ボーカルヌ
   美術 ピエール・アデノ
   衣装デザイン ピエール・イヴ・ゲロー
   出演 レア・セドゥ
       ヴァンサン・カッセル
       アンドレ・デュソリエ   エドゥアルド・ノリエガ

 子供に読み聞かせる「童話」としては申し分ないと思います。
 でも大人が観れば、美女が野獣に好意を寄せていくシーンなしに、いきなり、
 「愛してました」
 と言われても、
 「???」(笑)
 まぁ、この美女、ちょっとツンデレなんで、野獣の過去と優しさ、実家へ帰してくれた心に
デレッとなったのかもしれません。

 その部分を除けば僕は世評ほど悪い作品ではないと思っています。
 実は僕、ディズニー版もJ・コクトーの作品も観てません。
 だから推測でしか書けないのですが、
 「美女と野獣」=ディズニー・アニメと思ってる人には合わないだろうな、と想像はしています。
 ディズニー・アニメって僕から見ると、アメリカの「宝塚」
 どんな原作だって、無理矢理に宝塚にしちゃうんです。

 「美女と野獣」、元々はフランスのおばさんが子供に読み聞かせる為に作った「お話」とか。
 今回の作品は、フランス・ドイツの合作で原作に重心が有る作品。
 根性曲がりで皮肉屋のフランス人がパーフェクト・ハッピーな作品を書く訳がない。(笑)
 (相対的にアメリカ人はパーフェクト・ハッピーな話に癒されなければやっていけない)
 ハリウッドやディズニーのサービス過剰に辟易してる僕にとって、この作品は丁度良い塩梅だったのです。

 他所の感想を読むと、王子様がディズニー風でなくギラつき度の高い髭面のオッサンというのが受け入れがたいようですが、どうでしょう?
 僕は、この作品にディズニー風の王子様こそ似合わないと思っています。
 (この辺が女性の夢を壊してるのかな(その割に男の夢は壊してない(笑))

 ラストも多分、今迄の作品と違うのだろうけど、
 現代に「お伽噺」を再現させる為の良い手法だと感じました。
 このラストで大人が観ても耐えうる作品になったと思います。

※僕が観に行った時点でYahho!の点数は2.8くらいだった、こんな低い点数のを観に行ったのは初めてかも。(笑)
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「忍ぶ川」

2014-11-03 23:33:16 | 邦画
 見直して良かった!

  
 「忍ぶ川」(1972年・日本)
   監督 熊井啓
   原作 三浦哲郎
   脚本 長谷部慶治 熊井啓
   撮影 黒田清巳
   美術 木村威夫
   照明 岡本健一
   音楽 松村禎三
   出演 加藤剛
       栗原小巻
       信欣三
       永田靖 滝花久子
       岩崎加根子 井川比佐志

 昭和30年頃、27歳の大学3年生・哲郎は料亭「忍ぶ川」で働く看板娘・志乃
と出会った。

 邦画が誇る純愛映画の傑作。
 モノクロ・スタンダード画面に違和感を感じない「昭和」の世界。
 だから、今の人達には皮膚感覚で解らないかもしれない、あの時代(昭和中
期)を身体の何処かで憶えてる人達の映画なのかもしれない。
 でも、この世界の美しい日本語を若い人達にも是非聞いてもらいたいと再見
して強く思いました。
 (下町、赤線・洲崎の生まれで、北区王子辺りの料亭で住み込み働きをして
る志乃の言葉使いが「山の手」言葉なのは違和感がありますが(笑))
 この作品、原作は1960年(S35年)だけど制作されたのは1972年(S47
年)なんですよね。
 僕が高2の頃の感覚はそれ程現代と変わらなかったと思います、あの時代
にアイドルの純愛映画じゃない大人の「純愛映画」(あの時でさえ殆ど過去の
日本語)を作って大ヒット。
 「清く正しく美しく」なんて宝塚以外、普通、鼻で笑ってしまう感覚、それは今
がそうであるように、あの時代だってそうだったんです。
 でもそれが胸を打つ感動作に仕上がってる。
 それこそ多少の時代を超える普遍性が有る証拠になっていると思います。

 今の人や、ある種の人達には違和感や反発があるかもしれない志乃の最
後の台詞、
 (車窓から雪に埋もれる村を見て)
 「見えるわ!見えるわ!家(うち)が」、
 「ね、見えるでしょう、私の家(うち)が」
 苦労を重ね浮き草のような10年を経て、漸く新しい故郷を得た志乃の初々
しさと歓びを見た時、僕は画面が滲んで見えなくなってしいました。(汗)
 「そうか、この話は純愛物語で新しい出発の話なんだけど、志乃が戦争で失
った故郷を見つける物語だったんだ」

 純愛物語は通常「純潔物語」だから儀式を結末に持ってくるのは王道。
 その朝、長い宿痾に頸木を打った二人に聞こえてくる祝祭のような鈴の音。
  雪明りの中見守る二人、これ程美しいシーンも、そう有るものじゃない。
 モノクロだからこその世界、一見の価値が有ると思います。

 役者は皆、好演。
 小巻さん以外では、志乃の父親・信欣三、哲郎の妹・岩崎加根子、母親・滝
花久子が特に良かったです。
 松村禎三の音楽も良。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 以下、感じた事をツラツラ(支離滅裂なので系統立てて書けない)。

・まさに時間的に滑り込みセーフだった作品。
 2,3年後には殆ど制作不可能だったでしょう。
 都内に都電が走ってたのも、木場があの地に残ってたのも、下町に木造家屋が沢山残ってたのも・・・。
 数年すれば殆ど無くなってしまう世界だった。
・僕が「コマキスト」確定した作品。
 今見ても、これ程、彼女が輝いてる作品は思い浮かびません。
 (台詞を上手く言えなかったのかマイクと相性が悪かったのか、彼女のシーン、アテレコが多い気がするけど)
 記事にも書いた台詞の時の声、表情、本当に素晴らしかった。 
 この役は栗原小巻さんで大正解だと思います。

 この作品、有名な話だけど元々志乃は吉永小百合さんが演る予定だったのが彼女の周囲の反対で小巻さんに回ってきた。
 今回、その点にも留意して見直したのですが、ホント、当時の小百合さんにピッタリな役。
 清純派から本格的女優に脱皮しようとしてた彼女にとって打って付けの役で、当人も覚悟を決めて演るつもりだったと噂でした。
 あの頃、「小百合さんの(取り巻きを押しきれなかった)決断」に若い僕は結構反感を持ってました。
 この作品で志乃を演じれば、その後の女優人生が随分変わった事は間違いない、でも40年経ってみると、どっちが良かったか解りませんね。
 演らなかったのも正解だったような気がしました。

・ホントにどうでもいい事(考証について)
 哲郎の青森の実家は息子の不始末で村に居られなくなり引っ越した、となっています。
 哲郎の住んでる場所は県の学生寮と思われ会話にも大間のマグロが出てくるから青森県内に在住してる設定なのでしょう。
 でも両親の訛りが、どうも津軽弁にも南部訛りにも聞こえなくて困る(当時の本当の津軽弁なら殆ど外国語だから解り易くしてあるのは承知)、何か越後訛りに近いんですよね。
 越後言葉の「だすけ(だから)」という単語が何回も出てきて、ホンマに青森?と思っちゃう。
 僕の記憶では、この作品の舞台は山形・米沢地方だと思い込んでたから余計にこんがらかって・・。(笑)
 これ終幕の雪の実家シーンは山形・米沢と新潟・坂町を結ぶ米坂線沿線なんですよね、元鉄チャンの僕は初見の時から機関車と車窓の風景で確信してて(今回、米沢市協力と出てたのでヤッパリ)、ずっと青森出身なのを忘れてました。(汗)
 ついでに書けば二人が降りた駅は西米沢だけど、家はもっともっと先の手の子~萩生辺りかと。
 (西米沢は平地、実家は宇津峠から平地に降りてく途中ですね)
 米坂線を選んだ理由は解る気がします。
 撮影当時、東京から近い豪雪地帯のローカル線といえば飯山線か米坂線だけど蒸気機関車が客車を引いてたのは米坂線の方が多かったので決まったんじゃないかな、雪深い寒村、純愛物語の白=雪のイメージにピッタリだし。

・「忍ぶ川」の設定は多分王子、飛鳥山辺り。
 一回だけだけど早稲田~大塚駅~王子~荒川車庫を結ぶ都電32番線が出てきた(飛鳥山~滝野川1丁目間)
 哲郎の大学は立教(池袋)か早稲田。
 デートした公園は飛鳥山から2Kmの「六義園」
 待ち合わせの陸橋は飛鳥山に似た場所があるけど、あれは日暮里あたりの陸橋のような気がする、階段も日暮里の階段に似ています。
 でも昭和30年頃、飛鳥山から深川へ行くのは大変だったと思うよ、都電を乗り継いで一時間半くらい。(笑)
 
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