セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「幕が上がる」

2016-05-03 01:18:43 | 映画感想
 「幕が上がる」(2015年、日本)
   監督 本広克行
   脚本 喜安浩平
   原作 平田オリザ
   撮影 佐光朗
   音楽 菅野祐悟
   出演 百田夏菜子
       玉井詩織 有安杏果
       高城れに 佐々木彩夏
       黒木華 
       ムロツヨシ  清水ミチコ
       志賀廣太郎

 ガールズムーヴィー、演劇部編

 この作品、僕が参考にしてるfilmarksで高得点をマークしてた作品(アイド
ル、アーティストものはファンによる底上げが有るので、疑いつつ)、「アイドル
ものじゃない真っ当な作品」と評判を聞いて気になってたし、最近、注目してる
黒木華さんも出てるので迷ってたのですが、「忘却エンドロール」の宵乃さんが
記事をUPされたので、「それでは」と。

 確かに真っ当な作品で良い作品だし、素直に感動できると思いました。
 アイドル業の超忙しいスケジュールを縫って、これだけの演技をした彼女達、
それに合わせて最善の努力をしたスタッフ・キャストも素晴らしい。
 でも、やっぱり「ももいろクローバーZ」有りきの作品という印象は否めない。
 これは再見するとよく解るんじゃないかな。

 「がんばっていきまっしょい」、「スウィングガールズ」、僕の好きな「シムソン
ズ」と同じキラキラ青春モノのガールズムーヴィーで本作もそれらと同じく青春
独特のキラキラ感が感じられます。
 でも初見でもある程度感じてしまうのですが、再見すると一層感じてしまう差、
そのキラキラ感が天然ダイヤと人工ダイヤの違いのようにクッキリと見えてき
てしまう。
 それは前記3作が殆ど新人か上昇気流にイマイチ乗れない娘達、まだ手垢
の付いてない新鮮な素材、その原石を磨いて光らせたのに対し既に輝いてし
まってるスターが無名の女子高生を演じるという作為。笑顔、カメラ目線、既に
体得してしまったものは消せないし、演出、カメラもファンの需要に応える為に
毎回のように、それぞれのUPや歩く姿に必要以上の時間を割いてる。
 これ、そういうファン・サービスが無ければ、もう20分くらいは短縮出来る気
がします。
 それと忙しいスケジュールの為か、終盤の盛り上がりをモノローグや台詞に
頼ってしまい映画の魅力である動きや映像で見せる事を殆ど放棄してるのも、
かなりの問題点だった気がします。

 演技に関して「ももいろクローバーZ」の方々は上手いし(ちょっと下手っぴい
も居るけど)、それを纏める黒木華さんもいい、彼女、今回は「横綱相撲」とい
うか若い面々のぶつかり稽古に胸を貸すって感じでした。(笑)
 助演の溝口先生(ムロツヨシ )も上手に主演者達を支えていたし(最初は誰
だ、三谷幸喜か?クサイ芝居する奴と思ったけど)、地味ながら滝田先生を演
じた志賀廣太郎さんが落ち着いた良い味を出してアンサンブルを支えていた
と思います。(僕が一番印象に残ったのは志賀さんかも、地味でも美味しい役
だし)

 悪い作品じゃ決してないと思うけど、このテの作品に必要な新鮮味が無いの
が、ちょっと致命傷かも。
(と、AKB48も、ももいろクローバーもZも区別のつかないオッサンがブツブツ
言ってます(汗))

※黒木華さん、妄想シーンの蜷川バージョンで入った方が面白かったかも。(笑)

 2015.5.1 
 DVD

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 夢破れ 夢破れてまた 夢を見て
  ため息の先 富士を見上げる
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (宵乃)
2016-05-03 11:52:33
>そういうファン・サービスが無ければ、もう20分くらいは短縮出来る気がします。

ですね~、余計なアップや絡みがなければ、数倍良くなっていたと思います。
これから演技力だけで勝負できるようになっていってほしい!

>僕が一番印象に残ったのは志賀さん

名前が出てこなかったけど、黒木さんの次に好きです。とくに悪夢のシーンがいいですよね。あの美声(笑)
返信する
いらっしゃいませ! (鉦鼓亭)
2016-05-03 21:43:47
 宵乃さん、こんばんは
 コメントありがとうございます!

余計なアップや絡みがなければ、数倍良くなっていたと思います
>これ、初見の時はそれ程というか「ま、アイドルが主役だし」くらいで観れたのですが、調子に乗って観た2回目では、かなりクドく感じてしまいました。

あの美声
>大人な綺麗な日本語でした。
あの娘たちの汚っちゃない日本語に辟易してたから、余計に良く感じました。

ちょっと合わない作品が長く続いていて、クサってたのですが、漸く、息を吹き返しました。
最後の一押し、ありがとう!

追伸
黒木さん、ボ~として、イラッとくるくらい流されるままの女子を演じた「リップヴァンウィンクルの花嫁」でも好演してましたよ。
今年のいろいろな主演女優賞の候補になると思います。
(あの作品でも教師(派遣)でした~最初だけですが)
今回、驚いたのは「リップヴァン~」と声の高さを変えてた事。
「リップヴァン~」では気の弱そうな頼りなげで小さく優しい声、トーンは少し高め。
今回はドスを含んでるような低めの声。
どちらも素に聞こえるのが凄いです。
返信する
観終えて (しずく)
2016-05-09 15:52:56
もう、黒木華さん凄すぎ!
今までにない彼女をまたまたみせてもらって、出番がもっともっと欲しかった!時に蒼井優とダブってしまったのは残念でした・・・(2人とも好きな女優さんなので頑張ってほしいファン心理から)

>今回は「横綱相撲」とい うか若い面々のぶつかり稽古に胸を貸すって感じでした。

ホントホント。
声を低めに抑え教師然としていると思いきや、結局は役者然としていたことだったのですね。
「リップヴァンウィンクルの花嫁」は未見なので是非観たいです。

全体として良くできた作品だと思います。

>助演の溝口先生(ムロツヨシ )も上手に主演者達を支えていたし(最初は誰だ、三谷幸喜か?クサイ芝居する奴と思ったけど

これも同感です。冒頭はおいおい何だ、この程度の映画なのかと諦めかけました。
後半部になるにつれ、良さが出されほっとしました。
計算された演出だったのかな?

志賀廣太郎さんの重厚な声は朗読を聴いているようで耳に心良かったですねぇ~。
「銀河鉄道の夜」をじっくり読み返したくなりました。
返信する
ようこそ! (鉦鼓亭)
2016-05-10 00:16:20
 しずくさん、こんばんは
 コメントありがとうございます!

黒木華さん凄すぎ!
>片鱗は窺えましたが、まだ、これで2作目なので、現在、確認中!(笑)
只、すごく気になる女優さんなのでボチボチですが追って行こうと思っています。(そう本気で思った女優さんって久しく居なかった)
実は昨日「小さいおうち」のDVDを借りてこようかと思ったのですが、ちょっと映画疲れしてたのと苦手中の苦手 山田洋次さんなので躊躇、ずっと軽い作品にしてしまいました。
(結果、生涯ワースト2になりそうなドべ中のドべを引いてしまい自爆(笑))

「リップヴァンウィンクルの花嫁」は未見なので是非観たいです
>キッチリ3時間の作品、僕は合わなかったけど良い作品だと思います。
記事にも書きましたが最後まで観られたのは黒木さんとCoccoさんのお陰。
ボケとツッコミのようでしたが(喜劇じゃないです)、Coccoさんも黒木さんに負けないくらい良かったですよ。

蒼井優とダブってしまった
>二人とも岩井俊二監督のお気に入りとか。
「リップヴァン~」は、黒木さんに惚れ込んだ監督が彼女の為にアテ書きした作品だそうです。

全体として良くできた作品だと思います
>僕も、それは認めます。(汗)

冒頭はおいおい何だ、この程度の映画なのかと諦めかけました
>全く同じ!(笑)
クサイ芝居と汚ない日本語(最近TVドラマを見ない理由の一つ)。
冒頭5分で暗澹たる長丁場を覚悟しました。

志賀廣太郎さんの重厚な声は朗読を聴いているようで
>いい声してますよね(作中、ギャグにしてたし)、ラジオで朗読聞いたら素敵でしょう。
僕も大概ですが、最近、汚たない日本語ばかりで厭になります。
「銀河鉄道の夜」は小学校で読まされたような・・・何が何だか解らなかった苦い記憶あり。(笑)

「重版、出来!」観てみたいのですが、あの時間、生憎、風呂の時間。
録画するとプレッシャーを感じてしまうタチだし、連続ドラマを途中から見るのもイマイチかなァと悶々。
返信する

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