月刊少年サンデーこと「ゲッサン」が創刊されてからこっち、何故か続きを買い続けています。…最初は「ん~『あずまんが』でも読んでみるか?」という感じだったのですが(汗)ちょっと気になる連載があって、その続きを読むために買ってしまっているんですね。(…いや、買っちゃ悪いってワケじゃないんですけど、僕も今は、少年四誌押えるので正直手一杯なんよ?(´・ω・`)それを圧して…という意味ですね)いろいろ面白い作品が載っているのですが、とりあえずお気に入りを2本上げます。
一つは「信長協奏曲」(作・石井あゆみ)現代の高校生が戦国時代にタイムスリップして、若年の織田信長とすり替わってしまう物語。…まあ、この主人公、えらく器の大きな奴で、なんとはなしに信長として暮らしてしまうという…w冒頭の日本史の授業で主人公が“本能寺の変”の首謀者を答えられない所がミソなんですが…。元々、織田信長って天才過ぎて……というか先見性と感覚が時代とずれ過ぎていて、僕は時々本当にタイムスリップしてきた人間じゃないかと思ってしまう事があるんですが(汗)…“うつけ”と陰口叩かれた時代からのそこらへんのゆるいハマり方が楽しくって読んでしまいます。あと濃姫が可愛いです(`・ω・´)
それと、もう一本。…というかこっちが本題なんですが、「マコトの王者」(作・福井あしび)ですね。僕はちょっとこれの続きが気になって思わず買ってしまうというw
“転校生もの”…って言うのかな?(あるいはF先生の「未来ドロボウ」?)二人のプロボクサーがいて、その心が入れ替わる事によって勝っていたはずの者が敗者となり、負けていたはずの者が勝者となって物語が始まるんですよね。一人は超エリートの家庭に生まれながらボクシングに打ち込みアマチュア時代から現役まで無敗を誇る王者・天童誠。もう一人は親と死別し極貧の生活からボクシングでKOの山を築き上げて這い上がって来た挑戦者・大地真。このタイトル戦の後に天童誠の身体は敗れて元王者となり、大地真の身体は勝って真王者となります。その時に分かるんですが、無敗を誇ったこの元王者は、既に身体がボロボロで満足にボクシングできる身体じゃなかったんですよね。おそらく天童誠の肉体はボクシングに向いておらず、彼はその精神力と頭脳で“無敗”を続けてきたんでしょう。
色分けして語ると、天童誠は精神力に天賦がある王者であり、逆に大地真は肉体に天賦がある王者として描かれています。この二人の人格が入れ替わるとどうなるかというと……片方は肉体も精神力も完全となった無敵の王者、片方は肉体は既にボロボロで精神力も未熟なままの元王者となるワケです。ボロボロの身体にも関わらず“無敗”の実績を続けてきた男が、天賦の肉体を手に入れて、おそらくさらに無敗記録を延ばす完全無欠の王者となったその男に、この満身創痍の挑戦者は果たして勝てるのか?というのが説明として“分かりやすいアングル”なんですが……何というか物語がはじまった時点で、既にそう単純に言い尽くせない所がある物語なんですよねえ。
今、大地真の方の心を分かりやすく説明するために“未熟”と言いましたが~実際に、試合の描写で震えていたりして精神がまだ未完成な所は見せているのですが~その“闘志”は本物で、ボロボロの肉体を押しつけられたにも関わらず、なお、王者となる事を諦めていない、胸を好くような気持ち良さがあって、それは“王者の資質”として充分だと思うんですよね。同時に貧乏な境遇の恨みからか金持ち/エリートの家系に生まれた天童誠を故無く貶めていた自分に打ちのめされて行きます。(本当に勝たなくてはならない相手だと心に刻まれて行くって事ですね)また、天童誠は、親が無い中で三人の姉妹を養って行かなくてはならないという境遇を与えられる事によって、今までやってきた自分の勝手な戦い、自分一人の戦いから、何かを背負って戦う道を歩み始めるんですよね。……これで最強の王者にならなかったらウソ!って感じで今からワクワクします!!
何より自分の肉体がもう一度、王者への道を目指してくれる嬉しさ…って言うんですかね?大地真が「オレはこのボロボロの身体でケガひとつないオマエを倒す!」って天童誠に挑戦して来た時、一瞬の間の後、天童誠は大笑いして「いいだろう。天童誠名義の資産は自由に使え」自分の環境の全てを大地真に渡して、自分は王者・真を演じるべく帰って行くんですが、このシーンとても好きでして…。たとえボロボロでも…いやボロボロだからこそ自分が“勝たせたかった”その肉体が再び立ち上がってくれる嬉しさと、そのボロボロの自分の肉体を押しつけられて尚、王者を目指してくる男がいる事の嬉しさの、ないまぜの感動って言うんでしょうか?ちょっと現実では味わえない感情ですよねw
上で、天童誠は精神力に天賦、大地真は肉体に天賦……という言い方をしましたが、両者とも天賦に留まらぬ努力の中で王者を目指す者として描かれている事は勿論で………その両者が一体どれ程の、どんな“強さ”を身につけて再戦するのか……ちょと目が離せなくなっています。
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