福田歓一 『近代の政治思想』

2018-10-07 00:07:45 | 哲学、思想
福田歓一氏の本は、私が大学生時代に読ませてもらい、感銘を受けた著作家の1人です。

非常にわかりやすく、真に迫った筆致には感動しないわけにはいかなかったです。
 
この本もそのうちの1つであり、今も心に残る本ですが、この内容は、近代が政治思想の転換期であり、その内容が現代にどのように貢献しているか、またその現代に活かされた思想内容が、どのような問題を含んでいるかを提示してくれています。

非常に迫るものを感じる本ですね。
 
コペルニクスの地動説によって天動説はルネサンス期に覆されたのですね。
 
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これを代表として、一切の被造物の神秘性をはぎ取り、絶対主義に対する抵抗理論が構築されだしたのです。

客観的な自然認識が前提となるのですね。
 
また、税金の徴収も、それまでは傭兵によって可能となっていましたが、紙1枚の送付で可能となったのですね。
 
これは絶対主義によって可能でした。
 
その絶対主義は家産国家と呼ばれる国家になっていたのです。
 
家産国家とは国家そのものが君主の私有財産であり、国家の土地と人民が君主の財産であった国家の時代でした。
 
それにより家産官僚制や常備軍が生まれたのです。
 
その正統性のために、宗教を利用したのです。

信じないことには内面的に異端であり非国民とされたのです。
 
そういった家産国家に対する抵抗理論が、カルヴィニズムでした。
 
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これはジュネーブに本部を置き、ここに学んで帰り、国で抵抗団体を組織したのでした。
 
政治と宗教の分離ですね。
 
この期に、フランスのジャン.ボダンは「主権」という言葉を創ったのでした。
 
近代の国家は、どう解釈するかから、「どう構成するか」に変わったのだといいます。
 
その代表的存在がドイツのカントでした。
 
カントは人間が芸術を理解し、美を鑑賞するのは、いかなる人間の資質によるか。
 
人格としての人間の自律性を説いたのでした。

これらのありかを原理的に変えなくては確立はされないというのです。
 
こういった言論の勃興により、人間が人間である限り、何人によっても要求できるのが主権であり、すべての人間は平等であるという思想が人口に膾炙されたのです。
 
これは今の世界では当たり前ですが、この時期には非常に斬新な話だったようで驚きますね。
 
この期に確立されたことが今も活かされているということですね。
 
それがゆえに、王政の廃止に歴史が動いたということですね。
 
この期にはいろんな思想が花開き、グロチウス『戦争と平和の法』が書かれたのもこの時期であり、彼は国際法の父とすら言われています。
 
またホッブスも著書を著わし、それらの中で人間の能力に非常な自信を得て、科学の発展に寄与しました。
 
人間はほかの動物とちがってどのような特色を与えるかをあらわしました。
 
単なる感性ではなく、人間には想像力があり、先を見通す能力がある、この力に非常に期待をかけ、未来を明るいものと考えたのですね。

富は生産の問題であり、これは労働で生み出すことができるとしたのでした。
 
またロックは宗教改革において、理性的かつ勤勉な人間の必要性を説きました。
 
こういった思想の数々が今日でもいかされているのがわかりますね?
 
近代改革の理論は、共同体に縛られない、身分制度から解放された独立の個人を必要な単位として考えられたということですね。
 
それが18世紀のイギリスで解放されていくのでした。
 
そこでルソーが現れ、彼は「公益と私益が一致する法律を作るべし。人類全体の利益になるように行動せよ。」という理論に反対しました。
 
人類の歴史は本能によって動いてきた、それを批判するのはとんでもないということですね。
 
それを前提としつつ、論拠枠を少しづつ加えていくのがいいというのです。

代議制を彼は批判しました。
 
それは人民全部を例外なしに拘束するものだというのです。
 
そうではなく人民が集まって本当にまじめに議論するのが望ましいということですね。
 
そのためにはやはり教育の重要性が思いつくのですが、やはりルソーは自身の著書の中で、教育の重要性を多く説いてますね。
 
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総括しますと、近代科学は人間の生存の事実と、その手段への欲求とに結び付いた理論に支えられ、それゆえに、また技術を生み出すことによって生産力を放出しました。
 
権力は、制度の保証、制度を支えるような行動様式を保証しました。
 
権力が国民のすべての力と富を直ちに自分の力として使うことができるようになりました。

生産力の上昇は、人間の感性の解放をしましたが、理性の契機をも見失わせて個人の自律性を著しく弱くしている。
 
これが現代の問題点というのがこの著者の言わんとすることなのです。
 
この本を読んで思ったのは、やはり人間の思想の発展は、ものすごく飛躍して発展するわけではないということですね。
 
今の自分の周りにある思想に依拠しながら、それに内在する問題を探しながら、吟味しながら漸次ちょっとづつ変えていくのが通常のようですね。
 
いきなり黒が白に変わるというような性質のものではないようです。
 
しかし、この期に形成された理論の数々が、今も多く生かされ、そして勉強する価値がものすごいあるというのに気づいて驚きました。
 
その思想の数々の依拠した内容について、多く探り勉強することで、やはり現代にも内在する問題点が浮かび上がるのではないかと思われてならなかったですね。

勿論それだけでなく、いろんな時代のいろんな思想からも学ぶべきことはたくさんあります。
 
その内容の1つとして、この本をお勧めしたいです。
 
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