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ギ.ソルマン 『幻想の帝国』

2019-07-15 01:01:52 | アジア経済

以前に莫邦富氏の本『アジア覇権の行方』を読んで、非常に感銘を受けました。

朱鎔基が国のイニシアティブを摂ることで、大きく発展に寄与し、それが起点となって中国経済の現在の地位を築くことになったということを読んで、嬉しい気になりました。

そして今や中国世界2位を誇る経済大国になったのでした。 こういうことをもって、いくら共産主義の国だったからといって、市場経済化したのだから、いずれ政治の民主化も叶うだろうと楽観視していたのですが、やはりそれはそれほど甘くなかったようですね。

この『幻想の帝国』はフランス人ジャーナリストであるギ.ソルマン氏が、実際に中国にいって、そこで語りあった科学者、作家、宗教家などと話し、それを元に中国社会を詳らかに論じたものです。

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しかし、断っておかないといけないのは、その話をした内容を拡大解釈をしたものではなく、きちんと他の多くの本や資料を読んで得た情報を展開しながら、論じたものですから、単なる学者以上の詳らかさ、奥深さの感じれる本であるということですね。

しかし、この本を読むと中国社会の惨さがわかる気がしますね。

たとえ世界2位の経済大国の地位を手に入れたからといっても、それがそのままその社会を向上させるかといえばそんなことはないということがわかりました。

それはやはり人間社会ですから、その人間の心理的性質ゆえに、そういう結果になってしまう、ということですね。

その原因の最たるものは、中国共産党一党独裁ということにつきますね。

それゆえに、権力を握る者が、その恩恵を逃さないために、相応の結果を招いてしまう、ということですね。 確かに中国は大国になりました。

それはしかし13億の人口のうち2億の人間を、中産階級の生活を謳歌させているだけで、残りの人間は、最低限のサービスをうけることなく貧しい生活をしている、ということですね。 これには驚きました。 農村の中で4分の3の人たちは、最も貧しい生活をしているそうです。

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最も貧しいのは河南省で、農民のほとんどは生涯医者にかかることなく終わるのだそうです。

そこでは、収入を得るために血を売っていた、ということです。

その採血の際にエイズに感染したという痛ましい例が、この本の中で多く暴露されています。

このうわさが広まると、国の威信にかかわることであるので、党は省を隔離し、地図から消したということです。

そしてアクセスも禁止したということです。

その人たちを救済しても、中央の党員は何も得るものはないのです。

ですから、そういった人たちは放置されているのだということです。

行き過ぎた検閲が行われていて、異議申し立てをすれば、投獄されるのとだということです。 大躍進の時に2000万人が、文化大革命時には3000万人が殺害されたということです。

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が私有地と収穫物を取り上げ、そして殺されたのだそうです。

そして読むことが許されているのは、きわめて少なく、革命的な8つの歌劇しか鑑賞することは許されていなかったということですね。

また、中国において人々と物資を輸送するのに、一番いいのは鉄道であるそうです。

高速道路や空港は、ほとんどが政治家が使うものであり、ほとんどの一般庶民が使わないもので、それらは無用の長物であるということですね。

これらは欧米の金融機関が融資して作ったものです。

しかし、その建設資金の弁済は誰がするというのだろうか?と疑問を投げかけていますね。

国有銀行が、その建設資金の金源になっているのだそうです。

しかし国有銀行は、地元の党支部の要求に服従するしかないのだといいます。 こういった野放図な行政は、やはり共産主義国であるからこそ、そういう傾向に歯止めがかからないのでしょうね。

確かに資本主義国でも、そういう事もままありますが、それは共産主義国であれば、その傾向はさらに強い、ということですね。 利益の出ない分野に投資がなされているがゆえに、充分な雇用が確保できていないということですね。

道路や空港のみならず、がら空きのビル、住宅、オフィス、施設が無数にあるというのです。

経済大国にのしあがった、しかし、気になるのはその実態ですね。

私も、そのことに興味津々でした。

世界に誇れる中国のブランドはないですね。

しかも発明による生産方式もです。

ハイテクは中国の輸出の半分をしめますが、その実態は、電子部品を少しでも搭載していれば、どんなものでもハイテク製品として掲げているだけだということです。

労働力を絶え間なく吐き出すポンプの役割を党によって確保されているだけであり、それが長期にわたり経営者の利益を守り続けるのだそうです。

ゆえに技術革新は必要ないのだといいます。

莫邦富氏の本を読むと、海爾(ハイアール)という中国のメーカーが、日本の松下なみの成長を遂げていることを知りました。

その製品は、日本でもみることはできます。

しかし、それはドイツからの技術移入によってであることは確かです。

これほどまでに世界での技術の向上があっては、それから更なる技術的な向上は難しいことは確かです。

それが党の経営方針ゆえにかなわないのだとしたら、悲しむべきことですね。

技術的な向上が叶うものもかなわなくなってしまうとは。

しかも中国からの製品が売れることによって経済的にも発展することに寄与するわけですが、今だ中国は法治国家でないがゆえに、また法を犯しても儲かればいいという思いが通念化しているがゆえに、海賊版DVDやコピー薬品、精製ドラッグはかなり生産されている、ということですね。

しかもそれを生産する組織は、ギャングやマフィアの保護下にあるがゆえに、放置されたままということですね。

しかもコンピュータソフトの盗作品がコピーされて、世界中にインターネットを通じて売れらていた、ということです。

やはり、こういった日本に住んでると考えのつかない違法なことや、その他、反人道的なことが平然と行われているのが、中国の文化になってしまっているのですね。

文化にまでなってしまっているがゆえに、容易には変えられないし、教育を施せば、というような緩い考えも通用しないということがわかります。

これまで、『黒社会』『蛇頭』といった中国の裏社会のドキュメントを追った本を読んだときにもやはり、これは容易には変えられないなと思ったのですが、それは経済大国にのし上がったがゆえに解決できるというようなものではないのが、この本を読んで更に強化されました。

ことは容易でないゆえに、処方箋は書かれていませんし、だからといってただ傍観するだけでもいけないでしょう。 しかし市民として、中国が良くなる手立てがあるかどうかをかんがえつつ、見守りたい気がしました。 我々にもすることがあることが見つかったら、その行動を率先して行うことが大事だなと思いました。

●この本は以下よりどうぞ!

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(Amazon)

幻想の帝国―中国の声なき声

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