この本の著者である小此木啓吾氏は、人間の心理が社会の変化につれてどういう変化をもたらすか、どのような人生を歩むとどういうように心理が変わるか、ということを毎回つまびらかに分析しています。
その分析内容が非常に説得的なので毎回集中して読んでしまいますし、新刊が出るたびにチェックしてしまいます。
この本は87年に書かれたものですが、今の人たちにも通底している部分が大いにあるので、興味ある人は読むべきでしょう。
この当時の40から50代の人たちの心の葛藤の内容を書いているのです。
実際に小此木氏に相談してきた患者ののです。
それはどうしておこるのかをつまびらかにしているのです。
当時の、この世代の人たちは特別な精神的な位置づけにいたということです。
鬱、心身症、燃え尽き症候群、空の巣症候群などを多く発症していたのです。
当時のこの世代の人たちは社会、国家、組織とのかかわりへの帰属意識がものすごく強かったのです。
忠誠意識がものすごく強かったのです。
倫理規範だったのです。
しかしその次の世代は、そういう忠誠意識は希薄になっていったのです。
国家、社会への滅私奉公の意識は希薄で、組織への帰属を恐れる世代が現れたのです。
思想やイデオロギーを好まないのです。
個人個人の自由な恋愛による結婚が当たり前になったのですね。
これが小此木氏が、「モラトリアム人間」と呼ぶ世代ですね。
戦後、日本が焼け野原になり、それから再起をかけて、復興のために身を賭して働いていくことで、右か上がりの成長を遂げることができた世代では、そういう滅私奉公の意識を持つのが当たり前だったでしょう。
しかし、そうい世相を経験しないできた世代の人たちに、こういう時代を生きてきた世代では、ものの考えが違ってきて当たり前でしょう。
今は「会社人間-会社=ゼロ」ではダメになった、といってもなかなか考えの転換が難しいのでしょう。
趣味や教養がある方がいい、といわれてもなかなかそういうものを習得しようとは思えないのですね。
これまで長年維持してきた考えなのですから。
これは、「家」の解体が原因と小此木氏は考えているのです。
私は、それに加え低成長時代に日本が入ったからだろうと考えます。
また、小此木氏は、上昇停止症候群というものを挙げています。
例えば、一生懸命働けば必ず○○に昇格するという考えを植え付けられて長年頑張ってきたにも関わらず、現実は△△しかなれない、という現実がわかると、とたんに「これまでは何だったのか」と悟リ、現実に幻滅する、という症状ですね。
こういった人たちは、鬱、不安、いらだちで終わるものから、もっと本格的なものまでひとによっていろいろあるようです。
アルコール依存、出家する、奥の細道の旅に出るなど、の行為に出るパターンなどいろいろあるようです。
その鬱は、いろんな症状が出るようです。
朝起きるのがつらい、夜なかなか寝れない、食欲がない、やる気が起きない、人と接するのがつらい、というように。
それは上昇停止症候群だけの人だけでなく、退職、受験失敗、失恋、近親者との死別、長年住みなれた土地を離れるに際しての引っ越し鬱などの原因になっているようです。
小此木氏が分析した中で瞠目したのは、十二指腸潰瘍、高血圧症、過敏性大腸炎、気管支喘息といった症状も精神的な原因でなるパターンもあるというのです。
それに相槌が打てた医師のかたは、社会とのかかわりを患者の生活から分析しながら、処方を患者に教えることがこれから必要になってくるでしょう。
また一般人のかたも、小此木氏の分析に賛同できたなら、症状で悩んでいる近隣の人や同僚、友人がいたら、そういった奥深い分析をしてアドバイスするべきでしょう。
そのためにこういった市民向けの本があるのですから。 また興味深く読ませてもらったのは、学歴コンプレックスをもった父親の子供への接し方ですね。
一流大学や一流企業に入れるように、幼少の頃から子供に発破をかけていた。
しかし、いざ子供が一流大学に入り、一流企業に入ることができたら、羨望の目で子供に接し、その偉業にケチをつけるというのです。
「そんな大学凄いことじゃないんだ。それができたのは私のおかげなんだ。」といったようにですね。
これは、親が自分が学歴の高いところに入れなかったコンプレックスを抱えて、それを晴らすために子供にそういうところに入るように過大な期待をかける。
しかし、いざ子供が成功すると、それが羨ましくなって、それをこき落そうとするのですね。
コンプレックスが晴れるどころか逆にコンプレックスを増大させてしまう結果になったのですね。
こういう問題点が浮上したら、それをどのようにして快方に向かわせるか、を提示するのが科学の役目ですが、この本の中で小此木氏は
「人間的な苦悩を内面的にひそかに解決して、その苦悩を超えて初めて親らしい親になっていく」
「自信と自足感を持つこと」
とだけありますが、まるで具体性がありませんね(笑)。
そこで思い起こされるのは、岩月謙司氏の本から学んだ事項ですね。
人を心から祝福できるようになるためには、自分が心から楽しいものをとことんまでやること。
人と比べてではなく、そのやることを始めるだけですぐに楽しくなるものを選び、行動する事。
それで人は心から人を祝福できるようになる。
と書いてありまして、実際その通りですからびっくりしました。
やはりこの場合のように、1つの事柄について全貌を見て解決へ向かわせるためには、その分野の本を20冊読んでいけば見えるようになる、といっていた人がいましたが至言だと思います。
やはり1冊の本だけでは見えてこないのです。
たくさんの本を読むことで見えてくるのです。
そういう複眼的で広く深く見ていく作業ですね。
この本などにでてくる鬱などになってしまう人は、視点が狭いということがいえると思います。
今苦悩になってしまっている部分だけを見つめてしまって、これは何が原因か、ではそのを良き方向へ向かわせるためには何をすべきか、そのためには日々どういう事を重ねていけばいいかといった広く深い視点が足りないのです。
そうではなく、広範な考えを持ち、それを文字にして脳内の埋め込み、それをずっと行動していくという作業が必要なのです。
決して宗教に入って祈るなんていう事では決して解決できないのです。
そのためには、こういった本が手助けしてくれると私は考えますし、それが私のモラルになっています。
ですから私は宗教に与しないのです。
宗教的な現象は信じますが、それに全般の信頼を託したりはしないのです。
岩月氏の本に助けられた経験は大きいです。
岩月氏の某本で、
「人間には2種類あって、1つは人の心を重んじるタイプ・。
もう1つは人の心に全く無頓着なタイプ。こういう人に人の心の大切さをいくら説いても前者のようになることはない。」
ということです。
それから私は目の前が晴れるような気分になりました。
そういう後者のタイプの人っていますね。
いくらその人が喜ぶようなことを言っても、こちらにはケチをつけたり、貶すことしかしてくれない人って。
こういう人が良くなるようなことはないのですから、相手にしないのがいいのです。
そういう人には私は挨拶もしないし、ほめることも笑い話もしません。
その人にはいつも黙っています。
それで本人が傷ついている節は全くないのですからそれでいいのです。
このように本が指針になることが多いので、こちらの方を私は優先します。
小此木氏の本の紹介のつもりが、岩月氏の称賛になってしまいましたが(笑)、小此木氏の偉業は、社会変化によって人間の心理状態、精神状態が変化する、その類型を多数分析し、その内容に整合性があることですね。
解決法は、あまりに具体性がなかったですが(笑)、それは他の本から学べばいいのです。
その本として岩月氏の本をお勧めします。
そういう読み合わせによって初めて目先が晴れてくるのです。
本1冊ですべてが解決できるなんという事は一切ありません。
それでは、この教えを携えていけば必ず解決できるといっている宗教と一緒です(笑)。
そんなことは一切ありませんので注意が必要です。
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★その他、小此木氏の本の紹介ページ
『シゾイド人間』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/437349661.html?1463297520
『モラトリアム国家、日本の危機』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/433800949.html?1463297602
『ケイタイ、ネット人間の精神分析』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/427135314.html?1463297660
『あなたの身近な困った人たちの精神分析』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/437906735.html?1463304554
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