この著者はマルクスの思想を基本に据えつつ、その実現を志しながら、社会を良くしておこうといモラルが感じれますね。
マルクスの思想がもとになった社会主義の国が今では4か国になってしまった現状をみれば、やはりそういった思想や、それに関する本は読む意味なし、というレッテルを貼ってしまう人がいるのは止むを得ないですが、本というのは何かしら学べる箇所はあるわけで、全くの無用とする必要はないでしょう。
この本は、民主主義的な方法による、社会主義社会への変革の可能性を探り、マルクス主義の諸思想の批判的な進化を目指しているのです。
この著者は、スペイン人ですが、マルクスに影響を受けて、その思想の実現を目指していたのが、この本を読んでわかります。
これが書かれた78年当時に、南米のチリでアメリカ帝国主義やその各種機関や他国籍企業が存在していたのです。
そのチリにおいて、民主主義的政体が廃棄され、狂暴な軍部独裁になったのでした。
やはりマルクスに影響を受けて、その思想を大幅に信じ込んでしまった人にとっては、アメリカ=資本主義の先駆的国ですから、それを遺憾としてそれが悪い結果を呼び起こすといって危惧したのはやむを得ない部分もあることは止むを得ないでしょう。
私は、ソ連=社会主義の先駆的国が崩壊してしてしまった今だからこそ、このように中庸的な発想でいられますけれども、この本が出された当時に生きていたならば、このような思想様式になってしまっていたかもしれません。
しかし、この著者は、詳しく読むに、マルクスの思想を影響を受けながらも、無批判でいたわけではないのがわかりました。
社会主義を採択されさえすれば、そこは地上の楽園になる、というような考えにはなっていなかったようですね。
「ユートピア的な領域から脱するために研究しなければならないだろう」 と書いていますもの。
やはり、現状をみてそのことを心から感じたのでしょう。
社会主義の国である中国やソ連.ロシアにおいて粛清が行われていたり、滞貨と行列が日常茶飯になっていたからでしょう。
やはり社会主義国において、政治的にも経済的にも上手くいっていなかったのでしょう。
著者は「生産手段の全般的な重要性を把握しなければならない」と書いてもいるのです。
そのうえで、「変革と社会主義を放棄することではない」といっているのですから、やはりマルクスの思想が根本としてあるのでしょう。
それゆえに、資本主義国の弊については常にピンと脳が反応してしまうのでしょう。
しかし、社会主義の弊についてはそれほど神経は反応しないのにです(笑)
国家独占資本主義では農業部門の被害が大工業会社、銀行、保険会社が実現した超過利潤によって保証されずに、租税と生産の俸給や賃金の一部を棒引きすることでおこなわれている、ということを批判しているのです。
これは常に問題点を探し、それを改善に向けての道を呈示する学者として、よく見つけましたといって称賛したい部分ではあります。
けれども、このことについては社会主義の理念の元に制定された独禁法等のいわゆる経済法によって大幅に累進課税が行われ、改められたのです。
だからといってそのままでいいわけはなく、構造改革によってその累進課税が持てるものに対して甘くなっていったことは認識するべきことではありましょう。
この本の書かれた当時は、社会主義が存在していましたが、今はなきに等しいのです。
その対比の構造の現在において、どのようなその経済法の理念が生きているのかを研究した本があれば、是非とも読んでみたいですね。
先に出た累進課税にしろ、協同組合にしろ、社会主義の理念から創造されたものなのです。
ですから、今社会主義国が世界で4か国しかないということだけで、その類の本は読む必要はないと切り捨てるべきではないということがお分かり願えるでしょうか?
この本の出版社は合同出版ですが、その合同出版は今も存続していますから凄いですね。
しかし当然ながらもう社会主義の本は出していません。
今は環境系の本が大多数です。
その合同出版の本で、大学に関する本でいいのがありましたのでそれを今からネットで取り寄せて読んで、良いと思えたらここで紹介したいと思います。
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