同業他社間のつぶし合いシミュレーションを一種の耐久試験として投資先銘柄に課している。
マーケットシェアが5~8割程度に達するまで、同業他社を集め、これらで耐久テストを行う。やる事は簡単。同業他社の損益分岐点を切るレベルまで価格競争を疑似的にさせる。数量面及び価格面で被テスト企業のいずれかが赤字に達した時点で、投資候補銘柄がどのような利益を持つのかがポイントとなる。
退場企業はある意味、業界のクッションである。退場企業分は残存者利益となる。ちょっと例えが悪いが、仮に密室環境で10人いれば空気はすぐなくなるが、8人に退場(=ご臨終)して頂ければ、その分空気は残存する。
大それたビジネスシミュレーションを行わなくても、これは計算出来る。例えば、投資先のROAから他社のROAを引き抜けばどれだけ優位性があるかが分かる。仮に他社のROAが5%であって、投資候補先のROAが15%であれば、他社が撤退する状況でもROA10%を確保できる事になる。特に垂直統合されたメーカ等、売上に占める仕入率が低い企業、実質固定費が簡単に減らないような業種の場合、これは有効である。
勿論、企業はそれぞれ独自のビジネスモデルを持っており、同じく強みも分散している。どんな企業も同じなわけではない。だからこそ、参入障壁があり過当競争は生まれず、一定の利益率を確保出来てきたと言える。しかしながら、同時に全ての企業は代替可能である。代替品が安くなれば乗り換えられる。だからこそ企業の利益は通常一桁台なのである(これ以上の利益は吹っ掛けられない、吹っ掛けたら客が代替製品に逃げる為)。もしくは、これらの障害壁を考慮に入れ、弾力係数を組み込めばこう言う状況にも対応できる。
価格と言うのは結局、一番大事なドライバーである。この強力なドライバーを軸に利益度外視の特攻攻撃を競合が仕掛けて来た時、どれだけ防御しきれるのか、これは非常に大事なポイントであると言える。
業界の優位性は勿論、業界内の相対的優位性もかなり重要である。