1年半前、海運関連の企業に投資を始めた。銘柄は川崎汽船と日本郵船。2008年の絶頂期から一転、金融危機の煽りを受けてBDI指数は数カ月で90%下落していた。いくら好調時からとはいえ、運賃が10分の1になるのは明らかに行き過ぎであったと思う。『ドライバルク船が1日30万で借りられるなら、結婚式パーティー何かに使ったほうがいい』そんな声もあった。
採算は確実に割っていた。ジムロジャーズよろしく、次に起こる事は海運産業が消えて無くなるか、運賃の回復のどちらかだろうと思った。当時、株の取引価格もかなり落ちており、最高期の4分の1程度の価格であった。ただしPBRは1倍程度であった為、割安であったとは言い切れない。しかしながら収益の面で言えば、最高期の利益で計算するとPERは3倍程度となかなかのお値段であった。『金融危機が崩壊した所で、世界経済から貿易が消える事は無い。3-5年後には今まで通り回復しているだろう』、と夢想をし株を購入した。
その後、日本郵船は増資を行い、今でも株は今損を含んでいるが、業績は力強く回復している。今後が楽しみである。中国は2020年までに貿易額を2倍に膨らませる事を目標としているらしい。最近は鉄鉱石の需要も伸びており運賃上昇が際立っている。老船の廃棄も進んで誠に良い。
でももう少し知りたいな、と言う事で定常分析をやってみた。で、結果は見事失敗。考えるべき項目が数十あり、それがまた密に絡まっている。さらにそれぞれの決定者が各々に意思決定をしていくから全く持って、今後どうなるか読めない。船の需給一つ取ってみても、耐用年数を少しずらすだけで船腹数がガラッと変わる、さらに運用する航路なんて何が何だか分からない。さらに船舶にサイズ、用途、使い回しの可否、その他使われていない船の係留数や馬鹿みたいに残っている船舶受注残何かを加味して考えろ何て言われたらもうアウト。これは投資家としては、いただけないが、どうしようもない。。。
当該企業の株はある程度安値で既に買ってしまっているし、足元の景気も悪くは無いから、このままホールドをする事とするが、それでも買い増しは躊躇する。暗闇で綱渡りしろと言われているようなものだ。。恐ろしくて出来やしない。。どう考えても、自分の戦う場所はもっと分かり易くて単純でなければならない。ピーターリンチの教訓を再認識した。結局分析と言ってもド素人がやる事に変わりがない。プロフェッショナルのようには出来ない。手持ちの情報も圧倒的に少ないし、思考も追いつかない。こんな状態で一般的な企業を買ったのでは金がいくらあっても足らない。
これからは分かりやすい銘柄に投資していこうと思う。