要となる智を継ぐもの

株式投資についてつらつらと書くブログ(走り書き)。誤字脱字計算間違い多数。補正・修正は読み手側でしてください。

結局、青い鳥だった。

2010-12-26 01:22:59 | 投資日記


2001年時点でPER1倍以上だった銘柄を紫色、PBR1倍以下且つ、その後の資本成長率が50%の銘柄を赤色、100%以下を青色でプロットした。サンプル1300銘柄中、赤色は155銘柄。全体からみれば赤色は1割程度だが、見ての通り、時価総額の上昇率が他に比べて半端ない。例えば、実数値として下記の様なデータが取れる。

時価総額が500%以上上がった企業は全体で9銘柄あり、その内5銘柄は低PBR&高資本蓄積銘柄だった。実に過半数を占める。
時価総額200%以上に占める割合も63銘柄中31銘柄が低PBR&高資本蓄積銘柄であり、これも約半数を占める。

また、低PBR&高資本蓄積銘柄のうち、2割が時価総額3倍超となった半面、それ以外の銘柄のそれは5%にとどまる。
さらに、時価総額の成長率が0%以下だった銘柄は全体では52%を超えたものの、低PBR&高資本蓄積銘柄は14%にとどまった。

スクリーニングにしてはかなり単純だがとても強力な組み合わせだと考える。後は如何にして資本蓄積率の高い銘柄を揃えられるかがポイント。とは言っても、10年で50%の成長率は、年率に落とし込めば5%程度。平均ROE5%以上を堅持していれば到達可能。それに過去実績の利益率を応用すればある程度は予想可能だと思われる。後は、十分に分散させ、ムラが発生しないように注意しつつ投資を行う。

因みに、上記条件は低PBR&低PER投資に通じる。ROEとPBRとPERは相互補完だからPBRが一定のもと、ROEが上がればPERは下がる。結局は王道バリュー投資に落ち着いたと言う所かなと思う。それでも、過去データをこねくり回して得られた結果なので、異論は無い。

株式市場内での分散投資に関して

2010-12-25 17:13:51 | 投資日記
ある程度分散のとれたポートフォリオを作る際に効率的フロンティアの考え方を取り入れた方が良いなぁと思い早速サンプルを取ってみた。

下記は過去5年間のトヨタとその他の企業との効率的フロンティア(月次ベース)。



トヨタと同業他社(ホンダ、日産、マツダ)との株価変動の相関性は凄いですね。殆ど直線。同業の中で分散投資するのは結構意味が無いのかも…?株価変動と言うリスクを分散したいのであれば、やっぱり避けるべきだろう。それに、株価変動だけでなく、業界リスクっていうのもあるしね。やっぱり異業種間でポートフォリオ組んだ方が、不確実な事象で死亡する確率はは少ないのかも?しれない。

うーん、でも、長期投資をしている身としては、株価変動はどうでもいいかなぁ…。株価変動のリスクが減った所でリターンが上がらなければ意味ない。価格変動を極力するなくすると言う意味で、今の所は分散投資する気はないなぁ。

でも、やっぱり企業由来の固有リスクは取り除きたい所。1銘柄に対して一定の上限を設けてポートフォリオに組み込むのが妥当なのかもしれない。この効率的フロンティアに寄らずね。と言うか、効率的フロンティアって凄いぶれるよね。過去のデータからはこうやって綺麗に曲線が描けるけど、未来永劫こうなるなんて事はゼロでしょう。これは過去の効率的フロンティアであって、“前はこうだった”と言う参考にしかならない。と言うか実際は参考にもならない。

例えば下記のグラフ。これは上記のトヨタと日本水産の相関図を元にして作ったもの。赤色が過去5年間の効率的フロンティア。青線は5年間を10等分して得られたミニサイズの効率的フロンティア。



何て言うかぐちゃぐちゃ。最適解はその時々でかなり違ってる。まぁ、無理やり言うのであれば、大体半分ずつ持っておけば間違いはないかも?って事かな。多分。。。株価が完全にシンクロしていなければ、0%から100%の間で双方の株を持つのが望ましいね。って当たり前か…。

ポートフォリオの手直しと投資の軸となる考え方に関して

2010-12-25 16:14:58 | 投資日記
ポートフォリオの改変を行っている。

基本的には今までのスタンスと同じ考え方で再構築を行っているが、より、パッシブな運用に努めたいと思っている。勿論、銘柄選定は恣意的に行うが、可能な限り資本を分散させ固有リスクの分散に努めるつもり。

今買っている銘柄は市場における最低水準レベルの低PBR銘柄。低PBRだけならば沢山銘柄はあるが、中でもそこそこの財務状況、そこそこの利益率、そこそこの事業安定性等を軸にして投資をしている。と言うのも、過去5年~10年間の市場を分析してきた情報を元に考えると、株式市場には以下のような傾向が確認できた為である。

①低PBR銘柄は資本の蓄積度合によりリターンにバラつきがある。
②財務内容は株価や還元政策に影響を与えない。
③収益性は持続する。
④収益性の高い企業はその後の資本の蓄積率も高い。

低PBRが見直される条件は極めて単純で、どの程度資本が蓄積されるか否かにかかっている。資本が蓄積されればされるほど、蓄積分BPSが上昇するのでPBRが一定であれば株価は上昇する。さらに、資本が蓄積されればされるほど、PBRも改善する傾向がある。BPSの成長と相まって、PBRが上昇する。この影響威力は凄まじい。

BPSを成長させるには利益が必要である。そしてその資本の成長率はひとえにROEにかかっていると言って良い。ROEが高ければ高い程、そしてそれが持続すればするほど、BPSは溜まっていく。勿論、ビジネスが拡大すれば複利効果が得られるが、無成長でただため込むだけでも直利ベースで資本は蓄積されていく。いずれにせよ、低PBR株で儲けるのであれば資本蓄積は必須だ。

で、過去のROEから今後の資本のROEを予測できるかと言えば、そこそこのレベルで可能だ。特に、比較的高ROEの銘柄(5%-15%)はその後、そこそこのその利益率を持続させられるし、収益率のブレに関しても低収益企業よりもかなり高い利益の安定性が得られる事が分かっている。また、資本蓄積はこれら利益を数年分積み重ねることで得られる。だから単年の利益のブレをうまく吸収する事が出来る。よって、より安定した形で資本が蓄積されていく。高い収益性が安定的に利益を供給してくれるのであれば、資本の蓄積率が他の企業に比べ高いのは当たり前。これは傾向の問題ではなく算数の問題か。

因みに、下記のグラフは過去10年間の低PBR銘柄(0.6倍)の資本成長率とキャピタルゲインの相関図だ。



10年間で資本を100%積み重ねられた企業の平均株価上昇率は155%。それ以上の企業はより高いキャピタルゲインを享受できる。
因みに10年前のTOPIXは1400円,日経平均は15000円。30%以上のキャピタル“ロス”だ。



低PBR銘柄は沢山市場にある。後は、長期間に渡って資本蓄積が可能な企業を見つける事だ。これが無ければ低PBR投資は成功しない。
因みに下記は10年刊のPBR毎の評価のブレをグラフにしたもの。



ただ資本が安いと言うだけでは、市場評価は覆らない。

バフェットの凄い所は投資じゃないのではないだろうか?

2010-12-24 10:53:22 | 投資日記
前のエントリーに続いてもう一つ。バフェットは本当に投資上手なのだろうか…?それを補足する上で一つ良いサンプルがあるのを思い出した。何かの本で読んだのだが、下記の記事がそれだ。


ある経営者(以下、彼)がバークシャ―に身売りをする交渉に行った。
交渉は和やかにスタートした。話を進める中、バフェットは彼にこう言った。

バ:「買収価格は利益の10倍位が相場ですよ。」
彼:「なるほど、良い値ですね。」
バ:「じゃあ10倍で!交渉は成立です!」
彼:「え、ちょっとまった!」
バ:「良いって言ったじゃないですか、もう1セントも値上げさせませんよ!」

本題に入る。利益の10倍ってどうよ?PERで言ったらPER10倍だよね。これ、安いの?安いけど、直利ベースで10%が良い所じゃないか?そんなに成長性(+収益性)があるビジネスでもない限り、この値段で買ってバークシャ―の途方もない利回りを達成できるとは考えにくい。

また、シーズキャンディーに関しては確かに割安だっただろうが、世間で言われるほどの奇跡的な投資だったのだろうか?購入時PER6倍だったので、その点は割安だ。また当該企業は今や買収時価格と同額を年間リターンで出すほどだ。

素晴らしい!と言いたいのだが、買収から今までの累積インフレを考えると、どうだろう?1972年からだから30年‐40年分のインフレをたっぷり含んだこのこの水準は、むしろ低いのではないか?

事実、1970-1990年当たりのインフレ率は物凄い事になっている。これを含めて考えると上記期間の平均インフレ率は軽く5%を超えてくる。それを踏まえて考えると、累積インフレ率(物価上昇率)は5.5倍。逆に言えば、5.5倍を割引いて考えなければ実質値は算出出来ない。とすると、だ。実質利益成長率は6/5.5となり、殆ど変わらない事になる。(当該企業のキャンディーの販売数量と整合性がある。キャンディーの過去35年間の販売数量の伸び率は年率2%だった。売上規模そのものは2倍程度になったと言える。利益水準が実質値ではむしろ落ちてるっぽいが、実際に落ちているのか、誤差なのかは不明。少なくとも、大した投資では無かったと思われる。)

後、ネットジェッツは赤字続きだし、7賢人と称されていた企業軍(ロシア系家具屋とか)は赤字スレスレとも聞いている。本当に彼は皆が言うような偉大な投資家であり経営者なのだろうか?私にはそうは思えない。少なくとも投資の面で言えば、グレアムの方が優れていると思う。

上記のように、投資家としての彼は正直、見かけ倒しだと思う。少なくとも世間で言うほど、彼の投資実績は凄くない。と言うか、別に彼で無くても同程度のリターンは誰でも出せたはず(例えばコカコーラの96%は彼以外が株主)。グレアム的な投資論を精通し、それを実行する人間がいたのであれば、タイミングを計ってやれば同じようなリターンは出せたと思われるし、彼が投資している会社レベルの企業であれば、市場を探せば少なからず、幾つかは出てくると思う。

むしろ、彼は偉大な投資家と言うよりは、偉大な実務家と言ったほうが良いと思う。
具体的に言えば、下記がそれだ。

①巨大なフロート(準備金)を使った低リスク下での大規模なレバレッジ投資スキームの保有
②企業を子会社化する事による、時価会計の回避と資本政策の掌握
③自己ブランドを高め低価格での買収を実行
④ハサウェイを投資会社として資金の入出力の管理を実行


①、彼は保険子会社を通して5-7兆円のフロートを実質保有している。この金は保険における振込と支払の時間的差が産んだ物であり、比較的長期的な投資にも使える。彼の部下が優秀だからか分からないが、とにかく、低コストで調達できるレバレッジ用資金と言って良い。数兆を低コストで調達できるのでかなりレバレッジを掛けられる。バークシャ―の資産と同程度のフロートなのでレバレッジ2倍程度はいける。単純な話、リターンを2倍に引き上げられる。

②、企業を子会社化する事で時価会計から逃れられる(よね?違ってたら御免)。彼の手紙を見る限り、投資成績の計算方法は時価ベースではなく、あくまでも資本ベースである。で、リターンは資本の増加率である。こう言った土台を持たせることでかなり安定した運用成績を実現出来る。変な話、子会社群が赤字さえ出さなければ投資はマイナスにはならない。この手法は上記のフロートを運用する際にかなり高い安定性とか信用を持たせていると思う。と言うか、持たせざるを得なかったのかもしれない。いずれにしろ、市場由来のマイナスによる追証的な資本の強制引き揚げから、逃れられる。

また、資本政策の掌握は大きい。利益が出たら即還元しろとのお達しを子会社経営者に通達している事からも分かる。また成長に対する資金提供も殊更厳しく、かなり稟議が通らなく、経営者が身銭を切って投資をし、成功したら会社がその投資を買い取るみたいな事もしているとの話もある。

資本政策を抑える事で、PERをそのまま利益に直結できる。よくバリュー投資家がやる「仮にPER5倍の企業がもし、利益を全額還元されたら…20%のリターンだ!」と言うのを、マジでやっているのがバフェットだと言える。

③バフェットブランドはかなり高価だろう。会社を安値で売ってでも彼の傘下に入りたがる経営者も結構いると聞く。また彼自身、そのブランドを保持する事に凄い執着しているし、実際、世間の評価を損なわないよう万全の行動をしていると何かで読んだ(どの本かは忘れた)。

④ハサウェイは強力な資本自己増殖スキームそのものだろう。還元一切無し、利益を全額再投資。これを長期に渡り行っている。消費一切無しの完全投資。これを半世紀も行う。この点で普通の投資スキームと一線を画す。複利の効果は皆さんご承知の通り。

そこそこの良い賭けが出来る企業をそのブランド力を持って定期的に揃え、低コストでレバレッジ投資を行い、資本に対する投資額を嵩上げし、投資先からリターンを100%吸出し、株主には還元せず、100%投資を行い、それを何十年も続ける。また、市場的な不確定性を取り除く為、資本ベースでの計上を行い、安定的にビジネスが成り立っているように対面的に繕う。

とてもシンプルながら完成された投資スキームだと思う。
勿論、目的は「資本の自己増殖」を究極なレベルまで引き上げる事だろう。

バフェットは投資家と言うよりは、商社マン的仕組み作りの人じゃないか?と思う。
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安定した利益を持った企業は引き続き安定している。

2010-12-23 22:42:47 | 投資日記
手持ちの財務データが5年分しかない。よって長期的な利益趨勢を分析出来ない。が、5年分はとにかくある。この範囲で利益の傾向を分析してみようと思う。

以前アップロードした通り、単期ROEだけでは今後の収益性を占うには無理がある。確かにROEが高ければ、その後の利益率も平均して、“若干”高くなる。しかし凄まじいブレも存在する。同じ基準ROEでも、ある企業はとても高い利益を出し、ある企業は低い利益を出す。とにかく分散が広範にわたってしまう。

そこで、補強要素として、数年間の利益平均から今後を見通せないかと考えた。基準を3年間の利益水準とし、また指標の分母を資本ではなく資産にしてみた(ROE⇒ROA)。これは変動比率が資産の方が通常低い為だ。また、そのブレを計測し、結果を2分位に分けて、安定型と非安定型に分けた。ブレの計測指標に関してはシャープレシオっぽく、“平均ROA/ROAの標準偏差”とし、分水嶺は200%とした。それから次の2年間の利益がどう動いたかをグラフにしてみた。



かなり良い感じに計測出来ていると思う。単年ROEに比べればはるかにマシか。ただやっぱりたかが過去5年間での出来事なので、何も考えずに長期投資に当てはめるのは危ないかもしれない。

そもそも、ここでアウトプットしたデータって5年後の数値ではなく、2年後の数値だし…精度が高くて当たり前か…でも残差をさらに2乗すれば、次の2年後にも対応したデータがまが得られなくもないのではないか…?もっと長い期間のデータを分析してみない事には何とも言えないが…。

コカコーラへの投資は成功だったのか?

2010-12-22 20:06:57 | 投資日記
ふと思い出したのだが、バフェットのコカコーラへの投資は本当に成功だったのだろうか。

彼がコーラを買ったのはゴンズエタが社長に就任した頃だから、確か1988年頃。当時PER25倍程度だったと記憶している。それが15年余りで7倍程度となった。購入時PERで4倍程度になった。

バフェット(マンガーだったか?)は「割高株も長期的には割安になる。」と言っていたが、この水準は本当に割安なのだろうか…?

米国のインフレ率は、この期間、3%から5%程度だったと思う。そう考えると、累積インフレ率は50%から100%程度。単純にこれを割引くと、コカコーラの実質的な時価総額の増加分は3.5倍から4.5倍。15年で約4倍程度。複利で考えると年率10%程度。

後、これにインカムゲインを付け加えて考える。ROEによりけりだが、まぁ今の水準程度と考えてROE30%程度といておこう。15年で7倍程度まで本業が成長したと考えると(PBR一定を想定)、本業拡大用の資金はROEの約3割程度、残りの7割を還元したと考えて、1/PER=1/25=4%の70%は2.8%。

合計で大体12.8%程度がこの投資のリターンだったと言う事か。うーん、低くない?っておもっちゃうのは私だけでしょうか。。彼のポートフォリオの平均リターンって確かインフレ調整後でも20%近くあったと思うんだけどなぁ。。

でもま、良い投資だった事には変わりないか。
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ペパボは売った方が良いのでは?

2010-12-22 09:42:53 | 投資日記
上昇気流に乗ってさっさと売り抜けた方が良いでしょう。根拠は下記の通り。

①PBRが高すぎる
PBR6倍は危険ゾーンです。過去のデータから言えば、PBR5倍以上は十中八九、下落し、長期的に見れば80%から90%以下の水準まで"PBR"が落ちます。かたやBPSに関してはそれほどまでの成長はしません。ペパボに関しても同様だと考えます。理由は下記の通り。

②成長余地に関して
成長余地はまだあるでしょうが、競合他社が雨後のタケノコのように乱立し始めています(有報のリスク事項を確認ください)。
また、ペパボが優位性を持って客を囲える“有意な環境”は市場から消えてきています。事実、成長率は過去数年で遁減状態。また今期は目標未達の公算大です(3Qの進捗状況を参照ください)。

③利益率の減少に関して
超高収益企業(ROE25%以上)の収益率が5年後も持続する確率は極めて低いです。過去5年間に関して言えば、約85%以上の企業は利益率を落としています。確率論的にペパボも下落する可能性が高いです。また、今まで高収益高成長を牽引していたホスティング関連が伸び悩み、EC他新事業を拡張し始めています。これらのビジネスは前者のそれと根本的に違います。当然、利益率も大幅に違うはずです(有報記載の各事業に対する設備及び人員の配賦を頂ければ分かると思います)。ホスティングが偶然のヒットだった場合、それが連続する可能性は低く、利益率は今後落ちていく事が考えられます。


RSI (Relative Strength Index) 相対力指数とテクニカル系指標の可能性。

2010-12-18 19:43:51 | 投資日記
ウォール街で勝つ法則でファンダメンタル系指標と共にRSが分析の対象になっており、結構良い感じの数値を弾きだしていた。因みにRSの有意性が出現するのはトレンドをフォローした場合。より長くトレンドが続いた場合、それをフォローする事によって利益が上げられると言う物(だったと思う)。さて、RSは日本市場でも通用するのか?過去3年間分の情報を元に描き出してみた。



本来であれば10年程度のスパンで計算するべきなのだが、扱うデータ量が大きくなる為ここでは3年間のみとさせて頂く。さて、結果はご覧の通り。ほぼ、意味が無かったと断言できる。少なくとも過去3年間のそれに有意性はない。通常であれば赤い囲いの中に大体の企業がおさまらなくてはならないが、そうはならない。残差(R^2)もほぼゼロであった。

結果は残念な物だったが、かなり示唆に富む。

ウォール街で勝つ法則では年次毎にリバランスを行う事が前提になっていた。この前提を元に計算して利益が出たのであれば、トレンドのサイクルが最短でも2年間はあったと言う事になる。これに停滞期分の期間を追加する。例えば上下の停滞期を1年間だとすれば4年サイクルで回っていた事になる(登り⇒高原⇒下り⇒底辺)。このサイクルと上手くリバランス気が合致すれば相当の利益が得られた事になる。逆に合致しなかった場合は有意にはならない。RSIが有意かどうかはトレンドの長さに起因していると言って良いのかもしれない。同じようにテクニカル系の指標も前提さえ上手くマッチしていればかなり良い結果が得られる可能性がある。

ただ、残念な事にテクニカル系は前提となる事象が予測しにくい。ファンダメンタルは財務基盤や社会体制(資本主義や市場主義)によって比較的高い蓋然性を得る事が出来る。一方、テクニカルはチャートベースでの取引となるので、そのチャートが影響するもの全てを考慮しなければいけない。チャートと言う厚い雲に覆われて地表で何が起こっているのかを予測しずらい。しかし、これがもし、予測できるのであればかなり面白い事になる。

そう考えるとウィリアムオニールはかなり卓越している。ファンダメンタルや定常的事象で地盤を“確定”させてその上で相場を張る。CANSLIM(年間EPS成長率、四半期EPS成長率、超強力なコアビジネス、機関投資家の存在、RSI)で的を絞り、後は機械的に売買をする。

予想を上回る成長率の上に金が積まれる。その成長の根拠となる強力な何かがあり、人々が魅了される。さらにその相場を加速させる機関投資家がいる。モメンタムも最高潮でスカイロケット状態。バブルの発生期に参戦しバブル崩壊間近で売り抜く。しかもこれを数カ月、数年単位で行う。

一昔前にソーシャルゲーム関連に投資をするような感じか。無限の可能性と高収益を備えた起爆剤、それに起因する加速度を増す成長率、機関投資家も持ってて買い推奨。株価もどんどん上がって来ている!!みたいな?光に集まる餌を捕まえる感じ?そう言う意味ではチョウチンアンコウ的な投資なのかもしれない。いずれにせよ、凄い技量だと思う。なり面白そう。しかし、凡才の私には到底まねできない芸当である事は間違いない。

うーん、そう考えると、テクニカルもファンダメンタルも基本的には根拠は同じなんじゃないだろうかと思う。即ち、勝てる賭場で掛けるって事。明確な勝てる理由と明確な被捕食者の存在がそこにはある。無ければ掛けない。

幻冬舎のMBOを謎のファンドが揺さぶり株価騰勢、28日まで続く神経戦

2010-12-18 19:21:03 | 投資日記
幻冬舎のMBOを謎のファンドが揺さぶり株価騰勢、28日まで続く神経戦

面白い展開になってきましたねぇ。

高収益企業の行方。

2010-12-18 11:09:11 | 投資日記
2006年時点の各銘柄を収益率(ROE)毎に7分位に分け、5年後の収益率と照らし合わせた。



グラフ上部は5年後の収益率のバラつきを示している。グラフ下部のラベルは収益率が5年前と同等もしくは向上した確率を示す。

御覧の通り、各分位において、それぞれ約20%の企業が赤字に陥っている。また、高収益企業になればなるほど、収益率を維持するのは難しい。特にROE10%以上の企業に関して言えば、約8割の企業が数値を落としている。よって、高収益銘柄は低収益となる。逆に赤字企業を除いて低収益銘柄が高収益銘柄に生まれ変わる事はほぼ無い。0%から5%の収益水準に標準化される傾向にある。

上記を踏まえ考えると、高収益性依存のバリュー投資は足元が危うい可能性がある。しかし、バリュー投資において超過リターンを得る為には資本蓄積は必須であり、故に、対資本ベースでの高収益性(高ROE)は必須である。

また、資本の増加に従い、ROE(=利益/資本)は低下する。この点注意が必要。ただ、資本の増加によるROEの低下よりも利益の絶対額の減少の方が指標に与えるインパクトが強い。

可能な限りリスクの目を取り除く必要がある。

例えば競合がいないもしくは弱過ぎる、スイッチングコストが高い、代替製品が無い、少なくとも短期間において技術が代替しえない、エンドユーザの嗜好に左右されない、景気に左右されない、社長が愚かでない、事業規模を柔軟に変更出来る(売上に対する利益率の弾力性が低い)、政府指導の規制がない、等。

上記項目をスコアリングし、上位20%の数値をクリア出来た企業のみに投資した方が良いだろう。