自転車操業日記

自転車と組版ソフトについての備忘録。

「ひもとく」の用例

2012-08-20 13:03:27 | たまにはしごとだって
若い執筆者の多い単行本の原稿を読んでいる。ゆるい縛りのシリーズ本のひとつなのだけど,ここ数年引っかかっていたことがある。
数年前から「歴史を紐解く」という使い方が散見されるようになっていて,こりゃ「繙く」だろ,この用例はビミョウだけどまあアリっちゃあアリか,ということで,かながきを勧めるコメントをつけて検討してもらったりしていた。

が。
ここへきて「起源を紐解く」「関係を紐解く」があらわれた。
もともとの「繙く」は本を読むという意味なので,「歴史をひもとく」は「ある視点から過去の流れを追っていく」という意味で比喩的に使っていると考えて,用字だけ指摘したのだけど……字が違っている時点で原義を指摘しておくべきだったなあ。まだまだ甘い。
おそらく,表記から「紐をほどく」,つまり「謎を解く」くらいの意味で使っているのだろうと思うのだけど,いくつか辞書を見てもそのような用例は出てこない。ていうか,「下紐を解く」意味しか出てこないよ。きゃー。

このギョーカイのこの世代の,流行語になっているのかもしれない。とすれば,なにかかれらの琴線に触れるものがあるのだろう。たぶん,もつれた紐(糸?)を一つ一つ整理して,すっきり視界を開く達成感を表現したいのだろうと思う。地味~なしごとをこつこつと積み上げて,目の覚めるような成果をつくりあげるひとたちなので。
てなわけで,誤用とばっさり切ってしまうのもさびしい気がする。でも単行本なんで無批判に使うことにも抵抗がある。といって,「琴線に触れる」ような代案も出ない。ああどうしよう……。

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