リタイヤ親父の暇つぶし

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真夏にスモークサーモンを作る方法の模索

2018年04月17日 | スモークサーモン
これまで15年以上もスモークサーモンを作り続けてきました。冬場の気温の低いときしか作れなく、特に12月はクリスマス用と正月用に依頼され忙しい日々でした。昨シーズンは忙しすぎて中断しました、中断すると食べたくなるのが人情で再開を望む声が聞こえてきました。これまでの様なばらまきではなくごく少数の苦労が分かってくれしかも味が分かる人用と自前用に作る方針にしました。
●材料はコストコで販売しているノルウエー産のサーモンを使用します。


約1kgの皮なしの状態の生のサーモンです。年中販売しています。これまでは魚屋に5~6kgのサーモンを事前に注文して3枚におろして貰います。出来上がったら魚屋まで取りに行きます。魚はあらの処分(欲しい人に持って帰って貰います)と骨抜きが必要です。燻煙の費用から考えて最低2本(半身で4枚)を作ります。コストコの切り身ならいつでも購入できるので1回で2枚程度のスモークを考えています。
●燻製器
2枚程度を想定した燻煙器をベニヤ板で作りました。



煙を出す下部と燻煙する上部を別々の箱にしました。下の箱の熱が上に伝わらないようにするためです。背面に煙を導くためのΦ50の塩ビパイプです。箱の容積が小さければ燻煙時間も少なくなります。これまでは1回で60cmの長さの半身を16枚も燻煙していました。6日間かけて夜間のみ燻煙していました。最終目標である真夏にも作るならこの燻煙時間を短縮させねばなりません。解決策の一つに「電子スモーク」というのがあり鳥取までテストに行きました。多分数十分で燻煙かのうとなりますが、業務なら高価な機械を買えますが個人の趣味では買えません。燻煙時間を短縮するために①半分に割って使用していた燻煙棒を丸ごと使用する。これで煙の量が倍になります②燻煙室内の煙の撹拌と魚に当たる煙の速度を早くする③香りと色づけを増すためにピートの粉末を追加する方法でテストしてみました。

USBのファンを箱の中の上部に置き下方向の風を作りました。この結果燻煙棒2本(約8~10時間の燻煙)で香りとしては少ないが一応満足できる香りが得られました。この時間なら一日分の夜間で可脳になります。箱内の風は強すぎれば魚の表面が乾燥しすぎます。弱ければ燻煙時間が短くなりません。条件を見いだす必要があります。
●燻煙箱の内部冷却
燻煙箱の中に保冷剤を入れて雰囲気の温度を10~15℃下げれば真夏の夜にも冷燻が可能になると思います。

両側に保冷剤2個づつ置きました。

保冷剤をビニール袋に入れたにも拘わらず箱内の温度が上昇しました。全く予想外の現象です。これは保冷剤に結露した水分が木材に吸湿し発熱したことが原因と考えられます。

対策としては木材の吸湿防止の塗装などの処理を施す方法ですが化学薬品の塗装ではなく自然の原料のものを探していたところ桐油に行き着きました。取り敢えず内面のみ塗って効果を調べます。
●撹拌用ファン
横49cm縦39cmの断面に入れるファンの大きさを決める必要があります。

9cmのファンで撹拌しながら燻煙した結果は特に問題がなかった。ファンの径が小さいので中央部のみ風が当たっているように思う。30cmのファンを仮に取り付け風の吹き方をみたが横壁に沿っての風量が大きく感じた。天井に付けるシーリングファンには横壁の距離を開けるような指示がある。30cmファンは横壁に近すぎる。小型の中古の扇風機を買ってきて18cmのファンを取り出した。30cmも8cmも燻煙実績はありません。ファンの径とファンの回転数を決める必要がある。
4月19日(木)
桐油が到着

早速箱の内部に塗る。

塗料と言うよりも完全に油である。種油と同じ感じで塗っても乾かない。木部に染み込ますので乾くまで半日はかかった。
ギヤヘッドが到着

モータの下に取り付けるギヤヘッドが到着。回転数を1/3に減速するものである。30~567rpmの可変になる。左が回転数を制御するユニットである。

モータの先にファンを取り付けた。金網の上に千切ったティッシュを並べファンの回転させティッシュの動きを見ながら回転数を変化してみた。回転数のつまみが真ん中より手前のところに風の当たりが良さそうなところがある。ファン径30cmを使用したが問題はなさそうでsる。
●保冷剤による冷却
箱内部に桐油を塗ったことで保冷剤を入れた時の温度上昇はなくなった。保冷剤4個を使ったところ内部は約10℃の温度低下確認出来た。
4月20日(金)
朝の4時頃から保冷剤を入れた効果を確認した。保冷剤を左右に各2個底に2個の計6個を配置した。

網棚の中央上下で温度測定した。

熱電対は素線がむき出しの物は温度誤差が出るので、ステンレスパイプ(Φ3.2)に入ったものを使用した。
●温度測定結果

7℃~10℃位は温度低下が見込まれる。燻煙開始は保冷剤を入れてから30分後に実施すべき。
●目標温度
冷燻でスモークサーモンを作るときの目標温度はネットで調べてもいろいろあるが科学的な説明は皆無である。これまでの経験も入れて15℃~25℃を目標温度とする。これは燻煙中のスモークウッドの発熱も含んでの値である。15℃以下では燻製の色と香りがつきにくく、25℃を超えると魚が傷みやすくなるとのこと。燻煙の時間も当然影響するが夏場であることから10時間以内を目標にする。燻煙時の最適温度が25~28℃という記事があった。この場合はピートをブレンドして2時間燻煙と書いてある。一度試してみる価値がある。
●サーモンを使った実験
本日(20日)夜に実験開始するに当たって家の近くの気温予想を調べた。

22時~8時までが良さそうである。因みに本日の予想最高温度は27℃明日は28℃である。
●スモークウッド(燻煙棒)の燃焼による箱内部の温度上昇
スモークウッドの種類により燃焼速度に差がある。桜はヒッコリーよりも燃焼速度が遅い。普段使っているヒッコリーは4~5時間程度で燃え尽きるが桜は倍位かかる。ヒッコリーのスモークウッドを使った場合の温度上昇を測定した。

箱内部はどんどん上昇していく。80分で10℃以上も上昇した。まだまだ上昇の気配がある。この温度上昇は夏場の燻製の妨げになる、

スモークウッドを縦半分に割れば(右側)温度上昇を抑えることが出来る。
4月21日(土)
●本番のテスト
前日の夜間に桜のスモークウッドで1回目の燻製はウッドの燃焼も遅く気温も低かったこともあり箱内の温度は20℃以下だった。このときの気温データがうまく採取できなかた。そこで2回目はヒッコリーの半割を使用し気温の高い時刻にテストすることで効果を把握することにした。

燻製器は陽の当たる場所に設置した。

先ずスモークウッドのみ燃やした。箱内の温度は上昇を続ける。保冷剤を6個入れると温度低下する。30分ほどしてからサーモンを網に乗せる。気温はさらに上昇し30℃を超える。箱内の温度も気温とともに上昇し24℃を超えたので燻煙を完了した。
途中上部に配置した保冷剤4個を下に置き換えた。保冷剤に付着した水滴がサーモンの上に落ちることを防ぐためである。保冷剤全てを下に置いても冷却効果はある。

出来上がったスモークサーモン2枚です。かろうじて燻製品と言えそうである。試食してみると香りが少ない。スモークウッドを半割にしたのが原因、時間を延ばす必要あり。
●テスト結果から言えること
(1)真夏でもスモークサーモンの燻製が可能である。但し気温の低い夜間に実施すべき。
(2)煙の発生箱と燻煙箱の距離はさらに空ける必要がある。
(3)保冷剤は下置きにするが、個数を増やすようにする。(6→8または10個)
(4)スモークウッドは半割を使用して燃焼による発熱を抑える必要がある。
●今後の予定
5月初めに装置の改造を実施し、燻煙の時間と香りの関係を見いだす。

●冷燻の温度と時間
生の魚が腐敗する温度と時間に関して下図のデータがあった。

腐敗の尺度を表示するK値(%)というものがあり、20%以下なら刺身で食べることができるレベルである。この図から20%になる温度と時間を読み取りグラフ化した。

時間を対数表示してある。生サーモンに適用するには大胆過ぎるかもしれないが燻煙の目標温度と時間にする。
30℃なら2時間強しか保持できないが25℃だと5時間程度になりスモークウッド1回分の燻煙しかできない。20℃なら15時間燻煙でき、スモークウッドで3本分燻煙できる。やはり20℃以下の燻煙を目標としたい。
●スモークウッド燃焼による温度上昇
4月28日(日)
改造した燻製器でSOTOの燻煙棒を使ったテスト

SOTOの燻煙棒です。これまで使っていた物に比べ厚みは半分です。長手方向に3分割されています。今回2/3使用しました。

改造後の燻製器です。前回香りが少なかったものを棚に乗せて再スモークしました。

6時間煙を出していました。最大で約7℃の温度上昇がありました。