温度を変えた時の相当時間は時間軸を対数表示すれば直線になります。2本の線は63℃30分(70℃1分)と75℃1分の相当の線を示しています。この線の間に囲まれた領域を殺菌の条件と決めました。加熱温度は殺菌とタンパク質の硬化からは60~62℃の範囲になります。肉の食感(ぼそぼそするとか硬いとか)は加熱温度と時間の影響を受けます。60~63℃の間で加熱温度と時間で肉汁がどれ位でるか調べました。結果肉汁の出方には温度よりも時間の影響が大きく保持時間を3時間以内するのが良いことがわかりました。60℃で長時間のものはぼそぼそし、63℃のものは硬さをを感じます。しっとり感と噛み応えのあるバランスのとれる条件は62℃3時間ということになりました。ベーコンもハムも63℃3時間を湯煎の保持時間とし燻製後湯煎開始から62℃に達するまでの時間を肉の厚み(Cm)÷2として合計の湯煎時間を決めます。ハムで直径10Cmのものは8時間(最近は赤い肉汁が残るのを防ぐため11時間に変更しました)、ベーコンは(大抵厚みが4Cm)は5時間の湯煎時間となります。燻製後直ぐに真空パックして湯煎することが前提です。
湯煎の道具
湯煎の温度を62℃で長時間安定して加熱するには攪拌装置が必要となってきます。加熱と攪拌が一つになったコンパクトな装置がANOVAというものです。これが無ければ低温での湯煎が出来ないと思っています。
燻煙条件
燻煙前の乾燥を55℃×3.5時間しています。冷蔵庫から出していきなり煙を当てても温度が低く色も香りも付きません。燻煙開始時に40℃を超えておれば良いとおもっています。燻煙は65℃でハムは香りを強くつけない方がよいので3.5時間、ベーコンは香りをつけたほうがよいので4時間としています。
最新の温度測定結果
(1)ベーコン
(2)ロースハム
燻製中の温度は燻製だけでは7~8時間加熱しても設定温度に達しません。ベーコンは湯煎なしで燻製だけで仕上げることが書かれていますが、加熱温度を70~80℃にすれば湯煎は廃止できると思われますが場所により加熱しすぎあるいは加熱不足が生じるかもしれません。ベーコンは通常焼いて食べるので問題ないかもしれません。62℃で湯煎したベーコンは脂身のジュシーなものが得られます。一方ロースハムは厚みがあり内部まで火を通す必要があり、湯煎は不可欠です。
参考
肉汁の生成量と湯煎条件の関係
ANOVAのテスト
低温湯煎肩ロースハムの他者評価