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「黙阿彌オペラ」「ムサシ」NY公演批評

2010-09-17 | 藤原竜也

『悲劇喜劇』10月号に「黙阿彌オペラ」と「ムサシ」NY公演劇評が載っています。
「演劇時評」ページに河合祥一郎さんと山口宏子さんの対談です。

両方で3段組み7ページ。
劇評というより、舞台観賞の手引になるような充実度。

山口さんの「黙阿彌は(作者の)井上(ひさし)さん自身ですよ。」
という発言を受けて、
河合さんは、
「・・・作家の考えというのは普通見えてこないものですが、
 『私はこんな思いで芝居を書いているんだ』という新七の思いは間違いなく
 井上ひさしさんの自信のほどを見せてくれるものでしょう。」
「最後にこの作品の上演を井上さんが望んだのは、それだけご自身を投影した作品であることを
 自覚なさっていたからではないかな。」

河合さんはキーワードは「ご恩送り」だと発言されてます。
「・・・他人に情けをかけることで人の繋がりができるというところが、
 井上作品の特長ですね。」

山口さんも
「弱い者が集まって何かを成し遂げようという精神は、井上作品の本質に関わる問題だと思うんですよね。
 ・・・この作品の根っこには、人と人が繋がることへの信頼がある気がします。」
河合さんは
「・・・とにかく生きていこうよ、というところが大事なんですね。
 『ムサシ』にしてもそうです。「死んじゃダメだよ」という。
 「生きていこう」というのは、まさに井上さんの基本精神でしょう。」

演出家、出演者のみなさんは、それぞれ誉められてます。
竜也くんについては、
「・・・不幸な若者が持つ怒りや悲しみのエネルギーを、強烈に放射していた。
 一方で、ちょっとうまく行き始めると、妙に調子づく軽薄さもある。
 そういう「若さ」は魅力的でした。」
と言う山口さん。

河合さんも、
「そうそう。売れないかご売りが、べらんめえだけで生きているというか、
 「俺には何もないぜ」みたいな江戸っ子の潔さ、きっぷのよさが
 上手く出ていたと思います。」

また山口さんは、黙阿彌の芝居には、危ない要素がたくさんあると指摘され、
竜也くんの五郎蔵には、
「そういう刃物のような芝居につながる鋭さがある。」
と言いきってます。

はい、ものすご~く誉められちゃってますよ。
拍手、パチパチ・・・

「ムサシ」NY公演は、現地で観劇された山口さんがレポート。
河合さんは、大絶賛のニューヨークタイムズ劇評の見出しの解説。

「Turning Swords Into Slapsticks」刀をドタバタ喜劇に変える、は、
旧約聖書の、刀を鋤に持ち替える「turning swords into plowshares 」のもじりだそうです。
劇の最後で武蔵が「山間の荒れ地に鍬でも入れようか」と言うのにも掛けているようです。

さすがNYタイムズ、教養ありますね~
あ、天下のNYタイムズ相手に、超生意気~
はは・・・

『悲劇喜劇』つかこうへいさんの追悼特集も。
読み応えありです。
立ち読みでもいいから、超オススメ~