ふわふわ気分で

舞台、シネマ、藤原竜也くん、長谷川博己くん、成河くんのことなど気ままに・・・

『初瀬豊寿丸・蓮絲恋慕曼荼羅』きれいでした

2007-03-13 | 演劇


国立劇場の『初瀬豊寿丸・蓮絲恋慕曼荼羅』(はちすのいとこいのまんだら)13日昼の部を観てきました。
坂東玉三郎さん主演の新作歌舞伎です。

ネタバレあります。よろしくね。


作:森山治男
演出:坂東玉三郎、石川耕士
出演:坂東玉三郎、市川右近、市川笑三郎、市川段治郎ほか

新作だったけど、話の筋がわかりやすくて、おもしろかった。
台詞もよくわかって、むずかしい歌舞伎用語もなかった、オッケーでした。

話の筋は、異母弟が姉を恋することから始まる悲劇。
またこの手か(うんざり)という感じだけど、
さすが歌舞伎の出演者は、清潔感ありでドロドロにはならないです。

奈良の当麻寺の曼荼羅縁起物語、中将姫伝説を取り入れた物語です。
美しい姉の初瀬姫はもちろん玉三郎さま。
ホントにおきれい。衣装も十二単風でうっとりです。
長袴の赤い色も、渋くてよかったです。

弟の豊寿丸は市川段治郎さん。
長身で上品な雰囲気が、いいですね。
黄川田将也くんにちょっと似ていて、なかなか◎。

歌舞伎って観る度に、お気に入りが増えるから、
いいけど、ちょっと困る・・・

かちかちの歌舞伎というより、普通の演劇に近い感じ。
傾斜のついた八百屋舞台で、舞台セットもほんの少し。
ライティングが歌舞伎的でなく、写経の場面など斜めから光を当てたり、イイ感じだった。
でも、どうせやるなら最後の母がでてくるあたり、
もっと頑張って、この前観た蜷川幸雄さんの「ひばり」のライティングくらいに、
メリハリがついてもよかったんじゃないかな。

玉三郎さんはキレイ。
亡くなった実母が現れた場面の「母さま」って、凄くうれしそうな表情。
幼さもかいま見えて、うまい。

全体としては抑え気味な感じでした。
役柄だから、玉さま全開を期待してはダメね。
地獄に落ちる・・・ところが、もっとプッシュしてほしかったけど、
歌舞伎は上品なものだから、かな。

お姫さまより「天守物語」の富姫のような、
威勢がいいのが、私の好みだと確認。

継母役の市川右近さんも、いかにもイヤミな継母ぶりがお上手でした。
さっそうと立ち去っていく背中も、貫禄充分。

さて今日の発見。
歌舞伎の乞食はエライお洒落でこざっぱりしています。
髪の毛はくしゃくしゃだけど、衣装はさすが歌舞伎です。

思わず藤原竜也くんのボロボロ半裸オレステスと、
比較しちゃいました。
う~ん、歌舞伎は乞食もきれい。

ラストの初瀬は世を捨てたのではなく、世を拾ったのだという台詞。
さわやかなエンディングでした。

歌舞伎にはないカーテンコールも2回。
サービス精神いっぱいの玉三郎さま、ありがとう~

みなさまお疲れさまでした