牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

繁殖意欲の兆し

2009-02-05 20:08:04 | 繁殖関係


繁殖頭数を増やす絶好のチャンスと記述したが、一昨日昨日行われた薩摩中央家畜市場における子牛相場の平均競り価格は、雌牛が50万円を越し、去勢牛は45万円で、これまでの雌雄の価格が逆転した。
平茂勝号を始めとする主要な種雄牛を繋養している主産地であることから、優秀な繁殖素牛を導入する機運が集中したため雌牛高に繋がったものと判断している。
同時に繁殖意欲の機運が高まりつつあることも伺えてくる。
この機運が、全国的に広がってくれることを願っている。
素牛の供給が需給量を常に僅かばかり下回る状況があり、一方で血統や発育の優れた子牛を否が応でも入手したいがため、自ずと相場を引き上げるという状況がダブることで、去年までの高騰の一因となっていた。
昨秋からは、それらの要因とは異なる社会現象のあおりのために、子牛価格は、現況の通り下げた状態となっている。
これからの和牛経営では、繁殖頭数を増加し、生産頭数が需給のバランスを満たすことにより、和牛を取り巻く産業が安定すると睨んでいる。
生産者の飼養意欲の高まりに合わせるように、政府や農水省は絵に描いた餅のような施策でなく、食糧自給率の向上が現実のものとなるような取り組みを実現して貰いたいものである。

繁殖経営の拡大を考える

2009-01-25 00:02:05 | 繁殖関係

今のように子牛相場が下落した時に肥育素牛を多量に競り落とすのは、農業者以外から肥育を始めた畜主にその傾向が多いようである。
物流や相場の動向に目利きが長けているためであろうか。

北海道の馬牧場が和牛繁殖経営に切り替えたという新聞記事の見出しを見た。
将来は1万頭を目指すとあった。
さすが北海道ならではのスケールの大きさと壮大な夢に「凄い!」 の一言であった。
このところの子牛相場の低迷期は同繁殖経営を拡大したり、新規に取り組もうとしている就農者に取っては、千載一遇のチャンスであろう。

千載一遇のチャンスだけでは、ことの成就には至らない。
資金力や牛を飼うノウハウ、とくに牛の繁殖技術を修得していなければならない。
それらに恵まれていれば、即実践すべき時である。
何事でも産業を軌道に乗せて成功しているは、そのチャンスに間髪を挟まず決断力を行使するか否かであろう。

分娩開始を携帯で知る

2009-01-19 20:59:42 | 繁殖関係



今朝の日本農業新聞によると、分娩が始まるとそれを携帯電話が知らせてくれるというものがあった。
技術の進歩は日進月歩と言うが、深夜布団の中で眠っていて、携帯のコールでその時を知らされて、畜舎に出向いて分娩介助に遅れることもなく確実に立ち会えるという。
この仕組みは、分娩が始まると体温が若干下がることを応用したもので、分娩間近の牛の膣口内に温度センサーを挿入しておき、通常より0.4℃下がると備え付けのセンサーにより携帯がコールするというシステムのようである。

今から20数年前まで、分娩が近付けば夜間何回か分娩房を覗かねば成らず、これが氷点下では厳しいものがあった。
その頃、監視カメラを分娩房へ設置し、モニターを自室で見られるようになり、子牛の前足が見え隠れするようになってから分娩へ駆け込むことで用が果たせて、隔世の感があると興奮したものであった。
モニターを監視するのも、夕方から深夜、朝方まで数回以上は必要であった。

それが、今時にいたり、布団の中で熟睡しながら、携帯コールを待つのみとは、文字どおり隔世の感である。
この様な技術の進展は次世代に何をもたらしてくれるのであろうか。
ロボット介助であろうか、人工子宮による生産工場であろうか。

それにしても、膣口内に温度計では色気のない話で、リストバンド用の温度センサーでも現行技術で間に合うのではないだろうか。