乳がんは、いろんながんの中でもとりわけ、治癒まで長くかかる病気です。いったん手術をしても、5年後、10年後に再発する可能性があるため、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、免疫療法などといった治療を選択的に受けながら経過観察が必要です。そのため、大変長いスパンで病院のお世話になるわけです。
私は、昨日ようやく放射線治療が終わり、来週から5年にわたるホルモン療法が始まります。目に見えるレベルでは、がん細胞は完全に取りきれていることが、病理診断で確認されているので、「予後が良い」ケースではあるのですが、目に見えないところに潜んでいる可能性のあるがん細胞を放射線で叩き、再発の芽を摘んでおくため、時間をかけてじっくり治療してもらうというわけです。少なくとも化学療法(抗がん剤のことですね)の必要はなかったので、それだけでも安堵しています。
乳がん患者は、そういう長い期間、「乳腺外科」という一つの診療科で、最初から最後まで同じ医師に担当してもらうことが理想ですが、なにせ長いので、病院側の事情(配置換え、転勤、など)で担当医が交代しなければならないこともありますし、逆に患者側が、医師に不満を持ち、担当を変えてもらう、あるいは転院するということもけっこうあるようです。つまり、医師との相性の問題ですね。ただでさえ辛いがん治療。先生がちゃんとやってくれない、高飛車で話しづらい、どうも話がかみ合わない、わかってもらえない・・・と思うと、それだけで大きなストレスになり治るものも治らなくなってしまいますよね。医師にとっては、あまたいる患者の中の一人にすぎなくても、患者にとっては担当医がすべて。担当医の一つ一つの言動に一喜一憂してしまいますからね。
私の場合、主治医で執刀医でもあった先生とは、大変相性がよく、確かな信頼関係を築くことができたと思っています。昨年の11月の初診から告知、手術、退院後の診察までお世話になりましたが、転勤のため、3月いっぱいで、私の放射線治療が始まって間もなく去って行かれました。
先生の最後の診察になった3月上旬、病理診断の結果などいろいろ話したあと、私の目をしっかり見て「僕、今月いっぱいでここからいなくなります。転勤なんです・・・」と、突然言われた時の私のショックは、告知を受けたときと同じくらいだったかもしれません。「転勤になりましたので、来月からは別の先生の担当になります。」とかいうさらっとした言い方ではなかったから、おそらく、先生のほうだって、残念な気持ちだったのではないかと。自分が手術して間もない患者のことは、気がかりで心残りでしょうから…。
来週から私の担当医となる新しい先生も、ある確かな筋から、優しくて良い先生だとの情報を得ていまして、引き継いでもらうことにあまり不安はないのですが、でもやはり、これまでの主治医のことが大好きだったので、もう会えないのが寂しく、11月からのことを宝物のように懐かしく思い起こしています。
初診の日。呼ばれて入ってみると、白衣ではなく、紺色のスクラブ姿の男性医師がいました。若い先生だなあ。30代前半くらい?画像を見ながら、静かな声ですが、「乳がんの可能性がありますね。」とはっきり言いました。そして、詳しい検査を経て、12月末に二度目に会った時、「乳がんです…」。私が大きくため息をついて黙ってしまったので、「がんと聞いて今のお気持ちはどんなですか?」と気遣ってくれ、「ちょっと想定外で・・・この歳まで大きな病気とかしたことがなく、自分では健康だと思ってきたので・・・」と口ごもってしまうと、大きく頷いて、「ずーっとお元気でいらしたのですねぇ・・・」
おっとりとした話し方で、丁寧な言葉遣いの、優しい先生だな、と思いました。
1月に入って、私のガンが今どのような状態か、そして、どのような手術をするかということなど詳しい説明があり、入院のジュールが決まりました。
全摘か部分切除か。これは、ステージ0~2の人なら、誰しも大変迷うところです。最終的には、自分自身の判断と希望を通す人もいるようですが、私はどうしても自分で決められず、先生の見解と判断に頼ることになりました。
がんのタイプによっては、0や1であっても全摘しか選択の余地がないケースもありますが、私の場合、先生は、「どちらでも選択可能ですが、部分切除で大丈夫だと思います。」ということで、部分切除を勧める理由をいろいろ分かりやすく(しかし簡潔に要点を無駄なく)説明してくれました。詳細を書くのは控えますが、とにかく、私がしつこく、ネットにこう書いてあるのを見て不安になっているのだけど本当に大丈夫でしょうか、という言い方をしても、ひとつひとつその不安を払拭してくれました。
私の不安要素のなかには、男性医師に聞くのは恥ずかしいこともありました。というのは・・胸が小さいと、部分切除した場合、変形の度合いが大きくいびつになるので、いっそ全摘してしまったほうがいいようなことを書いてあるサイトがいくつかあったのです。でもこれは大事なことなので、思い切ってそのことも確認したのですが、先生は、しっかり「大丈夫です!」と言ってその理由を簡潔に説明してくれ、そんなことは全然心配いらないから任せてという自信がお顔にみなぎっていました。
(もし、「そんなにいろいろ心配なら、全摘しますかぁ?」みたいに、最後は私に丸投げするような医者だったら、一気に信頼感は下がっていたことでしょう。)
加えて、いったん部分切除で手術を開始しても、術中に迅速な病理診断をするので、その結果次第で全摘がいいと判断される場合には(断端陽性)、その場で速やかに全摘に移行することも可能、との説明もきいて、うわーなんかすごいなーとびっくり。
この先生の外科専門医としての腕と判断力を信じて、委ねることに決めました。
(もちろん、最近はどこの病院でも「チーム医療」なので、この先生がすべてを行うわけではないのですけどね。)
手術がついに行われ、先生がおっしゃったとおりに部分切除で万事上手くいきました。また、退院後の診察で、創部の処置をしてもらった際も、その見事な手際に驚嘆し、信頼感が増したものです。
ちなみに、私が、ネットにこう書いてあったとか、紙の書籍を実際にもってきて開き、ここにこう書いてあるんですが、とか言っても、うざいなという顔もせず、「ちゃんと勉強されてるんですね~。」と肯定してくれて、この患者は自分である程度調べるので、事細かに説明しなくてもだいじょうぶだな、というふうに良いほうに取ってくれたようでした。もし波長が合っていなければ、私は、めんどくさい患者と思われていたでしょう。
11月からの4か月の間、私と先生は、手術と治療について、必要なだけのコミュニケーションをしたにすぎず、雑談など一切ありませんでしたが、そんなやり取りの中でも、先生は、幾度となく、優しい笑顔を向けてくれ、私も笑顔で返し、このキャッチボールだけでもどんなにか安心できたかしれません。
私が「先生は腕がいいから!」とつい言ってしまったときの嬉しそうな笑顔、手術翌日土曜なのに出勤してきて診にきてくれたことについて「先生、今日はお休みなのに、わざわざ来てくださったそうで、ありがとうございます・・・」と言ったとき、「いいんですよ~~、患者さんにはお休みはありませんから。」とほっこり笑顔(土日含め、朝夕二回の回診に必ずきてくれました)。そして、退院後最初の外来での診察日、私が入ると迎えてくれた、はちきれんばかりの笑顔、などなど、医師の笑顔がいかに治療効果を上げるか、って論文書きたいくらい!
いろんな場面が思い起こされ、きゅんとなってしまいます。私にとっては、この歳になるまで出会った中で一番の医師だったことは間違いありません。
転勤を告げられた日、あまりに突然のことで、頭が真っ白になってしまい、きちんと感謝の言葉も言えずじまいになになってしまいました。それが心残りだったので、お礼状を書きたかったのはやまやまなのですが、多忙をきわめる先生に手紙など読む時間をとらせてはいけないと思いましたので、片手間にでも目を通せるようにハガキ大くらいの小さなカードにして、先生の手術と術後の診察まで受けることができて本当に幸運だと思っていること、これまで支えてくださった先生への感謝を忘れず今後の治療もがんばりますということ、次の病院でもますますのご活躍をお祈りしますということをしたため、ごく短くまとめました。これを外科窓口のスタッフさんのところに持っていって渡していただけるか丁重に頼んだら、快く引き受けてくれました。
先生、読んでくださったでしょうか。
もしも5年後、10年後とかに、私が再発することがあれば(あるいは左胸に新たながんができることがあれば)、、その時はやっぱりまた先生のお世話になりたいです。
いろいろと、本当にありがとうございました。
先生が これを読んでくれたら いいのに
ところで、、ホルモン療法って、太るんですって。食欲旺盛になって。でもね、我慢して食べなくても太るんですって。
たつママさんは、その後検診行ってますかね?
私までロスになりそうです。
医師不足でギリギリの中でも
患者さんに寄り添う言葉をかけられるって
泣けます。
総合病院の先生たちって、次々患者をさばかないといけないので、ほんとに忙しそうで、いつも余裕なさそうですよね。そんな日々で、患者に寄り添うって、難しいかもしれないけど、結局は医師の人間性が鍵になるのかなあ。
50代前半のベテラン医師、
物腰柔らかく気さくな方で、
それでいて頭の回転がメチャ速い!
おっしゃる言葉が的確かつ安心感があり、名医の雰囲気ぷんぷん。
入院初日に諸々の説明をしてくださった専攻医さんが、
「不安に思う事もあるかと思いますが、何よりもご担当の先生が…もう、ね。経験豊富で一番の安心材料です!」とキッパリおっしゃられ、
やはり相当優秀な先生で、そのような方にご担当いただけてラッキーだし光栄だと思いました。
回診時に異動することを知らされ、「えっ!?」と思いましたが、
「実は後任の先生にも今回の手術に参加してもらってて、アメリカ帰りのとーっても優秀な先生だよ~」と聞き、
引き継ぎはバッチリどころか当事者。
その上、新しい先生のお名前を検索すると主治医の大学講師時代の教え子で、
主治医との共同論文が国際学会で賞を受けてたりと、繋がりが深いようで更に安心しました。
今の時代、医師の名前をネット検索するとパっと出てきますからね。
以上、わたしの主治医自慢でした~
お互い相性が良く、優秀な先生に担当していただけて幸せでしたね。
ある確かな筋から得られたという情報の通り新しい先生も優秀な方で、
尚且つ、前の先生のように親身に話を聞いてくださる方だと良いですね!
前の先生との思い出を胸に、来週の新たな出会いをお楽しみに~です
そんなベテランの整形外科会の大御所?のようなすごい先生で、それでいて物腰柔らかで気さくなんて、素晴らしい先生でしたね。
確か、主治医と執刀医は別だとのことでしたが、その執刀医の先生のほうが、バトンタッチでこんどは主治医になられるということですね??だったら、本当にこの上ない引継ぎですねえ~
あと何回くらい通院したらよさそうですか?
わたしの場合は、少なくともこの先5年はかかるので、新しい先生とじっくり信頼関係を築いていかねばと思っています。。。でも、これまでの先生が5年以内にまた戻ってきてくれないかなと淡い期待もあります。もちろん、常に検索してどちらにおられるのか、チェックチェック。
わたしが手術室に入った時は、主治医と麻酔科医、看護師のお三方が部屋におられました。その後、麻酔で眠った後に、何人か助手や研修で入られたと思います。
後任の先生、入院中の担当医だったシニアレジデントさんは確実ですし、整形外科部長(専門は人工関節)の先生にも「手術ちょっと覗かせてもらったよー。キレイにとれてたよー。」と声をかけられました。
『脊椎脊髄外科専門医』の資格について調べたときに、経験しておくべき手術として脊髄腫瘍があげられていました。ただ、経験必須とされながらも比較的珍しい症例。
その珍しい中でも、最も処置しやすいタイプだったので、研修素材として最適だったんじゃないかなと思います。
通院は術後1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月に行って、6ヵ月目に撮るMRIで異常所見がなければ1年おきにMRIを撮っての経過観察…という感じかなと。
ままさんは長丁場ですね。
確かに、もしかしたら通院期間中に戻って来られるというのもあり得るかも??ですね
大都会の大きな病院の、グレートでゴージャスなチームだったんだなーって感じです!
こちらは田舎だから規模が違うなー
こぢんまりチームってとこだったかな。でも、レベルは都会の病院と変わらないと思います。
手術のときは、主治医が部屋まで迎えにきてくれて、一緒に手術室にはいりまして、そこに並んでいる方々によろしくお願いしますと挨拶して、さっさとまな板、いや手術台に横になったので、どういうメンバーか全然わかりませんでした。。。
入院日からずっと、主治医はレジデントさんを一人連れて回診にきてくれましたが、その先生はあくまで勉強中って感じだったかなー(でも、二人そろって土日も朝夕来てくれて、ありがたかったですね)
ちなみに、夫は、去年夏、私と同じ病院の整形外科で膝の半月板の手術を受けましたが、主治医(執刀医)と相性がめちゃ悪くて不満たらたら、かわいそうなくらいでした。(私が付き添い中に話した感じでは、別に普通だと思いましたけどね。。。。)
整形外科って、不満度合いが大きいのかなと気になったので、、ごん姐さんは、それほど満足度が高い経験となりよかったですーーー
グレートなチームだったとは思います
麻酔科医さんも偉いさんだったんじゃないかなと。
ありがたいことです。
手術室へは病棟看護師さんと一緒に向かいました。
途中、向かい側から歩いて来た方にすれ違いざまに名前を呼ばれてヤッホーって感じで手を振られました。
誰かと思えば主治医でした
完全に手術スタイルで目だけしか出てなかったのでわらかなかったです。(こういう感じの明るい先生でした。)
整形外科にかかる症状って関節痛や神経痛、骨や靭帯の損傷など痛みが強いものが多いと思います。
手術をしたらしたで、別の痛みが発生してそれがなかなか収まらないと「手術しても一緒や!」とか「余計にヒドなったわ」みたいな不満になりやすいのかな~~と。
あと、痛みはあっても気は元気な方が多くて、不満や疑問点を積極的に訴えられるという点もあるかと思います。
早朝に談話室でテレビを見てたら、
1人、また1人と年配の方が来られて5,6人になったと思いますが、その全員が膝をさすっておられました
その方々曰く「全部の手術の中で、膝の手術が一番痛いねん!」…らしいですよ
私は・・先生が迎えに来てくれて、一緒に並んでエスコートしてくれただけで、幸せだったけど。。。
なるほど、ごん姐さんの痛みも、パパの痛みも、私には想像しがたいレベルだったかと。(なにせ私は、自覚症状ゼロだったし)
ただ、パパの場合は、それだけじゃなくて、先生の話し方とか説明の仕方とか自体が嫌だったみたいで、コミュニケーションそのものがストレスだったみたいでしたねえ。。で、私の先生のことは、ほめまくって、転勤のことを先生がおっしゃったときも、、私はショックのあまり言葉がなくしゅんとしているのに、横で、えーー!!先生、転勤ですか!!次はどちらに行かれるんですか!!とか騒ぎ立てるんです。。
そいで、しみじみ感謝の言葉を言いそびれてしまいました。 まあ、それで、あらためてカードを書こうという気持ちになったので、よかったかなと。
明日は、新しい先生との初対面です。すでにお写真も拝見しているんですが、楽しみだ~~