その一、ハッカビー善戦には驚いた。
これは、特に南部を中心としたマケインへの共和党支持者のうちの所謂保守派と呼ばれる人の反感の強さのあらわれとみるべきなのであろう。マケインが党の指名を受けることはほぼ間違いなかろうが、本選に向けて党内を固めるためには保守派への歩みよりが否応なく求められよう。もっとも、対する民主党の候補はいずれにせよ「女」と「黒人」だ。保守層も本選となれば否応なくマケインを支持せざるを得ないとの見方も可能かもしれないが、選挙運動中に果たして彼らの支援を十分に得られるだろうかという不安は残る。同じく保守派の受けが良くなかったブッシュパパは保守派の「ホープ」と当時は目されていたダン・クエールを副大統領候補にしたが、マケインもそうするしかあるまい。保守派を大統領候補に据えるだけでは不十分で、政策的にも保守派に歩み寄らざるをえまい。
だが、マケインが「保守」の色を強めれば、有権者の現今の米国を取り巻く状況認識の下では、「変化」を全面に出してくる民主党の候補に対して苦戦を強いられることは必至であろう。元々マケインには「華」がない。芸能人と政治家にはそれが肝心だ。一方、ヒラリーにしろ、オバマにしろ、それがある。マケインのホワイトハウスへの道は、今のところの見通しではかなり厳しいと見るべきであろう。ただ、ヒラリーか、オバマかと言えば、組み安いのはオバマに違いないが。
その二、オバマにとっての最大障壁はやはりヒスパニック系有権者。
カリフォルニア州での敗北の要因の一つは、オバマがヒスパニック系のクリントン支持の流れを変えることができなかったためとの見方は正しいのだろう。ヒスパニックは黒人が「嫌い」だ。彼らの利害は対立している。中南米に行けばわかるが、長い混血の歴史を持つ地域であるにもかかわらず、人種意識は存在する。そうした連中が米国にきていきなり意識変革するとは思えない。
このまま、オバマはヒスパニック対策の決定打を打てないと私は見る。そしてテキサス等のヒスパニックの多い大州をヒラリーにもっていかれるだろう。オバマとしては、オハイオ等のヒスパニックの少ないところで勝利を収めたいところだが、今のところ同州はヒラリー有利と聞く。黒人の人口が全米の割合とほぼ同じ。意外にオハイオでも勝敗が、両者の勝敗を決めるかもしれない・・・。
その三、人種の壁は低くなったのか。私の答えは「Yes」だ。相対的に人種の壁は低くなっている。中西部の白人の少ない州でのオバマの勝利はそれを如実に物語っている。しかし、である。「低く」なったのであって、「消えた」わけではない。ヒラリーが勝利した南部の州はオバマが勝利した同地域の州に比べ、黒人比率の低い州であった。南部におけるハッカビーの善戦と合わせた場合、南部の人種問題に対する保守性はいまだ相対的に高いとみるべきであろう。昨日も述べたが、かりにオバマが民主の大統領候補になり本選に挑んだ場合、言いかえれば黒人がホワイトハウスに史上これまでになく近づいた時、いまだ存在する人種意識がどう作用するか、見物である。
加えて、人種問題とは白人対黒人の図式のみで存在するわけではない。上記のヒスパニックとの件も、単に彼らと黒人の利害対立だけで理解することに私はくみしない。アジア系もまたオバマかヒラリーかと言えば、後者を選ぶであろう。そしてそれもまた利害的なものだけではなく、人種意識というものも同時に背景にとして存在するとみるべきであろう。
人種問題という点から考えた場合、民主党としてはオバマよりもヒラリーで戦った方が有利ではないのか。逆に共和党陣営、マケイン陣営としてみれば、オバマの方が組しやすい。オバマが相手なら、ヒスパニックやアジア系の民主党支持を切り崩すことに可能性が見えてくるし、白人の潜在意識に期待することもできる。これがヒラリーとなるとそうはいかない。逆に本来なら共和党に来るべき票も向こうに流れる可能性すらあるのだ。
まだまだ予断は許さない。目前まで何が起こるかわからない。4年前の選挙はその点予測が楽だった。初めから「ブッシュ再選」間違いないとにらんだ通りだった。
FOX等を除くマスメディアの露骨なアンチ・ブッシュぶりと、繰り返された「接戦」報道にも関わらず、「ブッシュ再選」を確信していた。結果は「接戦」ではなくブッシュが勝利した。支持率調査だけではなく、当時米国に暮らして、人々から肌身で感じるものに、「ケリー政権はない」と確信できた。私の周辺には土地柄、職業柄民主党支持者が多かったが、一歩そこから抜け出せば、ケリー政権誕生を歓迎しない民情があったのだ。今回は、肌身で感じようにも日本にいるため感ずることができないだけに、予測は難しい。世論調査などの数字だけでは何とも判断しかねる。今回の予備選の結果も事前の支持率調査があまりあてにならないことを示している。が、どうだろうか。本選はマケインvs.ヒラリー、ということで落ち着きそうに思うが・・。
これは、特に南部を中心としたマケインへの共和党支持者のうちの所謂保守派と呼ばれる人の反感の強さのあらわれとみるべきなのであろう。マケインが党の指名を受けることはほぼ間違いなかろうが、本選に向けて党内を固めるためには保守派への歩みよりが否応なく求められよう。もっとも、対する民主党の候補はいずれにせよ「女」と「黒人」だ。保守層も本選となれば否応なくマケインを支持せざるを得ないとの見方も可能かもしれないが、選挙運動中に果たして彼らの支援を十分に得られるだろうかという不安は残る。同じく保守派の受けが良くなかったブッシュパパは保守派の「ホープ」と当時は目されていたダン・クエールを副大統領候補にしたが、マケインもそうするしかあるまい。保守派を大統領候補に据えるだけでは不十分で、政策的にも保守派に歩み寄らざるをえまい。
だが、マケインが「保守」の色を強めれば、有権者の現今の米国を取り巻く状況認識の下では、「変化」を全面に出してくる民主党の候補に対して苦戦を強いられることは必至であろう。元々マケインには「華」がない。芸能人と政治家にはそれが肝心だ。一方、ヒラリーにしろ、オバマにしろ、それがある。マケインのホワイトハウスへの道は、今のところの見通しではかなり厳しいと見るべきであろう。ただ、ヒラリーか、オバマかと言えば、組み安いのはオバマに違いないが。
その二、オバマにとっての最大障壁はやはりヒスパニック系有権者。
カリフォルニア州での敗北の要因の一つは、オバマがヒスパニック系のクリントン支持の流れを変えることができなかったためとの見方は正しいのだろう。ヒスパニックは黒人が「嫌い」だ。彼らの利害は対立している。中南米に行けばわかるが、長い混血の歴史を持つ地域であるにもかかわらず、人種意識は存在する。そうした連中が米国にきていきなり意識変革するとは思えない。
このまま、オバマはヒスパニック対策の決定打を打てないと私は見る。そしてテキサス等のヒスパニックの多い大州をヒラリーにもっていかれるだろう。オバマとしては、オハイオ等のヒスパニックの少ないところで勝利を収めたいところだが、今のところ同州はヒラリー有利と聞く。黒人の人口が全米の割合とほぼ同じ。意外にオハイオでも勝敗が、両者の勝敗を決めるかもしれない・・・。
その三、人種の壁は低くなったのか。私の答えは「Yes」だ。相対的に人種の壁は低くなっている。中西部の白人の少ない州でのオバマの勝利はそれを如実に物語っている。しかし、である。「低く」なったのであって、「消えた」わけではない。ヒラリーが勝利した南部の州はオバマが勝利した同地域の州に比べ、黒人比率の低い州であった。南部におけるハッカビーの善戦と合わせた場合、南部の人種問題に対する保守性はいまだ相対的に高いとみるべきであろう。昨日も述べたが、かりにオバマが民主の大統領候補になり本選に挑んだ場合、言いかえれば黒人がホワイトハウスに史上これまでになく近づいた時、いまだ存在する人種意識がどう作用するか、見物である。
加えて、人種問題とは白人対黒人の図式のみで存在するわけではない。上記のヒスパニックとの件も、単に彼らと黒人の利害対立だけで理解することに私はくみしない。アジア系もまたオバマかヒラリーかと言えば、後者を選ぶであろう。そしてそれもまた利害的なものだけではなく、人種意識というものも同時に背景にとして存在するとみるべきであろう。
人種問題という点から考えた場合、民主党としてはオバマよりもヒラリーで戦った方が有利ではないのか。逆に共和党陣営、マケイン陣営としてみれば、オバマの方が組しやすい。オバマが相手なら、ヒスパニックやアジア系の民主党支持を切り崩すことに可能性が見えてくるし、白人の潜在意識に期待することもできる。これがヒラリーとなるとそうはいかない。逆に本来なら共和党に来るべき票も向こうに流れる可能性すらあるのだ。
まだまだ予断は許さない。目前まで何が起こるかわからない。4年前の選挙はその点予測が楽だった。初めから「ブッシュ再選」間違いないとにらんだ通りだった。
FOX等を除くマスメディアの露骨なアンチ・ブッシュぶりと、繰り返された「接戦」報道にも関わらず、「ブッシュ再選」を確信していた。結果は「接戦」ではなくブッシュが勝利した。支持率調査だけではなく、当時米国に暮らして、人々から肌身で感じるものに、「ケリー政権はない」と確信できた。私の周辺には土地柄、職業柄民主党支持者が多かったが、一歩そこから抜け出せば、ケリー政権誕生を歓迎しない民情があったのだ。今回は、肌身で感じようにも日本にいるため感ずることができないだけに、予測は難しい。世論調査などの数字だけでは何とも判断しかねる。今回の予備選の結果も事前の支持率調査があまりあてにならないことを示している。が、どうだろうか。本選はマケインvs.ヒラリー、ということで落ち着きそうに思うが・・。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます