三十路の食卓

食事の記録・食にまつわるあれやこれや
かっこいいごはんも いいかげんな飯も 全ては私のリアリズム(おおげさ)

なくしちまった哀しみに

2012-06-10 09:53:47 | 食日記
〈5月16日の食事〉
朝:カンパーニュアボカドのせ ベリーのタルト(PAULで購入) コーヒー
昼:お弁当(玄米ご飯、タケノコとゴーヤのひき肉あんかけ、にんじんしりしり、ほうれん草のごま和え) パインヨーグルト
夜:イチジクとクルミのカンパーニュ(PAULで購入) クリームチーズ 紅茶

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またやってしまった。
プレゼントしてもらった腕時計をなくしてしまったのだ。
着用して家を出たはずが、途中でないと気づいて血の気も汗も引いた。
そう、着用していながら外れた瞬間には気づかなかったのだ…外れること自体どうかと思うが、どれだけトンマなんだろうか…。

そのとき自転車で家から職場まで移動中だったのだが、上司に事情を話し、遅刻を申し入れることに。
来た7~8kmの道を自転車を押して引き返し、地面を舐めるようにして探し歩いた。
だが、あえなく。
歩道ならいざ知らず、当たり前のように車道を走っていたのが仇となった。
路駐している車の下敷きになったのか、走る車に轢かれてしまったか…結局見つからなかったのである。

家にまでたどり着いてしまい、最後の望みをかけて、マンションの敷地に落ちてなかったか管理人さんに聞いたり、交番に遺失届けを出したり。
そうしてからトボトボと、再度事務所に向かったのであった。
胸にあるのは、無くしたことそのものや自分へのふがいなさ以上に、プレゼントしてくれた相手への申し訳なさである。
本当に、本当に、ごめんなさい。

この件にて思ったのが、私は本当になくしものをするな、ということである。
去年はまたおなじく、いただきもののブレスレットをなくしてしまった。
先の話を妹にしていて思い出したのが、私は過去に保険証を落としてしまったことがあるのだった。
その時は、親切な人に拾われたから、無事手元に戻ってきたのだが…。

だが待てよ、と思う。
それらは大切なものだからこそ紛失にすぐ気づけたが、そうでもないものも、結構落としたり無くしたりしているのではないだろうか。
それに気づいていなかったりするんじゃないだろうか。

自転車を押して腕時計を探した時。
太陽の光を反射させている銀色のものを見つけたら、即顔を近づけて確かめていたのだが、キャラメルかハイチュウかとおぼしき銀色の包み紙に包まれたお菓子が、ひとつぽつんと道端に落ちていたのである。
期待して近寄るからがっかりする訳なのだが、同時に少しぞっとしたのだ。

私はハイチュウをひとつだけ落としたとしたら、絶対に気付かないだろう。
それが最後の一個ならいざ知らず、開封して途中の2~3個目だったらどうか。
いや、落としても音を立てないような大きさだから、たいがいの人は気付かないだろうとは思うのだが。
大概の人はそもそもまずは落とさないので、落とす私がどうにかしているという話なのだが。

こんな風に、落としたり無くしたりしても気付かなかったものが、過去にどれだけあったかだろうかと想像すると恐ろしい。
かつて、データを取りにきて、そのDVD-Rを事務所の階下に落としていたという取引先の人がいたのだが。
その人を笑えない出来事である。

落としもの・なくしものに関しては、くれた人の信用をまるで失ってしまったこの一件。
いや、私自身、それに関してはまったく自分自身を信用できない。
本当に苦い経験で、あまりのことに、食コンテンツにはまったく関係ないのに、こうして一本綴ってしまった。
(強いて言うならハイチュウを絡めて書いたことだけ)
とにかく、反省の一言である。

オリエンタルのマースカレーを食べた

2012-06-09 08:52:16 | こんなものを食べてみました。
<5月15日の食事>
朝:ドイツパンにハム、チーズ(ショーマッカーのパン使用)コーヒー
昼:オリエンタル マースカレー+ご飯
夜:PAULのパンに、ツナを挟んで チーズ アスパラガス キャベツの味噌マヨディップ シメイブルー

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旅に行くなら、なるだけ観光客向けのお土産だけでなく、現地の人が実際に消費しているものを欲しいなと思っている。
去年の9月に岐阜・郡上八幡に訪れた際。
傘を買うために立ち寄ったコンビニで、目に留まったレトルトカレー。
それがこの「オリエンタル マースカレー」なのであった。

オリエンタルカレー。
栃木で生まれ、22歳で東京に移り住んだというずっと関東在住の私にとって、見た事のないメーカーのカレーである。
だが、特にお土産品を謳っているわけではない。
そもそもがお土産店ではなくコンビニだし。
普通に陳列し、ここいらに住んでいる人にとって、生活にとけ込んでいる感じがにじみ出ている。
これだ、こういうのが欲しかったんだ。

調べると、オリエンタルは愛知県稲沢市に本社を置く会社らしい。
だから同じ中部地方の岐阜県にはあって、あまり関東には浸透していないのか…と納得しかけたら、東京支社が五反田にあるようだ。
私が見かけなかったのはたまたまなのか、うっかりと目に入ってなかったのか。

といったことを、今オリエンタルのウェブサイトで調べているのだが、その歴史が興味深い。
オリエンタルの「即席カレー」は昭和20年から続くロングセラー商品なのだが、現存する中では最長寿のインスタント・カレーなのだそうだ。
また、「CMから生まれた流行語」みたいな特集で「ハヤシもあるでよ~」というフレーズを聞いた事があるのだが、これはオリエンタルのカレーのCMであったらしい。
そうだったのか。
話は逸れるが、創業者が私と同じ名字で、ちょっと嬉しく思った。

私が食べたマースカレーは、スパイス別添タイプのはしりであったらしい。
(これはレトルトであったため、またちょっと状況は異なるのだが)
昭和37年に発売開始というから、案外昔からスパイス別添タイプのカレーが売られていたのだな。

オリエンタルのウェブサイトを開くと、トップに「昭和20年からずっと、家庭の味にこだわり続けてきました。」という言葉があらわれる。
その言葉に、深く納得する。
食べた際の実感が、まさにそれだったのだ。
実家では当初バーモントカレーで、そののち熟カレーやこくまろカレーに移行していったのに、こう思うのは何故だろう。
刺激的ではない、変に個性的ではない。
癖がなくて、けれど当たり前のように美味しくて。
とても美味しく懐かしい、日本の正当派のカレーである。

紹介するにあたり調べた訳だが、予想以上に面白かった。
ものにはバックボーンがあること。
知ると知らないとでは感慨も違ってくる。
なるだけ知ろう、調べてみよう、と思った次第。




切り裂いてプレッツェル

2012-06-08 23:21:41 | パン侍
<5月14日の食事>
朝:棒形プレッツェルのオープンサンド(ショーマッカーのプレッツェルを使用)プンパニッケルのハムのせ コーヒー
昼:お弁当(白米、肉・タケノコの炒め物、ほうれん草と卵の炒め物)
夜:ハンバーグと付け合わせ(セブンイレブンで購入)ヨーグルト 黒烏龍茶

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先日、少しだけ触れた山本ありさんの本、「やっぱりパンが好き!』
こちらにて初めて知った食べ方で、試したいけどすぐに出来るじゃん!とやってみた事について、書きたいと思う。

それが、大岡山はドイツパン店・ショーマッカーの棒形プレッツェルを使ってのサンドイッチ。
住んでいて良かった、大岡山。

プレッツェルは一般的に、ひらがなの「ぬ」の形にも似た、または読売ジャイアンツのマークにも似た、ねじれた形状の硬いパンである。
代表的なドイツパンでもあり、ドイツパンをメインで作るようなお店の看板にもあしらわれていたりするので、馴染みのない方でもいざ見れば「ああ、あれか」と思うに違いない。
それだけ、形状込みで認知されたパンなのである。

ところがどっこい、このショーマッカーには棒状のプレッツェルもあるというではないか。
いや、あったのは覚えているが、それに切れ目を入れてサンドイッチにするだと!?
予想のつかなさに惹かれ、そして試したいと思ったのだ。

だって、物を挟むには細すぎるだろう。
今手元に幅2.5cmのふせんがあるのだが、細さはこんなもんじゃなかろうか。
しかも硬いのだ。
これ、裂け目を入れたらそのままパキッといってしまわないか。

上部を長い辺に対して平行に、あるいはサイドに切れ込みを入れ、そこに具を入れる。
サンドイッチ…とはいえパンの特質上、許容量には限界があるので控えめに。
山本さんの本にはおすすめレシピも載っていたのだが、すぐに用意できたハムとチーズで試してみる事にした。

が、やはり。
切れ目を入れる段階で、まっ二つに割れてしまった。
ううむ、やはり買って一晩置いてしまった分、乾燥して割れやすかったのかも。
あえなくオープンサンドになってしまったが、それはそれとてオーブンで温める。

味はどうだったか、といえば、こうして一つ記事を書くくらいなもので。
カリカリと、けれど身が詰まっていて美味しい!
またも朝も早よからおつまみ味のパンを食べているのはどうかという感じだが、美味いんだから気にするな。
あっという間に完食した。

ああしかし、目から鱗の食べ方を教えてもらったものである。
プレッツェルというものは元から岩塩がついていて塩っぱいものなので、そのまま食べるよりほかないと思っていた。
硬くて細いパンを切り開くなんて発想はまったく浮かばなかった。
少し見方を変えれば、新しい道を拓けるのだなあ。
山本ありさんに、とにかく感謝!である。

山本あり 著「やっぱりパンが好き!』

じゃがいもよ、とどまるな

2012-06-07 22:32:42 | 作りました。
〈5月13日の食事〉
朝:じゃがいものパンケーキ コーヒー
昼:-
間食:プレッツェル(ショーマッカーで購入)
夜:鶏と野菜の炒めもの 玄米ご飯 ブロッコリーの蒸しもの 青菜としめじの味噌汁

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野菜についての読本に、すりおろしたじゃがいもを使ってのパンケーキの作り方が載っていたのだ。
それに沿って作ったよ、という話である。

「からだにおいしい 野菜の便利帳」という、栄養価からおすすめの食べ方、種の起源まで、野菜を個別に取り上げた本を持っているのだが。
じゃがいもの項に、「すりおろしたじゃがいもを使ってパンケーキが作れる」などと書いてあり、ずっと心に引っ掛かっていたのだ。
余裕がある日曜の朝に試そうと、思い出してその本を引っ張り出す。

が、肝心の材料や分量の詳細が書いていない。
すりおろしたじゃがいもと小麦粉を混ぜて焼けばパンケーキ風のおやきに、という記述が載っているのみで、まったくもって私の記憶以上のことが書いていないではないか。
が、そこで引き下がるのも何だか悔しい。
ちゃんと焼けば、とりあえず食べられるものは出来るだろうと、続行する事にする。

小降りのじゃがいもをひとつ、皮を剥いてすりおろす。
小麦粉を袋から少しずつ入れ、ボウルの中でじゃがいもと合わせる。
何となく、卵もひとつ割り入れて。
混ぜ合わせたら、ホットケーキミックスを溶くときの濃さはこれくらいだよなあ、という濃度になるまで小麦粉を加え、調整する。
入れたら美味しそうだという信念のもと、溶けるチーズも追加。

そうして出来たタネを、熱したフライパンに流し入れる。
あとはホットケーキの手順を思い出しながら進めた。
表面にポツポツと気泡が浮かんできたらひっくり返し、綺麗に焼き色がついたら出来上がりとする。

さて、下味はなにもつけていないのだ。
どんなソースをつけよう。
チーズを入れていたのだったと思い出し、ひとまずケチャップをしぼる事にする。

一口食べて、ああこれはチヂミだ、と思った。
チヂミの原料をよく知らないが、ちゃんと火が通っていながらもしっとりと身が詰まり、もちっとした食感はチヂミに近い。
これならケチャップよりも、しょっぱさに振り切ったソースの方がふさわしかったか。
ニラやシーフードを入れたら、立派な一品メニューになると思われる。
これは、カフェメニューではないな。
おかずだな。

おやつよりも食事寄りなのは、味のベクトルだけではなかった。
腹だまりもまた、食事規格なのであった。
そもそも大きくなってしまったというのもあるが、それにしても満腹感がおそろしく続く。
じゃがいもの胃にとどまる力を見せつけられた思いだ。
昼食を摂れそうな気がせず、同居人の分だけを作って自分は食べなかったほど。
(それでも夕食までは保たず、おやつを頬張った私であるが…)

結論。
確かにパンケーキ様のものは作れるが、圧倒的にこれはおかずだ。
そう想定し、開発に励もうと思う。



マイ・ネーム・イズ/イト・ネーム・イズ

2012-06-06 20:20:44 | 行きました。
〈5月12日の食事〉
朝:hive cafeのアーモンドベーグルでツナサンド コーヒー
昼:バターチキンカレー 付け合わせの野菜 コーヒー 本和花糖のチーズケーキ @MUJI cafe 二子玉川店
夜:日本酒いろいろ お通しのホタテ料理 刺身盛り 豚しゃぶサラダ 牛筋の韓国風煮込み 豆腐クリームチーズのカナッペ @件/学芸大学

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「件(くだん)」という屋号で、フリーのグラフィックデザイナーをしていた頃がありました。
今から5年ほど前から3年前ほど前までの、ほんの僅かな期間ですが。
身を立てるのが難しくなった頃に今の上司に拾ってもらい、今に至る…といった次第です。

というように、活動期間の短い名前でしたが、もちろん愛着はある。
なんせこのブログのアカウントも、ツイッターのアカウントも、「くだん」を絡めた名前で決めた程です(ちなみに、「g」はグラフィックの頭文字)。

そんな経緯だからして、今回お伺いした学芸大学にある「件(くだん)」は、雑誌でその存在を知ったときには運命とすら思ったし、行くのが本当に楽しみでした。
学芸大学はどうにか徒歩圏内であるのについつい行きそびれ、ようやく表れたこの機会。
夢にまでみた瞬間です。

まずは、とにもかくにも日本酒。
お店オリジナルのこのぐい呑みを見たとき、感激のあまり携帯で撮影してしまいました。
「件」とお店の名前を漢字表記してあるばかりか、「kudan」とルビがアルファベットで振ってある。
私の屋号もアルファベットを並列表記していましたから、感激もひとしおです。

のっけから感動づくしですが、肝心の味もまた格別。
だってまず、お通しのホタテ料理からして、目が覚めるほど美味しいのです。
頼んだものが運ばれるたびに、思わず「わっ、これ美味しい」と口をついて出てくる。
件はもともとおでんのお店ですが、時期外れのため残念ながらありませんでした。
ならば煮込み繋がりで、と牛筋の煮込みを頼んでみる。
とろとろで旨辛で、もう、絶品。
おでんへの期待が更に高まりました。

お酒を出されるなり撮影した写真は、私の屋号の方の〈件〉と縁深い友人に送りつけたのです。
友人も興味を示してくれましたので、また彼の地にお邪魔したいと思っております。

フライデー解放パン

2012-06-05 23:34:18 | 食日記
〈5月11日の食事〉
朝:かぼちゃとブルーチーズのマッシュのせトースト コーヒー
昼:hive cafeのごまベーグルにスライスチーズ 三浦屋で買った温野菜サラダ
夜:妹と。トマトのフェットチーネ セットサラダ コーヒー @パスタの店 SPIGA・飯田橋店

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昼食の用意を持ってこなかったこの日。

職場から10分ほど離れたカフェに、ベーグルを買いに。
その足で駅ビルに入ったスーパーに寄り、ベーグルに挟むためのチーズと、付け合わせのサラダを。
職場に戻って、100円ショップで買った切れ味の悪い果物ナイフで、強引にベーグルを真っ二つに。
チーズは豪快に3枚。
にんまりとがぶりつく。

職場が今の場所に引っ越す前、あるいは一人暮らしをしていた頃はよくやっていたような食事だ。
職場が引っ越してパン屋が至近距離にはなくなり、そして二人暮らしを始めてから食事をまめに用意するようになり、あまりやらなくなったと気付く。

口いっぱいのベーグルと同時に味わうのは解放感。
毎日お弁当がある暮らしは健全で便利だし経済的だが、「ねばならぬ」で用意するのは時として疲れるものだ。
また、世の中が昼食ピーク時の外食も、色々と骨が折れる。

この日は同居人の食事を用意しなくてもよく、だったら私も面倒だからいいや、と弁当作りをしなかったからこうなったのだが。
時にはこうやって上手く手を抜こうと思ったのであった。

彼女の食卓

2012-06-05 21:15:49 | 食雑記
〈5月10日の食事〉
朝:かぼちゃのマッシュのせトースト コーヒー
昼:お弁当(白米、エビチリ、にんじんしりしり)
夜:卵パン、焼きカレーパン(以上二点、セブンイレブンで購入) 豆乳

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5月10日当初はおそらくそんな見方はされておらず、これを書いてる6月5日はそろそろ沈静化が見られるといった、タイムリーと言うにははばかれるようなことについて、少し。

彼女は騒動の当初、「二股をかけられた可哀想な、けれど気丈な人」としてメディアに認識されたと思う。
それがいつしか、「ちょっとありえないんでは」という、本業=料理での姿の方が着目されるようになった。

衛生面に関する「ありえない」は、確かに私もどうかと思った。
特に、五円玉をおはぎに埋めたり、バウムクーヘンを床に直置きして写真を撮ったり、という辺りは。
だが、色彩感覚や盛り付け、または食材の組合わせに関する「どうしたものか」に関しては、なんだか身につまされるようで、居心地悪くなってしまったのである。

そのとき、こわいもの見たさで覗くなんて悪趣味だなあ、と思いながら、彼女のブログに載っていた料理写真を見ていたのだった。
そのうちのひとつに、黄緑色の何かにまみれたホタルイカがあった。
ややグロテスクな見た目にゲゲッと思いながらも、その料理の詳細を読む。
バジルペーストで和えたホタルイカ、とあったのであった。

それは、見た目の上では確かにグロテスクなのである。
だがしかし、待てよ。
バジル味のホタルイカってことは、不味いどころか結構美味しいんじゃないだろうか。
見た目と味の乖離。
それに思い至り、ううむと頭を抱えてしまった。

料理をする人は、同時にその成り立ちも追う人である。
途中で味見をし、駄目な点があれば軌道修正を行う人でもある。
こうした過程を経て出来上がったものが食卓に置かれる際は、その人にとって美味しいもの、少なくとも不味くはないものになっている筈だ。
特にそれが、プロの仕事であれば。

また、制作には立ち会わなくてもそれを食べる人は、味に沿うリアクションをもってしてその食べ物を迎える筈である。
たとえ見た目に難があっても、その場には「美味しそうな匂い」があるからだ。

つまりは実際に食べる人にとっては何ら問題なくても、「これとこれの組合わせだから不味くなりっこない」という理屈も、匂いによるもうひと押しも、見た目次第では全部無効になりかねないのだ。

また彼女のブログの写真はおそらく彼女自身が撮影したもので、光の回り方からしても少なくともプロのカメラマンが撮ったものではないだろう。
盛り付けや色彩感覚のうんぬんの前に、まず写真が味方していないなと思えるのだ。
くだんのホタルイカも、プロが撮った写真であればこうもグロテスクには見えなかったのでは。

翻って。
まったくもって料理人でもない個人の趣味の範囲であるし、規模だって段違いだが、私もまた自分で作ったものを撮影し、こうしてブログという形で晒している身。
失敗もあるにせよ、味以上に不味そうに撮れてないか。
いかにも美味しくなさそうなルックスをしていないか。
冷静に客観視する必要があると思ったのである。
恥以上に、見てる方に不快感を持たせてしまっては失礼だ。
また外食の際にも気を付けないと、不味そうに撮れてしまったのをブログに上げたら、ネガティブキャンペーンになりかねない。

見る人は、ほとんどがそれを食べてはいない人。
肝に命じてこのブログを続けようと思う。

嘆きのブルーチーズ

2012-06-05 08:34:43 | 作りました。
〈5月9日の食事〉
朝:ブルーチーズとハチミツのトースト コーヒー
昼:お弁当(白米、ゴーヤと豚肉の炒めもの、卵焼き、キャベツコチュ和え)
夜:フルーツグラノーラ+ヨーグルト スモークチーズ

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青山のファーマーズマーケットで買ったハチミツが、当たりなのであった。
「海辺ラベンダー」という詩的な名前のついた(って、実際そんな場所で採集されたんだろうけど)それは、味わいもまた可憐。
といってもそんなに味の差が分かる人間でもないのたが、実は苦手だなと感じるハチミツが多く、普段から好き!と思えるハチミツがあまりないのは確か。
単体でも味わえるって、そうそうないことなのである。

そんなハチミツと出会えたなら、これを試さないわけにはいかないだろう。
ブルーチーズとの組合わせである。
これとの組合わせに限っては、どんなハチミツも好きなのだから、うまいハチミツでやったらさぞかしなものだろう。
とはいえ朝だ、それだけ用意して、酒が飲みたくなっても困る。
ならば以前出前をとって美味しかったピザよろしく、ピザトーストとして対峙しよう。

そのピザは、ブルーチーズ単体が使われていたわけではなかった。
ブルーチーズを始めとする数種の混合チーズである。
けれど他のチーズはないし、同じものを作りたい訳ではないからまあいいかと、先を進める。
ブルーチーズは室温で戻していたものの、それでもまだパンに塗りたくるには固い。
トーストして溶けて広がるのを狙い、ダイス状にカットしたものを食パンに乗せ、オーブンで温めることにした。

今にして思えば、トースト後に乗せて、余熱で溶けるのを期待すればよかったのだ。
ブルーチーズもろとも過熱するとどうなるか。
といえば、匂いもまた熱と共に広がることを意味する。
ブルーチーズの匂いが大丈夫な私すら、ちょっと臭いなと感じるほど。
また、まんべんなく薄く塗ったときに比べたら、ダイスで置いてしまうとどうしたってパン一枚に対してのチーズの量が多い。

結果、みだりにしょっぱくて臭いトーストが出来上がってしまった。
そういえば、味も匂いも、温度が高い方が感知しやすいんだっけ、と思い出す。

それでもまあ、美味しいと思う組合わせである。
過剰ではあるけど、まあ美味しいベクトルは向いているよ。
ハチミツも沢山使わないと太刀打ちできないけど。
更にいえば、合わせるのはコーヒーじゃないけど。
ビールだったらバッチリだなあ。
言い聞かせるように完食する。

本当の悲劇はこれからだった。
のそのそと起きてきた同居人が、キッチンのそばを通るなり、「なにこれ!?」と顔をしかめる。
…そうだ、この人はブルーチーズの臭いが嫌いなのであった。
もうトーストは私の胃の中だったが、嫌いな人には残り香だってたまらないに違いない。
だって、温められた空気に乗って蔓延してるもの…

「いやね、ブルーチーズを使ってトーストをね…」と弁明したときの、彼の嫌そうな顔と、遠巻きにしか確かめようとする様は忘れられないだろう。
うん、私が悪かったよ、ごめんね、もうしないよ、だって私もきつかったもん…

苦笑いで場を濁しながらも、脳裏を横切るのは紛れもない本音。
されどこのまま引き下がるのは悔しいので、どうにか改良点を加え、ブルーチーズとハチミツのトーストを完成させたいと思っている。

抹茶バウムはどこに行った

2012-06-04 20:47:18 | いただきました。
<5月8日の食事>
朝:抹茶のバウムクーヘン 弁当の残り カリフラワーのピクルス コーヒー
昼:お弁当(玄米ご飯、鯖のみりん焼き(買ったもの)、ジャガイモとスナップエンドウのカレー炒め、もやしのカッテージチーズ和え)
夜:無印のイエローカレー 玄米ご飯 ヨーグルト

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京都土産として、「京ばあむ」なるお菓子をもらったのだ。
早速、朝食にいただくことにする。

抹茶ベースの黄緑色と、豆乳ベースの白からなる層のコントラストが綺麗。
中はあくまでふんわり、それを包む抹茶糖による一番外側のコーティングはしゃりしゃりとしており、その食感も楽しい。
「あんまり時間が無くて、京都駅でぱっと目についたのを買っただけだから」と、くださった方は謙遜なさったが、なあにどうして。
こいつは相当美味しいですぞ!

1/4を食べ、1/4は同居人に切り分けて。
帰ってから、残りをまた半分ずつ食べるつもりで、いそいそと職場に向かったのだ。
仕事が終わって、胸をときめかせながら、家に戻ればどうでしょう。
残りのバウムクーヘンを載せていたはずの皿が、シンクに置かれているわけではないか。

「残りは?」と聞けば、「食べちゃった」という。
いや、見たら分かるけど…
確かにお腹がすいたら食べてね、と言い残してから出かけたが、何も全部食べることないじゃないか…
皿に少しだけついた抹茶糖の痕跡が、恨めしいやらなんとやら。
いやいや、恨めしいのは地味に意地汚い同居人である。
食べ物の恨みは恐ろしいのだ。

何はともあれ、美味しいものをありがとうございました!




つ・き・あ・い・た・い

2012-06-04 10:46:23 | 食雑記
〈5月7日の食事〉
朝:トースト ヨーグルト イチゴジャム アオサの卵焼き コーヒー
昼:フルーツグラノーラ+ヨーグルト
夜:お弁当(混ぜご飯、豚のしょうが焼き、アオサの卵焼き、タラモサラダ)

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この前の晩、ホタテの寿司があまりにも美味しかったもんだから「貝と付き合うならホタテ!」などとツイッターでつぶやいたのだが、こんなしょうもないことに反応してくれる方々が素敵である。
とくに友人の一人は、この時だけでなく、野菜についてどうようのことをつぶやいた時も「私だったら…」という反応をしてくれて、もう大好きだ。

私は貝に関してはホタテ一択なくらいホタテ押しな訳だが、彼女は貝だと選べないと。
だったら、甲殻類だったらどう?私はエビ!と話を振れば、更に妄想は広がって、いやあ楽しいことこの上ない。
男性だったらエビはこんなタイプ、カニはこんなタイプと思い描き、果ては、エビには海老原と、カニには蟹江と名字までつけてしまった。

思うに、食材ってもんは、味の特徴を人格化できるんである。
エビは赤やオレンジといった暖色系の体を持ち、また全身筋肉で覆われているような生き物だ。
歯応えもプリっと、明朗快活な食べ物である。
だから、体育会系で明るいクラスの人気者タイプと言えよう。

対してカニは、硬い甲羅で覆われ尖ったハサミを持ち、簡単には人を寄せ付けないタイプ。
腹を割って話をしても、カニ味噌の旨味は決してオコチャマ向けではなく、万人受けするものではない。
好きな人にとっては掴まえられたら離さない、ニヒルな魅力を持つのがカニなのだ。

そう当て込んでいけば、実生活では蟹江タイプに惹かれるのに、食材としてはエビの方が好きなのは何なんだろうと思わなくもないが。
また、カニぱんはカニの人格化においては対象外とさせていただく。
(甘いし柔らかいし)

ちなみに私は、野菜の場合は実の野菜だったらスナップエンドウ、葉ものならほうれん草、根菜はレンコンと交際したいと思っております。