夏休み、酷暑の東京を脱出し、ひとときを家族で、札幌と十勝に遊 んだ。沖縄と気温が逆転した日もあったという今夏の北海道。道産 子は「昔こんな熱帯みたいな夕立はなかった」とぼやいていたが、 北海道が熱帯なら東京はサウナ。道外からの亡命一家としては、 十分涼しさを楽しめた。札幌では、最近当地に転勤した二男の同級 生のご家族と再会。大通り公園に、サッポロファクトリ-に、札幌ド- ムと、皆で当地のファミリ-レジャ-を楽しんだ。不況というが、夏休 みの北の都はまたずいぶんとにぎやかだった。誓って言うが、「好景 気」の代表格とされる名古屋に家族旅行していたのでは絶対に味わ えない、豊かな時間と、雑踏のワクワク感が札幌にはあった。 ※名古屋圏は大幅減 そう思うのは筆者だけではない。経済力の高さを誰よりもが認める 大丸百貨店も、札幌店を新設投資していながら、名古屋店は持って いない。しかも東海地方を地盤とする松坂屋と経営統合するというこ とは、名古屋に直営店をもうつくらないということだ。「不況」の札幌に 出て、「好景気」の名古屋に出ないとは、いかなる判断なのか。199 8年度と2003年度の商業統計を比較すると、人口五百四十万人の 名古屋都市圏の小売販売額(すべての店の売り上げの合計)は、実 は五千億円近くも低下している。ところが周辺都市を含め人口二百四 十万人の札幌都市圏の小売販売額は、ほとんど減っていない(同期 間に百億円強の減少)。こういう数字をきちんと分析した大丸は、札幌 には進出したが、名古屋店はつくらないとの決断をくだしたわけだ。 「北海道は不況のどん底だ」と主張したいお歴々は、こういう事実自体 を否定したがる傾向がある。だが、以上のような結果は決して不思議 ではない。 ※20歳~50歳代カギ 旺盛にモノを買うのは、おおむね20歳~50歳代である、ということを 否定できる人はいないだろう。ところで、札幌周辺五市(札幌、江別、 石狩、北広島、恵庭)に住んでいる20歳~50歳代の数は、2000 年~2005年の五年間に一万四千人増加した。対して愛知県の20 歳~50歳代の人口は、移住してきた外国人の方を入れても、同時期 に三万八千人も減少している。これが、札幌と名古屋の小売販売額の 減少の程度の違いに直結しているのだ。ちなみに首都圏一都三県 (東京+埼玉+千葉+神奈川)の、同時期の20歳~50歳代人口は、 二十三万人の減少。1998年~2003年度の一都三県の小売販売 額は、二兆一千億円の減少となっている。北海道は不景気のどん底 であると主張したい皆さんには受け入れがたいだろう。だが事実として は、札幌周辺は国内に本当に数少ない20歳~50歳代の人口が増え ている地域であり、小売商業者にとって最後の聖域だったのだ。北海道 は不況だというのは、有効求人倍率や失業率をみた判断だ。しかしな がら、現に20歳~50歳代の人口が増え、モノの売り上げが下げ止ま っている地域を、不況呼ばわりしていればいいというものではない。 札幌の皆さんはもっと自信を持つべきだ。もちろん、いい話ばかりでは ない。この話にはきちんと落とし穴がある。次回に、その落とし穴を指 摘させていただくので、楽しみにお待ちいただきたい。 (もたに・こうすれ=日本政策投資銀行地域振興部参事役)
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