白血病の放射線治療「限定照射」に効果
北大遺伝子病制御研究所の西村孝司教授(免疫制御学)と同大学院医学研究科の武島嗣英助教(放射線医学)らの研究グル-プが、白血病のがん細胞に放射線を限定的に照射することでリンパ球を活性化させ、がん細胞を攻撃する仕組みを突き止めた。免疫療法を併用することで延命率が大きく向上することも確認でき、2月に米国がん学会の専門誌「キャンサ-チ」(電子版)で公表する。
北大グル-プが確認
西村教授らは、白血病細胞を移植した多数のマウスに、エックス線を2グレィ(放射線吸収線量)、1回だけ当てたところ、がん細胞の一部が死滅。同時に、がん細胞を攻撃して殺すリンパ球の一種「キラ-T細胞」が大量に増殖することが分かった。実験では併せて、キラ-T細胞の働きを支援する機能を持つ「ヘルパ-T細胞」などを注射する免疫療法も実施。その結果、「がん移植後100日を経ても8割のマウスが生き残った」という。ヒトの場合、腫瘍など固形物のがんに対する放射線治療としては、2グレイの放射線を計約30回照射するのが一般的。照射の繰り返しはがん細胞を攻撃して縮小させる効果があるが、周囲の正常な細胞も攻撃してしまうため、患者の体にダメ-ジを与えるジレンマか゛あった。西村教授は「放射線と免疫療法の併用により、がん治療だけでなく再発防止効果が期待できる。2年後をめどに人体での臨床研究に移行し、効果を見極めたい」と話している。
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