温泉熱で栽培成功 定山渓のホテル研究会が新方式 冬も新鮮「新名物に」
札幌市内の農家などでつくる「アスパラガス研 究会」と定山渓温泉(南区)のホテルが強力し、 温泉熱を活用したホワイトアスパラガスの栽培に 成功した。道立花・野菜技術センタ-(滝川市) によると、温泉熱によるアスパラガス栽培は全国 的に初めて。2日に定山渓の住民向けに試食会が行われ、「新しい食 感でおいしい。定山渓温泉の新名物に」と好評だ。
ホワイトアスパラは従来、土を茎にかぶせて育 て、夏場限りの産品だった。これに対し同センタ -は畑で大きくした根株を、光を当てずに地下に 電熱線を敷いた温床で育てる方法を開発し、冬 場の栽培を可能にした。同研究会はこの栽培方 法に着目。「定山渓の温泉熱を利用すれば、電 熱線のコストが削減できる」と考え、温泉関係者 の協力を得て、先月から定山渓温泉のホテル 「山渓苑」にある機械室を利用して応用に向けた 試験栽培に取り組んできた。機械室には、温泉 の温度を下げるための貯蔵タンクがあり、室温が 24度、湿度が72%に保たれている上、通常は光が遮断されている。 同研究会事務局のある市農業支援センタ-で育てたアスパラの根株 約25株を搬入したところ、いずれも順調に生育した。試食会では、ホ ワイトアスパラをサラダとシチュ-の具として使用。シャキシャキした歯 応えで独特の甘みが出席者に喜ばれた。ホワイトアスパラは1日3㌢ 近く伸び、調理用に切断しても根株から次々と成長するため、同ホテル では今月中旬から宿泊客にも提供する予定だ。定山渓観光協会会長 でもある同ホテルの上野昌男専務は「他のホテルにも広め、定山渓名 物の高級食材にしたい」と話す。4年前からグリ-ンアスパラを栽培す る同研究会メンバ-の農家間山瑞之さん(66)=南区砥山=が根株 の出荷準備を進めており、「成功すれば街中のビルの都市廃熱でも応 用できる」と意気込んでいる。