鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

14 隠者の茶飯事

2018-01-16 07:04:05 | 日記
問題は喫茶にある。
まずは抹茶。
味自体は好きだし茶碗も揃っているが、例によって作法がうるさい。
隠者流胡座手前を嘲笑する客には、缶ビールを缶のまま出すが吉。
煎茶の湯呑みも集まったが、コーヒー紅茶の器には困った。
把手が付いた形は、出っ張りが余分で不完全な姿に見え落ち着かないのだ。
初代仮面ライダーの珈琲道は抹茶碗に茶筅で泡立てていた。
私もコーヒーは抹茶碗派だ。

黒織部沓茶碗 江戸時代 (カフェラテ) 古瀬戸の猿

歌人俳人達の酒好きには呆れる。
李白、白楽天の頃からの伝統だと偉ぶっている。
私は体調もあって量より質、量より酒器に凝る方だ。
酒器は古今東西良い物が沢山あって楽に選べる。
必要なのは徳利とぐい呑に、肴の小皿だ。
小盆に纏めるのが隠者流。

古唐津徳利 李朝ぐい呑 古九谷絵皿
詩画仙達に供する酒量は断固二合迄!
さもなくば清談どころか、狂乱の宴と化す。

我が一族の旧主、神君家康公は御自ら色々な湯づけを工夫された。
湯づけは身が温まり器一つで短時間でかっ込めるので、戦場食に適していた。
公は普段でも精々一汁三菜で過食を戒め、養生訓も遺している。
隠者の飲食(おんじき)も質素を旨とし、糖質を制限する。
現代の美食飽食の中では、逆に簡素な膳の方に精神美がある気がする。

墨客達を呼んだ詩文の宴は、正に仙境やミューズの楽園に遊ぶ趣がある。
若い頃の悪い遊びにも飽きた大人達の、精神の遊楽だ。
下の書はそんな折にいただいた物。

水内慶太作 俳句色紙 春暁の鏡の中に帰る衣
(朝帰りか?)

©️甲士三郎