カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

スポーツ障害的な、コっくん

2009-03-18 20:45:48 | 本日の患者さん
コっくんはウェイクボードの指導教官だ。

ウェイクボードとやらを徳さんは知らない。
何でもスノーボードをモーターボードで引っ張って貰い、滑走するスポーツとのこと。ボートが作る波などを利用してジャンプしたり空中回転したりして、アクロバット的なスリルを楽しむスポーツのようだ。
徳さんなどは想像するだけで勘弁してもらいたい過激なスポーツのようだ。
堅い水面に何度も叩きつけられ、肋骨骨折、膝の靭帯損傷は当たり前というカっくん。
男の勲章にも値しないとばかりに平然としている。

そのコっくん。
若さゆえ、身体状況の訴えはたいした事はないのだが、背骨の歪みはおおいに問題あり。
腰椎が左に側湾してて、腰椎後湾も激しい。
スノウボードなどは、向きが左右に固まったままやるスポーツなのでひたすら背骨の歪みを作り出すスポーツといってよい。

コっくんには、ウェイクボードをやる時にやってしまう軸足の偏りを日常に持ち込まないことを約束してもらった。

震災列島

2009-03-17 19:15:44 | 本日の抜粋

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「少ない予算で、無数にある活断層を同じように監視するのは、とうていできる相談ではないのです。おまけに、存在は疑われてても、位置が分からない断層だってあるんです」
「どこら辺にあるんだ?」
「大都市の地下には、大概埋まっていると思われます」
「危ないじゃないか。人口密集地こそ詳しく調べて貰わなくちゃ困るよ」
「都市直下の調査は、技術的にも難しいんです。阪神大震災を引き起こした神戸の断層も地震波形から位置は推定されているものの、いまだに確認はされていないくらいです」
「何故、そんなことになるのだ?」
「安土桃山以降、日本の大都市は、沖積平野の上に発達したからです。断層が厚い沖積層下に伏在していますから、地形で判断できません。深夜の静かな時間に人工地震を起こせば、かなり詳しい地下構造が分かりますが、必ず苦情が殺到します」
「うーん」
早川は唸った。「東京二十三区も同じか?」
「まず間違いなく、地下に伏在しているでしょう」
「そんな危険な場所に、日本の政治・経済・行政の中心があるわけか。なんだって、こんな厄介な場所に、千二百万人も住む大都市を作っちまったのかねえ?」
「逆説的ではありますが、断層が集まっているからでしょう」
「なんだって!?」
「日本のような圧縮帯は、地震がないと山ばかりになってしまいます。ところが、断層が山を崩し、川を通し、運んだ堆積物が平野を作るので、人々は水利に恵まれた平地を利用でき、町が出来ます。断層が山脈を切り裂くので、山向こうの町との交通路も開けます。つまり、地震が都市を作るのです」
早川は呆気にとられた。地震が都市を作るなど、考えたこともなかった。
「いやはや驚いたね。日本は地震の民って訳だ」
「火山の民でもありますが」
企画官は補足した。

石黒 耀 『震災列島』より 講談社

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還暦を過ぎた歳になると堅い本を読むのが辛くなって来る。
もともと哲学などの抽象用語が苦手な徳さんの特殊事情なのかも知れないが、、、。

こうして物語になっている小説から徳さんの民度にあった箇所を選び出すのが、現在の徳さんの唯一のお勉強。
何しろこの小説は地震にかこつけてやくざ一味をやっつけるというハードボイルドを装っているので、ハラハラわくわくしながらお勉強が出来るという訳。

そうそう、こんな箇所もあった。

『阿布里組の連中は、その程度で済ませるわけにはいかない。友紀や、私達家族や、この町が受けたと同じ苦痛を阿布里組の全員に味わわせねば腹が収まらない。
難しいのは、法律に従うと連中の方が有利という点だ。いったい、この国の法律はどうなってしまったのだろう。やたら細かく規定して、素人には到底理解できない巨大システムを作り上げ、結局は、法の抜け穴を探す金と時間と人力を持つ人間が勝つように出来ているのではないか?』

生理不順な、ケっくん

2009-03-16 20:51:17 | 本日の患者さん
ケっくんの主訴は生理不順ではない。腰痛だ。

2週間前にかがむ姿勢をとった時にぎっくり腰になったとか。
現在のケっくんの腰の痛みは三分の一以下になっているそうな。

そうです。
ぎっくり腰は腰椎周りの靭帯や筋肉の膜の怪我だから、放って置けば症状は消えてしまう。
だからと言って、症状が無くなったからといって喜んでもいけない。
ぎっくり腰をおこす筋肉のアンバランスが放置されたままなのなら、悪無限的に繰り返すことになる。

くさい臭いは元から断たなきゃ駄目!というのは、かなりの名言。

ケっくんの腰椎の歪みは徳さんが予想してた程ではなかった。
軽い程度の側湾と前湾消失がある程度だ。
ただ気になるのは、腰椎5番が右に少し回転している。

いろいろ話を聞いてみると、生理不順や生理痛があるとか。
徳さんにしてみれば、こちらの方が大問題のように思える。

患者さんの主訴に隠れた問題を提示するのも徳さんたちの大事な仕事だ。

MAX

2009-03-15 19:12:04 | 本日のしりきれとんぼ
痛いという感覚は、誰でもが知っているが、誰にも知っては貰えない。
楽しいこと、嬉しいことは共有できても、人は痛みを共有できない。
痛みとは、結構、孤独な世界の出来事なのだ。

その痛みの表現も実に様々だ。
(この話題で取り上げるのは、徳さんの施療を受ける時の痛みに限定)

身動きもせずにジッとこらえる人。

歯を喰いしばりながら、時折うめく人。

痛い所から離れた手足をばたつかせる人。

片方の手や足で、徳さんの施療する手を必死になって押し戻そうとする人。

笑い出しちゃう人。

絶叫する人。

今日の太郎ちゃんは絶叫型!それも半端じゃない。
太郎ちゃんはここ二,三日歯が痛くて歯医者さんにも通っている。まだ若いので神経は抜かずに処置をされ痛み止め出され様子を見ましょうという言われた。しかし、痛みは引かず、昨夜もろくに寝れなかったそうだ。食事も柔らかいものしか食べれない。施療室に入ってきた太郎ちゃんの第一声は「もう駄目!ボロボロ!」と情けない。

徳さんは、カイロの施術ではないが、他の療法で歯痛を一時的に抑えるというツボのようなものを聞いたことがあったので、太郎ちゃんの前腕の一点を強く押してみた。

太郎ちゃんの叫び声は施療室に響き渡った。妙に声がきれいだ。
足もバタつかせている。体を逃げるようにもする。
太郎ちゃんの顔を見ると、涙ぐんでいる。

しかし、これは徳さんのお仕事。冷静沈着な顔をして、太郎ちゃんの腕を掴んだまま離さない。

こんな文章を書くからといって、徳さんが人だなんて想わないでほしい。

脳下垂体腺腫な、クっくん

2009-03-14 19:41:12 | 本日の患者さん
カイロプラクティック施療適用外の病気を訴えている患者さんにカイロプラクティックは何が出来るか?

大上段に物事を考えればそういう事になるが、徳さんの構えはいつも下段の構え。
何かお役に立てる事もあろうかと、気楽に考えることにしている。

脳下垂体は様々なホルモンの司令塔だ。
その脳下垂体に腫瘍があれば、ホルモン分泌異状による症状は両手で指折り数えても指が足りなくなるほどだ。
脳下垂体に神経ホルモンとして一部指令を出している視床下部の存在もある。
視床下部は自律神経の中枢であると同時に喜怒哀楽など原始的感情の管理者だ。
いずれも頚椎の中を通り道にしている椎骨動脈が血液を送っている所だ。

脳下垂体腺腫の治療はお医者さんにお任せして(というより、徳さんなどには手が出せないわけだが、、、。クっくんの場合手術はかなり危険を伴うらしく、その事を知ったクっくんは手術を拒否している。現在ホルモン療法を受け、小康状態を維持している)徳さんはのんびり、クっくんの椎骨動脈の血行回復を目指してカイロ施療に励まさして戴きやんす。
時に馬鹿話でも織り交ぜながら、、、。

だってさ。という理由は徳さんの中に二つある。

腺腫ってのは、良性で癌じゃない事になっているけど、親戚筋ぐらいにはなるだろう。癌細胞ってのは嫌気性の細胞だから血行を良くする努力は必要なんじゃないか?

くつろいだ気持ちになることによって、視床下部からの神経ホルモンが活性化するのではないか?

確かに原始的な話だが、徳さんは肉体の話は原始的なのがいいと思っている。

今日は短め

2009-03-13 20:37:29 | 本日のしりきれとんぼ
人間の習性として嫌なことは先送り、というのがある。
早くから地道に取り組んでいれば大したことのない作業も、明日からやり出せば何とかなるさと、一日伸ばしにして、土壇場になってえらい苦労をすることになる。

毎年のことだが確定申告を前にして徳さん四苦八苦。
一年分の収支決算を数日でやらなければならない。領収書をノートに張るところから始めるのだから、もう、ほとんど経営者失格だ。

数字を扱うことが嫌いなことが大前提。
ここ一、二年は国分寺に分室を設けた関係で減価償却とやらで赤字決算となる。
結果の判っている結論を証明するために嫌いな数字をいじらなければならないのは、実に馬鹿馬鹿しい。むなしさで作業のスピードもさっぱりということになる。

ただ、救いがあった。
先日、すげえ歌手を見つけた。
彼女の歌をボリュームを上げて聞くことによって、何とか乗り切れそうだ。この単純馬鹿作業!

誰だって?
今日は気分が乗らないので教えない。

軽い脳梗塞?ひーさん

2009-03-11 21:01:09 | 本日の患者さん
一年ほど前に登場してもらったひーさん。
今年に入ってから体調が少しおかしい。
いずれも生活に異常を来たすほどのものではないのだが、気にかかる。

右手の親指が、細かい事をしようとすると、ピクピクと付随運動をする。
手や足に痺れを感じ、感覚も少し鈍っているようだ。物に触っても薄皮一枚隔てているようだ。
そして何より気がかりなのはしゃべっていて軽くろれつが回らない時があることだ。
現在41歳の前厄男だ。

手足の痺れや感覚鈍磨はカイロプラクティックからだって説明が付けれるが、ピクピクの付随運動は中枢性だし、ろれつが回らなくなったのは脳の運動言語領野に軽いレベルの脳梗塞が起きたと考えられる。
なぜ軽いと判断するかというと、ひーさんのろれつは日に日に元に戻っているからだ。

脳梗塞は軽い小さなレベルだと、20歳を過ぎた頃からは誰にでも起きている。
脳は終動脈といってバイパスに当たる血管を持っていないので、ある箇所の動脈が詰まればその先はパー、死んでしまう。
これが小さなレベルであればたいした問題にはならない。
隣接した予備の脳神経細胞がむっくりと眠りから起き出し、ネットワークを張り直してくれる。

ひーさんのはそんな疑いのレベルだと思う。

ひーさんには何かの症状にかこつけて、一度脳ドックを受けるよう勧めた。
日本の医療体制では、症状無しで検査を受けると保険適用から除外されるのだ。


番外編4

2009-03-09 20:40:51 | 本日の患者さん
17時の予約で受け付けていたのに彼が施療室にたどり着いたのは、その一時間後の18時だった。
空白の一時間に何があったか、、、。

この写真では判りにくいかもしれないが、彼の運転する簡易電動車椅子が新宿駅バスターミナル付近のレンガ仕様の段差に激突し、足の踏み台が折れ落ちてしまったのだ。
レンガ仕様の段差が彼の高低差の認識を錯覚させたらしい。
それに、衝撃を受けた後、彼のCP特有の筋緊張で、ひびの入った取り付け部品が決定的に打撃を受けたことも考えられる。
CP(脳性マヒの人の不随運動は中枢性であるため、その力は異常に強い。1立方cmの筋肉の塊が瞬時に600kgの重さを持ち上げることが出来るという筋肉の潜在的な能力が何の制御も受けずむき出しになった筋力の下にあるのが脳性マヒの人であるという定義だって成り立ちうる)の破壊力恐るべし。しかも本人の意志と逆行しているのだから本人には非がない。

近くにある駐在所に頼み込みガムテープで何とか固定してもらい、彼は新宿駅からその電動車椅子を押して徳さんの施療室までやっとの思いでたどり着いた。

まずは、その壊れた足台の取り付け部を何とか固定しなくてはならない。カイロの施療どころではない。車椅子の応急手当をしないことには彼は家に帰れないのだ。

さて困った。
徳さんの所では、背骨は直そうと努力するが、車椅子の応急処置のノウハウは持っていない。

壊れた部品はプラスチックで出来ている。
「何を考えているんだ、この製作者野郎」というのがまずもっての感想。CPの筋肉の緊張力の強さというものを全く理解していない。
より安価に、とり軽量にという考えに囚われているうちに、使用者本人の事情がおろそかになったようだ。

さてさて。
取り付け部の部品が割れてどこかに行ってしまってる。
単純にガムテープで固定しようとしてもグラグラして安定しない。
どうしたものか、、、、。

今日ばかりは徳さんを誉めてやって欲しい。
副え木を思いついたのだ。
上下方向と、横方向に副え木を与えるようにして紐で締め上げれば何とかなるのではないかと、、、、。
副え木は事務机の引き出しの仕切りを割って使った。
これが大当たり。
かも知れない、、、。

彼が無事に家にたどり着くのを祈るばかりだ。



花粉症礼賛

2009-03-08 20:08:01 | 本日のしりきれとんぼ
いささかやけっぱちでこのタイトルを付けた。

このところ花粉症真っ只中の徳さん。
カイロ施療中に大きなくしゃみを繰り返したり何度も鼻をかんだり。
くしゃみは発作的にやって来て、一度し出すと盛大に何回かは続けなければおさまりがつかない。
何しろ花粉症の時の鼻水は水のように粘着力がないので、鼻が出ると思った瞬間に鼻をかまないと、ベッドに横たわる患者さんの上にポタリと落ちることになる。
その辺の事情は患者さんにも良く伝えてある。施療者自身のインフォームドコンセンシャス。患者さんも諦めざるを得ない。

随分と苦しめられる花粉症だが、花粉症故の快感がない訳ではない。

犬のチンがするような鼻に通ったくしゃみをするわけだが、荒れた鼻道を空気が圧縮されて高速度で通過する時、なんともいえない満足感と達成感と快感が鼻粘膜を覆う。(この事について花粉症患者サイドからのコメントが聞かれないのが徳さん、常々不思議に思っている)

目は確かに痒い。
でも、これも目をこする時の、この世にこれ以上の至福はないとも思わせる快感は、花粉症になってみなければ味わえないものだ。

そして、そして。
くしゃみをしながら、鼻をかみ続けながら仕事を終えた後、ビールを喉に流し込む時の快感!!

喉に打ち寄せる刺激的な快感。まるでヒリヒリした火事場を洗い流してくれるようだ。
生きてて良かった。
花粉症になって良かった!

目にも冷えたビールを!
鼻にも冷えたビールを!

示指痛な、すーさん

2009-03-07 20:16:00 | 本日の患者さん
すーさんに新しい症状が加わった。

すーさんの訴えを列記すると、WPW症候群(心臓の副伝導路の異常)副鼻腔炎、Morton病(足底の神経腫)前立腺石灰化、痔、喘息、逆流性食道炎など多彩である。そのどれもが致命的でない程度なのが救いだ。

今日見えたすーさんは不安げな表情で「一週間前から右の人差し指を伸ばすとピピッと電気の走るような痛みがくるんです。指を曲げていると何でもないんですが。これは整形でしょうかね?」

そんな風に聞かれても徳さんは困惑するだけだ。

整形外科に行っても、それがかなり特殊な病気でない限り、整形外科の先生はそれほど関心を持って接してくれない。レントゲンを撮って、骨に異常がなければ、鎮痛剤と湿布をくれて様子を見てください、というのが平均的な対応だ。
出来れば、整形外科まですーさんを送り込みたくない。

かと言って、徳さんはこんな症状は聞いた事がない。

考えるしかない。

指の曲げ伸ばしで症状が出たり引っ込んだりするのなら、それに関係する筋肉の筋腹の膨らみ方によって、橈骨神経が圧迫され、痛みが発生するのだろう。
普通、指に走る痛みは頚椎の歪みを考えるのだが、すーさんの場合は、頚椎より手に近い所に問題があるのだろう。頚椎に問題があれば指の曲げ伸ばしで変化があるはずはないのだから。

ためしに、すーさんに座ってもらい、右肩関節に関係する筋肉、靭帯を緩めた上で右肩を関節の空間を確保するように後ろに引くと「あれ!指を伸ばしても痛くない、不思議だ」とすーさんのつぶやき。

あとは、その事実に基づいて、すーさんの肩周り、頚周りを、すーさんが痛がるのを無視して、緩め上げた。(筋肉を緩める事と痛めつける事がイコールなんて施療を受けた人じゃないと理解して貰えないよなあ~)

すーさんの症状が新しく増えたという、歴史的事実を闇に葬ったことになればいいのだがなあ~、、、。