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岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『俺に似たひと』 平川克美著

2012-03-17 10:58:15 | ケアラーのために
医学書院 2012年2月

著者による父親の介護記録です。ツイッターで発信されていたそうです。

「放蕩息子の帰還」という章があるように、実家のある東京に自らも住みながら疎遠だった父親との最後の日々を綴っている。
息子とは、このように不器用なものですよと。

著者の両親は長い間、誰にも見守られることなく二人暮らしを続けていた。
二人での生活がかなり困難になってきた時期においてもだった。

そして2009年末の母親の急死。
著者は実家に戻り父親と二人だけの介護生活を始めることになる。

この本には、キーワードが二つあります。

「疾病利得」と「せん妄」です。

読み終えて感想を書いてみたいと思います。

以下の文章に共感しましたので引用します。

「売れっ子の女性コンサルタントが、若者の海外渡航者数が減っているグラフを示して、日本人が内向きになっていることを嘆いていたことがあった。俺はこの女性コンサルタントが見ている世界というものが、いかにも薄っぺらいものにしか思えなかった。かれらには、内向きになって小さな平安に慰められる日々の切実さなどは分からないのだろう。人生についてまだ何も知らないホームルームの優等生のような発言。それが自己に優越性をしめしたいだけだったり、ときには弱者に対する残酷なものになるかもしれないというようなことにも思い至ることはないのだろう」






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