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parity(パリティ)=均衡の構図。

2007-12-25 | フットボールの話。

ペイトリオッツが、前人未踏の開幕15連勝を記録しました。

NFLは、世界最大規模の32チームが所属する米プロスポーツの最高峰リーグです。
リーグは昔から、ファン拡大のためにいろんな策を打ってきました。
考え方の根本にあるのは、常に『parity(=辞書を引くと同額, 同量, 同位, 同等, 同格の意)、リーグ全体の繁栄』。

つまり突出した有名チームを作り上げるのではなく、全チームが競い合うことで全体のレベルアップと、全チームの全試合のスタジアムを満員にすること。これが究極の、最終的な目標のはずです。

それを実現するために、日本のプロ野球とは違い、NFLは古くから『parity』を生み出すために様々な仕掛けを作ってきました。
ざっくりですが、主だったところをご紹介すると・・・

『サラリーキャップ』・・・選手のサラリーのグロス値を一定の範囲内に納めなさい、というルール。日本の読売ジャイアンツや、NYヤンキースのようなチームは作れない。
NFL自体はどんどんファン拡大に成功、利益も増えているため毎年キャップ枠自体は拡大しています。
例えば、スーパーボウルに優勝したチームは、各選手が貢献して勝ったはずなので、基本的にそれぞれの年俸はハネ上がります。(がんばって優勝したんだから、俺の給料上げてくれよなっ!という交渉だらけになるでしょうね)そうすると、あっという間にキャップを超えてしまうので、カントクさんの”今年優勝できたから来年も同じメンバーで・・・”なんて安易な考えを実現するのはまず不可能なのです。ペイトリオッツからすれば、きっと巨人軍は羨ましいでしょうね

『レベニュー・シェアリング』・・・チームで得た利益=リーグでの利益、と捉え、全チームに平等配分しましょう、というルール。東京ドームや駒場スタジアムが満員になって得た収入を、広島カープやサガン鳥栖にも配分しましょうよ、ということになります。このルールのおかげで、不人気だったチームの財政も回復し、スター選手を呼びやすくなる等のメリットがあります。一方で、『自チームの努力で得た収入を自由に使えないなんて!よそより努力したから成功したのに!』という金持ちチーム側(旧LAレイダースの有名オーナーが裁判を起こしました)の言い分もあり、ホームゲームとアウェイで分配ルールを作る等、時代を経てルールはアレンジされています。

『ウェーバー制』・・・日本でも耳にすることが増えてきましたが、前年最下位のチームから、ドラフト1位指名権を与える、というルール。有名選手は下位チームにいくので、戦力均衡化に繋がります。毎年これを繰り返していくと、スター選手は各チームに散らばってくれますよね。

『スケジュール・ストレングス』・・・前年強かったチームは強いチームとよりたくさん試合をし、弱かったチームは比較的弱いチーム同士の対戦を多めに組まれるスケジューリング・ルール。NFLは年間16試合というリーグ戦と、勝率上位チームが進出するプレイオフとで成り立っていますが、その16試合の内訳はけっこうバラバラなんです。スーパーボウルで勝ってしまうと、翌年のスケジュールは基本的に地獄絵図になります。リーグにとっては、連覇なんてしてほしくないんですよね(笑)

こんなルールの元、基本的にはリーグの意図どおりの『parity』を作り上げ、リーグは空前の盛り上がりを見せています。
数値でいうと・・・1試合の平均観客動員数6万8849人、平均観客収容率は何と98.3%
つまり、殆どすべての試合で約7万人収容のスタジアムのチケットが完売しているということです。


リーグとしては、全チームに優勝の可能性が残るままシーズンを進んでいってほしいはず。究極は、全32チームが8勝8敗になること。これはスゴイ。


・・・・・・という前提で、それでも15連勝のペイトリオッツ。
凄すぎますよね。来週に期待です


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