金色銀色茜色

生煮えの文章でゴメンナサイ。

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白銀の翼(劉家の人々)214

2013-03-06 22:14:16 | Weblog
 胡璋の発言が場を賑わせた。
時代が違っても娘達はこの手の話しが大好きなようで、食いつきが良い。
含み笑いしながら、マリリンと麗華に冷やかす言葉を投げかけた。
二人には如何ともし難い状況。
下手に怒ったり 、言い訳しては火に油を注ぐようなもの。
逆らわずに、話題が通り過ぎるのを待つしかない。
 ヒイラギまでが調子に乗った。
「四、五年もすれば麗華は熟してくる。良い相手だとおもうがな」
 かも知れないが、私の本質は女。
どうしろと言うの。
「少しずつ男化して来ている。好きという感情は起こらないのか」
 そんな気になれるか、馬鹿。
私の中に居候していて分からないの。
それに私はこの時代の人間じゃないわ、忘れないでよ。
「もし、このまま、この時代に留まるような事になったらどうする」
 この時代に留まってたまるか。
私は必ず元の時代に戻る。
みんなの待つ場所に。
残りたいならアンタ一人で残りなさい。
 唐突に桂英が問い掛けて来た。
「ところでマリリン殿は、あの岩に彫られていた文言を読みましたか」
 無関係を装うには、何でもかんでも知らぬ存ぜぬが一番拙い。
「はい、読みました」
「何と」
「愛しき人を称える、佑」
 桂英が視線を強めた。
「覚えがありますか」
「いいえ」
「場所からも、文言の隠しようからも、愛しき人は項羽だと思います。
そして、あの岩の崩れ方。
あれは言霊を封じて、時が到るまで保たせていたのでしょう。
あれが出来るのは、ただ一人。
となれば佑とは、虞姫以外には考えられません。
項羽の身近にいた方術師と言えば虞姫ですからね。
貴男はどう思います」
 どうやら試されているらしい。
迂闊に同意出来ない。
「私には何とも」
「残念ね。あの岩は貴男の訪れを待っていたと思うのだけど」と桂英が肩を竦め、
マリリンに疑問を抱いている事を隠そうともしない。
腹を割って話さぬマリリンにガッカリしているとも感じ取れた。
 醇包が場を取り繕った。
「マリリン殿、明日から馬の調教を手伝うそうだけど」
「約束ですから、やります」
「よかったらあの青毛に名前をつけてくれるかい」
「いいのですか」

 翌日よりマリリンは忙しくなった。
みんなとの早朝の棍術の鍛錬を終えて朝食。
一息いれては馬場に飛んで行き、約束通り青毛の調教をした。
もっとも、青毛の調練なのか、マリリンが調練されてるのかは判然としない。
人を乗せるのに慣れていない青毛。
馬に乗るのに慣れていないマリリン。
どっちもどっちな状況であった。
 醇包の勧めで青毛には、「剛」と名付けた。
「剛の者」から取ったのだ。
「剛の馬」と洒落たつもりでいた。
また、「GO GO」のつもりでもいた。
「センスがない」とヒイラギには笑われた。




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