高台から見下ろしていた劉邦は地団駄を踏む思いでいた。
下の陣所には漢軍が五万余もいたのに、
項羽率いる二千近い騎馬隊の突入を易々と許したのみか、追い遣られる始末。
高台から弓隊で射させようにも、多数の漢軍が邪魔して手出しが出来ない。
「殿の五万を投入しますか」と陳平。
後方に備えとして殿部隊五万を配備しておいた。
しかし張良に彼等の動員は禁じられていた。
「漢王様の命が危ない時以外は動かさないで下さい」と。
張良は劉邦の命だけに拘る。
漢の国よりも劉邦個人に重きを置いている感すらした。
その張良が駆け寄って来た。
「遅くなりました」
「使者の手配りは上手くいったか」
「上手くかどうかは分かりませんが、各諸侯に使者を走らせました。
大方は承諾する筈です。
今回の戦の手柄に関係無く領地が約束されるのですからね。
それで下の様子はどうですか」
言葉と同時に張良は木の柵から身を乗り出した。
「予想通りだ。呆気なく最前線が破られた」と劉邦は自嘲気味。
その言葉を背中に聞きながら、張良は敵騎馬隊の中に項羽を探した。
直ぐに探し当てた。
遠くからでも簡単に識別出来るのは、
項羽の武芸の冴えが他とは一味も二味も違うからだ。
鬼神の如き槍使い。
素早く突き刺し、抜いては穂先で相手の首を掻き切る。
さらに横に払っては、柄の部分で一時に三人の漢兵を弾き飛ばす。
まったく、「生ける武神」そのもの。
項羽は高台からの援軍が無いと判断したのか、次の獲物に狙いを定めた。
西楚軍の騎馬隊が、項羽の合図で一糸乱れぬ方向転回をした。
その動きから、「高台後方の殿部隊に狙いをつけた」と分かった。
下の陣所の敗残兵を追い込むようにして殿部隊に接近して行く。
劉邦の目が燦めいた。
「後尾から襲い、挟み撃ちにするか」
「それは項羽殿も承知です。
漢王様が出撃したと知れば、全力で反転して迎え撃つでしょう。
別の武将が出撃すれば、高台の防備次第では、こちらに上ってくる筈です。
今は我慢してください。直に反撃の機が訪れます」
劉邦は天を仰いだ。
「何もせぬのが上策か。
・・・。
殿部隊も見殺しにするのか」
「いいえ、殿部隊には指示を出しておきました。
項羽率いる騎馬隊と敵本隊を引き離すのが最大の目的であるから、
騎馬隊が攻めてくれば最小限の被害で、ジリジリ後退を続けろ、と」
張良は劉邦と共に殿部隊の戦い振りが見える場所に移動した。
劉邦の側周りの者達も大勢が同行した。
西楚の騎馬隊が敗残兵を殿部隊の陣地に追い込んで行く。
しかし、馬止めの柵が邪魔していた。
項羽の判断は早い。
僅か十数騎を率いて隊列を離れ、迂回するようにして殿部隊の脇腹に突入した。
馬止めの柵と並べられた盾の隙間を見逃さなかったのだ。
その場を守備していた槍兵三人を愛馬、騅でもって跳び越えた。
唖然とする三人に西楚の十数騎が襲い掛かった。
周辺にいた漢軍の将兵達が、慌てて加勢に駆けつけるのだが、
それを項羽一人が押し留めた。
槍と騅で巧みに立ち回った。
五人、六人と斃した。
間近にそれを見た漢軍の将兵達に怯えが走った。
西楚の十数騎が項羽に合流した。
馬上から穂先を揃えて敵を睨み付けた。
★
憲法記念日です。
左右両派が集会を開きました。
色々と対立軸があるようですが、古色蒼然。
旧態依然とした感が拭えません。
現憲法はアメリカさんが作成したものですが、よく考えられています。
市民を主権者とし、政治家や官僚が独善に走らぬようにを縛りを入れています。
憲法は権力者の暴走を防ぐ砦なのです。
ところが大震災を契機とし、
「今の憲法では非常時に対応できない」という意見が噴出しています。
憲法改正しようというのです。
根底には、「国家を主とし、市民を従属させよう」という思想が垣間見えます。
でも、それは間違いです。
国家は便宜的なものです。
必要悪と言っても過言ではないでしょう。
けっして主とすべきものではありません。
主はあくまでも市民です。
それに非常時も現憲法で充分に対応出来るのです。
出来ないのは、今の政治家、官僚が無能である為です。
もし、「憲法改正するならば」ですが、
無能な、あるいは不正腐敗している政治家や官僚の人権を剥奪し、
死刑にするように改正にして欲しいものです。
★
ランキングです。
クリックするだけ。
(クリック詐欺ではありません。ランキング先に飛ぶだけです)
下の陣所には漢軍が五万余もいたのに、
項羽率いる二千近い騎馬隊の突入を易々と許したのみか、追い遣られる始末。
高台から弓隊で射させようにも、多数の漢軍が邪魔して手出しが出来ない。
「殿の五万を投入しますか」と陳平。
後方に備えとして殿部隊五万を配備しておいた。
しかし張良に彼等の動員は禁じられていた。
「漢王様の命が危ない時以外は動かさないで下さい」と。
張良は劉邦の命だけに拘る。
漢の国よりも劉邦個人に重きを置いている感すらした。
その張良が駆け寄って来た。
「遅くなりました」
「使者の手配りは上手くいったか」
「上手くかどうかは分かりませんが、各諸侯に使者を走らせました。
大方は承諾する筈です。
今回の戦の手柄に関係無く領地が約束されるのですからね。
それで下の様子はどうですか」
言葉と同時に張良は木の柵から身を乗り出した。
「予想通りだ。呆気なく最前線が破られた」と劉邦は自嘲気味。
その言葉を背中に聞きながら、張良は敵騎馬隊の中に項羽を探した。
直ぐに探し当てた。
遠くからでも簡単に識別出来るのは、
項羽の武芸の冴えが他とは一味も二味も違うからだ。
鬼神の如き槍使い。
素早く突き刺し、抜いては穂先で相手の首を掻き切る。
さらに横に払っては、柄の部分で一時に三人の漢兵を弾き飛ばす。
まったく、「生ける武神」そのもの。
項羽は高台からの援軍が無いと判断したのか、次の獲物に狙いを定めた。
西楚軍の騎馬隊が、項羽の合図で一糸乱れぬ方向転回をした。
その動きから、「高台後方の殿部隊に狙いをつけた」と分かった。
下の陣所の敗残兵を追い込むようにして殿部隊に接近して行く。
劉邦の目が燦めいた。
「後尾から襲い、挟み撃ちにするか」
「それは項羽殿も承知です。
漢王様が出撃したと知れば、全力で反転して迎え撃つでしょう。
別の武将が出撃すれば、高台の防備次第では、こちらに上ってくる筈です。
今は我慢してください。直に反撃の機が訪れます」
劉邦は天を仰いだ。
「何もせぬのが上策か。
・・・。
殿部隊も見殺しにするのか」
「いいえ、殿部隊には指示を出しておきました。
項羽率いる騎馬隊と敵本隊を引き離すのが最大の目的であるから、
騎馬隊が攻めてくれば最小限の被害で、ジリジリ後退を続けろ、と」
張良は劉邦と共に殿部隊の戦い振りが見える場所に移動した。
劉邦の側周りの者達も大勢が同行した。
西楚の騎馬隊が敗残兵を殿部隊の陣地に追い込んで行く。
しかし、馬止めの柵が邪魔していた。
項羽の判断は早い。
僅か十数騎を率いて隊列を離れ、迂回するようにして殿部隊の脇腹に突入した。
馬止めの柵と並べられた盾の隙間を見逃さなかったのだ。
その場を守備していた槍兵三人を愛馬、騅でもって跳び越えた。
唖然とする三人に西楚の十数騎が襲い掛かった。
周辺にいた漢軍の将兵達が、慌てて加勢に駆けつけるのだが、
それを項羽一人が押し留めた。
槍と騅で巧みに立ち回った。
五人、六人と斃した。
間近にそれを見た漢軍の将兵達に怯えが走った。
西楚の十数騎が項羽に合流した。
馬上から穂先を揃えて敵を睨み付けた。
★
憲法記念日です。
左右両派が集会を開きました。
色々と対立軸があるようですが、古色蒼然。
旧態依然とした感が拭えません。
現憲法はアメリカさんが作成したものですが、よく考えられています。
市民を主権者とし、政治家や官僚が独善に走らぬようにを縛りを入れています。
憲法は権力者の暴走を防ぐ砦なのです。
ところが大震災を契機とし、
「今の憲法では非常時に対応できない」という意見が噴出しています。
憲法改正しようというのです。
根底には、「国家を主とし、市民を従属させよう」という思想が垣間見えます。
でも、それは間違いです。
国家は便宜的なものです。
必要悪と言っても過言ではないでしょう。
けっして主とすべきものではありません。
主はあくまでも市民です。
それに非常時も現憲法で充分に対応出来るのです。
出来ないのは、今の政治家、官僚が無能である為です。
もし、「憲法改正するならば」ですが、
無能な、あるいは不正腐敗している政治家や官僚の人権を剥奪し、
死刑にするように改正にして欲しいものです。
★
ランキングです。
クリックするだけ。
(クリック詐欺ではありません。ランキング先に飛ぶだけです)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます