金色銀色茜色

生煮えの文章でゴメンナサイ。

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白銀の翼(四面楚歌)134

2012-05-03 20:41:42 | Weblog
 高台から見下ろしていた劉邦は地団駄を踏む思いでいた。
下の陣所には漢軍が五万余もいたのに、
項羽率いる二千近い騎馬隊の突入を易々と許したのみか、追い遣られる始末。
 高台から弓隊で射させようにも、多数の漢軍が邪魔して手出しが出来ない。
「殿の五万を投入しますか」と陳平。
 後方に備えとして殿部隊五万を配備しておいた。
しかし張良に彼等の動員は禁じられていた。
「漢王様の命が危ない時以外は動かさないで下さい」と。
 張良は劉邦の命だけに拘る。
漢の国よりも劉邦個人に重きを置いている感すらした。
 その張良が駆け寄って来た。
「遅くなりました」
「使者の手配りは上手くいったか」
「上手くかどうかは分かりませんが、各諸侯に使者を走らせました。
大方は承諾する筈です。
今回の戦の手柄に関係無く領地が約束されるのですからね。
それで下の様子はどうですか」
 言葉と同時に張良は木の柵から身を乗り出した。
「予想通りだ。呆気なく最前線が破られた」と劉邦は自嘲気味。
 その言葉を背中に聞きながら、張良は敵騎馬隊の中に項羽を探した。
直ぐに探し当てた。
遠くからでも簡単に識別出来るのは、
項羽の武芸の冴えが他とは一味も二味も違うからだ。
鬼神の如き槍使い。
素早く突き刺し、抜いては穂先で相手の首を掻き切る。
さらに横に払っては、柄の部分で一時に三人の漢兵を弾き飛ばす。
まったく、「生ける武神」そのもの。
 項羽は高台からの援軍が無いと判断したのか、次の獲物に狙いを定めた。
西楚軍の騎馬隊が、項羽の合図で一糸乱れぬ方向転回をした。
その動きから、「高台後方の殿部隊に狙いをつけた」と分かった。
下の陣所の敗残兵を追い込むようにして殿部隊に接近して行く。
 劉邦の目が燦めいた。
「後尾から襲い、挟み撃ちにするか」
「それは項羽殿も承知です。
漢王様が出撃したと知れば、全力で反転して迎え撃つでしょう。
別の武将が出撃すれば、高台の防備次第では、こちらに上ってくる筈です。
今は我慢してください。直に反撃の機が訪れます」
 劉邦は天を仰いだ。
「何もせぬのが上策か。
・・・。
殿部隊も見殺しにするのか」
「いいえ、殿部隊には指示を出しておきました。
項羽率いる騎馬隊と敵本隊を引き離すのが最大の目的であるから、
騎馬隊が攻めてくれば最小限の被害で、ジリジリ後退を続けろ、と」
 張良は劉邦と共に殿部隊の戦い振りが見える場所に移動した。
劉邦の側周りの者達も大勢が同行した。
 西楚の騎馬隊が敗残兵を殿部隊の陣地に追い込んで行く。
しかし、馬止めの柵が邪魔していた。
項羽の判断は早い。
僅か十数騎を率いて隊列を離れ、迂回するようにして殿部隊の脇腹に突入した。
馬止めの柵と並べられた盾の隙間を見逃さなかったのだ。
その場を守備していた槍兵三人を愛馬、騅でもって跳び越えた。
唖然とする三人に西楚の十数騎が襲い掛かった。
周辺にいた漢軍の将兵達が、慌てて加勢に駆けつけるのだが、
それを項羽一人が押し留めた。
槍と騅で巧みに立ち回った。
五人、六人と斃した。
間近にそれを見た漢軍の将兵達に怯えが走った。
西楚の十数騎が項羽に合流した。
馬上から穂先を揃えて敵を睨み付けた。




憲法記念日です。
左右両派が集会を開きました。
色々と対立軸があるようですが、古色蒼然。
旧態依然とした感が拭えません。
 現憲法はアメリカさんが作成したものですが、よく考えられています。
市民を主権者とし、政治家や官僚が独善に走らぬようにを縛りを入れています。
憲法は権力者の暴走を防ぐ砦なのです。
 ところが大震災を契機とし、
「今の憲法では非常時に対応できない」という意見が噴出しています。
憲法改正しようというのです。
根底には、「国家を主とし、市民を従属させよう」という思想が垣間見えます。
 でも、それは間違いです。
国家は便宜的なものです。
必要悪と言っても過言ではないでしょう。
けっして主とすべきものではありません。
主はあくまでも市民です。
 それに非常時も現憲法で充分に対応出来るのです。
出来ないのは、今の政治家、官僚が無能である為です。
 もし、「憲法改正するならば」ですが、
無能な、あるいは不正腐敗している政治家や官僚の人権を剥奪し、
死刑にするように改正にして欲しいものです。




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