趙雪の言葉に左文元と紀霊は顔を見合わせた。
互いに苦笑い。
もっともな指摘なので反論はしない。
賞金稼ぎのうちの年嵩の男が口を開いた。
「向こうの連中、特に男共には注意が必要だな。
商売柄、表面上は笑顔で客の相手をしているが、腹の据わった連中ばかりだ。
そんな連中相手に、人攫い二人は送れないな。
会う以前に門前払いだろう」
すると別の一人が顔色を変えて言う。
「そうそう、例の噂もあるしな」
「あれか」もう一人。
思わず左文元は紀霊に詰問した。
「隠し事があるのか」
「嫌な噂なんだ」紀霊が左文元の視線を受け止めて、
「趙雲というのが、何とも良い男なんだ。
色街の女達だけでなく、町中の若い娘が趙雲様、趙雲様。
寝ても覚めても趙雲様、趙雲様。
それで町の若い連中に嫉妬されたんだろう。
ある夜、趙雲が町外れで刺された。
幸い一命は取り止めたが、騒ぎはそれで終わらなかった。
趙雲を襲ったと思われる連中が一人残らず、姿を消したんだ。
表向きは趙雲側の報復を恐れて逃げたと言われてるが、
町の者は誰もそうは信じていない。
逃げるのを目撃した者が一人もいないんだ。
若い連中は親にも友人にも何も告げずに姿を消した。
・・・。
俺も逃げたという噂は信じていない。
趙雲側が報復で殺して、遠くに捨てたとしか思えない」言い切った。
左文元も一つの噂を思い出した。
旅芸人に関する噂だ。
男も女も芸を披露するだけでなく、
興行先の有力者の求めに応じて身体も売ると一般的に知られていた。
その裏で、ごく一部であるが、腕の立つ者は殺しも請け負うと密かに噂されていた。
趙雲が養われている色街の者達は元が旅芸人。
噂のような腕の立つ者がいても不思議ではない。
紀霊達が聞き込んだ噂を元にして慎重に人選が行われた。
無用な争いや関係悪化を避ける為、
信頼に足る者が相手側との話し合いに赴く必要があった。
趙雪の娘、趙愛珍が農場の代表を買って出た。
「長旅は初めてだけど、趙雲を連れ戻すのは同じ母乳で育った私の役目でしょう」
農場を離れられない母の足下を見て、強引に趙愛珍が押し切った。
後見役として左文元。
道案内は紀霊。
これに旅慣れた下女が二人、牧童が二人。
先方への手土産を乗せた荷馬車が一両、馭者一人。
一行の旅の荷物を積んだ荷馬車が一両、馭者一人。
趙愛珍と下女二人を乗せる幌馬車一両、馭者一人。
少数の一行だが、荷馬車が目を惹いて賊を呼ぶかも知れない。
そこで警護役の人員も必要なのだが、
紀霊以外の賞金稼ぎは一族の開拓地に戻るという。
彼等は干魃続きの山東から逃れ、この豫州に移住して来た。
袁家の領地ではなく、ここから馬で十日ほどの他家の領地であった。
有り金叩いて買い上げた土地は、思いの外、収穫が上がらなかった。
それを補う為に彼等は賞金稼ぎとか傭兵で一族の暮らしを支えていた。
新年を迎える一族に今年の稼ぎを届ける必要がある。
一年近い探索の旅で溜まりに溜まった垢を流す必要もある。
人情から無理強いは出来ない。
左文元は隠居したものの左家への影響力は残していた。
そっさく豫州の左家屋敷に自ら赴いて、軽装の騎兵十騎を借り受けた。
一行が趙雲の元に旅立った。
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もっともな指摘なので反論はしない。
賞金稼ぎのうちの年嵩の男が口を開いた。
「向こうの連中、特に男共には注意が必要だな。
商売柄、表面上は笑顔で客の相手をしているが、腹の据わった連中ばかりだ。
そんな連中相手に、人攫い二人は送れないな。
会う以前に門前払いだろう」
すると別の一人が顔色を変えて言う。
「そうそう、例の噂もあるしな」
「あれか」もう一人。
思わず左文元は紀霊に詰問した。
「隠し事があるのか」
「嫌な噂なんだ」紀霊が左文元の視線を受け止めて、
「趙雲というのが、何とも良い男なんだ。
色街の女達だけでなく、町中の若い娘が趙雲様、趙雲様。
寝ても覚めても趙雲様、趙雲様。
それで町の若い連中に嫉妬されたんだろう。
ある夜、趙雲が町外れで刺された。
幸い一命は取り止めたが、騒ぎはそれで終わらなかった。
趙雲を襲ったと思われる連中が一人残らず、姿を消したんだ。
表向きは趙雲側の報復を恐れて逃げたと言われてるが、
町の者は誰もそうは信じていない。
逃げるのを目撃した者が一人もいないんだ。
若い連中は親にも友人にも何も告げずに姿を消した。
・・・。
俺も逃げたという噂は信じていない。
趙雲側が報復で殺して、遠くに捨てたとしか思えない」言い切った。
左文元も一つの噂を思い出した。
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男も女も芸を披露するだけでなく、
興行先の有力者の求めに応じて身体も売ると一般的に知られていた。
その裏で、ごく一部であるが、腕の立つ者は殺しも請け負うと密かに噂されていた。
趙雲が養われている色街の者達は元が旅芸人。
噂のような腕の立つ者がいても不思議ではない。
紀霊達が聞き込んだ噂を元にして慎重に人選が行われた。
無用な争いや関係悪化を避ける為、
信頼に足る者が相手側との話し合いに赴く必要があった。
趙雪の娘、趙愛珍が農場の代表を買って出た。
「長旅は初めてだけど、趙雲を連れ戻すのは同じ母乳で育った私の役目でしょう」
農場を離れられない母の足下を見て、強引に趙愛珍が押し切った。
後見役として左文元。
道案内は紀霊。
これに旅慣れた下女が二人、牧童が二人。
先方への手土産を乗せた荷馬車が一両、馭者一人。
一行の旅の荷物を積んだ荷馬車が一両、馭者一人。
趙愛珍と下女二人を乗せる幌馬車一両、馭者一人。
少数の一行だが、荷馬車が目を惹いて賊を呼ぶかも知れない。
そこで警護役の人員も必要なのだが、
紀霊以外の賞金稼ぎは一族の開拓地に戻るという。
彼等は干魃続きの山東から逃れ、この豫州に移住して来た。
袁家の領地ではなく、ここから馬で十日ほどの他家の領地であった。
有り金叩いて買い上げた土地は、思いの外、収穫が上がらなかった。
それを補う為に彼等は賞金稼ぎとか傭兵で一族の暮らしを支えていた。
新年を迎える一族に今年の稼ぎを届ける必要がある。
一年近い探索の旅で溜まりに溜まった垢を流す必要もある。
人情から無理強いは出来ない。
左文元は隠居したものの左家への影響力は残していた。
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