金色銀色茜色

生煮えの文章でゴメンナサイ。

(注)文字サイズ変更が左下にあります。

白銀の翼(四面楚歌)131

2012-04-22 09:32:19 | Weblog
 本国への撤退案は、ぎこちなくも受け入れられた。
唐突だった事もあるが、敗走に見える撤退が武将達の心に重く伸し掛ったのだ。
だからといって他に手立てはなし。
このままでは脱走する者が相次ぐだけ。
仕舞いには部隊ごとの寝返りもなきにしもあらず。
武将達は仕方なく受け入れた。
 直ちに撤退準備に取りかかった。
行軍に伴う糧食は一ヶ月分。
最短距離であれば歩兵でも十日で充分間に合う。
それでも将兵の心に余裕を持たせるために一ヶ月分とした。
「残りは燃やしますか」と武将が項羽に問う。
 西楚軍十万が一年は立て籠もれるだけの糧食が残されていた。
宝物もかなりあった。
「否、残りは劉邦軍にくれてやれ」
 百万の劉邦達には嬉しい置き土産だろう。
 本軍を任された李布将軍が撤退の行程を組み上げて報告に来た。
詳細に説明しようとするのを項羽は笑って押し留めた。
「お前は俺の右腕。全て任せた」
「有り難きお言葉。
して覇王様、必ず生きて戻られますよね」と強く視線を絡ませた。
 撤退準備に人手を割かれ側周りに居るのは、最も信頼する少数の将兵のみ。
不満顔の虞姫も項羽の傍らに控えていた。
項羽は、みんなを見回した。
「この歌声が聞えるか。紛うことなく楚歌だ。
・・・。
我は武門の出。中華では知られた項家の直系。刀槍では誰にも負けぬ。
しかし歌が相手では勝手が違う。この手の戦の仕様を知らぬ。
・・・。
天は我を見放した。
ここで散れと言うのだろう」
「そんな事はありません」と虞姫。
「楚の国を戦火に巻き込んでまで戦いたくはない。
我がここで散れば戦火は楚にまでは及ばない」
「最後まで戦いましょう。
楚の国の者達は貴方の為に、最後の一人まで戦います」
 これに李布将軍も同調した。
「そうです。
楚の地であれば敵百万といえど、我等に地の利ありです」
 項羽は冷笑。
「無理を申すな。
これまで幾万の楚の将兵を死なせたと思う。
それなのに天下が治まらぬ。
楚の将兵は勇猛果敢ではあるが、これは全て我が到らぬせい。
これ以上、楚の健児達を巻き込みたくはない。
・・・。
我が項家は楚の国の武門。
昔は楚の王家を守っていた。
今は我が西楚の覇王であるが、役目は楚の民人を守ることと心得ている。
自分の栄華を考えた事は一度もない。
楚の安寧と項家の名声、二つだけを考えていた。
それなのに、ここに至って敵を楚の国に招こうとする事態と相成った。
それだけは耐えられない。
・・・。
李布、虞姫、頼む。何も言わずに楚に戻ってくれ。
我の代わりに将兵達を無事に国に戻してくれ。
戻ったなら全てを将兵に説明し、王宮の宝物を分け与え、
それぞれの故郷に帰して貰いたい。
・・・。
我が死に、西楚軍が四散すれば劉邦も無理に攻め込んではこない。
幸いにも我に背いた叔父の項伯が劉邦の元にいる。
叔父が率いる楚の将兵も大勢いる。
奴等が防波堤になってくれよう。
軍師の張良も、その性格からして楚への侵攻より、中華の早期安定を望むはず。
多少の血は流れるだろうが、楚の平和は守られるだろう」
 虞姫が悔しそうに項羽を睨み付け、二歩、三歩と歩み寄った。
「貴方の言いたい事は分かりました。
だけど私の気持は収まりません。
妻が共に死して何の不都合がありましょう」
 項羽は虞姫を優しく見詰めた。
「お前には子供と共に生きていて欲しい」
 懐妊を内緒にしていた虞姫は顔を歪めた。
「知っていたのですか」
「これでも夫だからな。
これよりは母として生きよ。
我の分まで生きて、子と二人幸せにな。
・・・。
そんな顔するな。
いずれあの世とやらで会える。
我は先に逝くが、また会える」
 虞姫の目から大粒の涙が零れ始めた。
それでも彼女は泣かない。
黙って項羽を見詰める。
「・・・」
 項羽は虞姫に歩み寄り、その肩に手を置いた。
「自分の子供もだが、みんなも頼む。
王妃にとって将兵は無論、民人みんなが子供だ」
 彼女は頷かない。
気持は限界に来ていたが、決壊せぬように天幕を見上げた。
 項羽のもう一方の手が虞姫の腹部に置かれた。
防具の上からだが、お腹の子を感じ取ろうと掌で優しく撫で回した。
 虞姫は慌てて自分の防具を剥ぎ取った。
「馬鹿ね」
 項羽は再び掌で虞姫の腹部を撫で回した。
「昔から馬鹿だったろう」
「そうね」と腹部を撫で回す項羽の手に、自分の手を重ねた。
「それにしては膨れてないな」
「膨れるまでには育ってないわ、これからよ」
「そうか、健やかにな」
 虞姫は姿勢を正して両手で項羽を抱きしめた。
表情を改めて愛しい夫を見上げた。
「王妃として国に戻ります。
・・・。
また会えますね。
きっとですよ。
約束ですよ。
・・・。
年老いた私が見分けられると良いですね」




季節は春なのに、政治は呆れたままのようです。
参院で二閣僚の問責決議が可決されました。
前田国交相と田中防衛相の二人です。
二人合せて前田中。
これで民主党政権になってからは六人。
泥鰌サンになってからは四人。
民主党は問責に値する議員の宝庫なのでしょうか。
 いえいえ、そうではありません。
議員全体のレベルが下がっているのです。
たまたま運悪く大臣になったので、その資質が露呈したのです。
交代させれば済むという問題ではありません。
交代要員もドングリの背比べ。
いずれも劣化した人材ばかりなんですから。
 その悪い例が政権の要職に名を連ねる弁護士出身者達です。
彼等は弁は立つようですが、悪目立ちしています。
一体誰の弁護人を任じているのでしょう。
市民の敵の代弁者にしかみえません。
 そうそう、面白いデーターがありました。
電力関連です。
経産省の計算によると、
昨年四月から十二月までの間に生産されたエンジン発電機が、
電力換算すると理論上、555万キロワットになるのだそうです。
それを原発に換算すると五基分。
関西でも一基分以上になるとか。


 今日はSuperfly、「スーパーフライ」でしょう。
スーパーで売ってるフライではありません。
ちいちゃい女の子です。掌に乗るくらい。
それが上手いだけでなく、格好いいんですよね。
「タマシイ レボリューション」
「Alright!!」
「Beep!!」
ことに、「愛をこめて花束を」は今でも好きです。




ランキングです。
クリックするだけ。
(クリック詐欺ではありません。ランキング先に飛ぶだけです)
にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ


コメントを投稿