連戦錬磨の西楚軍は音も立てず、手早く撤退の準備を進めていた。
それを反項羽連合軍の前線にある各陣所の者達は気付かない。
合唱で手一杯。
だが、ただ一人が気付いた。
劉邦の本陣の奥深くにいた張良だ。
西楚軍の陣所の上に漂う気から、その下で軍勢が躍動しているのを感じ取った。
昨夜までの沈滞している気とは明らかに違った。
どうやら出撃するらしい。
張良は劉邦の元に急いだ。
「お人払いを」
劉邦に否はない。
直ぐに側周りの者達を退出させた。
「で、どうした」
「どうやら項羽殿が動く気配です」
劉邦は目を見開いた。
「本当か。
どこの陣所からも、それらしい知らせが来ないぞ」
「すぐに分かります」
「んー」と劉邦は一旦上を仰ぎ見、
張良を見直して、「軍師の言葉を疑って済まん」と頭を下げた。
張良は拱手で返した。
「囮の一隊が突出して我等の注意を引き、その後に本隊も動くでしょう」
「我等はどう動く」
「おそらく囮を率いるのは項羽殿。
だとしたら、ここへまっしぐらに向かって来る筈です。
ですが我等は何もしません。
ここは高台になっているので、無理に攻め上ってこないでしょう。
相手は騎馬隊ですからね。
下の陣所は踏み潰されるでしょうが、我等はここで高みの見物をしています」
劉邦は怪訝な顔で問う。
「下が踏み潰されるのを見守るだけなのか」
「はい。大事の前の小事。
囮に項羽殿が居るのを確認してから我等は動きます。
今回は慎重の上にも慎重に動きます。
ここで仕留めます。楚国には生きて戻しません」
「前もって分かっているのなら、罠を仕掛ければどうだ」
「項羽殿なら罠の気配を読み取るのは容易いでしょう。
だから、敢えて何も仕掛けません。
ここまで出て来て貰えれば充分です」
「諸侯の軍勢にも知らせぬのか」
張良は劉邦を正視した。
「はい。今の話しは王も忘れて下さい」
劉邦はクスクスと笑う。
「困った軍師殿だな。
話しはそれだけではないんだろう」
「はい、よくお分かりで。
・・・。
項羽殿が囮で現れたら諸侯の陣所に使者を走らせます。
目指すは項羽の首一つと。
敵本隊は見逃します。
西楚軍十万も、項羽殿が率いての強兵。
我等は百万。
項羽殿がいなければ、いつでも潰せます」
「それもそうだが、項羽の首を確実に獲れるのか」
張良は珍しく顔を赤らめた。
「獲ります。ここで獲らなければ、全てが無駄骨です。
楚に逃げられたら地の利は向こうにあります。
絶対にここで獲ります。長江は渡らせません」
「そう興奮するな。
いつもの張良でなくては項羽には勝てないぞ」
張良は苦笑い。
「申し訳ありません。
・・・。
諸侯の陣所に使者を走らせるにあたって、一つ提言があります。
封建を行なっては如何でしょう」
功績のあった諸侯に領土を分け与えるのは王の中の王の仕事。
かつては秦の始皇帝がそうであった。
そして最近は西楚の覇王、項羽が行なった。
が、項羽の場合は不評で、それが反項羽連合軍結成にまで行き着いた。
「まだ俺は漢の王でしかないぞ」と慌てる劉邦。
「口約束で宜しいのです。
使者に口上を述べさせます」
劉邦は顔色を曇らせた。
「しかし俺はただの漢王、反感を買わないか」
「お忘れですか。
項羽殿と我等の戦いに横槍を入れる奴が居ることを」
「黒曜家騎馬隊だな」
「はい。
諸侯のうちの誰かが黒曜家騎馬隊の背後にいるものと思います。
黒曜家騎馬隊がいくら強くて中華を支配する力はありません。
所詮は少数の異民族。
それを承知で我等の戦いに絡んで来るのは、何らかの密約があるものと。
項羽殿の首を獲った瞬間、その者が正体を現わすかも知れません。
黒曜家騎馬隊と示し合わせて前後から襲う恐れがあります。
その先手を打つ意味で封建を行なうのです。
領地の広さまでは約束できませんが、本拠となる城塞くらいは確約できます。
聞いた諸侯にも悪い話しではないと思います」
間を置いて劉邦は答えた。
「封建の真似事で牽制する分けだな」
「如何にも真似事です。
大半の諸侯が漢王の封建を受け入れれば、そいつは裏切ろうにも裏切れません。
周り中が敵に回る分けですからね」
「裏切り者が封建を受け入れて動かなかったら、どうする。
そのまま臣下として受け入れるのか」
「項羽殿の首させ獲れば、あとは時間はたっぷりあります。
ゆっくりと炙り出しましょう」
劉邦は思案の末、頷いた。
「軍師殿に委細は任せよう」
★
小沢サンに無罪判決が出ました。
でも変。
争われたのは、土地購入代金の計上が翌年度にずらされたこと。
脱税した分けでなし。
日付は違うが記載はしてる分けだし。
こんな小さな事で無駄に税金を遣って欲しくはありません。
おまけに、検察審査会の起訴議決を有効とした点も変です。
事実に反する捜査報告書で検察審査が行なわれたのに、
起訴議決を有効にするとは、・・・。
前提が間違っていれば、社会常識としては無効でしょう。
起訴そのものを門前払いにしてもよかったと思います。
巷で噂される、「官僚組織による小沢潰し」が真実に見えます。
たぶん、これからも小沢サンには難題が次から次に降りかかります。
艱難辛苦、・・・。
官僚組織は裏表に通じているので、攻める材料には事欠きません。
怖いですね。
公僕のはずの官僚組織。
まるでマフィアか、フリーメイソンです。
それに野党や民主党の反小沢派が乗っかります。
そして壮大で無駄な闘争を続けます。
いい加減、市民を向いた政治をして欲しいものです。
★
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それを反項羽連合軍の前線にある各陣所の者達は気付かない。
合唱で手一杯。
だが、ただ一人が気付いた。
劉邦の本陣の奥深くにいた張良だ。
西楚軍の陣所の上に漂う気から、その下で軍勢が躍動しているのを感じ取った。
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張良は劉邦の元に急いだ。
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劉邦は目を見開いた。
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「すぐに分かります」
「んー」と劉邦は一旦上を仰ぎ見、
張良を見直して、「軍師の言葉を疑って済まん」と頭を下げた。
張良は拱手で返した。
「囮の一隊が突出して我等の注意を引き、その後に本隊も動くでしょう」
「我等はどう動く」
「おそらく囮を率いるのは項羽殿。
だとしたら、ここへまっしぐらに向かって来る筈です。
ですが我等は何もしません。
ここは高台になっているので、無理に攻め上ってこないでしょう。
相手は騎馬隊ですからね。
下の陣所は踏み潰されるでしょうが、我等はここで高みの見物をしています」
劉邦は怪訝な顔で問う。
「下が踏み潰されるのを見守るだけなのか」
「はい。大事の前の小事。
囮に項羽殿が居るのを確認してから我等は動きます。
今回は慎重の上にも慎重に動きます。
ここで仕留めます。楚国には生きて戻しません」
「前もって分かっているのなら、罠を仕掛ければどうだ」
「項羽殿なら罠の気配を読み取るのは容易いでしょう。
だから、敢えて何も仕掛けません。
ここまで出て来て貰えれば充分です」
「諸侯の軍勢にも知らせぬのか」
張良は劉邦を正視した。
「はい。今の話しは王も忘れて下さい」
劉邦はクスクスと笑う。
「困った軍師殿だな。
話しはそれだけではないんだろう」
「はい、よくお分かりで。
・・・。
項羽殿が囮で現れたら諸侯の陣所に使者を走らせます。
目指すは項羽の首一つと。
敵本隊は見逃します。
西楚軍十万も、項羽殿が率いての強兵。
我等は百万。
項羽殿がいなければ、いつでも潰せます」
「それもそうだが、項羽の首を確実に獲れるのか」
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「そう興奮するな。
いつもの張良でなくては項羽には勝てないぞ」
張良は苦笑い。
「申し訳ありません。
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諸侯の陣所に使者を走らせるにあたって、一つ提言があります。
封建を行なっては如何でしょう」
功績のあった諸侯に領土を分け与えるのは王の中の王の仕事。
かつては秦の始皇帝がそうであった。
そして最近は西楚の覇王、項羽が行なった。
が、項羽の場合は不評で、それが反項羽連合軍結成にまで行き着いた。
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「はい。
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