政府「今夏0.4%電力不足」
民間機関批判「過大な需要見積もり」
原発なしでも余力
政府は23日、今夏の電力需給について議論する需給検証委員会(委員長・石田勝之内閣府副大臣)の初会合を開き、原発の再稼働がなければ全国で0・4%の電力不足が生じるとの推計を発表しました。同委員会に対し、民間研究機関、環境エネルギー政策研究所(ISEP、飯田哲也所長)は今夏、全部の原発が停止していてもすべての電力会社で電力を十分まかなえるとの推計を提出しました。
ISEPが発表した資料は政府の推計を「過大に見積もった需要を固定視」していると批判。「原発再稼働問題と電力需給問題は切り離し、前者は安全性と社会合意により判断すべき」だと提言しました。
ISEPは「2011年の夏は企業や家庭の節電により、ピーク電力は東京電力管内で前年より18%削減され、全国でも13%削減されたため、原発が8割停止していても電力需給には問題は生じなかった」と指摘。「原発の再稼働をしなくても2012年夏のピーク時の電力需給を満たせる節電対策が可能なことは、2011年夏と2011年冬の実績ですでに立証されつつある」と判断しました。
11年並みの節電を実施し、発電設備を再点検して供給力を見直せば、今夏、全原発が停止したままでも、電力ピーク時に全国で16%以上、需給の余裕を確保できると推計しました。
原発のない沖縄電力を除く9電力各社を見ると、関西電力を除く8社は単独でも供給余力があります。関西電力で全原発が停止しても、11年並みの節電に加え、供給余力のある他電力からの融通、自家発電調達など約150万キロワットの追加対策があれば、ピーク時の電力を確保できるとしています。
また、節電対策としては、生産減や深夜休日シフトではなく、需給調整契約や時間別料金の導入など多様な方法があると提案しました。
政府の電力会社別推計は関西電力で16・3%の不足を見込んでいます。九州電力で3・7%、北海道電力で3・1%の不足。東北電力と四国電力では電力の安定供給に必要な3%の予備力を持つに至らないとしています。東京電力は4・5%、中部電力も5・2%の余剰を見込んでいます。
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