天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

映画『ペンギン・ハイウェイ』

2018-08-20 04:28:44 | 


『ペンギン・ハイウェイ』は森見登美彦の小説。角川書店、平成22年5月発行。
ぼくは2014年7月にこの小説を読み、<おっぱい的世界『ペンギン・ハイウェイ』>なる題で当ブログに感想文を書いている。
非常に不思議な幻想的な世界に惹かれて読んだが、正直言って、作者の言葉をつぶさに思い描いて読み終えたのではなかった。あまりに現実離れしていて、たとえば<海>と呼ばれる水をたたえた球体を想像するのに戸惑いがあった。うまく思い描けないのだ。

きのう映画『ペンギン・ハイウェイ』を見て、その映像化に感心した。
監督の石田祐康氏とキャラクターデザインの新井陽次郎氏の映像化の能力に拍手を送りたい。
言葉(小説)を映像(映画)にするときいろいろなことが起きる。簡単にいうと、小説のほうがいい、いや、映画のほうがいい、といったことである。この作品については、映画がよかったと感じた。それはぼくの森見登美彦を読み解く想像力の欠如を意味するが、とにかく映画の映像にうきうきした。石田祐康氏と新井陽次郎氏の原作を読み解く力に負けたと思った。
アオヤマ君を演じる声優の北香那、お姉さんを演じる蒼井優もいい。蒼井の発する「少年」という呼びかけは慈しみに満ちている。

読解力で負けたと思うもう一人、蜜柑さんの映画評を紹介する(2018年8月20日 / PCから投稿)。
理想的な映像化
原作を読んだときから、これはアニメ化したら面白そうだと思っていましたが、期待を上回る映像化で個人的には大満足の出来でした。一部のシーンなどは、原作を読んだときに抱いた視覚的イメージがそのままスクリーンに映し出されているかのような気分にさえなりました。
一見すると家族向けの爽快な青春ファンタジーのようですが、実際のところ物語の展開はわりと複雑で、また作中で提示される謎の全てが解決されるわけではありません(むしろ「世界の謎はそう簡単に解けるものではない」というところがこの作品のテーマのひとつでもあるわけですが)。結末もほろ苦い。そんなやりきれなさも含めて、私は『ペンギン・ハイウェイ』という作品が好きでした。そのときの感動を、アニメ化というかたちでこうも鮮やかに蘇らせてくれたことを、率直に嬉しく思います。


ぼくは蜜柑さんの評価に納得する。

2014年7月12日に書いたブログにこんなことを書いている。
おっぱいふうのやわらかな世界が現実のちょっとわきにあってそれへの憧憬が本書を貫いている。<海>とともに消えてしまった<お姉さん>へのほのかな恋情が心地よい読後感となっている。
原作の読みは不十分であったが、このあたりは的外れではなかった気がしてほっとしている。
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