天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

一物を追求するKBJ句会

2024-09-03 04:37:37 | 俳句

ムラサキシキブの実(姿見の池緑地)



鷹9月号で巻頭になった亀田紀代子さんの
芋の露空がころんと転がりぬ 紀代子
に対して主宰が以下のコメントを書いている。
芋の葉に置いた露に空(たぶん青空)が映っている。そこまではざらにある着眼。露がころんと転がるのも驚く程のことではない。ところが、両者相俟って、「空がころんと転がりぬ」へ飛躍しての着地は見事だ。(以下略)
もう1句、
日の沓を履いてあめんぼ雲に乗る 紀代子
これも主宰は評価して、
この句も楽しい。あめんぼの足と水面の接点の光を「日の沓」と見立てたのも楽しいが、その日の沓で雲に乗ったというのもまた愉快だ。(以下略)
としている。
小生は「芋の葉」に喝采を挙げたい一方、もう1句は「日の沓」という見立てがそう好きではない。けれど、亀田さんが2句とも一物で成したことを大いに称える。

昨今、人事句がやたら多い。人事句はだいたい同じような発想で同じような句に帰結する。
もう皆さん、いいかげんに人事に飽きたらどうかと思う。
当俳句会は少し人事から離れて、人を取り巻く森羅万象を相手にしようかと思う。
物のありよう、その不思議をしかと感じ取る句を意識して作ろうではないか。
自分の立つ大地、田畑、川、湖、海、山、空、太陽、月、星などなど、あるいは草木虫魚、そして動物。人と関係なく存在する世界へ切り込んでいきたい。
アニミズムといってもいい。物を峻烈に書こう。
物を書こうとする意識は、一物俳句へ向かうだろう。
藤田湘子は『20週俳句入門』を書きました。ここで湘子が解説したのは四つの基本型である。Aという物にBという季語を取り合わせるとそう頭を使わずに一句ができますよ、という教え。俳句は取合せ、二物の組合わせでできていますという教えである。まさに20週で俳句というものができるという、わかりやすい優れた入門書である。
しかし湘子はむろん季語だけで俳句を書くことは知っていたし自分でもそれを書いていた。一物です。いつか先生に「一物俳句を書く本は書かないのですか」と聞くと「そんなもの書けるわけないだろう」と一蹴されました。馬鹿な質問をしたものです。
一物は物をじっくり見て見て見て、滲み出るものをつかまむこと。ハウツーはありません。自分が苦労して修練しなければなりません。
いくら見ても何も出てこないほうが多いのです。
しかし、一物に挑むべきです。小川主宰は、鷹同人である程度句を書ける人は一物に挑んでください。鷹は配合(二物衝撃)の句はうまいけれど一物はそれほどでもない。一物を書くことによって二物衝撃の切れがまします、とおっしゃいます。その通りです。
当句会は、一物を目指します。


【日時】9月24日(火)13:30~16:00

【会場】多喜窪公会堂
   中央線西国分寺駅下車。南へ450m。

     


【出句数】1句~10句(以下の兼題2句を含む当季雑詠)
   1句出せば見学できるということです。
   時間短縮のためあらかじめ短冊に書いてくることを希望します。

【兼題】
1)一物仕立ての句…1句
例句
 大榾をかへせば裏は一面火 高野素十
 かたつむりつるめば肉の食ひ入るや 永田耕衣
 ふはふはのふくろうの子のふかれをり 小澤 實
 野に山に枯みなぎりて醇乎たり 奥坂まや
 秋の蝶磐石に鈴振る如し 小川軽舟

2)対句・並列の句…1句
例句
 鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし 三橋鷹女
 恍惚と秘密あり遠き向日葵あり 藤田湘子
 伸びる肉ちぢまる肉や稼ぐ裸 中村草田男
 右の眼に大河左の眼に騎兵 西東三鬼
 雪催ふ琴になる木となれぬ木と 神尾久美子

【指導】天地わたる(鷹同人)
  点の入らなかった句についても全員で見直し意見交換します。

【参加費】1000円

【参加したい方】
  ブログに書き込みをするか、youyouhiker@jcom.home.ne.jpへご一報を。

コメント
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