天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

鷹中央例会新年句会

2023-01-22 08:55:29 | 俳句


きのう地下鉄東西線竹橋近くの如水会館で行われた鷹中央例会新年句会に参加した。全投句者324名中何人参加したか知らぬが会場いっぱい人がいた。小生は2020年4月以来の中央例会参加でありその人の多さに目がきょろきょろした。

出してある句の評価もさることながら、やはり主宰が何を言うのかが興味深い。いわば施政方針演説なのだが、最近出た鷹12月号の鼎談「類想類句からの脱出」で言いたいことはすべて言ってしまっている感じがした。
そこで主宰は鷹の99パーセントが類想であるとし、季語を正面から読めとおっしゃった。例として「早稲」が題に出ると多くの鷹衆が「早稲の香」と4音に「や」を足して上五に置きこれに七五を考えるという句作りをしがちである。こういう作り方(型その1)をわれわれは得意にしてきたが、「早稲」そのものへ切り込む努力をせよ。季語そのものを詠む一物に挑戦しないと新しさや迫力は生まれない。二物の配合の句をつくるにしても一物へ挑戦して季語の本意を手づかみにしないと新しい配合は生まれない。………ということを強くおっしゃった。これを強調するために無季の句に挑んでもいい、とにかくタブーを作らず自分を刷新しなさい、1句しか採られないことを怖れるな、と檄を飛ばしたのであった。
12月号でこれだけ言ってしまったら新年にあらためて言うことはないだろうと思ったところ主宰本人もそうおっしゃって「施政方針演説」はしなかった。

                                   


では話題は何かと訝しむと、きのう上京した車中で詠んだ一冊に言及した。それは小澤實著『俳句日誌2012 瓦礫抄』(ふらんす堂)であった。
平成11年、主宰は鷹編集長に就任したのだがそれは小澤實のあとを継いだ形であった。小澤さんが湘子との行き違いから鷹を去ってしまったのである。あれから18年たつがいまだに俳句界でこの騒動に興味を持つ人は少なくない。
これを主宰は話し出したのである。
思わず身を乗り出していた。見ると雛壇にいる月光集同人の方々もその話に釘づけになっている風情。週刊文春ふうにいうと「激白、小澤實鷹を去った真相」という内容である。
こんな話が聴けるとは……興奮した。一言も漏らさず聴いて帰ってこのブログの記事にしたい、はやく帰ろうと思って主宰にいい話でした、と伝えると「この話はうちうちにしてくださいね」とやわらかく釘を刺された。小生がブログをやっていることをご存じなのである、嗚呼。
小生が書けばスキャンダラスに聞こえてしまうだろう。
むかしの秋桜子―波郷―湘子、いまの湘子―實―軽舟という図式で師弟関係のさまざまな思いを冷静に解説してしみじみした思いにさせてくれた。湘子が主宰以外に兄弟子波郷にものすごく世話になったように、自分も兄弟子の實さんの多大な恩恵を受けてここにある、という内容であった。(このくらいは書いてもいいだろうな)
藤田湘子、小澤實という先達について冷静に語るところに17年の鷹主宰生活で獲得した実績と自信を感じた。
小生は湘子に師事した15年を越える17年を軽舟主宰にお世話になっている。軽舟主宰との時間の長さを思ったいい1日であった。


透明な衝立越しにマスクをとって話す、いい方法であった

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (伊勢史朗)
2023-01-25 17:38:29
師は我一人なり弟子も我一人(勝手に私の弟子と名乗る後輩もいるが)なりを貫く身としては結社内の過去のお家騒動にはさほど興味はありません。しかし、読者から共感を得る句を書こうと思えば類想は避けられないだろうし独創性のみを重んじれば独り善がりと表裏一体でしょう。
さて一物の句をどれだけ増やせるか。一物で書けば本当に類想を避けられるのか。そもそも季語が発する声にきちんと耳を傾けて出来上がった俳句に一物も取り合わせも無いのではないか。今年一年小川軽舟氏を始めとする鷹の作品を見て評価したいと思います。
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渡したいものがあります (わたる)
2023-01-25 18:15:48
かつて俳句バトルで撮った史朗くんの写真があります。機会があれば渡したいと思っています。
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