天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

季語無し地名3連発

2024-08-28 05:23:41 | 俳句

宗像の海


8月26日の読売俳壇。小澤實選の第1席入選句に注目した。

アラモゴードそして広島、長崎へ 中路修平(倉敷市)

【評】アラモゴードとは最初に原爆実験を行ったアメリカ合衆国の地。昭和二十七年七月半ばに実施された。季語は無いが、夏から秋の句となろう。人類の悲劇を嘆く。
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ひとことで言えばこの句は「季語無し地名3連発」である。
切り口の奇抜さにはっとした。アラモゴードをよく知っていたものである、作者も選者も。原爆関連の勉強になったし俳句の勉強にもなった。
3、4年前鷹主宰が新年例会で類想を脱せよ、大胆に書け、季語無しでも書いてみよ、と檄を飛ばしたことがあった。主宰はたくさん句を見て似たような句に疲れていたと小生は考える。鷹は伝統を守る結社にて季語を重要視する。けれど絶対季語がなければいけないとは言わない。
かつて飯島晴子が、自分にもっと才能があったら季語の世話にならずに書けたであろうに、ということを言った。自分に力がないから季語の威力を借りて俳句を書いているというのだ。
飯島晴子の胸のうちはよくわかる。季語はスペードのエース、切り札である。これが効くか否かで一句の成否が決まる。
したがって季語の無い句というのはとてつもなくむつかしい。
中路修平さんの句はあっぱれである。採った選者も凄い。
晴子さんより能力のない小生は季語無しに挑戦する気はないが、新しい発想を見れば自分も何かを考えるヒントになる。その意味でこの句はありがたくスリルを感じた。

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